加藤大臣会見概要

(令和4年8月26日(金)11:06~11:23 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
 まず冒頭一件、私の方から申し上げたいと思います。自殺対策基本法において、9月10日から16日まで「自殺予防週間」と位置付けており、啓発事業を広く展開することとしております。
 昨年の自殺者数は、前年と比較して総数では減少したものの、新型コロナの影響が長期化する中、女性の自殺者数は2年連続で増加し、また、小中高生の自殺者数は過去最多であった一昨年に次いで多く、深刻な状況であります。厚生労働省では、電話やSNSによる相談支援体制の拡充に努めるとともに、10代の自殺は長期休暇明け前後に増加する傾向があるため、8月10日に公表させていただきましたとおり、本年は文部科学省、内閣官房孤独・孤立対策担当室と連携し、夏期休暇中から、子ども・若者に向けたポスターの掲示や動画の配信、更にインターネットでの相談窓口の案内など、集中的な啓発活動を既に行っているところであります。
 本日の閣議で、各閣僚に自殺対策に対する協力を依頼いたしました。この週間を通じ、国民お一人お一人が、自殺予防について、理解と関心を持っていただけるよう取り組んでいただきたいと思います。
 もし、身近な人の様子がいつもと違うと感じた場合には、じっくりと耳を傾けていただき、また厚生労働省ホームページの「まもろうよこころ」というのがございますが、そこでご案内している相談窓口につなげるなど、温かく見守るという意識と行動が重要であります。悩んでいる方が孤立をしないよう、是非、温かく寄り添っていただき、またお声がけをしていただくことをお願いしたいと思います。私からは以上であります。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年8月26日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
いわゆる全数把握の見直しについて二点伺いします。一点目は、先日発表しました見直しについて、全国の都道府県知事からは、歓迎の声が上がる一方で、国の判断で全国一律での実施を求める意見もあります。各自治体で評価が分かれていることについて、大臣の受け止めをお願いします。二点目は、昨日自治体向けの説明会が開かれましたが、厚労省側からはどのような説明をして、自治体側からどのような意見が出されたのか、また、既に届出をしてきている都道府県があれば教えて下さい。
大臣:
まず後者の説明会でありますが、昨日自治体向けの説明会を行いました。
 今回お示しした「直ちに実施する発熱外来や保健所における更なる負担軽減策」の概要、また、発生届の対象を限定するに当たっての都道府県知事からの届出等、必要な手続きなどについてご説明いたしました。
 自治体からは、発生届の対象とならなくなった場合の自宅療養での対応、健康観察の取扱いなどについてのご質問がありました。各都道府県に設置している健康フォローアップセンターなどで相談を受ける体制を確保しながら、必要な医療に繋げていただきたい、こうした回答をさせていただいたと承知をしております。
 自治体にはまだ、届出の手続きをお示ししたところでありますので、当然まだ先方の希望があるところでも手続きがされている最中であると思いますので、まだ今の時点で届出はされていないところでありますが、8月29日までに届出があった都道府県は、速やかに告示の手続きを行い、できるだけ速やかに公表し、そうした対応がとれるようにしたいと考えております。
 また、いろいろご意見等ありましたが、この取組は、全国知事会や医療関係者からできるだけ速やかな対応を、というお話を受けてやらせていただきましたので、引き続きご意見もいただきながら、それから他方でウィズコロナに向けた新たな段階への移行ということをお示しさせていただいておりますので、そこでの議論にもしっかり反映させていただきたいと思っております。
記者:
先ほどの全数把握に関連して、一部報道では、9月半ばにも全国一律で全数把握を実施する方向で調整に入ったとあります。全国一律で実施することについての検討状況や、時期の目処などがあれば教えて下さい。
大臣:
現時点では、24日に総理がぶら下がりで言われたように、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行については、その全体像、すなわち療養の考え方の転換、全国ベースでの全数届出の見直し、陽性者の隔離期間の短縮などについては、感染状況の推移をしっかり見た上で、できるだけ速やかにお示しをします、ということを申し上げておりますので、それに沿って今、中で検討させていただいているという状況であります。
記者:
先ほど閣議が終わった後に、雇調金などについて、総理とやり取りがあったのではないかと思われますが、どういった内容だったのかお聞かせ願いますでしょうか。
大臣:
本日の閣議後、総理とオンラインで面会いたしまして、雇用調整助成金の特例措置などについて意見交換をさせていただきました。雇用調整助成金の特例措置等の10月以降の取扱いについては、骨太方針2022を踏まえ、雇用情勢を見極めながら、具体的な助成内容を検討するとされており、現在その作業を進めているところであります。最終的には労働政策審議会の議論を経て、今月末までには公表したいと考えています。
記者:
高度プロフェッショナル制度について、前回大臣がお務めのときに高プロを成立させたと思うのですが、厚労省が公表した昨年度の高プロ制度の運用状況に関する報告によると、一般労働者の月間の法定労働時間が170時間程度のところ、高プロ適用者では「400時間以上」「300時間以上」といった働き手や職場が続出している。それから、適用者に対するアンケートでは「希望して適用になったのか」という問いに、「希望していない」という人が13%、今後の希望の有無についても10%が「希望しない」とのことで、同意が本人の真意だったのかと、非常に疑念が出てきます。
 大臣は国会審議で適用者の健康確保、それから本人の自主性が不可欠だとおっしゃっていましたが、現時点で制度は適正に運用されているのか、乱用されていないか、その点お考えをお示し下さい。
大臣:
まずご質問で労働時間と健康管理時間を一緒にされていますが、そこは明らかに違うということをご承知の上でご質問されていると思いますが、この制度では、労働者の健康確保を図るため、使用者が健康管理時間を把握し、休日確保や面接指導などの健康確保措置を実施することにしているわけであります。高度プロフェッショナル制度の適用に当たっては、あらかじめ必要な事項を説明した上で、個々の労働者に書面による同意を求めている、こういう制度設計になっているところであります。また、制度を導入した事業場に対しては、確か制度導入時点とその後1年後を含めて定期的に労働基準監督署が監督指導を実施して、先ほど申し上げた健康確保措置の実施状況、また労働者の同意が適正に行われたかを含めて確認をしているところであります。これまでもそうした確認をし、必要な指導等がなされているものと承知をしております。
 いずれにしても、先ほどご指摘されたアンケートでも80%を超える方が「満足している」「やや満足している」あるいは「希望していきたい」と、こういう反応もあります。従ってこうした制度が当初の趣旨に沿って運用されるよう、引き続き対応していきたいと思っておりますし、それから希望と同意は若干意味が違いますが、それはご承知のところだと思いますが、少なくとも同意しないという方に関しては例えば期間中でも同意を取りやめるということは可能でありますし、また、一年を超える契約の場合には一年ごとに同意の確認という、そういう仕組みもあったと記憶しておりますので、そうしたこともあるということも知っていいただきながらご本人の意向に沿った配慮がなされるよう、引き続き、必要な場合にはこちらの方としても指導等を行っていきたいと思います。
記者:
過労死ラインを大幅に超える人が出てきます。そういう現状が適正なのか、これについてはどうですか。
大臣:
先ほど申し上げたように過労死時間というのは、先ほど確認いたしましたが労働時間です。ですからこれは健康管理時間ですから、そこは明らかに違うということ、まず冒頭確認させていただいたと思います。
 その上で、この健康管理時間ということになると家に帰った時間、あるいは会社にいてもずっといる時間、あるいはパソコンをオンしてオフするまでの時間ということですから、実際的にそこでどういう仕事をされているのか、そういったことは引き続き個々の対応を調査するときに確認していく、そういったことは必要だと思います。
記者:
もう一つだけ、大臣、審議では交渉力のある高度な専門能力のある人たちを対象にするとおっしゃったのですが、アンケートでは業務を始めてから3年以内という人が44%、前の会社で働いていた人を含めてですが、これは本当にスキルがあって、専門能力がある人たちなのかと、この人たちは適用されていいのかという疑問が出てくるのですが。
大臣:
仕事を始めてから3年経ったからといって高度な仕事になるわけではなく、新卒で入った方であっても当初から高度な仕事をされる方もおられると思います。そこだけ見て判断するというのはいかがなものかと思いますが、ただ、制度の立て付けがありますから、それがしっかり運用されるよう、先ほど申し上げたように定期的に労働基準監督署がしっかりと監督指導、こうしたことを引き続き行っていき、この趣旨に沿わないような運用がなされないように、しっかり我々としても対応をしていきたいと思います。
記者:
大臣も先ほど触れられていた新型コロナ陽性者の待機期間の短縮についてなのですが、現在の詳しい検討状況や、いつ頃を目処に打ち出しをしていくのか、今年の1月当初、14日から10日に期間を短縮したときからエビデンスがあまり変わっていないように思われますが、どういった見方を重視して今後短縮を検討されていくのでしょうか。厚労省の考えをお聞かせ下さい。
大臣:
先ほど前の方にご説明した、総理の24日の発言に尽きるわけでありますから、今、具体的な話を申し上げる状況ではなくて、まさに中身をどうしていくか、それを検討させていただいている状況であります。
記者:
島津製作所の子会社が医療用装置の故障を装って修理をしていた問題についてお伺いします。島津製作所は、子会社の熊本営業所が、X線検査装置の回路にタイマーを仕掛ける手口で故障を装って部品を交換した事案について、社内調査をしています。 あまり例がない手口で特異な事案だと思われますが、大臣のご所感をお伺いします。また、厚労省にはこの件に関して報告はありましたでしょうか。
大臣:
その件は新聞報道では承知をさせていただいおりますし、島津製作所が、疑義があるというプレスリリースがされていることも承知しております。それを踏まえて私どもも事実確認等させていただいております。
記者:
今後、国として何か対応するお考えはありますでしょうか。
大臣:
事実確認をした中で判断をしていくということになります。今の段階でどうこういうことは申し上げられる状況には至っておりません。
記者:
全数把握について改めてお伺いしたいのですが、昨日、東京都の小池知事が全数把握継続の意向を示されています。自治体での状況に応じて、それぞれの判断ということですけれども、感染者数が比較的多い都道府県で、そういった全数把握を継続するという対応を取られていることについてご所感をお願いします。
大臣:
別にこちらに移ってくれと申し上げたのではなくて、知事会等からもかなり現場に負担がかかってきているので、本来の医療にマンパワーを割く、そのためにも早急に見直しをしてほしいと、こういうお話があったので、当面、早急に対応できる措置として、どういうものかということを検討させていただいて、先般、お示しさせていただいたわけでありますから、そこまで至っていない、それは、単に感染者数だけではないと思います。発熱外来の数とか、いろいろなことを総合的に判断する。まさに、その判断が一番現場に近い都道府県の知事、あるいは都道府県で判断いただけるということですから、それはそれぞれの状況に応じて、ご判断していただければいいのではないかと思います。
記者:
先ほどの閣議で、安倍元総理の国葬として2億5000万円の支出が決まったと思いますが、国葬については国民の中で是非が分かれていると思いますが、加藤大臣ご自身は、是非を含めてどのように開催すべきであるとお考えか教えてください。
大臣:
安倍元総理の国葬儀については、憲政史上最長の8年8か月にわたり内閣総理大臣の重責を担ってこられたということ、また大きな実績を様々な分野で残されたこと、選挙運動中での非業の死になったこと、また更には、国内、特に海外から高い評価と幅広い弔意が寄せられていること、こうしたことを踏まえて、我が国として、故人に対する敬意と弔意を国全体としてあらわす儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、その場に各国代表の出席を得るという形で執り行っていくことが適切ということで判断されたものと承知しているところであります。国葬儀については様々なご意見があることは承知をしておりますが、国葬儀というのはどういったものであるのか、例えば喪に服すること等を求めるものではないことなど、しっかり説明しながら、国民の理解を得ていくことも必要だと考えております。
記者:
コロナの療養期間の見直しについて、先ほどの質問の中で、うつすことのエビデンスにあまり変わりがないというお話があったと思うのですが、今回の見直しにあたってやはり、最大の社会的な要請としてあるのは、職場が回らなくなっているというところが非常に大きいと思うのですが、厚生労働省としてそういった社会的要請、働き方が変わったかということは、今回の見直しの要素として考慮するお考えはありますでしょうか。
大臣:
まさに感染がどれくらい、感染されてから他人にうつすというリスクがどうなっているかとか、そうしたことをベースにしながら、今お話があったように社会全体を回していくということ、これも非常に大事なことでありますから、これまでもそうだと思いますが、その兼ね合いを見ながら判断していくということだと思いますが、今の時点で先ほどお答えしたようにこうだ、という結論に至っているわけではないということであります。
記者:
ウイルス量が減っていないから、縮めるのは無理だと決めつけているわけではないとお考えですか。
大臣:
決めつけているわけではないとと違う方向にもつながると思うので、そこの評価も含めて中で議論させていただいているということであります。

(了)