加藤大臣会見概要

(令和4年8月30日(火)11:05~11:25 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭三件、まず雇用統計令和4年7月分でありますが、令和4年7月の有効求人倍率は1.29倍と、前月より0.02ポイント上昇し、7か月連続の上昇となり、また都道府県の有効求人倍率は全ての都道府県で1倍を上回りました。また、完全失業率は2.6%と前月と同水準となりました。
 求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求職者が引き続き高水準にあるなど、一部に厳しさがみられるものの、緩やかに持ち直しています。
 今後とも、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。
 二点目でありますが、本日、令和4年4月時点の「待機児童の解消に向けた取組の状況」を公表します。
 今回、待機児童数は2,944人となり、前年より2,690人減少し、調査開始以来、最少となりました。
 各自治体において、令和3年度からスタートした「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿整備が進んだ結果であると考えています。
 申込者数は若干減少していますが、女性就業率や申込率の上昇傾向、フルタイムの共働き世帯の動向等により、再び増加することも想定されます。
 厚生労働省としては、各自治体において必要な受け皿の確保や待機児童の解消が進むよう、引き続き支援してまいります。
 また、こうした取組と合わせて、保育所・保育士が持つ子育て支援のノウハウを活かし、地域で子育て支援を実施するなど保育所の多機能化を進めていく取組も推進してまいります。
 最後三点目でありますが、令和4年度の最低賃金については、8月23日までに全ての都道府県の地方最低賃金審議会で改定額を答申し、22道県で目安額を上回る引上げとなり、全国加重平均961円となりました。また、最高額(1,072 円)に対する最低額(853 円)の比率は、79.6%、昨年度は78.8%でありましたから、8年連続の改善となっております。
 この最低賃金は10月1日以降、順次発効してまいりますが、事業者の皆様に対応していただくに当たっては、特に中小企業が賃上げしやすい環境の整備が重要であります。
 このため、中央最低賃金審議会の答申を踏まえ、事業場内で最も低い時間給を一定以上引き上げるとともに、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に支給される業務改善助成金について、原材料費等の高騰の影響を受けている事業者や、最低賃金が相対的に低い地域の事業者を対象に、より使いやすくなるよう、9月1日から拡充することとしました。
 引き続き、生産性向上に取り組む中小企業へのきめ細やかな支援等に取り組んでまいりたいと思います。
 私からは以上であります。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年8月30日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナウイルスの発生届の対象を限定する緊急避難措置についてお伺いいたします。初回の届出の受け付けが29日までとなっておりましたが、届出状況について教えてください。届出数に対する大臣の受け止めもお願いします。
 また、発生届の見直しを巡っては、岸田首相が27日に全国一律の措置に移行する考えを示されましたが、厚労省の検討状況についても教えてください。
大臣:
まず、今月25日に、緊急避難的な対応として、発熱外来や保健所の業務が極めて切迫した地域においては、都道府県知事の届出により、発生届を重症化リスクのある方に限定することが可能という対応をすることとし、自治体に届出の手続きをお示ししたところであります。
 昨日までに宮城県、茨城県、鳥取県、佐賀県の4自治体から届出がありました。この自治体については明日告示を交付し、適用日は9月2日ということで今進めさせていただいているところであります。
 先週の緊急避難措置の公表後、今回、非常に短期間で4自治体から届出があったところでありますので、まさに知事会等からも緊急的な対応、即刻の対応と決断を求められておりましたが、そうした状況ということが見て取れるのではないかと思っております。
 また、発生届の対象者の見直しについては、専門家の意見も踏まえ、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行策の一つとして検討を進めているものであり、全国一律で導入することを考えております。
 移行に当たっては、発生届の見直し対象となる若い軽症者の方々が安心して自宅療養できるための環境を作っていくという意味で、検査キットのOTC化、また健康フォローアップセンターの全都道府県での整備、こういったことが求められております。また、発生届に代わり、軽症者を含めた総数を把握するためのシステムを改修するなどの対応も必要となり、当然一定の時間を要するわけであります。寧ろそうしたことがあったので、今回緊急措置ということで先ほど申し上げた対応をとらせていただいたところであります。
 こうした整備、検討を現在進めておりますが、感染状況の推移を見た上で、ウィズコロナに向けた新たな段階として、先ほど申し上げた全国一律のシステムへの移行、これを図っていきたいと考えております。
 感染状況や変異株の発生動向等に細心の注意を払いつつ、適切なタイミングで、切り替えというのでしょうか、お示しをさせていただきたいと考えております。
記者:
オミクロン株に対応した新たなワクチンに関してですが、専門家分科会での審議や薬事承認の前の段階ですが、10月半ばを想定していた接種開始を9月中に前倒しするとの報道もありますが、前倒しについて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
オミクロン株対応ワクチンの接種については、ご承知のように8月8日の厚労省の審議会で、1,2回目接種を完了した全ての者を対象として、今月10月半ば以降接種を開始することを想定して準備を進めるとされていたところであります。その際、私からもこれまで申し上げておりましたが、製薬企業等とも調整を進め、もちろん薬事承認といった段取りは必要となりますが、それができればできるだけ早く接種ができると、これは多くの国民の皆様が期待をされていますから、それに向けて取り組んでいるということであります。具体的な状況は今まさに薬事承認等の議論をしていただいてますから、この段階でそのタイミングを申し上げるのは適当ではないと思いますが、そうした姿勢で取り組んでおります。
記者:
冒頭発言の関係でお尋ねします。全国の待機児童が4月1日時点で過去最少の2,944人だったとの調査結果が発表されました。ただ、女性の就業率の上昇などにより再び待機児童が増加する可能性があるとの指摘もあります。大臣の受け止めをお聞かせいただきたいのと、もう一点、出生数の低迷を背景に、保育所の定員充足率は下降傾向にあります。かつては多くの待機児童がいた自治体でも空きが出ているところがあり、保育の受け皿を増やしてきた政策は岐路を迎えています。今後の受け皿拡大に対する大臣のお考えもお聞かせください。
大臣:
まず待機児童の状況は先ほど申し上げたところであります。しかしながらまだ待機児童がある自治体もありますから、まずそうした自治体での早期解消を図っていくということがひとつであります。
 それから今の時点でいないところであっても、中には例えば昨年いなくても今年の統計では出てきたというところもあるのだろうと思いますので、そうした発生する可能性も十分に踏まえながら対応していくことがまず求められております。
 それから一方で後半のご質問でありましたように人口減少あるいはこどもの数が減る中で、保育所における定員割れ、またその中における保育所のあり方こういったことは課題になっていると考えております。そうしたことも踏まえて今回初めて都道府県ごとの定員充足率を3年間遡って公表させていただきました。これは一つの指標でありますので、都道府県全体ですから個々の保育所とは異なるものではありますが、こうしたことも踏まえながら、先ほど申し上げた待機児童の解消が必要な地域は引き続き、受け皿拡大を行っていきます。
 他方で定員の充足率が、これは全国レベルでも年々下がってますが、そうした地域においても保育所・保育士の皆様が持っている子育てを支援していくノウハウやその機能、これは非常に重要なものでありますので、地域での子育て支援、そういったことを含めて保育所に期待されている様々な機能、それを発揮していただけるように我々も取組を進めていきたいと思います。
記者:
先ほどの秋のオミクロン対応型ワクチンの件なのですが、全ての人を対象にするとのことなのですが、現時点では18歳以上を対象にするということで検討されていることにお変わりないということでよろしいでしょうか。
大臣:
それを想定して準備をしているということであって、まだワクチンそのものの薬事承認もされてませんし、具体的にどのようにするかというのはこれからの段取りではありますが、一応想定としては、いま仰ったことを想定して準備をさせていただいているということであります。
記者:
岸田総理を始め政府から待機期間短縮などの緩和策について、検討をした上でできるだけ早く進めることを表明されていますが、それは今週を指すのでしょうか。それとも感染者が減少したことを受けての翌週以降に公表されるようなスケジュール感なのでしょうか。
大臣:
ご指摘の点は8月27日の総理の記者会見でのご発言を受けてのことだと思いますが、まさにその時総理が仰っていたように、しっかり議論を行った上で結論を出していきたいということですが、まだその途上にあるということでありますし、当然それを判断するにあたっては、感染状況、あるいは変異株等の出現、そういったことも含めて判断されることだと思います。
記者:
新型コロナの無症状患者がマスクを着用することで感染対策をすれば、生活必需品等を買うために外出することを認める方向で調整に入ったとの報道がありますが、具体的な検討状況を教えてください。
大臣:
まさに先ほどと一緒になりますが、検討しているというところであります。できるだけ今の状況を踏まえながらスピード感を持って検討していきたいと思います。
記者:
全数把握の見直しについてですが、(自治体からの届出数が)4件ということなんですけど、緊急避難的な措置ではありますが、この4件について率直な受け止めといいますか、想定より多いのか少ないのか、そのあたり大臣はどのように見ていますか。
大臣:
一方で重症化リスクのある人にハーシス入力を限定しているわけでありますが、他方で総数や年代別の把握等を別途お願いしているわけでありますので、そうしたことを含めてですね、シフトに当たって、先ほど申し上げた様々な準備が当然あると思います。それは、それぞれの都道府県ごとに事情が違っているので、よく分かっている都道府県知事あるいは都道府県において判断をしていただきたいということです。
 将来的に、全国一律ということも我々想定しておりますが、それだと時間がかかる、しかし今まさに発熱外来等のひっ迫、即刻な判断をということで知事会からも話があったので、先日そうした対応を取らせていただいたということですから、まさにそれぞれの状況の中で、しかも今回だけで手を挙げるわけではないので、次まだ検討されているところもあると思います。今回はいろんな準備が整って、色々な事情で対応できるところがまず手を挙げたという認識をしております。
記者:
今の質問に関連してなのですが、今回まだ検討されている自治体はどういう部分を課題に感じているのでしょうか。どういう要望があって今後見直しをしたいですとか、どういう課題があって今回見送ったのか、厚労省はそれに対して今後全国一律に広げていくに当たってどういう対応をしていくのか、考えがあればお願いします。
大臣:
各都道府県まちまちだと思いますので、一律にこうだと申し上げられなくて、それから、次もありますので、ここで間に合わなかったというところもあるのだろうと思います。
 それから届出したいのだけれど、もしこういう事情があって踏み込めないというところがあれば、それはそれとしてお聞きしていかなければいけないと思います。それから各都道府県の知事のご発言をみてもかなりまちまちですから、こうしたところで出てきた声、これを次に移行するに当たってもしっかり踏まえて対応していきたいと思います。
記者:
昨日29日の医薬品第二部会で、アストラゼネカ社の新型コロナウイルス薬の承認が了承されました。ワクチンに換わる予防薬としても効果が期待されています。承認了承に対する大臣の受け止めをお願いします。同社からの薬の調達状況や今後どのように感染対策に活用していくかについても併せてお願いします。
大臣:
アストラゼネカ社の中和抗体薬「エバシェルド」については、昨日の薬事・食品衛生審議会で、特例承認の可否について審議され、了承されたところであります。申請された中身は新型コロナ感染症の「治療」、それから免疫機能が低下している方などにおける新型コロナ感染症の「発症抑制」の両方の適応について、早ければ本日中にも承認したいと考えております。
 審議会でも、新型コロナウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤はワクチンに直接換わるものではありませんが、ワクチン接種では十分な免疫応答が得られない可能性がある方がいらっしゃるわけですので、そういった方などにおいて、ウイルス曝露前の発症抑制に使用できる初めての薬剤でありますので、そういった意味で今後の感染抑制・感染症対策においても意義があるものと考えています。
 また、昨日、厚生科学審議会感染症部会を持ち回りで開催しましたが、この薬については、曝露前の発症抑制に使用していくことが確認されたところであります。この薬は全世界向けの総供給量が限られたものでありますが、日本国内への流通量も限られているため、厚生労働省が購入し必要量を確保するという形をとっております。具体的には、発症抑制での使用を想定して15万人分を確保しており、まずは約3万人分が承認直後に納入される予定となっており、必要な対象者へお届けできるよう、引き続き必要量の確保に向けて企業とも調整していきたいと考えております。

(了)