加藤大臣会見概要

(令和4年9月9日(金)11:17~11:32 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
 冒頭二件申し上げます。一点目、今日の閣議で、「令和4年版死因究明等推進 白書」を決定いたしました。
 本白書は、死因究明等推進基本法に基づき、毎年、国会に報告する法定白書であ り、今回初めて作成したものであります。
 今回の白書では、死因究明等推進基本法の成立の経緯や昨年6月1日に閣議決定された「死因究明等推進計画」に基づいて令和3年度中に政府が講じた施策を報告しています。
 計画の内容も踏まえ、安全で安心して暮らせる社会及び生命が尊重され個人の尊厳が保持される社会の実現に向け、引き続き、関係省庁と連携しながら、死因究明等の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
 二点目であります。これまで、オンライン資格確認等システムを活用し、患者の特定健診情報や薬剤情報等の医療情報について、患者本人や、本人の同意のもとで医療機関や薬局が共有・閲覧できる仕組みを運用してまいりましたが、9月11日からは閲覧できる医療情報がさらに拡大することとなりました。
 具体的には、本年6月以降に提出されたレセプトに含まれる患者のこれまでの受診歴や検査の実施状況などの診療情報が閲覧できるようになります。また、患者ご本人は、マイナポータルにおいて、これらの情報を閲覧することができます。
 これにより、国民の皆様が全国どの医療機関で診療を受けても、より正確な医療情報が共有されるようになり、日常の診療時だけでなく、救急や災害の場面でもより迅速に適切な医療を受けることができるようになります。
 この仕組みをより効果的に機能させるためには、国民の皆様には、マイナンバーカードを取得し、健康保険証としての利用の申込みを行っていただくとともに、医療機関や薬局におかれては、オンライン資格確認を導入していただくことが必要であります。マイナンバーカードを保険証として利用するための手続は、マイナポータルやマイナポイントのアプリ等から、1回だけで、簡単に行うことができますので、ぜひ皆さまのご協力をお願いいたします。私の方からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年9月9日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
コロナ対策をめぐる政府と専門家との関係について伺います。 昨日行われた政府の基本的対処方針分科会の終了後、尾身茂会長がぶら下がり取材 の中で「政府と専門家との間のコミュニケーションが希薄になっていた」「もう少し議論してから政策を決めてほしいという声が上がった」などと述べました。
 大臣としては今回の全数届け出や療養期間の見直しなど政府の一連の政策決定において、専門家との議論は十分だったとお考えでしょうか。
 専門家側からこうした声が上がったことをどう受け止めていらっしゃいますか。今後の専門家との議論のあり方についてどのように考えていらっしゃるかお聞かせください。
大臣:
まず専門家の皆さん方とは、日頃から意思疎通を図っております。もちろん意見が異なったり、見解が異なったりすることはありますが、それはそれとして、よくコミュニケーションを図っていくことが大事だと思っております。その上で今回の全数届出の見直しに関しては、8月2日に尾身会長などの専門家有志から示された提言を踏まえたものであり、また、8月17日には医療関係者や専門家と意見交換を行いました。さらに、8月24日のアドバイザリーボードでもご議論いただき、厚生科学審議会感染症部会で了承いただいた内容であります。
 また、今般の陽性者の自宅療期間の見直しについては、オミクロン株の特徴、社会経済活動との両立を進めていくなどの観点を踏まえ、専門家の意見を伺い、Withコロナの新たな段階への移行を着実に進めていくため、その扱いを見直したものであり、アドバイザリーボードにおいて、約3時間に及ぶ議論もさせていただきました。アドバイザリーボードの後、脇田座長からもそうしたお話があったと思いますが、その中においては、何人かの方からリスクの観点から懸念を示す意見がありました。他方で多くの方からは理解するという意見をいただき、その上で今回の措置に踏み切ったところであります。
 今後も専門家の意見を踏まえながら、Withコロナを見据えた対応に引き続き取 り組んでいきたいと思います。
記者:
新型コロナについてお伺いします。岸田首相は従前、新型コロナの感染症法上の分類について「時期を見極めながら専門家の意見を聞いて検討する」と話されてきました。その後、全数届出の見直しや、自宅療養者らの療養期間短縮、外出制限緩和などの対策が決まった現状において、新型コロナを新型インフルエンザ等感染症から5類に変更する必要性や、見直しに向けた検討の進め方、スケジュールなどについて、改めて大臣の見解をお聞かせ下さい。
大臣:
これまでも何度も申し上げているように、いわゆるどう分類するかというのは、感染力、また、罹患した場合の重篤性、こうしたことを踏まえながら総合的に判断し、今現在は新型インフルエンザ等感染症という形での分類をさせていただいているわけであります。
 現在の新型コロナウイルス感染症については、オミクロン株でも、致死率や重症化率がインフルエンザよりも特に高齢者において高いということで、現時点で新型コロナの感染症法上の位置づけを変更することは、現実的ではないということはこれまでも申し上げてきているところであります。
 他方で、オミクロン株の特徴、また、社会経済活動との両立を進めていくなどの観点から、現在Withコロナの新たな段階への移行を着実に進めているわけでありますが、引き続き重症化リスクのある高齢者等を守ることに重点を置くことが必要です。
 また、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る方針の中で、これまでもそうですが、今後とも必要に応じて見直しをしていくということだと思います。
 さらに、新型コロナウイルスについては変異していくということで、今後さらに変異していき、そうした中でさらに重篤性が増すという変異もあり得るわけでありますから、そうした場合には、従来の対応に戻すことも可能としていく必要もあるということで、現在の位置づけを維持している中で、先ほど申し上げた見直しを逐次図っていくということであります。
記者:
新型コロナウイルスの後遺症について伺います。第7波の感染者の急増で、後遺症に悩む方が増加する懸念があると思います。今後、厚労省としては、どう対策をとっていくのか、また、厚労省の6月の調査では、後遺症外来を設置している自治体は2割程度に留まっていましたが、今後拡充の考えなどはあるでしょうか。
大臣:
まず、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症について悩んでおられる方もいるということでありますが、他方でその実態や病態が明らかになっていないということで、厚労省としても鋭意研究を進めているところであります。
 その上で、これまでに得られた国内外の科学的知見、医療現場での経験や見識について、かかりつけ医などを対象として、厚生労働省の研究班がとりまとめている「診療の手引き」というものがありますので、そこにそうしたことを盛り込み、そして自治体や日本医師会等を通じて医療現場の皆様方にもその中身の周知を図って、ほとんどの自治体でそうした周知がなされていると承知しております。その上で、今の罹患後症状の専門外来でありますが、本年6月に罹患後症状の専門外来を置いている医療機関があるということを踏まえて、各自治体における状況を調査いたしました。その結果、そうした医療機関がある自治体は、調査対象自治体の23%という結果であったことは既に明らかにしているところだと思います。
 一方で、厚生労働省の研究班がとりまとめている、先ほども申し上げた「診療の手引き」においては、「罹患後症状は、各症状において、一般医療の中で対応できるものが少なくなく、まずは、かかりつけ医等や地域の医療機関に繋ぐことが重要である」とされているわけであります。したがって、罹患後症状、いわゆる後遺症を持っている方が、スムーズに医療に繋がっていくことが必要でありますから、罹患後症状の専門外来を表示しているところはもちろんその対象でありますが、幅広くかかりつけ医等必要な医療機関に繋がっていくことが大変大事だと思っております。
 引き続き厚労省としては、実態把握等に努め、新たな科学的知見の収集や知見をさらに医療現場等へフィードバックしていくことを進めるとともに、今、申し上げましたが罹患後症状に悩む方が必要な医療に繋がるよう、各自治体においても、どの診療所がそういった対応をしているのかということを周知する等の取組を進めていいただ きたいと思っています。
記者:
冒頭に説明がありました、患者や医療機関等がオンライン資格確認等システムを通じて閲覧できる医療情報を拡大するということなのですが、冒頭で大臣からの説明がありましたが、その意義について改めてお願いします。
大臣:
二つあると思います。一つは、ご本人が自分の健康管理等を進めるにあたって、これまで様々な病院にかかってきた情報とか、特定健診の情報、これを常に見ながらご自身の健康管理に繋げていただくこと。それからもう一つは、医療の現場等において患者さんの様々なデータを踏まえて診断し、診療していただくことは、より質の高い医療に繋がっていくということでありますから、そういった意味において、自分がかかっていた医療機関だけではなくて、それ以外の部分の情報もベースにしながら、診療にあたっていただける、こうした環境を作る一歩であると思っております。ただ、今回はレセプトでありますから、これからさらに進めて、前に申し上げた医療DXそのものをしっかり進めていきたいと思います。
記者:
ADBや基本的対処方針分科会等でも、専門家から第8波とインフルエンザの同時流行の可能性が指摘されていますが、それに向けた対策はどう考えていますでしょうか。
大臣:
一昨日のアドバイザリーボード、また、昨日の基本的対処方針分科会でも、今後新たな感染拡大の波も起こり得ることを想定した対策を議論すべきだとのご指摘がありました。それはそのとおりだと思いますし、我々も今、目の前の第7波に対する対策に注力をしているわけでありますが、しかし同時に次、そして大事なことは、デルタからオミクロンに変わり、感染者の数は増えていますが、致死率、あるいは重症化率は下がってきている。また、亡くなった方においてもコロナのウイルスによって直接亡くなることに繋がっている方、逆にコロナにかかったことが結果的に例えば体力の低下を引き起こして基礎疾患が悪化している、そのように状況も随分変わってきているわけでありますから、もちろん次に何が出てくるか分かりませんが、こうした特徴なども踏まえた形で対策をしっかり考えていくことが非常に大事だと思っております。
 さらに加えて、年末に向けてこれまでは抑えられていましたが、インフルエンザが今年は流行するのではないかとも指摘されているわけでありますから、インフルエンザと新型コロナが両方とも感染が拡がっていく事態も想定しながら、対策を考えていくことが必要だと思っております。なお、インフルエンザへの対応については、9月5日の厚生科学審議会感染症部会において、今シーズンの流行が前倒しとなる可能性があることから、インフルエンザワクチンの定期接種の対象である高齢者が接種を希望する場合には早めの予約をお願いすることとし、接種の呼びかけ、あるいは接種の促進を図っていきたいと思います。

(了)