加藤大臣会見概要

(令和4年12月13日(火)11:01~11:17 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 先月11月22日に緊急承認され、11月24日から供給を開始いたしましたゾコーバについて、まずはパキロビットの処方実績のある医療機関・薬局等から供給を始めたところですが、昨日(12月12日)時点で約4,800の医療機関・薬局がゾコーバを取り扱う機関として登録し、このうち発注のあった施設に対し約36,000人分をお届けしており、約2,600人に既に投与がなされているところであります。
 今般、企業において必要な準備が整ったことから、12月15日から都道府県が選定した医療機関・薬局において、広くゾコーバを取り扱うことを可能といたします。
 また、これに伴いゾコーバの供給量の増加が見込まれるため、国民の皆様に安定的な供給が行えるよう、昨日塩野義製薬株式会社と100万人分の薬剤の追加購入の契約を行ったところであります。これにより今後感染が拡大した場合でも、ゾコーバを必要とする方に対しより確実に処方することが可能となると考えております。
 本剤は低リスクの患者でも高熱等の強い症状があれば使用可能な薬であります。新たな治療の選択肢である本剤を含む治療薬の普及に向けて、引き続き取り組んでまいります。私からは以上であります。

質疑

記者:
静岡などの保育施設で園児への虐待が相次いで発覚したことを受け、今月7日に全国の自治体に、不適切保育への対応の実態把握について近く全国調査する 方針を通知されましたが、いつ頃の調査をお考えなのか、またどんな質問内容を検 討されているのか教えてください。
 また、取材を進めますと不適切保育が起こる原因として、保育士の国の配置基準、例えば3歳児20人に対し保育士1人などと実態に合っていない配置基準を挙げる声が聞こえてきます。大臣は不適切保育が起こる原因はどこにあると考えるか、また、配置基準の見直しについて検討されるかについて教えてください。  
大臣:
今般の事案を受けて今後の対応に活用するため、保育施設における虐待等の不適切な保育の実態や、通報等があった場合の市町村等における対応や体制について、全国的な実態調査を行う予定であります。現時点では具体的な調査の内容は検討中であり、今後調査項目等を整理し年内には調査を開始できるよう検討していきたいということです。
 また、厚生労働省が令和2年度に実施した「不適切保育に関する対応についての調査研究」というものがございますが、そこでは不適切な保育が生じる背景として、こどもの人権や人格尊重の観点に照らして、こどもへの適切な関わり方について十分に理解がなされてない等の保育士一人一人の認識の問題や、施設における職員体制が十分でないなど、適切でない保育を誘発する状況が生じている等の職場環境の問題が指摘されているところでございます。今般の裾野市の事案については、現在、静岡県・裾野市が特別指導監査を行っており、静岡県・裾野市と情報共有をしながら虐待に至った背景の把握に努めてまいります。
 また、今のご質問の後半部分でありますが、保育士等の配置の改善を図ることは重要な課題であります。残念ながら未実施となっております「0.3兆円超」の質の向上分には、1歳児や4、5歳児に対する保育士の配置改善が含まれております。引き続き安定的な財源の確保とあわせて検討していかなければならないと思います。既にこれに対して取り組むという姿勢を示してから10年近く経っているわけでありますから、そうした認識はしっかり持って取り組んでいきたいと考えております。
 どのような状況であるかに関わらず、こどもの安心・安全が最も配慮されるべき保育所等において今回のような虐待が起こること、これは決して許されるものではありません。実態調査も踏まえて今後の対応について検討を進めていく考えであります。 
記者:
先ほどの質問に関連してお伺いします。静岡県裾野市の案件で、この一連の問題における裾野市の対応についてどのように受け止めておられるのかというのと、もう一点、不適切な保育が全国的にも見られるということで、昨日保護者の団体が厚生労働省に対して「内部告発・保護者窓口の設置」あるいは「自治体など責務の明確化」「調査・事後検証プロセスの透明化」などを要望いたしました。厚労省としてこのような自治体の監査や発生後の調査・検証について、どのような対応が必要とお考えかお聞かせください。 
大臣:
先ほど申し上げましたが、今般の事案については静岡県・裾野市において、当該保育園に対し特別指導監査が行われております。監査結果も踏まえて厳正な対応がなされるものと考えておりますが、今般の事案において裾野市長自体が会見で述べているとおり、市が把握してから県への報告、公表、保護者への説明などが行われるまでに約3か月経過しているなど、市の対応に不十分な点があったと考えております。このため、先日(12月7日)事務連絡を発出し、行政における迅速な事実確認の実施等について改めて周知を行ったところであります。
 また、不適切な保育に関して昨日、「保育園を考える親の会」の皆さん方から厚生労働省に対し、保育関係者への啓発、内部告発や保護者の訴えを受ける窓口の設置、自治体や施設長等の責任の明確化、調査・事後検証プロセスの透明化などのご要望をいただいたところであります。
 先ほど申し上げたように先日の事務連絡で、保育所等における虐待の再発防止の徹底、虐待が疑われる事案が発生した場合の行政への速やかな情報提供・相談等、虐待が疑われる事案の発見者は一人で抱え込まず速やかに各自治体の相談窓口等に相談すること、事案発生時・事件発生後を含む行政における迅速な事実確認の実施や継続的な助言・指導の実施等について周知・徹底するようお示しさせていただいたところでありますので、まずは事務連絡の中身を徹底していただきたいと思います。
 また、あわせて先ほど全国的な実態調査を行うと申し上げましたが、この実態把握も含めて、今回「保育園を考える親の会」の皆さんからご指摘をいただいた要望等について、必要な対応を検討してきたいと考えております。  
記者:
出産育児一時金についてお伺いします。岸田首相が先日の会見で出産育児一時金を来年度50万円に引き上げる方針を表明しました。過去の改定を参考にすれば公的病院や全施設平均を踏まえ47万円や49万円への引き上げが想定されていましたが、50万円に上積みされ、その分だけ医療保険料も増える形となります。50万円への増額はどのような判断でなされたのか、また保険料負担の上積みにどのように理解を求めていくか、大臣のお考えをお聞かせください。 
大臣:
今回の50万円という支給額については、出産費用が年々上昇する中で平均的な標準費用を全て賄えるようにとの観点から、民間医療機関を含めた全施設の平均出産費用を勘案するとともに、近年の伸びを勘案し直近の出産費用も賄える額に設定するという考え方で判断されたものであります。 保険料に与える影響について、これは個々の保険者によって異なることから一概に申し上げることはできませんが、現在関係審議会において出産育児一時金を全世代で支え合う仕組みの導入についても議論を行っているところであります。
 また、出産費用等に関する情報の「見える化」を進めていくことも必要でありますから、そうした点も含めて総理のご発言を踏まえ、年末の取りまとめに向けて具体的な議論を深めていきたいと考えています。
記者:
今の問題にも関わるのですが、全世代型社会保障改革をめぐる議論が大詰めになる中、子育てなどについてはいろいろと議論が先行していますが、介護分野においては「給付と負担」をめぐる議論が前には進んでいないように思われます。その理由をどうお考えになるのかお聞かせいただきたいのと、省内には介護分野については来年に決着を持ち越すのを容認するかのような意見もございますが、大臣はそれでも構わないとお考えでしょうか、見解をお聞かせください。 
大臣:
介護保険制度の持続可能性を確保していくため、高齢者の負担能力に応じた負担、公平性を踏まえた給付内容の在り方は重要で、しっかり議論すべき論点であります。全世代型社会保障構築会議などにおける議論を踏まえ、現在社会保障審議会介護保険部会で議論を行っていただいております。ご指摘の「給付と負担」についても、11月28日の介護保険部会において具体的な論点をお示しさせていただきました。
 前回(12月5日)の介護保険部会においては、地域包括ケアシステムの深化・推進、介護人材の確保、介護現場の生産性向上について「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」をお示しして議論を行っていただきましたが、部会長から「給付と負担を含めて改めて本部会で議論をし、さらに意見を取りまとめていきたい」と発言があったわけでありますので、それを踏まえ次回の介護保険部会では「給付と負担」に関する内容を盛り込んだ「介護保険制度の見直しに関する意見(案)」をお示しし、年内の取りまとめに向けて議論を行っていただくことを予定しているということで、まさに議論の途上にあるということであります。引き続き様々な意見をしっかりとお聞きして、必要なサービスが利用者の皆さんに行き届くよう議論を重ねていきたいと考えております。  
記者:
今のご意見だと、年内に必ずその決着をみるという理解でよろしいのでしょうか。 
大臣:
既に今申し上げたように議論していただくわけでありますから、その結果を踏まえて我々も対応していきたいと考えております。 
記者:
岸田総理が防衛費増額のために増税方針を明確にしています。国債発行や景気回復による税収増を排除した増税路線に対しては、与党や閣内からもいろいろと疑間の声が噴出しています。円安や物価高で企業に賃上げをお願いしているこのタイミングにあって法人税増税などの話が出てくれば、賃上げマインドを冷やすことにもなりかねないという考え方もありますが、大臣は今の岸田政権の増税路線をやむなしとお考えになりますでしょうか。厚労省が所管する病院経営の独立行政法人に貯まっている積立金も当て込まれているようですが、現状の調整内容も含め以上の点についての大臣の見解をお聞かせください。 
大臣:
防衛力強化のための財源でありますから、担当閣僚である財務大臣等にお聞きいただくことが適切ではないかと考えておりますし、また防衛力強化のための税制措置については、現在与党の税制調査会で議論が行われているものと承知しております。独法のことも含めて、従前から申し上げていることと現状何ら変わるところではございません。 
記者:
新型コロナウイルスワクチンの接種についてお伺いします。臨時接種の期限が来年3月となっていますが、今後の取扱いについて、議論の進め方やスケジュールについて大臣はどのように考えられているかお聞かせください。 
大臣:
新型コロナワクチンの臨時接種は、現時点では令和4年度末までとされております。新型コロナワクチン接種の来年度以降の在り方については、今後の感染状況や感染症法上の位置づけ等にもよるものということは、これまでも申し上げてきたところであります。
 新型コロナの感染症法上の位置づけについては、アドバイザリーボードにおいて検討に必要な病原性や感染力等の評価等に関する議論を具体的に深めていただいているところであります。これらを踏まえて、新型コロナワクチンの今後の接種の在り方についても本日開催される厚生労働省の(厚生科学審議会)予防接種・ワクチン分科会において議論を開始していただくことになっておりますので、今後審議会の議論の結果等を踏まえて対応していきたいと考えております。  
記者:
話題変わりまして、昨日「今年の漢字」が発表されたと思うのですが、加藤大臣にとって今年の漢字、理由も含めて教えていただければと思います。 
大臣:
今年の漢字は確か「戦」だったと承知しております。私自身と言われると浮かんでくるのは、やはりコロナに対する対応を移して変更してきたわけでありますから、移動の「移」、移すということでありますし、あわせて今「人への投資」ということを通じて新たな職場、場合によっては新たな仕事に移っていく中で、生産性の向上を図り賃上げをしていくという、そういった思いに向けて取り組み始めたという意味において、移動の「移」というのを挙げたいと思います。 

(了)