加藤大臣会見概要

(令和4年9月26日(月)10:58~11:27 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
 冒頭、台風15号によって静岡県で甚大な被害が発生しております。まず、被害に遭われた方々に心からお祈り申し上げます。厚労省が把握している主な被害状況は、水道においては静岡県内の4事業者において5万6,472戸が断水中で、応急給水により対応を図っているところであります。
 医療施設については、静岡県において1施設で断水が発生しているが、受水槽で対応しており、病院機能は維持されているということであります。
 社会福祉施設については、現時点で被害報告はないが、被害状況の確認をしているところでありますので、今後とも自治体とも連携を密にして、被害等の状況の把握、そして被害に遭われた方の支援、復旧にあたっていきたいと思っております。
 特に水道でありますが、静岡市において現時点で5万5千戸が断水しているということであります。これは取水口、水を取るところが埋まってしまったということでありますので、これに対して厚労省のみならず、国交省庁等他省庁とも連携して対応していきたいと考えているところです。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年9月26日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
今日から全数届出の見直しの全国展開が始まりますが、既に始まっている県から効果や課題などについてどのような報告がありましたでしょうか。またそれを踏まえて、全国展開する必要性や各自治体の準備状況など、いまのタイミングとして判断された理由を改めてお聞かせください。
大臣:
全数届出の見直しについては、高齢者・重症化リスクのある者を重点化するという中で、Withコロナに向けた新たな段階への移行として、いよいよ26日から全国一律で全数届出の見直しを行うこととしております。
 他方で、既に先行して実施されている自治体もあります。そこの様子を聞かせていただきますと、届出対象者への対応の迅速化が図られ、登録件数が約8割減少することで医療現場等への負担の軽減が図られたという意見がある一方で、発生届の対象外となる陽性者の健康状態や連絡先が把握できなくなるため、体調が悪化した場合に治療や入院調整が迅速にできないおそれがあるとの課題があり、このような課題に対して体調悪化時に相談できる体制を構築し、チラシの配布等により体調悪化時等の連絡先を周知しているなどの報告がありました。こうした先行事例も踏まえ、今日からスタートするわけでありますから、これから実施する自治体ともいろいろと連携をとっているところであります。
 それから、この一律の導入に当たって、前提条件として申し上げた抗原定性検査キットのOTC化、あるいは健康フォローアップセンター、これは確実に整備されているということです。また、必要に応じて、宿泊療養や配食等の支援が可能になるようにするといった対応もできるということで、こうしたことを踏まえて今日からスタートするわけでありますが、いずれにしても自治体ともよく連携をとりながら、何か必要なことがあれば運用の改善を図りながら事務が円滑に進むように、感染対策を重点化しながら進んでいけるように対応していきたいと思っています。
記者:
秋の臨時国会で旅館業法を改正し、マスクを着用しない客への宿泊拒否を可能とする方針との報道もありますが、改めて政府が移行しようとしている「Withコロナへの新たな段階」でのマスクの着用のあり方について、マスクの出口戦略のようなものがあるのか、見解をお聞かせください。着けるのも着けないのもどちらも強制力はなくとも、周りの環境に行動が影響されることもあるかと思いますが、改めて国民への呼びかけなどがあればお聞かせください。
大臣:
まず旅館業法のことから先に申し上げますと、現在、旅館業法の改正を検討しております。そこでは二つございまして、発熱等の症状がある宿泊者と、症状のない、いわゆる普通の宿泊者がいるわけで、前者の発熱等の症状がある方については、マスク着用に正当な理由がなく応じない場合には宿泊を拒むことができるということも想定をしております。ただ、後者の症状がない方に関してはマスクを着用しないだけで宿泊を拒むようにすることについては想定しておりません。
 それから、マスクの出口戦略でありますが、まず新型コロナの感染経路は、飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等でありますので、感染防止のためには、三密の回避や換気を徹底していただくとともに、マスクの着用のお願いしているところであります。
 先ほど前の質問で申し上げたように、今はWithコロナに向けて移行の段取りをしております。今後、感染の状況とか新たなウイルスとかいろいろな不確定要因がありますが、その辺りはしっかりと留意しつつも、そうした移行の中でマスク着用ルールを含めた感染対策のあり方については検討していかなくてはならないと思っております。
 その上で現状でありますが、わかりにくいということでご指摘をいただきましたが、端的に言うと屋外については基本的にマスクをする必要はないということであります。屋内については、基本的にマスクの着用をお願いしている。
 ただし、屋外でもあまり人との距離がとれずに何人か密着して喋ったり活動したりするときにはマスクを着用していただきたいし、他方で屋内においても全く会話もせずに静かに座っていただいているというような状況のときはマスクの必要はないということであります。ただ、今の後半を言うと、よく分からなくなってしまうということもあります。だから基本的には屋外で人との距離がとれるのであれば、マスクをする必要はないということで、このことはしっかりと発信していきたいと思います。
記者:
生活福祉資金の特例貸付が9月末で終了します。2年半ほど特例貸付が続き、貸付を続けることは借受人が生活を立て直す足かせになるという声もありました。特例貸付をこれまで10回にわたって期限を延長した理由と、膨大な債権をこれからどのように回収していくのかお考えを教えてください。
大臣:
もともと通常の貸付というものはあるのですが、それに対してコロナの影響で休業等によって収入が減少した方の一時的、臨時的な措置として特例貸付が行われたということであります。これについては感染拡大状況、また、感染拡大の影響を見ながらこれまで10回にわたって申請期限を延長してきたところであります。
 ただ、最近の動向を見ると、第6波のときは、大体週5千件前後、それが第7波になると3千件程度、ピークのときは6万とかだったので、明らかに減少してきているということと、それから先ほどお話したようにそろそろ通常のモードに戻していき、そしてそれに応じた対策を講じていく必要性から、9月末でいわゆる特例貸付は終了して、通常の貸付に移行していくということであります。
 他方で、特例貸付の返済が来年の1月からスタートしますので、借受人の状況に応じて、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援や家計改善支援を通じた支援を行っていく、あるいはハローワークや福祉事務所等と連携した就労等に繋がる支援などを行って、償還しながら生活再建に向けた丁寧な支援を行っていきたいと考えております。そこが本来の趣旨でもあります。
 また返済免除もございますので、住民税非課税となる世帯の返済の免除について対応していくということと、場合によっては免除の対象にはなっていないがすぐに返せないという方も当然いらっしゃると思いますので、そうした場合には返済の猶予をする等、返済期間中あるいは返済期間に至るまでのプロセスを踏まえながら細やかに対応していきたいと考えています。
記者:
国が作成を進めている内密出産のガイドラインについて伺います。一部報道で9月末にも公表する方針とありましたが、時期はいつになるのでしょうかということと、主な内容について教えて下さい。
大臣:
今、内密出産に対してどのような対応をしていくのかというご質問であります。今、中で検討しているところで、私のところまで最終的な形があがってきておりませんから、皆さんにお示しできる段階になってからしっかりご説明をしていきたいと思っております。
記者:
家事労働者への労働基準法の適用除外問題についてお伺いします。家事使用人については、労働基準法は適用しないと明記されていますが、長時間労働の末に亡くなった家政婦さんの遺族は、過労死ということで労基署に労災保険の支給を申請しても、この法律規定を根拠に支給されないという状況となっているとのことですが、この不支給決定は不当だということで、行政訴訟になっており、これは29日には東京地裁で判決が出されるわけですが、なぜ、家事使用人は適用除外になったのか。また、近年は家事代行への社会的な需要というのが非常に高まっています。マッチングアプリなどを通じて直接家庭に雇われて働いている人も増えているわけでありますが、家事労働者に対して労働基準法を適用しないということは妥当なのかどうか、お聞かせ下さい。
大臣:
まず、今仰る個別の事案については、まさに今係争中ということもありますので、それに対してお答えは控えさせていただきたいと思います。現時点において、家事使用人については通常の労働関係と異なった特徴を有する関係にある者について、国家による監督・規制という法の介入が不適当である等の考え方から、労働基準法の適用除外とされているということで、コンメンタール等にもそうした話が出ているところであります。なお、その家事使用人に当たるか否かについては、名称如何ではなく従事する作業の種類、性質の如何等を勘案して、実際の働いている実態に応じて、個別具体的に決定されるべきものであるとされています。
記者:
実態に則して検討するということなのですが、個人事業主であればそういうことが言えるかもしれませんが、労基法に明記してある以上、実態として労働法として適用できないのではないですか。
大臣:
この法律においては、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については適用しないと条文上書かれているわけでありますから、それに該当すれば除外されると。ただ、それに該当しなくて労働者性があるということがあれば、適用されるということになります。例えば、個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その事業者から言われて当該家事を行う家事使用人、今は派遣されているような形でそういうのがあると思いますが、そういった方については、家事使用人には当たらないということになります。従って、適用除外にはならないということになります。
記者:
派遣されていればそうなのですが、実際に家庭から雇われていて、それでも労働者として指揮命令を受けてやっていれば、実態として労働者として見なされる。これは本当の話だと思うのですが、規定には労働基準法でそういう人たち、条文をそのまま読めば、家庭から直接雇われている人たちについては対象外にすると。そこに矛盾があると思うのですがそれはどうなのですか。
大臣:
矛盾というか、そこは先ほど申し上げた経緯の中で、通常の労働関係と異なった特徴、要するに家族、家庭の中での両者の関係で、国家による監督・規制という法の介入が不適当であると、そういった理由で適用除外されてきたという経緯があるということ。それは先ほど説明したとおりでありますが、その中で今、一般の方にとって家事使用人といってもここで言う家事使用人ではなくて、通常の概念の中には今言った派遣されて家事をされている方も結構おられるわけでありますから、その方については、今申し上げたように、ここで言っている、除外されている家事使用人ではないので、当然労基法の適用がありますということをご説明したということでありまして、今のご質問のように、法律で言われている家事使用人、これは明らかにこの法律の適用除外になっていますから、この法律を踏まえればその方は労基法の条文は適用されないということです。
記者:
1993年に労働相の諮問機関である労働基準法研究会が先ほど申し上げました労基法の適用除外規定というものは時代に合わないので撤廃すべきだと明記する報告をまとめているわけなのですが、これは未だ政策になっていないわけですが、このように報告がきちっと出されているにも関わらず、どういう経緯で政策に反映されていないのか教えてください。
大臣:
労働関係のやり方はご存じのとおり、研究会で議論があって、その後審議会で公労使において議論されて、そして政策が固まっていくという流れでありますから、それは最初の段階の研究会の報告でありまして、その後の中央労働基準審議会、ここではその研究会の報告を是とする意見もある一方で、そこまでやる必要ないのではないかという意見もあって、結論に至らなかった。それが今日まで来ているというのが今の状況だと認識しています。
記者:
そこまでやる必要があるという、抽象的な表現ではなくて、どういう理屈で、これはやる必要がないということになったのですか。
大臣:
適用除外そのものを廃止する必要がない、こういった趣旨の意見が出されたと承知をしております。
記者:
ILOも家事労働者をきちんと保護するべきだという条約を締結しておりまして、日本も賛成しているのですが、結局は批准していない。これは何故ですか。
大臣:
それは、先ほど申し上げたように我が国の労働基準法で適用が除外されている家事使用人、それがILO条約の定める家事労働者の中に含まれているということで、我が国はそうした労働基準法を持っているという立場から、その条約を批准するには至っていないというのが今の状況です。
記者:
臓器移植の関係でお伺いします。東京都内のNPO法人が臓器売買に関与した疑いがあると報じられた件で、先週、厚生労働省が当該NPO関係者にヒアリングを行っていたと報じられました。ヒアリングの実施と、今後の厚労省の対応について、お聞かせください。また、臓器移植法の調査権限が当該NPOに及ばないなど、臓器移植法の不備と、法改正の必要性が専門家から指摘されています。大臣の受け止めをお聞かせください。
大臣:
まず、そうした報道があったことは承知をしております。厚労省としても、情報収集には努めてきているところであります。また、必要に応じ、これから必要があれば、さらに情報収集に努めていきたいと考えております。これまでどういう対応してきたのかということについては、国民の関心も高いことではありますが、厚労省の場合、今の状況は調査ではなくて、任意のヒアリングということでありますから、それを前提とした上で当該対象者及び関係機関と調整の上で、どういう対応の仕方があり得るのか、これは考えていきたいと思っています。
 それから、 臓器移植法の不備ということですが、臓器移植法では、臓器の斡旋業については、厚生労働大臣の許可を受けなければならない、そして、許可を受けた斡旋機関に対して、許可をした側の厚労省が、立ち入り検査等を行う権限は規定されているわけでありますが、そうでない、例えば、無許可で臓器の斡旋業を行った者や、臓器売買等を行った者に対しては、今申し上げたような許可をしているわけでもありませんので、調査権限は規定されておらず、こうした者に対しては刑事罰の規定があります。
 従って、刑事罰にかかる捜査ということになれば、捜査当局が必要な調査等を行っていくということで、直ちに、今言ったように我々だけが調査権限がないということだけをもってして、この臓器移植法を改正云々ということよりも、今は全体としては、我々は許可したところは調査をする、それ以外は捜査当局がやるという役割分担の中で進んでいるわけなので、まずはこの臓器移植法が適切に実施されるように、努めていきたいと思っています。
記者:
全数届出の見直しの話に戻るのですが、先ほど大臣、先行県では発生届出対象外の人の健康状態が把握できずに体調悪化や、あるいは入院調整が滞るおそれがあって、先行自治体ではそれぞれ対応されていると仰っていましたが、大臣としても必要に応じて運用改善していくということだったのですが、今日から全国一律の適用となるということで、現時点で厚労省として国民への呼びかけですとか、あるいは自治体への支援について具体的な考えがあればお聞かせ下さい。
大臣:
先ほどと同じことを申し上げることになってしまうのですが、これまでに至るプロセスの中で何回となく、各自治体とも意見調整を行ってきたところでありまして、そうした体制が整ってきたということで、いよいよ今日からスタートするということになりますが、ただ、こういったものは具体的に実施する中で、またいろいろと課題が出てくれば、当然その課題を踏まえて運用改善等を図っていかなければならないわけで、これは当然のことだと思っております。私どもとしては、今回全体の見直しの中で、高齢者、あるいは基礎的疾患のある方以外は、この届出の対象外になっているわけですが、しかしその方々の健康をしっかりフォローし、留意し、配意していくということは、非常に大事であります。ただ、これまではどうですかと言っていたアプローチが、そちらの側から言ってきていただくというアプローチに変わってきますので、それを受け止める体制は相談窓口等をしっかり設置し、そして、そうした方々に周知していただきたい。このことを申し上げてきているところでありますので、そういった方々が今言った制度が切り替わった中で混乱されないよう、各都道府県とも連携しながら対応していきたいと思います。
記者:
全数届出の見直しについて関連して伺います。陽性者数の集計が続けられるということですが、感染の監視体制の質については保てるのか、または落ちてしまうのか。大臣の見解を教えてください。また、質が落ちる場合にはどのように対応していくのか。また今後新たな変異株などが出てきた場合に、全数把握に戻すような可能性もあるのか、併せて伺わせてください。
大臣:
まず監視体制の質というのは、チェックポイントがいくつかあって、そこがどうなるか具体的に議論しないと、質が上がる、下がるという抽象的に言っても意味がないのではないかと思います。いずれにしても専門家とご議論していきながら、やはり全数、それから年代別の数、これはしっかり把握していく必要があるということ、感染者数だけではなく、重症者数等々の様々な他の指標と組み合わせながら感染の状況等を分析していく、こういうことで対応していきたいと思っております。
記者:
厚生労働行政と直接関係のない話で恐縮なのですが、明日、安倍元総理の国葬が開かれます。本日から弔問外交が始まっていますが、一部野党からは依然として反発の声もありますが、閣僚の一員として、国葬の意義について大臣はどう考えるのか、改めてお願いいたします。
大臣:
国葬儀の意義については、総理も国会等含めて説明をされていると認識しておりますし、戦後最長の政権であったということ、そして海外からも多くの弔意がなされ、そして、今回も多くの方がおいでになる、そうしたことを踏まえて、国葬儀を決断されたと承知しております。そうした決断に沿っていよいよ明日行われるわけでありますから、滞りなく厳粛に行われることを期待したいと思います。
記者:
水際対策についてお伺いします。岸田総理大臣は先日、入国者数の上限を来月11日から撤廃する見込みということで、自由な個人旅行を認めて、短期滞在のビザを免除する見通しを明らかにしています。国内の感染症対策との両立についてどのように考えるか教えて下さい。
大臣:
水際対策を緩和するから、国内の感染症対策を変えるということはなくて、国内も今Withコロナに向かって移行している。そして、先ほどご質問があった全数届出等の見直しも実施しているわけでありますので、そうした一連の流れの中で、感染対策にはもちろん留意しつつ、かつ経済や社会活動を元に戻していく。こうした方向の中での対応であります。私どもとしても、これから海外の方が入って来られるわけでありますから、そうした中で感染動向がどうなっていくのか、あるいは外から入ってくる人ということではなくて、新たな変異ウイルス等の動向にしっかりと意を配って対応していきたいと思います。
記者:
明日、国葬ということで、マスクの着用を海外から来られる要人の方にも呼びかけていますが、先ほどの質問の中で静かに座っている環境の中では必要ないといったお話もありましたが、改めてこのマスクの着用を呼びかけている理由を教えて下さい。
大臣:
それは私どもが設定しているのではなくて、主催されているところがご判断されているわけで、先ほど申し上げたご説明が基本的な考え方でありますが、それに則って会場の状況とかいろいろなことを考えて、今回はマスク着用ということで、会を進めていくという判断をされたものと思います。

(了)