後藤大臣会見概要

(令和4年7月15日(金)9:31~9: 57 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
 私の方から一つお話をさせていただきたいと思います。先ほど、政府の新型コロナ対策本部が開かれまして、「BA.5系統への置き換わりを見据えた感染拡大への対応」を決定いたしました。
 この中の「具体的な対応」のうち、「保健医療提供体制の確保」については、先手をうって7月5日に事務連絡を発出し、都道府県等に対し「全体像」により整備してきた体制の点検・強化を要請したところです。 これに加えまして、本日の対策本部の決定等を踏まえまして、厚生労働省として次の取組を行ってまいります。
 まず、新型コロナウイルスのワクチンの4回目接種については、これまで、重症化予防効果を目的として、60歳以上の方と、18歳以上で、基礎疾患がある方や重症化リスクが高いと医師が認める方を対象として実施してきたところでございます。
 今般、足下で新規感染者が急速な増加傾向にあり、重症者数の増加や、医療提供体制への影響が懸念されております。 
 ワクチンの感染予防効果は限定的とのエビデンスに特段変わりはありませんが、重症化リスクの高い方が集まる医療機関・高齢者施設等の従事者を対象とした4回目接種について、足下の急速な感染拡大を踏まえた総理のご発言を受け、審議会にお諮りした上で、早急に進めてまいりたいと思います。
 行政部内の準備作業にすでに着手をいたしました。 
 具体的には、7月22日(金)に開催予定の厚生科学審議会においてご議論いただきまして、了承されれば、速やかに必要な手続を行い、新たな対象者に対する4回目接種を、予防接種法に基づく予防接種として位置付けることになります。
 次に、高齢者施設における新型コロナワクチンの4回目接種に関しまして、各自治体に対して、接種完了見込み、これは施設数について調査を行ったところ、3回目接種から6ヶ月後には概ね9割の施設で接種がなされる予定との報告を受けております。
 例えば、2月中に3回目接種を行った施設のうち、約9割の施設で8月末までには4回目接種が終了する予定だと、そういう意味でございます。 
 高齢者に対する早期接種の観点からは、4回目接種を前倒しで行っていただく必要があり、本日、調査結果を公表するとともに、事務連絡を発出しまして、3回目接種の完了から5ヶ月経過した後の可能な限り早期に、4回目接種を実施することの徹底や、施設の入所者全体が3回目接種の完了から5ヶ月経過することを待つのではなくて、複数回に分けてでも出来るだけ早期に実施すること等を自治体等にお伝えし、早期の接種を求めてまいります。
 また、高齢者施設等の従事者等に対する集中検査について、これまで地域の感染状況を注視した上で実施を検討していただいていたところでありますが、現下の感染状況を踏まえて、全ての都道府県に対し、集中的検査計画に基づく頻回検査を実施するよう、すなわち行政検査として実施するように要請することとしております。
 今後の感染状況について、最大限の警戒を保ちつつ、引き続き、適宜適切な対応を図ってまいりたいと考えています。私からは以上です。
 

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年6月17日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
4回目の(新型コロナ)ワクチン接種の対象拡大についてお伺いします。今回、医療従事者などおよそ800万人を対象に拡大するとのことですが、ワクチンの供給量は十分でしょうか。また、22日の審議会で了承された場合の最短で開始できる日時も教えて下さい。
大臣:
まず、4回目接種開始前、5月9日の時点で未使用ワクチンが全国で調査の結果約4,500万回分あります。これに加えまして、4回目接種用のワクチンとして自治体に対して新たに約5,980万回分の配分可能量を4月にお示して順次希望量を配送しているところであります。
 3回目接種者のうち60歳以上の方は3,829万人、今回拡大した医療(従事者)、高齢者施設の従事者等でざっと800万として(足すと)4,600万と言うことですから、対象となる医療者の具体的な範囲は、今後、審議会において検討することになりますが、4回目接種に必要なワクチンはそういう意味で十分確保できていると考えています。
 まずは、各自治体で保管しているこれらのワクチンを活用して4回目接種をしていただくことで十分対応可能だと考えています。
 足下で新規感染者が急速な増加傾向にあることから、重症化リスクの高い方が多数集まる医療機関・高齢者施設等において従事者を通じた集団感染が発生して多数の重症者が発生することや、医療提供体制が懸念されることから、これを踏まえて具体的な対象者の範囲については(厚生科学)審議会において検討いただくことになりますが、エッセンシャルワーカーについては、定義は定かではありませんが、重症化リスクの高い高齢者等が多数集まることが通常想定されない場合には、申し上げた考え方に照らせば、該当しないものと考えるということであります。 
 いつから打つかということについては、3回目接種から5か月空けるということは、薬事・食品衛生審議会あるいは厚生科学審議会で示された接種の原則でありますから、この原則を守ってできる限り早くに開始をしていただくようにということで考えております。
記者:
総理は昨日の会見で障害者施設の従事者への4回目接種について大事だという趣旨の発言をされました。障害者施設にも高齢者施設と同様、重症化リスクが高い方が多くいますが、4回目接種の対象に含まれるのでしょうか。検討状況を教えて下さい。
大臣:
足下で新規感染者数が急激に増加しているという、そういう状況にあることから、今説明を申し上げたとことではありますが、重症化リスクの高い方が多数集まる医療機関・高齢者施設等において従事者を通じた集団感染が発生し、多数の重症者が発生することや、医療提供体制に影響が生じることが懸念されると。その対応として、今回のことは新たに考えているわけです。 その考え方に照らせば、障害者施設の従事者についてもリスクの高い方たち、高齢者、障害者の支援に携わっているということで言えば該当するものと考えられるものと思います。
 しかしその具体的な対象範囲については、(厚生科学)審議会において検討いただくことになりますから、考え方については今申し上げた通りです。
記者:
今回の感染拡大ではワクチン接種3回目が進んでいない40代以下での感染者数の増加が顕著になっています。若者の重症化率は低いものの、感染拡大すれば社会経済活動への影響は大きいと思われます。若い世代の3回目接種への大臣のお考えと今後の促進策があればお聞かせ下さい。
大臣:
新型コロナに感染した場合に、若い世代の方でも重症化するケースもあります。また、いわゆる後遺症の心配もあることから、高齢者はもとより、若い世代の方についても、新型コロナワクチンの3回目接種は重要であると考えています。 3回目接種については、科学的知見によれば、オミクロン株に対する1・2回目接種による感染予防効果や発症予防効果は、経時的に低下するものの、3回目接種により回復すること、また、入院予防効果は、一定程度の経時的低下を認めるものの、発症予防効果と比較すると保たれていて、さらに、3回目接種により回復することが確認されています。
 政府としては、これまでも、高校生、大学生等に向けたリーフレットを作成したり、接種を促すCM等の情報発信をしたりするなど、若い方への接種促進に重点を置いて、ワクチンの有効性や接種の意義等について広報の強化に取り組んでいます。 加えて、更に若い世代の方々に接種を受けていただくために、自治体と大学・企業が連携しまして、予約に空きのある自治体の大規模接種会場等を活用することや、学生や従業員へ団体接種の取組を促進しています。
 また、自治体に対して、団体接種の先進的な取組例について情報提供するとともに、取組を進めるように依頼を強めているところです。   
 今後とも、必要な情報をしっかりと発信しながら、接種の必要性等について若い方にも理解していただけるように、引き続き、丁寧にわかりやすく周知を図って進めていきたいと思います。
記者:
冒頭の今後の対応について、社会経済活動をできる限り維持しながらということですが、濃厚接触者の自主待機期間が長いということで、感染拡大によって働けなくなる人が増えてしまって社会経済活動を維持できないのではないかという恐れが出てくると思うのですが、この濃厚接触者の待機について、流行拡大局面において何らかの見直し、重症化リスクの少ない人とか、高い人と接する可能性の低い人は症状が無い限りはオッケーだとかそういった見直しも必要かと思いますが、現在の大臣のお考えはどのようなお考えでしょうか。
大臣:
当初は、デルタ株等を前提において濃厚接触者の範囲や濃厚接触者の隔離等の基準を作って進めてきました。オミクロン株の姿が分かるようになって、感染しやすいが重症化しにくいというウイルスの性格に応じて、濃厚接触者の範囲、あるいは隔離状況の緩和をこれまで進めてきました。
 相当に濃厚接触者の範囲は狭めていますし、経済活動に影響のある隔離をしない対応になっています。家族とか、特に密な関係があるところについてだけ積極的疫学調査もしていくという形の運用になっております。
 今後ウイルスがどういう形に変わっていくのかとか、あるいは新しいBA.5、その他の性格等に応じて、これは科学的知見に基づいてどういう形で考えていくか、今後ともそうしたものを見極めながら対応をしていきたいと思います。
記者:
緩和する可能性というのがあるかないかということについては、今はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
今は特にどういう方向であるかということは申し上げる状況にありませんが、あらゆる方向で検討したいと思います。
記者: 
コロナ病床についてお伺いします。いわゆる第7波、BA.5の影響を受けた急速な感染拡大の影響で病床の確保が追いついていない病院というのも一部出てきているようです。今後第6波のピーク越えも予想される中、現在の「全体像」と言われるもの、体制も入れて十分なのか、更なる支援は必要なのか、大臣のお考えをお願いします。
大臣:
コロナ病床については、各都道府県において、地域の感染拡大の状況に応じて、段階的に増加させていく計画を予め策定して、これに基づいて病床の確保を行っていくということにしています。
 具体的に言えば、昨年の急速な感染拡大に学んで、昨年の秋に策定した「全体像」に基づいて、感染のピーク時においても、確保したコロナ病床が確実に稼働できるよう、都道府県と医療機関の間において、要請が行われてから確保病床を即応化するまでの時間等を明確化した書面を締結することとして、これに基づき病床の確保を行うというような対応を進めています。 
 その上で、今般の感染拡大に際しては、新規感染者数が全国的に増加に転じたことを受けまして、7月5日に、各都道府県等に対して、速やかに事務連絡を発出して、感染状況に応じて遅れることなく確保病床を稼働させることについて、先手の準備を要請させていただいたところです。 
 さらに、この事務連絡におきましては、医療機関がコロナ病床を確保するに当たって、効果的かつ負担の少ない感染対策がとれること、例えば具体的には、病棟単位でなくて病室単位でのゾーニング等ができるとか、それから、救急搬送されたような事案については確保病床、即応病床についても、一時例えば熱中症で担ぎ込まれた方を対応するようなことは認めるなど、そうした効果的かつ負担の少ない対応についても随時出しておりまして、そういう意味ではより確保病床がしっかりと確保していけるようにという配慮をいたしております。 
 いずれにしても、引き続き、都道府県とも緊密に連携を図りまして、必要な支援も行いながら、地域におけるコロナ病床の確保に万全を期していきたいと考えております。 ちなみに、病床の確保について各都道府県から計画に従った確保病床の確保について、困難が生じているという報告は、各県からはきておりません。ただし、もちろん医療の現場においては通常医療とのバランスの問題や、あるいは今言ったように熱中症等で担ぎ込まれる方等の対応だとか、大変なご苦労をいただいているという認識は持っております。そういう意味では医療関係者の皆さんや現場の医療機関等にとっては大変な厳しい作業になっているということに大変感謝しておりますが、少なくとも各県においては、これまで示した計画に、実行に困難が生じているという報告は受けておりません。
記者:
 「中国帰国者2世に対する支援」のあり方について質問させて下さい。国は現在、2008年施行の中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び定住帰国者の自立の支援に関する法律に基づいて、帰国者1世とその配偶者の方に老齢基礎年金と生活支援給付金を支給しています。
 一方で1世を支えるため後に来日した帰国者2世とその中国人配偶者の方に、こうした支援制度は現行ございません。30代以降に日本語が話せず日本に来日して、就労期間が短く、年金が積み立てられないまま高齢化した2世の方とその配偶者の方が今長野県内でも生活に苦しんでいるという状況にございます。 国として、1世同様の支援制度を2世とその配偶者の方に拡充するというお考えはございますでしょうか。
 また、生活に苦しむ2世、そしてその配偶者の方は国策で進められた満蒙開拓の歴史の延長線上にいる、ある意味では犠牲の側面があると言えるとも考えます。大臣として帰国者2世とその配偶者を支える国の責任について、いかがお考えでしょうか。お願いします。
大臣:
戦前、中国東北地域、旧満州地区には、満蒙開拓団をはじめとして多くの邦人が在住しておりましたが、先の大戦に起因して生じた混乱等により本邦に引き揚げることができず、また、国交の回復の問題等もあって、長期にわたって中国等の地域に残留することを余儀なくされて、帰国後も生活が困難な状況におかれたということを十分承知いたしております。
 このような中国残留邦人に対する補償について、国としての法的な責任を有するとは考えておりませんが、一般の引揚げより帰国が遅れて、長期にわたって中国に残留を余儀なくされたために、日本人として義務教育を受ける機会がないまま、帰国後の生活を始めざるを得ず、多くの人が、日本語が不自由な状態にあること、それから帰国が遅れたために、他の引揚者と異なりまして、高度経済成長の恩恵を享受することができず、また、老後の生活への備えができないままに高齢に達しているという、そういう特別な事情に鑑みて、老後の生活の安定のため、国として必要な支援策を講じているところです。   
 一方で、中国残留邦人の2世につきましては、必ずしもこのような中国残留邦人1世と同様な事情があるものとは言えないと考えております。    
 中国残留邦人2世の支援の拡大については、「中国残留邦人等支援法」に基づく、満額の老齢基礎年金の支給や支援給付の支給については、先ほど申し上げた中国残留邦人等の特別な事情に鑑みて、老後の生活の安定のために実施しているものでありますが、中国残留邦人の2世については、中国残留邦人1世と同様の事情を有していない中にあっても、自立支援の観点から、生活相談や通訳の派遣、就労支援等の支援を講じてきているところでありまして、ご指摘の点までは現在は考えていないということでございます。

(了)