加藤大臣会見概要

(令和4年10月14日(金)10:47~11:12 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭三件申し上げます。本日、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案が閣議決定されました。この法案はグループホームや地域の相談支援などを障害者等の地域生活の支援体制の充実、就労選択支援の創設や、特に短い労働時間の精神障害者の雇用率算定など、多様な就労ニーズへの支援、入院者訪問支援事業の創設など、精神障害者の支援体制の整備、難病患者および小児慢性特定疾病児童等に対する支援の充実等の措置を講ずるものであります。本国会において速やかにご審議をいただくようお願いしていきたいと思っております。

 二点目でありますが、本日の閣議で自殺総合対策大綱および自殺対策白書を閣議決定いたしました。自殺総合対策大綱は、政府が推進すべき自殺対策の指針であります。これまでの大綱は平成29年に策定されたものであり、概ね5年を目途に見直すこととされており、今回その見直しを行ったものです。新たな大綱では近年の自殺の動向も踏まえ、来年4月に設立される「こども家庭庁」との連携も視野に入れた「子ども・若者の自殺対策の更なる強化」や、コロナ禍で顕在化した課題も踏まえて「女性に対する支援の強化」などを重点施策として、取組を総合的に推進することとしております。
 また、自殺対策白書は、自殺対策基本法に基づき毎年策定されている法定白書となります。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、女性や小中高生の自殺者数が増加しております。今年の白書では、昨年の自殺の概況に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大下の自殺状況などについて調査・分析を行っております。引き続き、関係省庁と連携しながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、取組を進めてまいります。

 三点目でありますが、10月11日(火)に河野デジタル大臣と岡田規制改革担当大臣と私で、いわゆる2プラス1大臣会合を開催いたしました。その際、労働安全衛生法令に基づく作業主任者の常駐規制の見直し、ハローワークにおける失業認定のオンライン化について議論し、合意したところであります。
 まず労働安全衛生法令に基づく作業主任者の常駐規制の見直しについては、作業主任者は、自ら作業しながら他の作業者の監視・指示を行っているものであるため、作業場所から離れた場所でこれを行うことは、現時点で想定はできませんが、信頼性の高い技術により作業そのものを遠隔で行えるような状況が実現するのであれば、作業主任者の現場配置も不要となることを検討していくことでは合意をいたしました。その詳細については引き続き検討を進めることとしております。
 また、ハローワークにおける失業認定については、雇用保険の受給に関する手続きの際、全員一律に4週間に一度ハローワークへの出頭を求める取扱いを見直すことといたします。まずは、離島に在住するなどハローワークに出向くことが大きな負担となっている方に対して、遅くとも来年4月からオンラインを活用した取組を実施し、検証を行うこととしております。その上で、検証結果も踏まえつつ、また諸外国の実態も参考にできるだけ速やかに結論を得たいと考えております。岸田内閣が進める規制改革、デジタル改革を、厚労省としても関係大臣と連携をとりながら、しっかりと進めてまいります。以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年10月14日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
雇用調整助成金の特例措置が11月末で期限を迎えます。これまでも雇用情勢を見つつ段階的に縮小されていますが、12月以降はどのように縮小を進めていかれるのかお考えをお聞かせ下さい。一部では、来年2月に特例を廃止する方向で調整が進んでいると報じられています。廃止の時期や考え方についても併せてお願いします。
大臣:
まずは雇用調整助成金の特例措置等の12月以降の取扱いについては、「経済財政運営と改革の基本方針2022」を踏まえ、雇用情勢を見極めながら、具体的な助成内容を検討しているところでありまして、最終的には労働政策審議会の議論を経て、今月末までには確定し公表したいと考えております。
 先日、9月30日に総合経済対策の策定に向けて総理大臣から、新しい資本主義の加速に関連して「構造的な賃上げに向けて、人への投資の抜本的強化と成長分野への労働移動を同時に強力に推進します」という方針も出されているわけでありますので、そうした点も踏まえ、他方で業況が厳しい企業等にも十分配慮しながら検討していきたいと考えています。
記者:
二つのテーマについてお伺いしたいのですが、まず一点目、靖国神社の関係で秋季例大祭が執り行われる17日から19日、またその前後に靖国神社を参拝する予定はありますか。予定がある場合はいつでしょうか。既に参拝を済ませた場合も含めてご対応を教えてください。
大臣:
まず、私人としての対応ということになりますが、これまでもいろいろな立場の中で、会見でご質問いただきましたが、それぞれについて適宜判断するということで対応させていただいているところでございます。
記者:
続けて介護関係で二点お尋ねします。先日、福島の特別養護老人ホームを視察に行かれていましたが、視察の成果を教えてください。それと先日、東京商工リサーチが全国の介護サービス事業者の倒産が1月から9月に前年同期と比べほぼ倍増の100件となったと発表しました。過去最多だった2020年1年間の118件を上回るペースとなっております。新型コロナウイルスや光熱費の値上がりなどが影響しているとみられますが、今後、新たな対策をとるお考えがあるかどうかお聞かせください。
大臣:
まず震災から11年経過したところでありますが、引き続き復興にはしっかりと取り組んでいきたい。特に、いろいろフェーズが変わってきていますので、それぞれのフェーズに応じた対応が必要だという意味で、今現状どうなっているのか、その一端を直接見させていただきたいということで、先日12日に福島県の富岡町にある特別養護老人ホームと地域交流施設の複合施設である「共生サポートセンターさくらの郷」を訪問いたしました。これは今年の4月に開所したばかりであります。
 また富岡町は、住民登録では1万2千人の方が登録されていますが、現在お住まいの方は2千人を超える水準ということであります。従って特別養護老人ホームも定員に対してまだ半分まで満たしておりませんが、そうした皆さんの生活ぶりにも直接接することができ、そこで入所されている方も安心してお暮らしをされていると感じたところであります。
 もう一つ、メディカルフィットネスというようなものを設置されております。あるいはそこで地域の皆さんが集まるワークショップも開催されているということでございますが、フィットネスにも延べ1,000人ぐらいの方が来られているということで、交流の場であり地域の皆さんの健康を維持する、そうした機能も果たしておられると思いました。
 また、特別養護老人ホームの施設をいろいろ見させていただきましたが、やはり前回(東日本大震災)の経験を踏まえて、入所される方をどう避難させるのか、そのために廊下の幅を確保したり、外で一時的に集合できる場所を確保するなど様々な工夫をされているということを感じたところであります。引き続き被災地の復興に向けて、それぞれの出てきたニーズを的確に把握しながら、対応していきたいと思っております。
 それから株式会社東京商工リサーチが2022年1月から9月における「老人福祉・介護事業」の倒産件数が急増し、過去最多を記録したとの調査結果を公表したと承知しております。
 ここ4年ほどの1月~9月を見ると、2019年は85件、2020年が94件、2021年が51件、2022年が100件とされております。そうした流れの中の現状だと思います。ただ、トレンド的にもやや増加しているということもあります。特にこの新型コロナ感染症等によって様々な影響が高齢者施設の運営にも生じているところでありますので、これまでも緊急時の介護人材確保や消毒等にかかるかかり増し経費への補助を行うほか、施設内療養者1名当たり最大15万円から30万円の追加補助の全国拡大について本年12月末まで延長したところであります。
 さらに、「地方創生臨時交付金」について、物価高騰の影響を受けている高齢者施設への支援ということを明確にメニューの中に打ち出しをさせていただいて、その活用を図るべく、自治体にもお願いをしているところであります。事業者の負担軽減を含めて取組を進めていきたいと思っておりまして、引き続き、高齢者の皆さんの生活や暮らしを維持する、そして様々なサービスがきちんと提供されていけるように、それぞれの事業体の経営も含めてしっかり見ていきたいと考えています。
記者:
政府が先日閣議決定した旅館業法の改正案について伺います。事業者が宿泊を拒否できる対象が広がることに対して、障害者団体や法曹界からは恣意的な運用や感染者や障害者への差別につながると懸念する声があがっています。こういった懸念にどのように対応されるか考えをお聞かせください。
大臣:
今回の旅館業法の改正案については、今回のコロナ禍における様々な課題、特に感染防止対策で宿泊者の皆さんに協力を求めていこうとしてもなかなか難しいという話もあり、旅館・ホテルにおける感染症のまん延を防止するという観点から改正を図ることとしているところでありますが、同時に旅館の運営等に関しては、様々な差別もこれまで取り上げられてきたことは承知をしております。その辺も踏まえて、今回の改正案では、現在の宿泊拒否事由の「伝染性の疾病」という言葉を「特定感染症」と改正し、対象となる感染症を明確化するということ、また、過去の宿泊拒否事例も踏まえて、旅館・ホテルにおいて従業員への研修を努力義務とすること等も盛り込んで、差別防止をしっかりと徹底していくことを考えております。さらに具体的なご懸念もいろいろな団体から頂戴しているところでございまして、今回の改正が実現した際に、旅館・ホテルの現場で適切に運用されるよう、ガイドラインを策定したいと考えておりますが、そのガイドラインの作成に当たっては、障害者団体等当事者のみなさまからのご意見もお聞きしながら策定を行い、旅館・ホテルにおいて恣意的な差別が行われないように対処していきたいと考えております。
記者:
本日閣議決定された法案についてお伺いするのですが、今回の法案の中に精神科病院の虐待通報の義務化が盛り込まれていると思うのですが、この点について法案に期待されることであったり、あるいはどういった現場の運用を期待するかというところをお願いします。
大臣:
今回、先ほど申し上げた法案にはいくつかの柱がある中で、精神障害者の方々に対する支援ということが盛り込まれています。従事者による虐待を発見した場合には都道府県等に伝える仕組みを整備するということ、また、市町村同意による医療保護入院ということに関してもきちんと定めたわけでありますが、その運用がしっかり行えるよう入院者訪問支援事業も創設するなど、様々な措置を講ずることで精神障害者の方の入院等が的確に行われていけるよう、いろいろな課題も出てきていますから、それに対する対応ということでこうした条文を盛り込んだところであります。
記者:
コロナのBA.5対応ワクチンの接種が13日から始まりました。厚生労働省は、BA.1対応ワクチンとBA.5対応ワクチンのどちらでもよいので、できるだけ早くいずれかを接種するよう求めています。接種の優先度には差をつけないわけですが、それであればなぜ、ワクチンの輸入をBA.1ワクチンからBA.5ワクチンに切り替える必要があったのか、また、切り替えの判断は日本政府によるものか、メーカー側の事情によるものか、教えてください。
大臣:
まずは今主としてワクチンの供給を受けている2社においては、BA.1型とBA.4/5型それぞれ薬事承認も行われておりますし、世界に対して供給をされています。そこをどういう方針で生産して供給していくかは、それぞれの社がお決めになっているわけですが、その中で大事なことは年末までに希望する全ての方に接種していただくため、必要量を早期に確保していかなくてはならない、そういう観点に立って、日本としてあまり具体的なことは申し上げられませんが、そういう方針の中でワクチンの確保に努めてきた結果としてBA.1対応とBA.4/5対応を並行して購入することになったということであります。
記者:
関連して、このBA.1ワクチンとBA.5ワクチンについて、医薬局の説明ですと、抗原性の差は大きくない。ただ、逆にそれは差があることを否定することではない、つまりBA.1ワクチンとBA.5ワクチンは全く同じものではないわけですが、一方で厚労省は自治体に対してBA.1ワクチンかBA.5ワクチンか、接種に際して必ずしも明示する必要はないとお伝えになりました。これは、国民に対する丁寧な説明と言えるのでしょうか。ご見解をお願いします。
大臣:
もちろんBA.1とBA.4/5で別々に薬事承認を受けていますから、それらが別物であるのは事実でありますが、そこにおける差がそれほど大きくない、例えば従前型のワクチンに比べて、その差はそれほど大きくないということと、それから大事なことは、今はまだBA.5(の流行)が中心になっていると思うのですが、ただ次に何が起きてくるかということはわからないわけでありますから、そういうことを考えるとその差に意味があるのかということもあります。それに対しては、今後の変異を考えるといずれにしても従来型の1価よりも2価の方が対応力が拡がっていくのではないかと期待されるわけなので、そういった観点から申し上げています。
 ただ、それぞれの地域で住民の皆さん方がもっと細かく、例えばどっちの社のものなのか、あるいはBA.1なのかBA.4/5なのかお知りになりたいということであれば、それはそれで開示することを妨げているつもりは全くありませんが、私どもとしては先ほど申し上げた必要量として考えたものを確保し、それを早くに使っていただきたいということで、そうしたことを申し上げているということであります。     
記者:
家事使用人、いわゆる家政婦らへの実態調査について伺います。家政婦らについては、労働基準法の適用から除外されており、かねてから過重労働が懸念されていました。本日、厚生労働省が家政婦や家政婦派遣業者への実態調査を行う方針を決めたとする一部報道がありましたが、実態調査の方針を決めた経緯と、調査の目的について教えてください。
大臣:
家事使用人の件についてはここでも何度かやりとりをさせていただきましたが、そうした課題が出てきているということで、実際家事使用人の数については国勢調査で5年ごとの数字は出てきているのですが、その実態自体は長らく私どもで調査をしていないということもあり、その実態をきちんと把握することが必要だという認識の中で、今検討しているところであります。具体的な実施手法とスケジュール等についてはまだ検討中でありますが、準備が整い次第着手したいと考えておりますし、また、実態把握の結果を踏まえて必要であれば判断をしていきたいと考えております。     
記者:
マイナ保険証の件でお尋ねします。マイナ保険証の医療機関での対応が来年4月から原則義務化され、多くの医療機関でマイナ保険証が使えると思います。一方で、マイナ保険証専用のカードリーダーの医療機関にかかる申込み数は全体で80%と、少なくない医療機関でマイナ保険証が使える状況であり、2割ほどの医療機関ではマイナ保険証対応の(カードリーダーの)申込みすらない状況ですが、来年の春から医療機関で義務化されますが、いわゆるマイナ保険証が使えないということで、マイナ保険証と保険証の二枚持つことが続くのでしょうか。また、マイナ保険証対応の例外とされている医療機関では、24年秋からの保険証の廃止に伴って、担当局からは簡易な形でオンライン資格確認の設備が導入されると説明があったのですが、今後医療機関の全面的な義務化というのも検討されているのでしょうか。
大臣:
まず、先ほど仰ったのは、来年の4月はマイナンバーカードではなく、オンライン資格確認の原則義務化ということをお示しさせていただいたところであります。それに向けて、今私の記憶と若干違うところがありますが、全医療機関に対しては8割で、例えば現在紙レセプトをお使いになっているところは対象から外していますから、対象となっている86~87%くらいのところから申込みをしていただいています。
 大事なことは、申込みをしていただいている方に機器がないとできませんので機器をきちんと提供する、そのことについても関係業界の皆様にも協力をお願いさせていただいているところであります。実際、10月2日時点で運用を開始しているのは医療機関数で見れば3割くらいであるのが今の状況であります。その上で、今紙レセプトでやっている方々においても割と高齢のお医者さんが多いと承知しておりますが、そういった皆さんでも使っていただける簡易なものを、事務方が説明したように開発して、それを使っていただけるようにしていきたいと思っております。その間においては、まさに仰るようにオンライン資格確認の仕組みを持っていなければ保険証を出していただかなければならないことが続くところでありますので、現場で2枚持つということもありますが、マイナンバーカードを持つことによって、昨日も申し上げましたがご自身の集められている情報に関しては一元的にご本人が見たり、また医療の提供に当たってそれを踏まえることができるので、1日も早くそういう状況を全ての皆さんが受けていただけるよう、我々も周知・広報等をしていきたいと思います。     
記者:
確認なのですが、2024年の秋に保険証廃止ということですが、全ての医療機関でもマイナ保険証が使えるようになるということでしょうか。
大臣:
そうです。目指して努力をするということで、そうすると、保険証を活用しているのは、今は医療機関と薬局のことを申し上げましたが、実際には柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の皆さん方においても、現在保険証を提示しながら受けるサービスもありますから、ただ、そういった皆さんが医療機関ほど活用することが考えられないので、そういった皆さんにも簡易な仕組みが必要だと、それを逆に言えば、現在紙レセプトでやっている医療機関にも使っていただくことで、全て皆さんが保険証を使っている先においては、マイナンバーカードでオンライン資格確認等ができるようにしていきたいと考えております。

(了)