加藤大臣会見概要

(令和4年10月7日(金)9:39~9:50 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 厚生労働省関係で二つの法案が閣議決定されました。
 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案」、中身としては、国、都道府県、関係機関の連携強化による病床、外来医療などの確保や、保健所、検査等の体制の強化、情報基盤の整備、機動的なワクチン接種の実施、水際対策の実効性の確保などの措置を講ずるものであります。
 二つ目は、「新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律案」であります。内容は、旅館業の営業者が施設内の感染防止対策を適切に行えるようにするための規定の整備、生活衛生関係営業等の事業譲渡に係る手続きの整備などの措置を講ずるものであります。
 いずれの法案も今後、本国会において速やかにご審議をいただくよう、お願いしたいと考えております。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年10月7日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
一点お伺いします。季節性インフルエンザとコロナの同時流行の対策についてです。先日のアドバイザリーボードでも同時期での流行の可能性が「極めて高い」との分析が示されています。発熱外来のひっ迫の恐れもあると思いますが、いつまでにどのような対策を示すのかスケジュール感も含めて教えてください。
大臣:
まず10月5日のアドバイザリーボードで、専門家から、本年10月から来年3月の半年間にコロナの流行拡大と、季節性インフルエンザの流行が発生する可能性は極めて高いこと、他方で、その流行の立ち上がりの時期と持続期間、流行規模、医療負荷の程度については、事前情報が十分でないことから、現時点でそれを定量的に予測することは困難であることが示されたところです。
 引き続き専門家の見通しとリスク評価も踏まえ、高齢者等重症化リスクのある方に適切に医療を提供できるよう、外来等の保健医療提供体制の更なる重点化・迅速化を図るとともに、重症化リスク等に応じた受療行動の変化を促すことも含め、アドバイザリーボードなど専門家の意見を聞きながら、できるだけ早く中身をお示しすべく厚労省を中心に検討を進めていくところであります。
記者:
冒頭ありました感染症法改正案と旅館業法改正案が閣議決定されましたが、両法案の意義について教えていただきたいのと、また、立憲民主党など一部の野党で感染症法改正に関して対案を示すという動きもありますが、こうした動きを含めて本国会、どのように審議に臨みたいかお聞かせください。
大臣:
まず、今回の感染症法改正案は、これまでの新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の今後における発生、あるいはまん延等に備えるということで、先ほど申し上げたような措置を講じようとしているところであります。
 それから旅館業法については、新型コロナウイルス感染症等の影響による情勢の変化に対応して生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るということで、先ほど申し上げたように感染症対策そのものと事業譲渡に係る手続きといったことを講じることとしております。
 いずれの法案も、今後国会で速やかなご審議をいただいて、できるだけ速やかな可決をしていただけるよう、努力していきたいと考えております。
記者:
同じく、感染症法改正に関して伺います。もともと昨年の改正で医療機関に対し、病床確保や人員派遣について協力を要請し、正当な理由なく応じなければ勧告や医療機関名を公表することができるようになりました。まず事実関係をお尋ねしますが、新型コロナウイルスに関する自治体などの協力要請に対し、正当な理由なく従わない医療機関に勧告したり医療機関名を公表したりした事例はあったのでしょうか。その点を含め、法改正後に到来した第5波などでは病床ひっ迫が起こったほか、一部の自治体からは正当な理由が認められる範囲が広く「お願いベースでしかない」との声が上がりましたが、この規定による効果が十分だったのかどうか、大臣の評価をお聞かせください。
 合わせて、本日閣議決定された改正案についても、協定を守らない場合の勧告や指示、病院名の公表が盛り込まれています。こうした措置で実効性が担保されるのか、大臣の見解を教えてください。
大臣:
まず、改正法施行以降、厚労省が把握している限りでは、同規定に基づく医療機関に対する要請は、8自治体で、のべ11回行われたと承知していますが、勧告・公表が行われた事例はないものと承知しております。仕組み的に勧告・公表ができることになっていますが、これは患者の皆さんの生命・健康を守り、病床確保に取り組む方策の一つということであります。勧告がないことをもって、それ(規定の効果)がどうかということはただちに言えないと思いますが、ただこの辺、要請が具体的にどうなっていたのかどうか、これはまだ若干第7波が続いていますが、タイミングをみて状況は把握していきたいと考えております。
 それから今回の措置は、もう中身は申し上げませんが、あらかじめ地域における役割分担を明確化して感染症対応の実効性を高めるとともに、都道府県知事が指示を行えるようにすることで、実際の感染症発生、あるいはまん延において、より確実な履行を確保しようという趣旨でありますので、しっかり説明して、法案の一日でも早い成立を図っていきたいと思っております。
記者:
9月29日に家政婦の過労死認定訴訟の東京地裁判決がありました。これは休憩を除き19時間労働し、そのうち会社に雇用されて働いていた時間は4時間30分だけで過重労働とは言えなかったということで国の労災不支給決定を是認したということなのですが、この判決をどう受け止めていらっしゃるかということ。それから、この判決に対してその後雇用主が家庭か外部の会社かの違いはあるにせよ、雇用関係下で働いていたわけで、その人が過労死認定されないのはおかしいということで、法改正など何らかの対応が必要なのではないかという声も強まっているのですが、そうした政策的な対応についてお聞かせください。
大臣:
まず、ご指摘の訴訟については、国側の主張が受け容れられた結果となったところであります。
 前回もご質問があったので繰り返しになりますが、労働基準法の適用がない「家事使用人」とは、例えば、個人の家庭において、その家族の指揮命令のもとに家事一般に従事している者をいいますが、こうした者が通常の労働関係と異なった特徴を有することから、国家による監督・規制といった法の介入が不適当であることで今の制度となっていますので、今お話のあった廃止等については、そうした考え方の経緯、あるいは実態を踏まえて慎重な検討が必要であると考えています。
記者:
柔道整復師の国家試験問題が漏洩していた問題で、漏らしていたのは厚労省指定の試験機関である柔道整復研修試験財団の理事と試験を作る試験委員が専門学校に漏らしていたということですが、今後指定について例えば取り消しとか、処分の検討はございますか。
大臣:
まず、こうした事態が生じたことは極めて遺憾であると思っています。その上で、まず我々は実態を十分把握していませんから、実態を把握した上で必要に応じて措置をとっていかなければならないと考えています。
記者:
関連して、来年3月の国家試験も問題の作成とか選定作業を既に行われていると思います。容疑者の試験委員が、今年度も試験委員を担当しているのですが、試験の作成とか実施のスケジュールに与える影響などはございますか。
大臣:
今、具体的にどのような影響があるのかということは申し上げませんが、ただ、今そうした事案があったということにおいて、3月の試験が公正に行われていくことを担保していく必要があると思っています。その辺、どういう対応をしていくのか、しっかり検討が行われると承知しております。
記者:
今の関連で、この件について大臣の今回の受け止めと、対策は現時点でどのように考えられていますか。
大臣:
先ほど申し上げたように本来公正に行われなくてはいけない試験が、こういう形でゆがめられてしまったということであれば極めて遺憾なことであります。どこに疑いがあったのか、そして問題があれば、それを是正して公平・公正な試験が確保できるようにしていただきたいと思います。
記者:
今後、合格者の取り消しということもあり得るのでしょうか。
大臣:
それは、事案の中で例えば、本件とは関係ありませんが、不正をした方とその方が繋がっていたとかいうことが出てくれば、そういったことがあるのかもしれませんが、こういった事案があったからすぐに合格者の取り消しということには、私はならないと思います。

(了)