加藤大臣会見概要(新型コロナウイルス感染症対策本部後)

(令和5年3月10日(金)18:28~18:50 省内会見室)

広報室

会見の詳細

発言要旨

大臣:
 先ほど政府の新型コロナ対策本部を持ち回りで開催し、「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について」決定いたしました。新型コロナについては1月27日の政府対策本部決定において、5類感染症に移行する5月8日以降の医療提供体制及び公費支援の具体的な内容について、3月上旬を目途にお示しすることといたしました。これまで地方自治体や医療関係団体の皆様のご意見を丁寧に伺いながら検討・調整を進めてまいりました。本日決定した主な内容についてご説明します。お手元にある「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について」が決定内容でありますが、専らスライドを使って説明したいと思います。
 感染症法上の位置づけの変更に伴いまして、医療提供体制は入院措置などの行政の強い関与、限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行するということになるわけであります。このため都道府県とも連携し、幅広い医療機関に参画を促す取組を冬の感染拡大に先立って重点的な取組を行ってまいります。また暫定的な診療報酬措置を経て、令和6年4月には診療報酬・介護報酬さらには障害者も含めてですが同時改定がございます。それを通じて新型コロナ対応を組み込んだ新たな診療報酬体系による医療提供体制に移行していくということになるわけであります。この間、感染拡大への対応や医療提供体制の状況などを検証した上で、その結果に基づき必要な見直しを行っていきたいと考えています。
 スライド2でありますが、外来・入院を通じて幅広い医療機関による対応に移行していくため、感染対策については効率的な対応に見直をしていく、また設備整備や個人防護具の確保等への補助を継続してまいります。そして参画する医療機関を増加させていきたいと考えております。また医師等の応招義務については整理を行うこととし、新型コロナにり患又はその疑いのみを理由とした診療拒否は「正当な事由」に該当しない取扱いになることを明確化することとしています。さらに医療機関や地方自治体に対し、診療の手引き等を含め分かりやすい啓発資材を作成し周知を図ってまいります。またこうした取組を通じて、外来については現在全国で約4.2万の医療機関が対応していただいていますが、季節性インフルエンザについて対応しておられる最大6.4万の医療機関での対応を目指してまいりたいと思います。また国・都道府県で定期的に対応医療機関数を把握・進捗管理しながら、今申し上げた(医療機関数の)維持・増大を図ってまいります。なお少し小さい字で書いてありますが、新型コロナに対応する医療機関名等を公表する仕組みについては当面継続することとしています。
 次にスライドの中段でありますが、入院については約8千2百の全病院での対応を目指すこととしております。都道府県において受入れ医療機関の拡大等を内容とする移行計画を策定し、新たな医療機関による受入れを促進することにしております。また移行計画の策定を待たずに、着手できる取組については速やかに取り組んでいただきたいと考えています。重症者・中等症Ⅱの患者については、これまでに確保病床を有していた約3千の重点医療機関等への重点化を目指すこととしております。
 軽症・中等症Ⅰの患者の方については、重点医療機関等以外で受入れ経験がある医療機関、特に高齢者を中心に地域包括ケア病棟や地域一般病棟等での受入れを積極的に推進したいと考えています。併せて受入れ経験がない医療機関にも受入れを促したいと考えています。
 またスライド下段でありますが、現在多くの都道府県等では行政が担っている入院調整について原則として医療機関間による調整ということになるわけであります。そのために病床の空き状況を各病院や診療所の間で共有するため、G-MISなどは活用していきたいと思っています。なお円滑な移行を図るため、当面行政による調整の枠組みは残す方向で調整しているところでございます。そして冬の感染拡大に先立ち、まずは軽症・中等症Ⅰの患者から医療機関間での調整を進め、秋以降に重症者・中等症Ⅱの患者についても医療機関間による調整に移行するということで、病床確保にかえてこうした方への対応を行った医療機関へ支援を行うこと等を検討しているところであります。
 次にスライド3でありますが診療報酬の特例の見直しであります。医療機関の現場の実態を踏まえ、診療報酬上の特例措置を見直すことといたしました。まず外来については新型コロナ関連の特例措置は院内感染対策を引き続き評価することにしております。また事務負担軽減等に伴う所要の見直しを行う一方で、コロナ患者の入院調整を行った場合には新たな評価を行うこととしております。入院については重症・中等症患者等の特例措置は、人員配置の効率化が図られている実態等を踏まえ所要の措置の見直しを行うこととしております。一方で入院患者に対する介護業務の増大等を踏まえた新たな評価を行うことにしています。これらの見直しについては、先ほど持ち回りで開催された中央社会保険医療協議会において承認をいただいたところであります。
 次のスライドでありますが病床確保料の見直しであります。病床確保料については会計検査院からの指摘や現場の実態を踏まえて、診療報酬の見直しに連動してこれまでも改定を行ってまいりました。今回も先ほど申し上げた診療報酬等の見直しを踏まえ当面9月までにおいて病床確保料の見直しを行うこととしております。また病床を効果的に活用する観点から、休止病床の範囲についても基本的にこれまでの2分の1にするという形での見直しを行います。この病床確保料の見直しは9月末までを目途としておりますが、その後の対応については受入れ医療機関の拡充の進捗状況等を踏まえ必要な見直しを行いたいと考えています。
 次にスライド6でありますが、高齢者施設等における対応については重症化リスクが高い方が多く生活していることを踏まえ、入院が必要な高齢者が適切かつ確実に入院できる体制を確保しつつ、施設における感染対策の徹底、医療機関との連携強化、療養体制の確保等を行うこととしております。このため必要な体制を確保した上で施設内療養を行う高齢者施設への補助等の措置、これらは当面継続することにしております。
 続いてスライド7でありますが、患者等の公費負担の支援であります。患者等に対する公費支援については位置づけの変更に伴い入院措置等は求められなくなるため、公費支援がなくなり一部自己負担が生じることとなりますが、この見直しにより急激な負担増を避けるため新型コロナ治療薬の費用は公的な負担を一定期間継続することにしています。また入院医療費については一定期間高額療養費の自己負担限度額から2万円を上限に減額するということにさせていただくことにしております。これらはまずは9月末まで公費支援を継続することにしております。これにより医療費の自己負担についてはインフルエンザ患者の自己負担と概ね同じかあるいはそれよりも低い水準、高額療養費の上限との絡みがあって若干前後しますが概ねインフルエンザ患者の自己負担となるものと同程度と考えております。
 また戻っていただいて検査についてでありますが、検査については新型コロナの抗原定性検査キットの普及や他の疾病との公平性を踏まえ、公費支援は終了し一部自己負担が生じることになりますが、ただし重症化リスクが高い方が多い医療機関や高齢者施設等での従事者の集中的な検査等を実施する場合は引き続き行政検査として行うこととしております。これらのほか受診相談機能や高齢者や妊婦に対応するための宿泊療養施設は、期限を区切って継続することといたしました。以上が新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の主な見直し内容となります。
 なお、スライド9は病原性が大きく異なる変異株が生じた場合の対応等について書かせていただいておりますが、基本的には対応が必要であると認められればこの新型コロナウイルス感染症の発生時と同様に新たな変異株を感染症法上の指定感染症に位置づけ、そして対策を強化していく、さらにその上で病状の程度が重篤で全国的かつ急速なまん延のおそれがあると認められる場合には厚労大臣から総理へ報告を行い、新型インフル特措法に基づく政府対策本部・都道府県対策本部を設置する等、これまでと同様の対応がとれる体制にすることにしております。それから水際措置等ですが、位置づけの変更に伴い水際措置は適用されなくなりますが、水際措置についても病原性が大きく異なる変異株が生じた場合には必要な措置を迅速に講じることといたします。また、本件に直接関連するものではありませんが、引き続き新型コロナり患後の症状いわゆる後遺症に悩む方が幅広い医療機関で診療を受けられるような取組を進めてまいります。
 冒頭申し上げましたように、本日の政府対策本部決定に当たっては関係者の皆様からご意見を賜り、検討・調整を進めてきました。来週以降、都道府県等を対象とした説明会等を随時開催し、現場のご意見を伺いながらこれからさらに運用の詳細を詰めていかなくてはなりません。丁寧に対応していきたいと考えております。国と地方自治体等が一体となって、国民の皆様のご理解とご協力を得ながら円滑な移行に向けて取り組んでいきたいと考えています。なお、移行についての最終的な確認は4月の中旬以降において確認し、それで最終的な移行に入っていきたいと考えております。私の方からは以上であります。

※参考資料:「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等について」(令和5年3月10日 新型コロナウイルス感染症対策本部決定)[PDF:797KB]概要(スライド)[PDF:3.0MB]

質疑

記者:
今回5類移行後の医療体制あるいは公的支援の在り方について、今回の決定についてどのような意義があるのか大臣の見解をお願いいたします。
大臣:
冒頭申し上げましたように、1つはこれまでの限られた医療機関から広く一般の医療機関全体でコロナの対応をしていただくということ、これが大きく切り替わっていくわけでありますので、ただそれに向けて1つ1つ段取りを踏まえながらまず現在対応していただいている医療機関には引き続きお願いし、また新たな医療機関に対してさらに拡大をお願いできるような、例えば支援措置もそうであります、それからこれまで経験していない特に外来の方々については、例えば防護体制をどうしたらいいか等様々ご疑問があると思います、それに対する丁寧な説明等も行いながらまずは拡大を図っていきたいというのが1点目であります。それから様々な措置についてこれまでの実際の医療機関等における現状、あるいは会計検査院等から指摘を受けたところであります、そうしたところを含めて見直しの措置を講じさせていただき、また診療報酬について最終的には来年の4月の診療報酬改定や介護報酬改定がございますから、それに向けて必要な見直しがあればまた見直しを行いながらそれに向かっていきたいと考えているところでございます。最後に皆さんの医療費の自己負担については先ほど申し上げたように急激な負担増が生じないよう、一方で季節性インフルエンザの場合の医療費の負担との公平性を図るべきではないかというようなご指摘もいただきましたので、それを踏まえて先ほどのような形で決定させていただいたということでございます。
記者:
新型コロナに対応する医療機関の拡充についてお伺いします。全体的には医療機関への支援も減る中で、どのように医療機関の拡充を実現させるお考えなのかお聞かせください。
大臣:
外来でありますが先ほど申し上げました医療機関における感染対策について学会等のガイドラインに沿いつつ、安全性だけでなく効率性も要するにこういった形でやればいいですよという形をお示しするということ、また感染対策に必要となる設備整備や個人防護具の確保等への支援、これは継続して行ってまいります。また、先ほど申し上げた医師等の応招義務については、コロナにり患またはその疑いのみを理由とした診療の拒否は正当な事由に該当しないことを明確化する、こうしたこと等を含めていろいろな資料を作成し、そして地方自治体あるいは医療関係者の方とも連携しながら周知を図り、受け入れていただける医療機関を拡大していきたいと考えております。また、入院関係についてでありますが先ほど申し上げた全病院での対応を目指し、重点医療機関では例えば重症者・中等症者の受入れの重点化を目指す等の対応、それぞれ役割分担をお願いする、あるいは特に高齢者を中心に地域包括ケア病棟等の受入れを積極的に推進することを背景にそうした受入れをしていただく対象者に対する診療報酬も新たに特例で設けさせていただいたところでございます。さらには外来で申し上げたような様々な対策も講じていくことによって拡大を図ってまいりますが、先ほど申し上げように各都道府県においては新たな医療機関における受入れや医療機関間による入院調整を進めることを内容とする移行計画、これを具体的な患者像を念頭に置きつつ4月中に策定いただき、それを踏まえて対応する医療機関の維持、さらに拡大を図っていきたいと考えています。
記者:
2点お伺いします。1点目は先ほどの質問にも被るのですが、応招義務を整理することによって外来の拡大を図るというところですが、なかなか感染対策上難しいという理由で参加してこなかった医療機関もある中で、応招義務を使って強制させるのもなかなか難しい点があるかと思います。応招義務の扱い方についてどのように使うべきか、どのように気をつけるべきかというところ、大臣のお考えがありましたら教えていただきたいのが1点と、もう1点が今回将来的な体制として外来最大6.4万と(入院)8千というところを挙げていただいたのですが、ここを達成する目途について何か目標があれば教えていただきたいです。
大臣:
応招義務については1つの整理として出させていただいたわけでありまして、様々な支援措置とかあるいは対応についての見直し、これらをパッケージでお示しすることで、外来医療機関を中心にこれまでやっていただいていないところについてもやっていただけるように取り組んでいきたいと思っております。具体的な今後の展望を今の段階で申し上げることはできませんが私どもの考え方としては、この位置づけ変更に伴い、また移行計画を作っていただいてそれに則って、これから感染拡大がどこで出てくるかということはなかなか推測する、こうだということを申し上げることはできませんが、ただこれまでの3年間の経験から言うとやはり夏場そして冬場に感染拡大があったわけであります。従って夏場の感染拡大を通じながら拡大し、冬場までには体制が整うことができればという思いで取り組みをさせていただきたいと考えています。
記者:
移行期間に関連してお伺いいたします。今回移行期間を設けましたが、最終的な平時の医療提供体制に戻る目途としては、大臣のお考えとしてはいつくらいをお考えでしょうか。
大臣:
最終的なというのはなかなか、これまでを検証しながら見直しをしていくということでありますが、1つは来年の4月から診療報酬、介護報酬と新たな診療(報酬)体系に入っていくわけであります。そうした時期も見ながらまず先ほど申し上げた感染がどうくるか分かりませんが、まずは夏の感染拡大がくる場合も想定しながらそれに向けて今回の移行をまずは円滑に進めていって、その中でどういう問題があったのかあるいはこういうところはどう見直すのかといったことを検証したうえでまた次に向けての体制をしっかりと作っていく、それでこれまでの経験から言えば冬の感染拡大が想定されるわけですから、それに対応していきたいと考えております。
記者:
関連して、夏に向けての状況によっては例えば9月の末とかに全ての移行期間を終えるということもあり得るのでしょうか。
大臣:
一応9月末とさせていただいているのは、これまでもいろいろな対応をする時に財源を確保しながら対応をしてきました。大体3か月あるいは6か月単位をタームにこれまでも対応してきたわけで、そういった意味で今回の9月末そこまでを1つの期間として対策を講じさせていただくということでありますので、その後については今申し上げたようにこの間の対応等を考えながら検討していかなければならないと考えております。
記者:
対応医療機関の拡大についてですが、現在は例えば外来だと4.2万箇所、これを最大6.4万に増やしていくことを目指されるということですが、実際に6.4万箇所に達したかというところはどのように確認・検証する予定か教えてください。
大臣:
それは先ほど申し上げておりますように、地方公共団体と連携を図りながら定期的に、今でもそうですがそうした対応をしていただいている医療機関数を把握しながら、またどこまで進んだかということを管理していきたいと思います。
記者:
追加ですが、4.2万の発熱外来の中でも発熱患者さんの診療は限られていたり、初診の患者さんを受け入れていないという指摘があるのですが、これに対してはどのような対応を考えておられるでしょうか。
大臣:
これまで幅広く受けていただいているところには引き続き受けていただく、それからこれまではかかりつけの患者さんを中心に診ておられたところは、それからさらに一般の患者さんにも広げていただきたいと思いますし、さらにこれまで診ておられないところについては新たに診ていただくようにしていただく、それぞれ今の状況に応じて対応していかなければいけないと思います。
記者:
外来の医療体制について先ほど医療機関名の公表は継続するということでご説明ありましたが、現在は公表の前に自治体が診療検査医療機関いわゆる発熱外来として指定する仕組みがあると思うのですが、この仕組みも維持されるのか取りやめるのか、あるいは自治体の運営によるのか教えてください。
大臣:
当面継続するということですから現状のやり方で継続していくことを考えています。
記者:
公費負担の件なのですが、患者さんの一部負担も増えるところもあると思います。そういった皆さんに対してメッセージをお願いします。
大臣:
今回の見直しに当たりましてこれまでの感染症法に基づく対応ではなくなるわけで、それにより感染対策をすることによって例えば行動制限をしながら入院等をお願いしていた、したがってそれにかかる公費負担は基本的に国の方で負担していた、ただその前提を見直すわけですから基本的には通常の医療と同じように自己負担が一部発生するということになります。ただ急激な負担が生じないように、特に新型コロナになる場合と季節性インフルエンザになる場合、一つの比較衡量になるのだろうと思います。外来の場合は診療報酬そのものはそんなに変わらないのですが、薬代が随分違ってまいります。したがって薬代に対する支援を行うことによって先ほど申し上げたほぼ同じような負担ということをお願いしております。また入院については急激な負担増を減少するということで色々なやり方があるかも知れませんが、システム対応等に時間をかけるわけにはいきませんので割とシンプルにやれる方策ということも念頭に置きながら、上限2万円を引くということで多少凸凹はありますがほぼ季節性インフルエンザと同等、あるいは季節性インフルエンザと比較した資料の中にちょっと小さい字でありましたが、コロナの場合は10日間くらいの入院を前提としています。季節性インフルエンザの場合は6日間ということでございますので、その辺も加味していただくとほぼ同等だということはご理解いただけるのではないかなと思っております。

(了)