後藤大臣会見概要

(令和4年6月14日(火)10:01~10:21  省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
 最初にこちらから一点申し上げたいと思います。
 「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」の改正について申し上げます。文部科学省、厚生労働省及び経済産業省で合意しております「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」、いわゆる3省合意について、昨日、改正しましたので、御報告を申し上げたいと思います。
 具体的には、本年4月に経団連と大学等の代表者からなる産学協議会が公表した報告書を踏まえまして、インターンシップを整理、類型化した上で、一定の基準を満たすインターシップで得られた学生情報については、採用活動開始後の使用を可能とするなどの見直しを行いました。
 今回の改正は、産・学の意向も踏まえて、令和7年3月に卒業・修了する学生、主に今の大学2年生が来年度に参加するインターンシップから適用されることになります。
 この見直しによりまして、就業体験を伴う質の高いインターンシップを根付かせ、学生と企業との間のマッチングが向上するよう、文部科学省、経済産業省と連携して、周知・広報にしっかりと努めてまいりたいと考えております。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年6月14日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナウイルスの感染状況ですが、昨日、東京で1月11日以来、およそ5か月ぶりに1000人を下回り、960人となりました。現状の感染状況の受け止めと、感染者の減少が続く中で、改めて、屋内を含めた子どものマスク着用についての緩和など、マスク対策をはじめとした感染対策の緩和についてご検討するお考えがあるのか、またどこまで減少が続けばそうした緩和ができるのか、大臣のご認識をお聞かせ下さい。
大臣:
直近の感染状況については、全国の感染者数は昨日(13日)7,945人、1週間の移動平均では14,926人、1週間の移動平均の今週先週比は0.82となっており、全国的に、概ね全ての地域で減少傾向が続いているといえます。
 東京における感染者数は960人となり、1,000人を下回るのは1月11日以来となります。
 今後の感染状況については、大都市部の短期的な予測では減少傾向の継続が見込まれますが、第1にはワクチンの3回目接種と感染により獲得された免疫は徐々に減衰していくこと、第2に6月は梅雨の時期であり、人流は比較的抑制される傾向にあるが、7月以降は夏休みの影響もあり、接触の増加等が予想されること、第3にオミクロン株の新たな系統への置き換わりの可能性もあることなどから、夏頃には感染者数の増加も懸念されるところでありまして、医療提供体制への影響も含めて注視していく必要があると認識をいたしております。
 新型コロナの感染経路は、飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等でありまして、感染防止のためには、三密の回避や換気などに加えて、マスクの着用が極めて重要でありまして、会話をする際等にはマスクを着用していただくよう、様々な場面で国民の皆様にお願いをいたしているところであります。
 一方で、人との距離が十分取れれば、屋外でマスクの着用は必ずしも必要ではなくて、夏場に屋外で人との距離が十分ある場合、具体的には、少なくとも2m以上の距離を確保できている場合には、マスクを外すことを推奨してきております。
 また、先般(5/20)、専門家の意見も踏まえて、基本的な感染対策としてのマスク着用の位置づけを何ら変更するものではありませんが、身体的距離が確保できないが、会話をほとんど行わない場合のマスク着用の考え方についても明示的に明確化いたしました。
 厚生労働省としては、引き続き「最大限の警戒」をしつつ、安全・安心を確保しながら、可能な限り「日常の生活を取り戻すために必要な対策」を講じていくこととしておりますが、マスクの着用も含めて、基本的感染対策を緩和することは、現時点では現実的ではないと考えております。
 「どこまで感染者数の減少が続けばマスクの着用を含めた対策を緩和できるか」ということにつきましては、具体的にお答えすることは現在の状況で困難でありますが、マスク着用などの基本的感染対策のあり方については、引き続き、感染状況や変異株の流行状況、ウイルスの特徴等も踏まえまして、専門家の意見も伺いながら、検討していくことにしたいと考えております。
記者:
アドバイザリーボードで厚生労働省が公表してきた「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」の資料についてご質問します。5月11日より以前は、HER-SYS上で接種歴の入力がない人を「接種歴不明」ではなく「未接種」として集計し、厚生労働省は発表してきました。
 大臣は6月7日の閣議後会見で、この取り扱い自体は「特に問題があったとは考えていない」「集計はブレイクスルー感染(ワクチン接種後の感染)の人数を調べるためだった」とご説明されました。つまり、集計で重要なのは「接種済み」の人数であって、入力がない人は「未接種」でも「接種歴不明」でも、ブレイクスルー感染(の人数)を調べる目的からすると大きな違いはないという意味だったのでしょうか。問題がないと考える理由をもう少し明確に教えてください。
大臣:
HER-SYSにおける発生届の入力画面において、ワクチン接種歴を入力する欄は、当初、ワクチン接種者が非常に少なかったことから、医療機関や保健所などの現場の入力負担を少しでも軽減する観点から、接種歴を特に選択しない場合には、デフォルトの扱いですが「未接種」としていたわけです。
 このような形で入力されたデータに基づきまして、これまで、単純集計ではありますが、ワクチン接種歴別の新規陽性者数に関する資料を作成してきたことから、昨年12月(12/1)、HER-SYSの入力画面のデフォルトを「未記入」に変更した後も、従来どおりの取扱いに則りまして、入力データを機械的に集計して、アドバイザリーボードに継続的に毎回公表してきたものでございます。
 会見での「特に問題があったとは考えていない」という発言の趣旨は、こうした厚生労働省の集計方法自体に問題があったとは考えていないということで申し上げました。
 一方で、国立感染症研究所においては、昨年12月以降、ワクチン接種歴が「未記入」の方を一律に「接種歴不明」であるとした上で、資料を作成しアドバイザリーボードで公表してきた経緯がありまして、厚生労働省資料の数字と国立感染症研究所資料の数字との乖離が大きくなってきたため、この点については、適切でないと考えておりまして、5月11日のアドバイザリーボード提出資料以降は、国立感染症研究所における取扱いとの整合性を確保する観点から、厚生労働省の資料においても、接種歴が未記入の方は、国立感染症研究所と同様に、「接種歴不明」として取り扱うこととしたものでございます。
 前々回の会見のときに、一部国立感染症研究所のデータの取り扱いが変わったかどうかということについては(回答の)留保をいたしましたが、実は国立感染症研究所は(昨年)7月21日から、要は厚生労働省がアドバイザリーボードにこの資料を初提出して以来、10月13日まで、12月1日の直前までは国立感染症研究所はこのデータを提出してはいませんでした。HER-SYSのデフォルト変更を行った12月1日に初めて、アドバイザリーボードに資料を初提出しまして、このときはデフォルト変更前の資料しかありませんでしたから、この資料で一回提出したと。その後、デフォルトの変更を12月8日に明確にした上で、実際は12月16日からADBに資料を提出されたという状況でありまして、その辺りの記憶が少し定かでは無かったので、留保された点についてはそういうことでございます。
 国立感染症研究所は変えたのか、ということについて言えば、「未接種」から「未記入」になっているという意味では変わっているといえるかもしれませんが、デフォルトどおりに計上してきたということから言えば、やり方については変化はないということでございます。
記者:
いまの私の質問に戻りたいのですが、厚生労働省としては、集計方法が問題無かったと認識されている理由をもう少し詳しく教えてください。
大臣:
まずは、入力負担を少しでも軽減する観点から、接種歴を特に選択しない場合に「未接種」としたということは、当時の状況から考えれば、合理的なことだと思いますし、その後データの継続性ということを前提に、12月1日以降についても、同じ集計の仕方で資料を提出したということでありますので、特に問題があったとは考えていないというのは、集計方法自体には問題があったとは考えていないということでご説明をさせていただきました。
記者:
5月11日以降は「未接種」の感染者数がとても減ったのですが、それでも、5月11日以前のデータは実態を反映していたとお考えですか。
大臣:
5月11日に、国立感染症研究所とのデータの相違が段々(大きくなってきたことについては)、それは接種の数が増えてきまして、入力もどんどん増えてはくる訳ですが、回答が無い分を全部「未接種」として集計していくということについて言えば、「未記入」とすることとの間に大きな差が出て参ります。ですから、そういう意味で整えることにしようとしたことで、その乖離が大きくなってきたこと自身について適切だとは決して思っていなくて、それは適切でないということで、揃えたということであります。
記者:
政府とアドバイザリーボードは、この集計を根拠にワクチンの効果について、言及したことがございました。アドバイザリーボードの脇田座長は4月13日と20日、佐々木審議官は4月20日に、それぞれアドバイザリーボードの後の記者会見でこの資料を基にワクチンの効果について言及されたことがありました。また、松野官房長官も5月30日の記者会見で、この資料を根拠にワクチンの効果を主張されました。
 大臣はこの資料の目的はブレイクスルー感染の人数を調べるためというご説明だったのですが、これらは適切だったのでしょうか、ご認識を聞かせください。
大臣:
まず、4月20日のアドバイザリーボード終了後の記者会見におきまして、記者からワクチンの効果に関して「未接種よりも2回目接種、2回目接種より3回目接種」であると判断してよいか、という問いかけがされました。
 それに対して、脇田座長からは、「そういった傾向は見て取れるが様々な影響する因子を排除したものではなく、これを単純にワクチンの効果として計算してよいか確認できてない、そこは注意して解釈する必要がある」旨ご発言されまして、当省の審議官からも同旨の発言をしていると承知をいたしております。ですから、この資料を根拠にワクチンの効果を主張されたとは考えておりません。
 また、官房長官の「3回目接種済みの新規陽性者数は、2回目接種済みの場合と比べて低く抑えられている」という発言も資料から読み取れる事実を述べたものでありまして、ワクチンの効果について言及されたものではないと考えます。
 このため、諸氏の発言は本資料からワクチンの有効性について言及したものではなくて、いずれの発言も適切であったと私の方は考えております。
記者:
松野官房長官の「資料から読み取れる事実」と「ワクチン効果」はどのように違うのでしょうか。それはワクチン効果ではないのでしょうか。
大臣:
ワクチンの効果というか、いま仰っているのは有効性だとか、そういう意味でワクチンの有効性をこれで証明しているのかという意味で「ワクチンの有効性」と申し上げているのでありまして、そういう意味で突き詰めますと、ワクチンの有効性自体は、査読された論文や非常に科学的に精緻に整えられた有効性の評価、あるいは安全性の評価に関する客観的な論文等によって、これは正式にきちんと評価しているので、ここで見ているのは、我々はこの資料をブレイクスルー感染等を見るための資料であるというふうに申し上げてはいますが、いずれにしても、ワクチンの効果・有効性を、ワクチンを打つか打たないか、判断するためのものではなくてそういうかたちで要は、ワクチン接種の事実を機械的に整理して、ワクチン接種の状況をご報告した資料から読み取れる範囲内のコメントをされたということで、有効性評価を行うための資料として使って、発言されたものではないという意味です。
記者:
最後に、今回の問題はインターネット上でも広く拡散してこれをきっかけに接種をためらう人がいてもおかしくないような状況だと思います。接種を進める立場の政府として、今回の問題について反省すべき点、国民に対して釈明すべき点がもしあるなら、この場でメッセージをお願いします。
大臣:
ワクチン接種の政策方針を決める際には、今申し上げたとおり、審議会において、ワクチンの有効性や安全性に関する研究報告や、諸外国の動向等を基にご議論をしっかりいただいております。
 例えば、 オミクロン株に対する1・2回目接種による感染予防効果については、査読付きの海外の論文において、経時的に低下するものの、3回目接種により、一時的に回復することが確認されており、こうした適切にデザインされた研究で得られたデータを政策決定に使用しております。
 引き続き、国内外の情報収集に努めまして、感染状況を踏まえつつ、最新の科学的知見に基づき、専門家の意見を伺いながら、適切に接種を進めてまいりたいと考えております。
 その上で、先ほどお答えしたとおりでありますが、アドバイザリーボードに提出・公表した厚生労働省資料の数字と国立感染症研究所資料の数字との乖離が大きくなった点については、適切でなかったと考えておりまして、整合性のあるデータを今後ともお示しできるよう努めてまいりたいと思います。
 また、資料の作成目的、解釈に際しての留意点、資料の集計方法等の変更等については、その旨を国民に丁寧に説明・公表することが必要であると考えておりまして、今後も適切に対応してまいりたいと考えております。厚生労働省と国立感染症研究所の資料で整合性が担保されたデータをお示しできなかったことや、資料の解釈に際しての留意点などについて十分なご説明ができていなかったことについては、国民の皆様に率直にお詫びしたいと思いますが、メッセージとしては、しっかりとした科学的知見に基づくデータに基づいて国民にお示ししておりますので、そうしたものに基づいて国民の皆様にはワクチン接種をご自身で判断していただく、我々としては3回目の接種にご協力をいただくようにお願いしたいと思っております。

(了)