加藤大臣会見概要

(令和4年10月25日(火)9:17~9:33 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭発言はございません。

質疑

記者:
本日午後の衆院本会議で、医療機関に有事の病床確保を義務付ける感染症法改正案が審議入りとなる予定です。改正案では都道府県と医療機関による事前協定に基づき、感染症まん延時に病床確保や発熱外来設置を要請し、地域医療支援病院などが応じない場合には承認取り消しといった罰則を設けています。医療機関や国民に対する国や地方自治体の権限強化に繋がるとの懸念の声がありますが、大臣の見解を伺わせてください。
大臣:
今回の法案では、各医療機関との協議や調整を経て合意した内容に基づく協定によって、感染症発生・まん延時に必要な医療提供体制を確保するということにしています。
 その上で、公立・公的医療機関などについては、地域における医療の確保に関し、通常の民間医療機関とは異なる能力や位置付けを有していることを踏まえて、その機能や地域における役割に鑑みた感染症対応を担っていただくための医療の提供を義務付けることとしています。
 また、医療提供義務や協定の履行を確保するための措置として、医療機関に対し指示・公表等を行えることとしているほか、特定機能病院及び地域医療支援病院については、指示に従わない場合に承認取消しをすることができる、これは罰則とは言えませんが、できることにしています。
 ただし、これを発動するに当たっては、まず正当な理由無く医療の提供義務や協定に則った対応をせず、さらに都道府県知事からの勧告・指示にも応じない極めて例外的な場合ということであります。医療提供義務や協定に則った対応ができない正当な理由があれば、当然対象とはならないということであります。
 こうした仕組みを通じて、今回地域における役割分担を明確にし、感染症発生・まん延時においても迅速かつ適確な感染症対応を可能とするための対応でありますが、同時に今申し上げたご懸念も含めて医療機関等に対しても丁寧な説明、丁寧な対応を行っていきたいと考えています。
記者:
生後6か月から4歳児用の新型コロナウイルスワクチンについて、24日からワクチンが配送され、本日東京都港区で接種が始まりました。改めてワクチン接種の意義と国民への呼び掛けについてお願いします。
大臣:
生後6か月から4歳までの乳幼児への初回接種については、この場合は3回接種していただくことになりますが、有効性・安全性等を踏まえて薬事承認が得られた上で、オミクロン株流行下において、感染者数の増加に伴い乳幼児を含む小児の感染者数や重症者数が増加傾向にあること、またオミクロン株流行下での有効性が確認され安全性にも大きな懸念は認められないこと等の知見から、予防接種法上の特例臨時接種に位置付けたところであります。
 乳幼児用のワクチンに関する有効性・安全性などの情報については、保護者をはじめ、わかりやすくお伝えできるよう、リーフレットやホームページのQ&A等様々な媒体を活用しながら、丁寧な説明を行っていきたいと思っております。
 保護者におかれては、こうした情報を踏まえ、子どもさんに接種をすることをご検討いただきたいと思います。
記者:
昨日総理が、マイナンバーカードを巡り、カードを持たない人に対して新しい制度を創設して対応するという考えを示されました。新しい制度を作るとなりますと、それなりにコストがかかりますから、それであれば今ある保険証を廃止しなければいいだけの話だと思いますが、大臣の見解をお聞かせください。それと、省内ではどのような議論をしてこういった総理の発言になってしまったのか、お聞かせください。
大臣:
これは従前から私自身が申し上げておりますように、保険料を納めた方は当然保険診療を受けることができるということ、これは前提です。その場合の保険診療ですから、通常と同じ3割なら3割、1割なら1割という負担で受けることができるということであります。その上で、何らかの事情で手元にマイナンバーカードがない方が必要な保険診療等を受ける際の手続きについては、関係省庁とも連携しながら、丁寧に検討していくということ、これは従前から申し上げていることですので、総理の発言はそれを踏まえてお話をされたと認識しているところであります。では、具体的にどうするかというところは、まさに今検討を進めようとしているところですから、それを踏まえて確定すれば皆様にまたご説明をしていきたいと思います。
記者:
今までの保険証を廃止しなければいいだけではないのかと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
大臣:
今までの保険証を廃止すると、それに当たってどういう法的な手当をするかということは別途あるとして、前から申し上げているように、基本はこのマイナンバーカードに一体化して、それに基づいたよりよい医療を皆様に提供していただきたいということで、しっかり進めていくし理解を求めていきます。そうした中で、多くの皆様がマイナンバーカードに移っていかれるよう、我々は努力をするわけでありますから、その段階でどうするかということですが、今は皆様に発行していただくことを前提に作っているわけで、当然事態が変わりますから、それに応じた対応を考えていくことが必要だと考えております。
記者:
本日から始まる年金部会について伺います。次期年金制度改革を巡っては、国民年金の保険料納付期間の45年への延長や個人事業所に対する厚生年金の適用業種拡大なども論点ですが、国民にとって負担増と捉えられる面もあるかと思います。どのように理解を求め、議論を進めていくお考えでしょうか。
大臣:
まず、年金制度においては、5年に一度、財政検証を行っています。それに伴い、制度改正を行うことが通例となっていますが、令和6年に次期財政検証が行われることになっていますから、それを念頭に置きながらどういう制度改正を行っていくのか、まだ現時点で具体的な中身が決まっているものはなく、まさにこれからそれを議論するということであります。
 令和2年年金制度改正法の検討規定には、被用者保険の適用拡大に向けた検討を進めること、公的年金制度の所得再分配機能の強化について検討することが盛り込まれているわけですから、当然それを踏まえながら、先ほど申し上げたように何をどのようにするか、関係者とよく相談して検討を進めていきたいと思っております。
 なお、本日開催する年金部会においては、令和6年の財政検証に向けた「年金財政における経済前提に関する専門委員会」の設置について併せてお諮りしたいと考えております。
記者:
雇用調整助成金の不正受給についてお伺いします。石川県の加賀百万石という旅館で雇用調整助成金の不正受給が発覚し、1億円を超える支払い取り消しが報じられましたが、大臣の受け止めはいかがでしょうか。また、今回のケースでは受給の対象となっている従業員個人が不正に気付いたにもかかわらず、労働局に照会した結果情報を開示してもらえないというケースがあったようなのですが、そういった従業員個人にも情報を開示するなどの対策をとるべきでないか、大臣のお考えをお願いいたします。
大臣:
まず、個別事案についてのコメントは差し控えさせていただきますが、不正受給を行う事業主がいること、特に今回はコロナ禍といういわば緊急事態の中でかなり簡素な手続きを行ったわけでありますから、そうした中で不正受給がされたことは大変遺憾でありますし、また不正が強く疑われる事業主への積極的な調査等を行い、不正が見つけられれば厳正な対処を行っていく方針で臨んでいきたいと考えております。
 それから、先ほどの資料開示の話ですが、まさに個別企業の受給の有無については当該会社の事業活動に支障を来たすおそれもあるため、一般的に、申請があるかどうかも含めてお答えすることはできないという対応をさせていただいております。その中で、今お話があったように従業員の方から休業に伴う手当を受けていないというような情報があれば、そうした情報も含めて我々の方で必要な対応をしっかり行っていきたいと考えております。
記者:
雇用調整助成金を巡っては、今回も135億円といったように不正受給が大きく伸びているわけですが、コロナ以外でもこういった経済危機のようなものが起こったとき、どのように不正を防ぐ体制を作ってくべきか、大臣は今どうお考えでしょうか。
大臣:
一つは、やはりそういう事態においては迅速な支給が求められますので、どうしても簡素にならざるを得ないということで、事後的なチェックをしっかり行っていく必要があると思います。それから、不正のチェックというだけでなく、迅速に支給をしていくという意味においても、日頃から様々な情報が集約されていく仕組み、いわゆるデジタル化、あるいはデータを整理していく、こうしたことも並行して進めることによって不正受給だけでなく迅速な支給も図られるのではないかと思います。雇調金限定ではなくて、こうした支援をするためのお金の支給においてはそうした面もあるのだと思いますので、まさにDXをしっかり進めていかなければいけないと思います。
記者:
「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」やその関連団体「世界平和連合」「平和大使協議会」などから、過去の国政選挙で、推薦確認書やそれに類する文書を提示されたことはありますか。ある場合は、年月、文書に書かれていた内容、署名対応の有無について教えてください。
大臣:
私の事務所で確認した限りはそうした事実はございません。
記者:
感染症法の改正案についてですが、医療提供が義務化される公立・公的医療機関、特定機能病院、地域医療支援病院は、いずれもコロナ禍において、すでに病床の主力を担っています。逆に言えば、これらの病院が義務化されても、次のパンデミックまでに、国内の確保病床数を劇的に増やすことは期待できないのではないでしょうか。ご見解を伺います。
 また、医療機関は、診療所まで含めればほとんどを民間が占めており、法改正後も義務化の対象外です。実際に今コロナ禍において、発熱外来を増やすことが課題となっていますが、今なお全医療機関の半分も協力していません。次のパンデミックまでに、協定締結の担保措置だけで民間の協力を得られるのでしょうか。ご見解を伺います。
大臣:
まず、前半部分ですが、いずれにしても人材を含めて医療資源は限られております。それをどう有効に、それからその状況に応じて、うまく活用していくのか、これが非常に大事だと思います。そういった意味において今回の改正では、都道府県知事が平時に各医療機関と協議を行い、感染症発生・まん延時における役割・対応に関する協定を締結することで、流行初期から段々感染が拡大していくという経緯を辿った場合においては、それぞれのステージおいて的確な対応が可能となることを期待しているところであります。
 民間医療機関については、感染症発生・まん延時における地域の医療提供体制を確保するという観点で、それぞれの機能や地域における役割を踏まえ、できる限りの協力をお願いしていく。そのため、今回都道府県知事と医療機関の協定締結というプロセスを入れているわけでありまして、またそのプロセスにおいて民間医療機関を含めた全ての医療機関に対し、予防計画や医療計画の達成のために必要な協力をする努力義務、協定の協議に応じる義務、更には協議がうまく機能しない場合には、都道府県医療審議会の意見を聞く、そしてそれを尊重する義務を課すこととしている。こうした仕組みによって、最初に申し上げた限られた医療資源ではありますが、それを有効に活用していく、そのための体制をさらにこの法律に基づいて、各都道府県知事と医療機関の間で地域の実情を踏まえながら作り上げていただきたいと思います。
記者:
山際経済再生相が昨日、辞任されました。コロナ対策であったり、全世代型社会保障構築会議など、厚生労働省とも政策の面で連携する機会が多い大臣でありますが、大臣の受け止めをお聞かせください。また、コロナなど政策面への影響についてどうお考えになるかについてもお願いします。
大臣:
まず山際大臣が辞任をされたというところであります。そうした中で今後の対応について、今ご質問ありましたように、新型コロナ対応を含めて様々な課題がありますので、それについて引き続き辞任の影響がないように、私どもでできる努力をしていきたいと思っております。

(了)