加藤大臣会見概要

(令和4年12月16日(金)11:42~11:53 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 冒頭二件申し上げます。令和5年度薬価改定について、今月2日に公表した薬価調査の結果や、中央社会保険医療協議会いわゆる中医協での議論も踏まえ、本日、改定の内容について官房長官及び財務大臣と合意いたしました。
 改定の対象範囲については、国民負担の軽減の観点から平均乖離率7.0%の0.625倍で二年前と同様でありますが、これを超える品目を対象としており全品目のうち69%が対象となります。
 同時に急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応する観点から不採算となっている医薬品の薬価を引き上げる「不採算品の再算定」の措置について、臨時・特例的に該当する全1,100品目を対象として適用することといたします。
 更にイノベーションに配慮する観点から、革新的な新薬等を評価する「新薬創出等加算」の措置について、臨時・特例的に加算額を増額し従前の薬価と遜色のない水準に維持する対応を行うこととしています。これらの結果として薬価が引き下がるものは全体の48%でありますが、残り52%のうち6%の品目については薬価が引き上がるということにもなります。今後この3大臣での合意を踏まえて、中医協において更に具体的な議論を行うこととしております。

 二点目でありますが、医療用の解熱鎮痛剤、それから咳を抑える薬、また「トラネキサム酸」喉の痛みを抑える薬について、新型コロナの感染拡大による需要の増加により製薬企業での限定出荷が行われております。その結果、地域の小規模な薬局などで入手が困難な状況にあると承知しております。これを踏まえ、一昨日(12月14日)比較的小規模な薬局等に対し優先的に供給を行うよう卸売業者に対して依頼を行ったところであります。
 あわせて、それでもなお解熱鎮痛薬等の入手が困難な薬局等からの相談窓口を12月14日付けで厚生労働省内に設置いたしました。この相談窓口の概要は、解熱鎮痛薬等の不足が発生している薬局や医療機関からの相談をメールで受け付け、その薬局や医療機関が所在する地域の卸売業者に厚生労働省が直接連絡し調整を行うことで必要な数量の確保を行うものであります。こうした状況にある薬局や医療機関におかれましては、是非この相談窓口をご活用いただきたいと思います。
 今後とも相談窓口への相談状況や感染状況を踏まえながら、医薬品の供給が円滑に行われるよう必要な対応を行ってまいりたいと考えております。私からは以上であります。

質疑

記者:
コロナについて、先日水曜日のアドバイザリーボードで専門家からはコロナの分析についてインフルエンザと同等と判断できないという見解が示されましたが、これを踏まえて今後の分類の見直しやワクチン・医療費の公費負担の在り方についてどう検討を進めていくのか大臣のお考えがあればお願いいたします。
大臣:
感染症法上の位置付けについては、新型コロナの病原性いわゆる重篤性、感染力、変異の可能性などをどう評価するのか、またどのような医療提供体制が求められるのかについて、国民の皆様と理解を共有できる基盤作りが必要であるということで、11月30日のアドバイザリーボードでわかりやすい考え方を深掘りして示していただきたいとお願いし、位置付けの判断に当たっての考慮要素や現在の分類のもとで実施している主な措置等の整理を踏まえ議論を進めていただいております。
 一昨日のアドバイザリーボードでは、4人の専門家から新型コロナと季節性インフルエンザとの比較について、新型コロナの感染力はインフルエンザに比べて強く、インフルエンザの流行には季節性が認められる一方で新型コロナの流行には季節性が認められない等、性質の異なる感染症であると考えられる、また致死率のデータなどについては比較可能な形で得られたデータでないものを単純に比較するべきではないといった意見が出されたわけであります。
 その後アドバイザリーボード後の記者会見で脇田座長からは、感染症法の位置付けについて季節性インフルエンザとの比較よりもコロナをどう捉え、またどのような対策が必要かが非常に重要であること、コロナ対策については当初よりも徐々にアップデートがなされてきていること、4人の専門家から示された新型コロナのリスク評価については現時点の見解であり引き続き議論して見直していくこと等の発言があったと承知しております。また、アドバイザリーボードで自治体関係者からは新型コロナの法律上の位置付けを早急に見直すべきではないかとの意見も出されたところであります。これらを含めて、引き続き議論を深めていただきたいと考えております。
 医療における対応をどうしていくのかという視点に立った議論として、引き続き院内感染防止対策が重要との意見、また徐々に病院間連携で入院調整が行われている、まさに平常・日常のような対応になってきているということ、他方で医療提供体制の支援については配慮が引き続き必要ではないか、このようなご意見もございました。医療提供体制に関する論点は、最終的には公費負担の在り方にも繋がっていくと考えております。これらも踏まえた議論を引き続き深めたいと考えております。
 今後の対応でありますが、今後の感染状況や更に専門家の意見を踏まえる必要があることから見直しの時期を今の時点で申し上げることは困難でありますが、先般成立した感染症等の改正法案の修正において検討規定が追加されたわけであります。それらも踏まえて、そのときの感染力の状況、最新のエビデンスに基づき総合的に早期に議論を行いたいと考えております。具体的にはアドバイザリーボードで更に議論を深めていただきたいと思っております。また、並行してデータの整理等をお願いできればと思っております。なお従前から申し上げておりますが、分類変更を行う場合には厚生科学審議会感染症部会での議論を踏まえて行うという手続きになります。
記者:
冒頭の薬価改定に関してお尋ねします。全体のいわゆる影響額がどれぐらい見込まれているのかわかりましたらお願いします。もう一点ですが、製薬業界からはかな り業界全体が厳しいという声が従前大きかったと思います。一方で国民負担軽減の観点というのはあると思いますが、それを踏まえて今回の改定でどのように判断された のかというのを改めてお願いします。
大臣:
具体的な影響額についてはまさに予算編成過程の最中でありまして、最終的な 調整を踏まえたところで申し上げなければならないので、今の時点ではお示しする ことは困難ということでございます。それから、今まさに国民負担、他方でイノベ ーションの推進ということで、これをどうバランスを図っていくのかということで これまでも進めてまいりました。そういった意味で改定の基本的考え方は2年前を 踏襲する一方で、しかしこの時点において不採算品、この中には例の後発医薬品 メーカーの不適切な製造管理等も背景とした品不足もあるわけです。
 そういったことを踏まえて、従前以上にこの不採算品の再算定をしっかり行っていくということと、それからイノベーションという意味でいわゆる新薬創出等加算の在り方についてもいろいろご議論いただいておりましたので、先ほど申し上げたように今回は従前の薬価とか要するに対象品目についてあまり下がらないような形での特例的な措置を講ずる、こうしたことを行うことでトータルとしてはマクロ的には48%が引き下がると、また引き下がる中でも新薬創出等加算分については従前に比べてその引き下げ幅はかなり圧縮され、また従前は引き下げと維持しかなかったのですが、今回引き上げられるものが6%相当ある、こういうメリハリを利かせた見直しをさせていただいたということであります。
記者:
コロナの変異株について伺います。昨日東京都の会議の中で、都のウイル ス検査で先月下旬の段階でBA.5の割合が7割まで低下して、BA.1系統などの変異 株に置き換わりが進んでいるという分析の報告がありました。都市部でBA.5に代わ る新たな変異株への置き換わりが進んでいるという見方もありますが、改めてこの変 異株の置き換わり状況について現状の大臣のご認識をお聞かせください。
大臣:
一昨日のアドバイザリーボードでもそうした分析が行われておりました。今仰ったようにゲノム検査ですか、そのデータが一定程度時間がかかりますから足元の動向はなかなか見えませんが、一定のシミュレーションをするとBA.5が明らかに下がってきて、他方でBQ.1.1等の系統、これも同じ BA.5の系統ですがこれが今ご指摘のように上がってきている、そうしたことがここにきてやや全体の感染を押し上げているのではないかというような見方が示されていたと思いますので、その辺も含めて引き続き注視していく必要があるとは思います。BQ.1.1であったとしても同じBA.5の系統でありますから、ワクチン等の効き目は同じ系統ということだと認識しております。

(了)