加藤大臣会見概要

(令和5年4月28日(金)9:35~9:43 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
令和5年3月の有効求人倍率は1.32倍と前月から0.02ポイントの低下となり、都道府県の有効求人倍率は引き続きすべての都道府県で1倍を上回りました。また完全失業率は2.8%と前月から0.2ポイントの上昇となっております。なお令和4年度平均の有効求人倍率は1.31倍と前年度から0.15ポイント上昇しております。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は求人が減少した産業もあるなど一部に厳しさがみられるものの緩やかに持ち直しをしております。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えております。
2点目ですが、5月2日から6日まで政府関係者等との会談のためフィリピンのマニラ、シンガポール及びベトナムのハノイに出張いたします。ASEANは日本にとって重要な戦略的パートナーであり、本年は日本とASEANの友好協力関係が50周年を迎え協力関係を一層強化することが期待されています。5月13日及び14日のG7長崎保健大臣会合にも先立ち、アジアにおける保健課題等について日本と関わりの深い3カ国の関係閣僚等と意見交換や視察を事前に行うことで同大臣会合における議論の一層の充実を図るとともに、ASEANも視座に入れた議論を牽引することによりG7議長国としてリーダーシップを発揮していきたいと考えております。またベトナムとフィリピンは技能実習生の1位、3位の送出国であります。この機会を捉えG7倉敷宣言に盛り込まれたディーセントワークの促進を念頭に、送り出しに当たっての取組みの強化や安心して長く活躍できる仕組みづくりについても意見交換していきたいと考えております。私からは以上であります。

質疑

記者:
先日、国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来推計人口を公表しました。その推計によると、人口減少のスピードは緩やかになったものの人口が大きく減るという基調自体は変わっていませんし、2070年には外国人が1割を占めるとしています。こうした推計結果に対する大臣の所感をお聞かせください。またこの人口推計は来年の年金財政検証の基礎データとなりますが、所得代替率の水準に与える影響をどのようにお考えでしょうか。
大臣:
26日に公表いたしました「日本の将来推計人口」によりますと、今後我が国の人口は2020年の1億2,615万人から2070年には8,700万人に減少し、65歳以上の人口の割合は2020年の28.6%から2070年には38.7%へ上昇するとの見込みが示されました。また前回推計と比べると、平均寿命が延伸し外国人の入国超過数が増加するため人口減少のペースは緩和する見通しとなっていますが、将来の出生率は1.44から1.36に低下するなど引き続き少子高齢化や人口減少が継続することが見込まれております。我が国の社会経済や社会保障制度に与える影響も懸念されているところです。この将来推計人口は国際的に標準とされる人口学的手法を用いて、人口変動要因である出生、死亡、国際人口移動について、現状で求めうる実績データに基づいて過去から現在に至る傾向・趨勢を将来に投影する、いわゆるprojectionの形で推計しているところであります。外国人については2016年から2019年にかけて外国人の入国超過数が年平均16万人という実績を基に将来への投影が行われたものであります。今後外国人労働者の適正な雇用環境の整備に更に努める必要があるものと考えております。また少子高齢化、人口減少の流れに歯止めをかけるべく、こども・子育て政策の強化について現在こども未来戦略会議において必要な政策強化の内容、予算、財源について議論が進められており、厚労省としても積極的にこうした議論に入っていきたいと考えております。
また年金の所得代替率への影響については、今般公表された人口推計によると出生率の仮定は前回よりも低下しており年金財政にマイナスの影響を与える一方で、外国人の入国超過数の仮定は前回よりも増加しており年金財政にプラスの影響を与える見込みであります。これらを反映した結果として人口推計全体でみると、年金財政に影響を与える高齢化率の指標でみると今後100年程度の動向は前回から大きく変化していないため、新たな人口推計が年金財政へ与える影響はその限りにおいては限定的だと考えておりますが、他方年金財政には労働力や経済の動向も影響を与えるわけであります。経済の前提については現在社会保障審議会年金部会の下に経済・金融専門家で構成する専門委員会を立ち上げ議論を行っていただいております。その結果も踏まえ令和6年における財政検証において年金財政への影響をしっかりとお示ししていきたいと考えております。
記者:
外遊についてお伺いします。技能実習制度に関して議論されるということですが、政府の有識者会議が現行制度を廃止して新制度を創設する中間報告案を出していると思いますが、新制度創設を念頭に派遣元の国の事情を聞くという狙いもあるのでしょうか。また今回の外遊の成果として期待されていることがあれば教えて下さい。
大臣:
今政府において技能実習制度を含めて外国からの受入れについて検討を進めておりますので、そうした我が国における検討状況についてまず実際どうなっているのかということを正確にお伝えしていく必要があると思います。その上で今あるいろいろな課題の指摘をされておりますから、我々は検討状況の中でそうした課題を認識し対応を考えているわけでありますが、それぞれの送り出し国における状況あるいは対応あるいはこれまでとってきていただいている対応ぶり、こういったことも聞かせていただきながら今後ともそれぞれの国から新しい制度の下においても円滑に送り出していただく、我々としてはしっかりと受け入れさせていただく、そういう関係をつくっていきたいと思います。
記者:
コロナの5類位置づけ後の厚労省審議会のことでお尋ねしたいことがあるのですが、例えば現在中医協ですと3年前のコロナ感染拡大を踏まえてYouTube等で審議会の様子を配信するといったオンライン配信が続いているのですが、コロナ禍だけではなく平時でも広く国民に知る機会を提供するという意味でメリットが大きいと思うのですが、今後もYouTube等で行っているオンライン配信について継続されていくお考えはありますでしょうか。
大臣:
それぞれの審議会でお諮りしながら進めていることだと思いますが、これまでそうやって対応してきたのであれば特段支障がなければ継続していけばよいのではないかと思います。

(了)