加藤大臣会見概要

(令和4年9月30日(金)13:42~14:02 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
 冒頭6件申し上げます。
 まず、雇用統計ですが、令和4年8月の有効求人倍率は1.32倍と、前月より0.03 ポイント上昇し、8か月連続の上昇となり、都道府県の有効求人倍率は、前月に引き続き、全ての都道府県で1 倍を上回りました。また、完全失業率は2.5%と、前月より0.1 ポイント低下しました。 
 求人・求職の動向、また労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求職者が引き続き高水準にあるなど、一部に厳しさがみられるものの、緩やかに持ち直しています。新型コロナウイルス感染症や物価上昇が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。

 2点目、今年で76回目を迎える赤い羽根共同募金運動でありますが、明日10月1日から全国でスタートいたしますので、今日の閣議において、各大臣に共同募金へのご協力をお願いしました。
 この運動は、時代の福祉ニーズに応じて我が国の地域福祉活動の推進に大きく貢献しており、近年は、災害時のボランティア活動の支援にも大きな役割を果たしております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響により生じている課題も含め、多様化かつ複雑化した地域課題に対応するための支援に取り組んでいます。
 今年も、国民の皆様のより一層のご支援とご協力をお願いいたします。

 3点目、オミクロン株対応ワクチンの職域接種についてであります。9月21日より申込みの受付を開始したところですが、昨日29日15時時点で443会場から申込みをいただいております。
 申込み会場数・接種回数については、厚生労働省において、逐次公表することとしております。
 これまで10月下旬から職域接種を開始する旨、お知らせしてまいりましたが、具体的に、10月24日の週から開始することといたします。
 なお、すでに準備が整っている一部の接種会場については、10月17日の週から実施される予定であります。
 過去に職域接種を実施した経験のある一部の会場に対して行った事前の意向調査では、約半数の会場から実施の意向をいただいたところですが、更により多くの企業や大学等の皆様に、是非、実施をご検討いただきたいと考えています。
 ワクチンの供給量は十分に確保しているところであり、本年中に接種を希望する全ての接種対象者がオミクロン株対応ワクチンを受けられるよう、引き続き自治体や企業等と連携して取り組んでまいります。

 4点目であります。本日、妊婦がその身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにして出産する、いわゆる「内密出産」に関するガイドラインを法務省との連名通知として発出します。
 本ガイドラインは、いわゆる「内密出産」を医療機関が受け入れる場合に、関係各機関に求められる対応などをお示しするものであり、具体的には、産まれた子どもの保護の手順や診療録の扱い、出自情報の管理方法などを整理したものです。
 厚生労働省としては、引き続き相談窓口の整備や包括的な支援の推進など、予期せぬ妊娠をした妊産婦の方などへの支援の充実に努めてまいります。

 5点目でありますが、電子処方箋について、来年1月の運用開始に向けて、来月末から山形県酒田市を始めとした4地域でモデル事業を開始し、システムや運用面の最終検証を行うとともに、先進的な取組や課題をとりまとめ、全国の医療機関や薬局での円滑な導入に繋げてまいります。
 電子処方箋について、それに先立ち、10月2日に対象地域を中継し「電子処方箋モデル事業フォーラム」を開催します。私からも、医療DXの大きな柱である電子処方箋の推進をお願いする予定です。 電子処方箋は、単に「紙の処方箋を電子化する」というものではなく、処方歴をリアルタイムで確認できるようになる、また、医療機関や薬局同士で、薬剤情報を簡単かつ即時に共有できるようになる、さらには、重複投薬の自動チェック等も可能になるなど、医療の在り方自体を抜本的に改革する、極めて意義深い取組であります。
 全国の医療機関・薬局の皆様におかれましては、電子処方箋のメリットをご理解いただき、早期導入を改めてお願いします。
 
 最後でありますが、台風15号により、静岡県で断水が依然として続いています。改めて、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に、心からお見舞いを申し上げます。
 本日8時現在で、水道については、約11,000戸が断水中であり、応急給水で対応中であります。静岡市で発生している断水については、取水口の流木撤去作業が終了し、これにかかる断水は、本日中を目途に解消される見込みです。また、水管橋の落橋による断水については、10月5日までに復旧する見込みとの報告を受けております。
 厚生労働省では、9月27日に本田大臣政務官が、内閣府星野副大臣等とともに現地を訪れ、被災した水道施設をはじめとした被害状況を改めて確認し、私もその報告を受けたところであります。
 引き続き、関係省庁や関係団体とも連携し、応急給水の体制整備や、水道施設等の被害の早期復旧を支援してまいります。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年9月30日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
冒頭発言に関して、1点お伺いします。内密出産のガイドラインについて、改めてその意義をお聞かせください。
大臣:
先ほど申し上げたところでありますが、内密出産はすでにそうした事例もある中で、具体的に、内密出産を医療機関が受け入れる場合に、どういう対応が求められるのか、法務省と私どもの関係部局で連携しながら内容を整理させていただいて、産まれたこどもの保護の手順、診療録の扱い、出自情報の管理方法などを改めて整理し、お示ししたものであります。
記者:
塩野義製薬が、開発中の新型コロナ治療薬「ゾコーバ」について、最終治験で5症状に対する「良好な結果が得られた」と発表しました。現在薬事承認に向けては継続審議となっていますが、改めて「Withコロナへの新たな段階」への移行の中で、国産治療薬への期待や、実現に向けた前向きな動きへのご所感をお聞かせください。
大臣:
まず、9月28日に、塩野義製薬から、新型コロナ治療薬ゾコーバ錠の第3相試験の結果、症状快復に関する主要評価項目を達成した旨が発表されたことは承知しています。
 国産の治療薬や、ハイリスク患者以外の軽症者にも投与できる治療薬に対する期待は大変高いものがあります。そうしたことも踏まえて、これから当該企業から詳細なデータ提出が行われるわけでありますが、PMDA(医薬品医療機器総合機構)において速やかに審査を進めていきたいと考えています。
記者:
エーザイがアメリカのバイオジェンと共同開発したアルツハイマー病の新たな治療薬「レカネマブ」について、最終治験で症状の悪化を抑える効果が確認できたと発表しました。承認に向けての動きはまだこれからですが、改めて高齢化が進む中での、アルツハイマー治療薬への期待などありましたらお聞かせください。
大臣:
エーザイが、9月28日に、アルツハイマー病の薬「レカネマブ」について、早期のアルツハイマー病を対象とした国際共同の第3相治験において、臨床症状スコアの低下を有意に抑制したという結果を発表したことは承知しております。
 今後、当該治験結果を含めて正式に承認申請がなされれば、PMDAにおいて、適切に審査を行っていきたいと考えております。
 認知症については令和元年6月に策定された認知症施策推進大綱に基づいて、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指し、認知症の人や家族の視点も重視しながら、共生と予防を車の両輪として施策を推進していくことが示されているところであります。
 今回、アルツハイマー病に関する疾患修飾薬、すなわち疾患の根本・原因に介入し、その進行を止めたり遅らせたりする治療薬でありますが、この疾患修飾薬が我が国で実用化されれば、今申し上げた認知症施策推進大綱が掲げる、共生と予防の推進にも資するものと考えております。
記者:
内密出産のガイドラインについてお伺いします。今回、作成に当たって、熊本市の慈恵病院の方と、何回程度意見交換など議論をされたのかということと、検討の中で、慈恵病院と国で意見が異なった点があれば教えてください。
大臣:
細かいやり取りまで私のところまで上がってきておりませんかが、ただ、それぞれ色々と話を聞きながら、答えを出したものと承知をしております。必要があれば、また事務方から説明させます。
記者:
全世代型社会保障構築会議を受け、昨日の社会保障審議会の部会で医療保険見直しの議論が始まりました。後期高齢者医療制度では現役世代の負担を抑えるための支援金の在り方や、出産育児一時金の財源を75歳以上も負担することなどが論点で、一部の高収入の高齢者だけでなく、幅広い収入層の保険料引き上げにつながる可能性があると思います。一方で足下では物価が上昇しており、部会では暮らしへの影響を懸念する意見も出ました。今後、どのように理解を求めていくお考えでしようか。
大臣:
まず、高齢者人口が2040年をピークに増え続けていく、特に、今後3年間で、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となるということであります。現役世代の負担する高齢者医療制度への支援金の増加が見込まれています。そうした状況に対して、負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組み、これを作り上げていくことが大事だということであります。
 9月28日に開催された全世代型社会保障構築会議において、医療・介護制度の改革の検討事項が提示され、医療保険では、子育て世代の支援のための出産育児一時金の大幅な増額と、その際、医療保険全体の中で支え合っていくこと、また、高齢者の保険料賦課限度額、高齢者医療制度への支援金のあり方、また、被用者保険者間の格差是正の方策などについて検討するとされたところであります。具体的な検討は厚生労働省の関係の審議会において行って、それを全世代型社会保障構築会議に報告するとされております。
 その一環として、昨日、社会保障審議会医療保険部会で議論がスタートしたところでありますので、年末の全世代型社会保障構築会議の取りまとめを念頭に、医療保険部会等において、しっかりと議論していきたいと考えています。
記者:
内密出産のガイドラインについて、改めてお伺いします。先行して取り組む病院や自治体からは、母親の身元情報の管理や保管などについては、公的機関を設けて対応すべきという要請もあったと思うのですが、国として法整備について、どのように考えているのかということをお伺いします。もう1つが、ガイドラインは、こうした出産を推奨するものではないと書かれていると思うのですが、それにも関わらず、国として指針を作った理由を改めて教えてください。
大臣:
まず、ルールを作るべき、あるいは法制度ということの議論があることは承知をしておりました。
 例えば、出自情報の開示をする年齢、あるいはその開示範囲、さらには出自情報の管理方法などについて、統一したルールを作るべきではないか、というご意見があること。また一方で、今のご質問にかかるところでありますが、母への福祉的な支援等が出産後すぐに途切れてしまう内密出産のようなあり方を推進すべきなのか、あるいは内密出産を希望する妊婦に対する説得・相談への対応をどう行うべきか、かなり幅広い論点があり、またそれに関して様々な意見がありますので、現時点でそこに結論を出しうる状況にはない中で、さはさりながら、1つのガイドラインを作る必要があるということで、法務省と厚労省で先ほどご説明したガイドラインを作成させていただいたということであります。
 また、同時に厚労省では、妊娠に悩む女性が安心して相談できる窓口の整備や、あるいは居場所のない妊産婦等に対する妊娠時から出産後までの包括的な支援、さらには、こどもを育てられない場合に利用できる特別養子縁組制度の利用の周知など、予期せぬ妊娠をした妊産婦等への支援の充実をしっかり進めていきたいと考えているところでございます。
 それから、先ほども少し申し上げましたが、こうした制度を作ることが、逆にこうした内密出産を促すというか、進めていってしまうのではないか、という危惧は議論の中でも当然あります。従って、まずは妊婦の方に通常の出産を勧めるということについて、それぞれの現場で説得をしていただく、あるいは理解をしてもらう、こういった努力がまず前提にあった上で、それでもというご判断がないことはないわけでありますから、そうした場合には、今申し上げたガイドラインに従って対応してくださいということで、作らせていただいたということであります。
記者:
10月に入りますと、インフルエンザの予防接種が本格化します。今年は新型コロナとの同時流行というのが懸念されていますが、こうした懸念について、厚労省のホームページを見てみましたが、ほとんどと言っていいほど触れられていません。インフルエンザに関する情報というのは、2年ほどアップデートもされていません。今後こういった中で、どのように同時流行には注意すべきなのか。厚労省は、どんな備えをしているのかを教えてください。また、今後、同時流行への国民の懸念払拭のため、厚労省のホームページなどを通じ、どのように啓発をしていくのか、具体的に教えてください。
大臣:
まず一つは、ワクチン接種ということで、これはこの場でも申し上げたことがあろうかと思いますが、今年の冬のインフルエンザワクチン接種については、9月16日に事務連絡を出して、重症化予防効果を目的として、定期接種の対象となっている65歳以上の方などに対して、早期接種の呼びかけなどを行っているところであります。地区によって若干違いますが、例年は10月1日以降に準備が開始されていくということで、周知をしっかり行い、この季節性インフルエンザワクチンの接種を理解いただきながら、幅広くその接種を受けていただけるようにしていくということがまず第一であります。
 それから、季節性インフルエンザのみならず、この冬は季節性インフルエンザとコロナとの同時流行ということが、懸念されているわけであります。
 これについては、9月16日のコロナ対策分科会でも、今後の検討課題とされ、厚労省においても検討を進めております。同時流行の対策については、外来等の保健医療提供体制の更なる重点化・迅速化を図るとともに、重症化リスク等に応じた受療行動の変化を促すようなことも含めて アドバイザリーボードなど専門家の意見を聞きながら、これはできるだけ早くお示しできるよう検討を進めていきたいと思っておりますので、同時流行した場合、このように対応していただきたいと思います。
 通常のインフルエンザだけであれば、それは通常の医療ということになるわけでありますが、同時流行の場合にはこのような形になっていく場合があります、その場合にはこういう対応をして我々もこういう準備をしていきます、そしてその場合には、流行の度合いにもよりますが、こういう対応をお願いしていきます、といったことを、今申し上げた専門家の皆さん、あるいは関係者の方ともよく協議をしながら、早急にそうした方針を固め、そしてお示しをさせていただきたいと思っています。
記者:
インフルエンザの予防接種については、ホームページ上とか、いろいろ広報がまだちょっと弱いのではないかなと思うのですが、この辺りについてのご見解をお聞かせください。
大臣:
季節性インフルエンザについても、流行がここ2年ぐらいはあまりありませんでしたが、例年であれば、早ければ11月の終わり、あるいは12月に入ってから流行は出てきますから、それについてはまた別途ホームページでお示ししたいと思っておりますし、それから、先ほど申し上げた同時流行ということに関しては、今申し上げたような方針が出れば、それを踏まえて分かりやすい形で国民の皆さんに発信していきたいと思っています。

(了)