加藤大臣会見概要

(令和4年10月21日(金)9:28~9:39 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 冒頭二点申し上げます。本日の閣議で、令和4年版過労死等防止対策白書が決定されました。本白書は、過労死等防止対策推進法に基づき、毎年、国会に報告しております。今回で7回目であります。今回の白書では、過労死等の現状のほか、労働時間と睡眠時間の関係、新型コロナウイルス感染症やテレワークの影響に関する調査・分析等について報告しております。政府としては、引き続き、過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会を実現するという使命感をもって、過労死等の防止のための対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

 二点目でありますが、昨日(10月20日)の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、新型コロナワクチンの接種間隔について、「5か月以上」から「3か月以上」とすることが了承されました。これは、3か月以上の接種間隔での臨床データに加え、既に2~3か月以上の接種間隔で接種を行っている欧米でのこれまでの使用実績において、安全性に関する特段の懸念が報告されていない、といった薬事・食品衛生審議会(10月19日)での議論の結果を踏まえたものであります。これにより、9月までに従来型ワクチンによる接種を受けた高齢者をはじめとする方々も、年内にオミクロン株対応ワクチンの接種を受けていただけます。
 分科会の検討においては、オミクロン株対応ワクチンは、オミクロン株の種類BA.1対応とBA.4/5対応にかかわらず、オミクロン株成分を含むことで、従来型ワクチンを上回る重症化予防効果や、短期間である可能性はあるものの、発症予防効果・感染予防効果があること、ウイルスが今後変異する可能性がある中で、今後の変異株に対してもより効果が高いことが期待されるとされております。
 昨日のADBでもありましたが、ここにきて新型コロナウイルス感染者数が増加に転じています。また、この秋・冬については、本年10月から来年3月の半年間にコロナの流行拡大と季節性インフルエンザの流行が発生する可能性は極めて高いとの指摘が専門家からも示されたところであります。こうしたことを踏まえると、オミクロン株対応ワクチンの接種による効果が期待されていることから、重症化リスクの高い高齢者の方などはもとより、若い方にも是非、年内の接種を検討いただきたいと思います。
 厚生労働省としても、希望する全ての対象者が年内にワクチン接種を受けられるよう、自治体と連携し、10月から11月にかけて1日100万回を超えるペースの接種体制を整備するとともに、ワクチン接種に関する周知広報に取り組んでいきたいと考えております。
 現状 BA.4/5対応のワクチンの接種が開始されたところでありますが、VRSベースですから若干この後報告が乗ってくることもあろうかと思いますが、一日の接種回数は概ね20万回前後から30万回という状況であります。
 今回3か月の間隔で接種できるということになったことも踏まえて、私自身も様々な団体等を通じて、より接種に対する検討をいただきたいということを強く働きかけていきたいと考えております。私の方からは以上であります。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年10月21日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
長崎の被爆体験者が9月22日に厚労省に救済を求める要望書を提出しております。長崎の被爆体験者を巡っては、長崎県と長崎市から国が認める被爆地域外でも黒い雨が降ったとする有識者報告書を提出して救済を求めています。どのように対応されるのか、今後のスケジュール感も含めて教えてください。
大臣:
長崎については、過去の最高裁等の判決で、被爆地域として指定されていない地域においては、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えず、原爆投下後間もなく雨が降ったとする客観的な記録はないとされているところであります。このため、被爆者健康手帳の交付には難しい課題があるものと考えており、過去の裁判例との整合性や、「黒い雨」が降った地域の存在を示す客観的な資料の有無等を整理する必要があります。
 要望ということもございますが、ご指摘の長崎県が7月5日にまとめられた報告書については、現在、厚労省において、その内容を精査、分析させていただいております。検討の結果については、早期に長崎県・長崎市へ回答できるよう善処していきたいと考えております。
記者:
「出産準備金」として、妊娠した女性に対しクーポンを配付する事業の検討状況についてお伺いします。岸田首相は国会で現金給付を認める方針を示しました。自治体によって、例えばペイペイなどデジタルマネーでの支給を希望した場合も認めるお考えはあるのかお聞かせください。
大臣:
経済対策に盛り込む現在検討中の子育て世帯への経済的支援については、19日の参議院予算委員会において総理から、自治体の判断で現金給付もオプションとして排除されないと考えているとの答弁があったところであります。今後、実施方法も含め、具体的内容を詰めてまいりますが、今回の経済的支援も伴走型の相談支援と組み合わせた形で、子育て当事者のニーズに即した効果的な支援を図っていきたいということでありますから、そうなるよう工夫し、早期に支援を対象者に届けられるようその内容について考えていきたいと思っております。大事なことは組み合わせて効果が上げられる仕組みということであります。
 なお、今日の一部新聞で、モデル事業というような書き方がありましたが、そこは、私どもはモデル事業として考えているわけではございません。全国で実施していただけるようにしっかり予算を確保して進めていきたいと考えております。
記者:
衆参の予算委員会の国会論戦においては、先ほどありましたように、子ども子育て政策についても活発な議論があったと思っています。その点、岸田政権の子育て政策について改めて伺いますが、これまで安倍政権や菅政権がとってきた子育て支援政策と、岸田政権は何が違うのか。これまで何が足りなかったのか。それから、子育て支援については、大臣としては今後どのようにご自身のカラーを打ち出していきたいのか見解をお聞かせください。
大臣:
まず現状の認識ですが、一方で少子化が進んでいるということ、他方でこどもを巡る課題はより一層複雑化し深刻化している。その少子化を巡る背景としては、若者の経済的不安定さ、長時間労働、子育てにかかる経済的負担、また結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因、これが絡み合っているということで、それぞれ要因に対応した政策が必要であります。
 また、こどもを巡る環境を見たときには、児童相談所の虐待相談対応件数が過去最高を更新する等、先ほど申し上げた厳しい状況が続いています。
 こうしたことに対して、これまで少子化社会対策大綱に基づいて、保育の受け皿整備、幼児教育の無償化、男性の育児休業取得促進、不妊治療の保険適用といった取組、さらには児童相談所の体制の強化等々、こどもを安心して産み育て、また、こどもを守っていくことができる環境の確保をしっかりと進めてきたと思っています。
 この流れは、岸田政権においてもしっかりと継承する中で、しかし、まだ十分でないところ、また新たな課題、これに一つ一つ対処していく必要があると思います。
 そういった認識の中で、その一つは、こどもの視点に立って政策を進めていくという観点から、新たな司令塔として来年4月に「こども家庭庁」が設置されます。
 また、こども基本法が作られたところでありますから、これに則って政策を推進していきたいと思っておりますし、また全世代型社会保障会議においては、親の働き方に関わらない子どもの年齢に応じた切れ目のない支援の強化のあり方などについて、年末に向けて議論を加速することとなっております。
 また当面の対応としては、先ほどご質問もありました「出産準備金」についての対応、さらには出産育児一時金の増額等に対して具体的な対策を講じていきたいと考えております。
記者:
新型コロナウイルスの新規感染者数についてお伺いします。昨日のADBや本日の冒頭のご発言でも、大臣は感染者数が増加に転じているとのお話をされましたが、現状の感染状況について、「第8波」に入ったとのご認識でしょうか。改めて感染状況に対するご認識をお聞かせください。
大臣:
直近の感染状況については、全国の感染者数は昨日(20日) 36,110人、1週間の移動平均では34,083人、1週間の移動平均の今週先週比は1.21となっているわけであります。
 昨日開催したアドバイザリーボードでは、新規感染者数について、全国では増加に転じており、ほぼすべての地域で今週先週比が1を上回っているが、今後の増加速度及び増加が継続するかについては注視していく必要があるとの認識が示されているところであります。
 今後、社会経済活動の活発化による接触機会の増加等が感染状況に与える影響などにも注意していく必要があると評価もされているところでありますので、厚労省としては、引き続き感染状況を注視していくとともに、冒頭の発言で申し上げたように、まずはやはり一つの感染対策であるワクチンの接種に対してしっかりと呼びかけをしていきたいと考えています。

(了)