加藤大臣会見概要

(令和4年9月2日(金)10:10~10:38 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:

 私の方から冒頭二点申し上げます。まず一点目でありますが、本日、政府コロナ対策本部が開催され「新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策」が決定されました。
 次の感染症危機への備えについては、本年6月17日、感染の初期段階から効果的に対策を講ずるための司令塔機能の強化や、保健・医療提供体制の方向性に関して、「対応の方向性」が決定されたところであり、当該決定に基づき、本日の政府対策本部では、具体的対応が決定されたところであります。資料はお手元に配付をされているものです。
 概略を申し上げますと、厚生労働省関係では、感染症法等の改正について、医療機関との協定を法定化するなど、感染症発生・まん延時における保健・医療提供体制の整備、機動的なワクチン接種に関する体制の整備、水際対策の実効性の確保等を行うこととしています。
 今後、更に詳細を検討し、速やかに必要な法律案の提出を図っていきたいと考えています。
 また、平時からの感染症対応能力を強化するため、健康局に「感染症対策部」を設置するとともに、国立感染症研究所と国立研究開発法人国立国際医療研究センターを統合し、感染症等に関する科学的知見の基盤・拠点となる新たな専門家組織を創設します。
 あわせて、食品衛生基準行政を消費者庁へ、水道整備・管理行政を国土交通省及び環境省へ移管いたします。
 これらの組織の見直しについては、次期通常国会に必要な法律案の提出をしたいと考えております。

 二点目は、旧統一教会に関してです。「旧統一教会」問題に関し、厚生労働省としては、関係省庁の連携によって適切な相談対応が図られるよう、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議に参加をすることとしました。その上で、合同電話相談窓口に職員を派遣するなど必要な対応を図っていきたいと考えております。
 なお、今月実施される「相談対応のための集中強化期間」の詳細については、本日、法務省から公表されると伺っております。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年9月2日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナの発生届の対象を限定する緊急避難措置について伺います。本日から4県で先行して運用が開始されますが、今後の全国一律での実施に向けて、どういった点に大臣として注目されているのかお聞かせください。
 また、都道府県からは、対象外となった軽症者らの病状の変化への対応や、療養証明書の発行などについて懸念する声が上がっています。こうした懸念に、どのように対応していこうとお考えなのか、お聞かせください。
大臣:
まず、緊急避難的な対応を8月25日にお示しし、届出があった4自治体について本日から具体的に発生届の限定化の運用が行われることとなっております。 緊急避難措置の公表後、短期間で4自治体から対応いただくことになったわけでありまして、そうした対応を必要とされている自治体があったということではないかと思います。 
 現場の負担軽減につながるとともに、重症者を守る取り組みに一層集中していただけるよう、期待をしているところであります。 
  それから、健康観察については、これまでも地域の実情に応じて、重症化リスクの高い陽性者に重点化することを可能とするとともに、まず、健康フォローアップセンター等をしっかり整備をしていただく、そして、その上で全ての陽性者に対して体調悪化時に相談できる健康フォローアップセンター等の連絡先を周知していただいているということであります。
 今回の緊急避難的な対応にあたっても、発生届の対象等のあり方について、健康フォローアップセンター等、体制整備をさらに確実に実施していただくとともに、その連絡先など、確実に周知していただくことが重要だと考えております。
  また、保険会社において、給付金請求の際に添付を求めることのある療養証明書の取扱いについて、 医療機関、保健所業務がひっ迫しないよう、さらなる負担軽減のための検討がなされるよう、金融庁とも連携を取りながら、お願いをしてきたところであります。また、今日からスタートする先ほど申し上げた宮城、茨城、鳥取、佐賀の4県からもそれに対する要請をいただいたところであります。昨日、保険業界からは9月2日以降、給付金請求の際に、療養証明書の発行を医療機関や保健所に対して直接求めないという方針が示されたところであります。この方針を踏まえ、各保険会社の対応により、療養証明書の発行にかかる医療機関や保健所の負担の軽減につながっていくものと考えております。
 それから、最初にお話があった、今後、全国一律に向かってどういう点に注目していくのかというご質問でありますが、これまでも申し上げているように、一つはそれを実施するための体制を作っていくということです。いわゆる簡易検査キットをしっかり配布していく、あるいは先ほど申しあげた健康フォローアップセンターを整備していく、さらには全数把握のシステムを改修していく、こういうことを申し上げたわけでありますが、こうした準備をしっかり進めていく状況と環境を作るとともに、もう一つは感染状況を踏まえながら、お示しをしていくということを申し上げたわけでありますので、まさにその方針で感染状況をみながら全体をパッケージとして、お示しをさせていただきたいと思っております。
記者:
現状の新型コロナウイルスの感染状況についてお伺いいたします。全国の新規感染者数は1週間で多くの都道府県で前週の1倍を下回っている状況でありますが、一方で病床使用率や死者数は依然として高い状況にありますが、大臣は現在の感染状況についてどのように見ていらっしゃいますでしょうか。また、岸田首相の方が感染状況の推移を見ながら、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像について、適切なタイミングで公表するとしていますが、現在の感染状況について、大臣は適切なタイミングだとお考えでしょうか。
大臣:
まず、直近の感染状況について、全国の感染者数が昨日は14万9,868人、1週間の移動平均では15万6,908人、1週間の移動平均の今週先週比は0.71となっております。 昨日の段階では、全ての都道府県が今週先週比1を切っている状況だと思います。
 そういった意味で、先週の増加傾向から再び減少に転じているということは言えると思いますが、ただ感染レベルそのものはまだ高いレベルが全国的に継続しているところでありますし、病床使用率も引き続き高止まりし、重症者数や死亡者数も高止まりしているというのが今の状況であります。
 さらに、地域によってまちまちでありますが、もうすでに今週から夏休みが終了して、学校も再開しているところであります。そうした影響が、今後どう感染状況に出てくるのか、これもしっかり注視をしていかなければいけないと思っております。 そうした状況でありますから、先ほどのお答えと一緒になりますが、全体のパッケージをどうお示しをしていくのかということについては、まさに感染状況の推移を見ながら、適切なタイミングで公表していきたいと思っておりますので、公表できる中身について、しっかりと詰めていきたいと思います。
記者:
感染症法改正にあたってなのですが、今回、守らなかったところには承認取り消しということですが、これはいわば、罰則を設けるという言い方でよろしいでしょうか。 それと、今回のような措置を講じることによって、今まで懸念されていた病床不足の解消につながると見ていいのかどうか、このあたりの見解をお聞かせください。
大臣:
まず、前段の方はまさに今、そうした施策をとることも含めて、法案作成に向けて検討を進めておりますので、今日の段階で申し上げるのは、今お配りをさせていただいた中身にとどまることはぜひご理解いただきたいと思います。 
 その上で、今回こうした感染症法上の手当てもさせていただきましたが、これだけで今ある問題が解決するわけではありません。
 もちろん、医師や看護師の皆さん方をどう確保していくのか、あるいは皆さんの処遇改善のこともあります。それから、地域において、どう対応していくのか、まさに地域医療計画をはじめとした、そうした対応もございますから、それらも含めて総合的に対応が必要であると思いますが、そういう対応をするにあたって、感染症法上手当すべきものということで、今回そのポイントをここにまとめさせていただいたということであります。
記者:
全数把握の見直しについて、本日から4県で運用が始まりますが、ウィズコロナの第一歩かと思います。ウィズコロナというのは、感染拡大のリスクは多少なりとも上がる取り組みですが、このウィズコロナについて、国民の理解が進んでいるかどうか、大臣のご認識をお聞かせください。
大臣:
私が二回目の厚労大臣をしていた時に、まさにこの新型コロナが日本でも発生し、当初は未知のウイルスということもありましたし、それから当時は今と比べれば感染力はそれほど強くはなかったが、重篤度は非常に高いという状況でありました。
 その後、ウイルス自体も変異をしてきているということと、我々の方もワクチンであったり、治療薬であったり、そうした対策をし、さらには医療現場においても、様々なご努力をいただいて対応をより充実させていただいてきているわけでありますから、そうした全体を見ながら、国民の皆さんもこのウイルスに対する認識というものを持っておられるのではないかなと思います。もちろん、それぞれの方によっていろいろな認識があるということは当然だと思いますが、したがって、そうした国民の皆さんの認識、そしてその前提になる、先ほど申した今のオミクロンの特性、あるいはそれに対する対応、こうしたことを踏まえながら、さらに総理がおっしゃっている社会経済活動を速やかに元に戻していくという、そうした視点も盛り込みながら議論していくというのは、まさにウィズコロナだと思っております。それに向けての第一弾と言ってもいいと思いますが、その対策を今、中で検討し、先ほどからご質問があるように感染状況を見ながら、適切なタイミングでお示しをさせていただきたいと思っております。
記者:
全数把握の簡略化についてお伺いしたいのですが、先ほど大臣からも言及がありましたとおり、今日から4県先行して開始することになりました。今回のこの対応は、全国知事会からの要望を受けて、緊急避難的に実施できるということで始まるものですが、ただ一方でまだ4県にとどまっていて、この対応について懸念を持っている知事さんも少なくないというこの現状を、今、大臣はどのようにお考えかお聞かせ下さい。
大臣:
まさに全体パッケージはこれからお示しをさせていただくわけでありまして、その中でも全数届出の見直しということは申し上げているわけであります。ただ、それには先程申し上げたような体制を整備するのに時間もかかっていく、しかし、今の現下の状況は発熱外来をはじめ、相当ひっ迫をしているので、緊急的にも対応してほしい、今すぐにでも対応してほしいという、そういう強い声をいただいた中で、踏み切った措置です。ただし、そのためにはいくつか前提条件があります。全数把握はお願いしますとか、先ほど申し上げた健康管理の仕組みをしっかり周知してくださいとか、体制を取ってくださいとかということも当然ありますから、そうしたものができ得る、また、それだけのひっ迫をしている、そういったところで早々に4つの県から手が挙がってきて、さらに今検討されているところもあると承知しております。ただ、これはあくまでも緊急避難的な措置でありますので、全ての都道府県でそれを適用するということを我々も想定していたわけではありません。
 ただ一方で、知事会からも次のフェーズに対する対策というのを求められているわけでありますから、それについては、引き続き知事会等ともよく連携をしながら、中身を詰めていきたいと思います。
記者:
感染症法の改正の件で、先ほどの質問と少し重複するのですが、今回、都道府県と事前に協定を設けて、違反した場合には罰則を設けるという、法定化することが決まれば、医療提供体制において、これまでどのようなことが課題になっていて、どのようにそれが解決されることが期待されるのかというところを伺いたいです。 例えば、スピード感を持って、病床などを提供できるようになるのかというところについて教えてください。
大臣:
まずここは、協定を締結するということで、まだ罰則云々というところまでは、この文書では言及していないと思います。いずれにしても、これをどう担保していくのかということであります。
 まさに、今回においても、感染状況の拡大に応じた病床確保は十分でなかったと、有識者会議からも指摘を受けているわけでありますから、それに向けて感染症法上の対応として、こうした仕組みを取っていくということです。ただもちろん、これだけでできるわけでないというのは、先ほどのご質問に申し上げたわけでありますから、併せて日頃からの対応というのでしょうか、中期的な対応も含めて、これもしっかりやっていかなければいけないと思います。
記者:
オミクロン株対応ワクチンについてお伺いします。海外では、BA.5に対応できるワクチンの承認なども出ています。昨日ファイザー社も、近く日本でも、安全性について有効だというところの薬事審査の承認を申請するという発表をしました。厚労省として、今後そのBA.5対応のワクチンについて、承認の時期やスケジュール感みたいなものがあれば教えてください。
大臣:
オミクロン株対応ワクチンについては、今後議論して、薬事承認が出れば、そうしたワクチンを接種できるようにしていきたいと思いますし、できるだけ国民の皆さんにスピード感を持って提供できるように、まず我々として必要量を確保していく、そういう体制を取っていきたいと思いますし、ただワクチン接種をする場合には、各地方自治体における対応も必要でありますから、よくその辺も含めて、連絡あるいは連携を取っていきたいと思います。

(了)