後藤大臣会見概要

(令和4年6月3日(金)9:43~10:02 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭発言はありません。

質疑

記者:
新型コロナの水際対策について伺います。政府は1日から、入国者の上限を2万人に緩和しました。新型コロナのみならず、「サル痘」の感染も世界的に広がりつつありますが、どのようなことに留意し、感染対策を施していきますか。また、一部報道で、政府が水際の再緩和の検討をしているとの報道がありました。今後の再緩和に向けた大臣の考えを教えてください。
大臣:
新型コロナウイルス感染症の発生前から、国際的な人的往来が活発になっているなかで、わが国に存在していない感染症が侵入してくる可能性が高まるなど、グローバルな視点から感染症対策を考えていくことが必要とされておりまして、国際的な感染症の発生動向の監視を行いつつ、国内の監視体制の強化に取り組んできております。
 今般、欧州等で報告されているサル痘につきましては、検疫での注意喚起や、国内の監視体制の強化をしているところでありまして、引き続き、諸外国における発生動向等を踏まえまして、適切に対応していくということでございます。
 それから、新型コロナの水際対策についてでございますが、G7並みに円滑な入国を可能とするという方針の下で、流入リスクに応じた検疫体制をとりながら、入国者総数を1日1万人目途から2万人目途に拡大しつつ、スムーズな入国を確保する措置を、6月1日から実施しているところでございます。
 今後の水際対策のあり方については、段階的に平時同様の受入れを目指しつつ、検疫体制や防疫措置の実施状況等を勘案しまして、国内外のニーズや新型コロナの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等も踏まえながら、適切に判断していくことになるということです。
記者:
医療機器メー力一の「スタージャパン」の関係なのですが、全国の眼科医から手術動画の提供を受けて現金を支払っていた問題で、医師に提供された現金が事実上、メー力一からのリベートだった疑いが報じられています。厚生労働省も調査を進めているということですが、この問題の受け止めと厚生労働省としての対応についてお聞かせ下さい。
大臣:
医療機器メー力一の「スタージャパン」が、全国の眼科医から自社製品を用いた手術動画の提供を受けて、提供した眼科医に対して謝礼を支払っていた、との報道がされていることは承知しております。
 医療機器の取引におきまして、その公正性が疑われる場合には、消費者庁・公正取引委員会が認定した公正競争規約に基づきまして、「医療機器業公正取引協議会」が調査を実施することとされておりまして、この事案に関しても、現在、事実関係の調査が行われているものと承知しております。
 厚生労働省としては、まずは医療機器業公正取引協議会の調査の状況を注視することとしておりまして、現時点においては、コメントは差し控えたいと思っております。
記者:
歯科健診についてお伺いします。先日示された骨太原案には「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討」との文言が盛り込まれました。厚労省として歯科健診の拡充について現時点でどのようなお考えをお持ちでしょうか。
大臣:
ご指摘のとおり、先月31日の経済財政諮問会議で示された「経済財政運営と改革の基本方針2022」骨太の原案におきまして、「生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)の具体的な検討」との文言が盛り込まれております。
 厚生労働省としては、生涯を通じて歯科健診を受けていただけるような環境を整えることが重要だと考えておりまして、これまで、自治体が実施する歯科健診について財政支援を行う、自治体において受診率を高めるために行われている工夫、例 えば、がん検診など別の検診との一体的な実施など、様々な事例の収集と横展開などを進めているところでございます。
 今後決定される「骨太の方針」も踏まえつつ、生涯を通じた歯科健診の推進に取り組んでまいりたいと思っています。
記者:
出産事故で子どもが脳性麻痺になった人に、国が一定額を補償する「産科医療補償制度」についてお伺いします。今年から審査基準が大幅に緩和されて救済対象が増えた一方で、過去の基準で対象外とされた人から改めて救済を求める声が挙がっています。
 この問題について、先日の参議院予算委員会で岸田首相は「現状この制度での救済は難しいと承知をしていますが、丁寧な検討と説明が重要」と述べました。「丁寧な検討」というのは具体的にどのように進めていくのか、大臣のお考えを教えて下さい。また、現時点で救済が難しい理由についても教えて下さい。
大臣:
産科医療補償制度は、安心して産科医療を受けられる環境整備の一環としまして、平成21年から運営が開始されておりまして、医療保険者が「出産育児一時金」として掛金を全て負担する民間の「保険制度」により実施いたしております。
 補償対象基準や掛金は、各々の時点での医学的知見や医療水準を踏まえつつ、医療保険者の協議により定められておりまして、現状、保険契約について、事後的に遡及して変更し、補償対象とすることは想定されていないことから、この制度での救済は難しいと考えております。
 その上で、5月30日の参議院予算委員会で、岸田総理より、現状、この制度での救済は難しいと承知しているとしつつ、運営組織において、親御さんの声をよく聞いていただき、丁寧な検討と説明が重要であると考える旨の答弁がありました。
 この「丁寧な検討」については、運営組織である日本医療機能評価機構において、今後とも、制度の運用に関する丁寧な検討と説明が重要であるという認識を示されたものであると考えております。
記者:
厚労省として、運営組織の日本医療機能評価機構に対して何か具体的に働きかけたり、求めたりされますか。
大臣:
日本医療機能評価機構におきましては、いろいろな患者さんの関係や関係者の声があるとすれば、そうした声にも丁寧に耳を傾けて一般的な説明、あるいは丁寧な検討をしていくということだと思っています。
記者:
ということは、厚労省として何か主体的に検討に関わるというお考えは現時点ではないということなのでしょうか。
大臣:
民間の保険でありますから、厚労省として機構に対して指示をするとかいうことまで考えておりませんが、いずれにしても、医療保険者が実質的に掛金を全て負担する民間の保険制度でありまして、運営組織において親御さんの声をよく聞いていただいて、丁寧な検討と説明が重要であると考えております。
 この厚生労働省としての立場は、国会においても今こうした記者会見の場でも明らかにしていますから、日本医療機能評価機構において、適切な対応がとられるものと考えております。
記者:
先ほどの歯科健診のことについて、追加でお伺いしたいのですが、国民皆歯科健診という文言が盛り込まれていますが、いわゆる全国民に義務づけるということは、これは実際問題可能なのでしょうか。費用の面ですとか、人員の面とか、相当今の現状の中で難しいかと思うのですが、そこについて、大臣の今のご見解をお聞かせ下さい。
大臣:
まず一つには、(骨太の原案に)分かりやすく「いわゆる国民皆歯科健診」と書いてありまして、まず「いわゆる」という形で、生涯を通じた歯科健診の具体的な検討対象として「いわゆる」と書いてあります。具体的な検討ということですから、どういうような形で検討していくかということついて、それからもう一つ言うと、お尋ねがありましたから原案に出ていることを前提にコメントいたしておりますが、この骨太自身は、まずはまだ決定をされていないということでありますから、まだまだこの文章が確定したのかどうかということも留保しておかないといけないと思います。
 その上で、「いわゆる国民皆歯科健診」の具体的検討ということで生涯を通じた歯科健診が、これは例えば高齢化していったときにも健康を維持していくために、やはり非常に歯科の健診、歯をしっかりとケアするという、口腔ケアをしっかりするということが健康にも繋がっていくという最近の知見に従って、こうしたことを丁寧にやっていくという検討だと思っていますので、どういう財源で、本当に国民に強制できるかとか、そういうことまで今、「国民皆歯科健診」ということで規定しているわけではなくて、「いわゆる国民皆歯科健診」として検討をすることだと思います。
記者:
新型コロナワクチンの廃棄について伺います。先日の大臣会見では、コロナウイルスワクチンの廃棄の数は調査してないということだったのですが、一定の廃棄込みで必要経費だという考え方もあるかと思いますが、調達の方法ですとか、自治体への配付の方法も含めて、(調査から)廃棄が落ちた理由について検討をされるお考えはありますでしょうか。
大臣:
今、廃棄の実数を調査したり、それを明確に捕捉していくということは、今現場は大変に厳しい状況にあるので、それをやることは難しいということは申し上げております。廃棄はどういう局面で起こるかというと、一つは期限切れで起こる場合、あるいは1バイアルから15回を目途に例えばとるとか、何回目途にとるとかいうことになっていますが、そこにおいて誤差が生じたり、あるいは少し使い残しが生じたりと、そういうものはある程度接種においてのアローワンスとしてとっているというようなものもあります。
 一方で在庫について管理をしないかというと、例えば3回目接種のときも、それから、その後においても、それぞれの市町村、それぞれの接種機関がどれくらいの在庫を持っているのかということは調べた上で、実際に900万回とかそういうのを、接種のためのワクチンの保有として管理をし、それを使って接種を進めていくということはしています。ですから、先ほど申し上げたような期限切れだとか、1バイアルから何回とってどれくらい捨てたのかとか、そのようなことについてまで、なかなか具体的に今の現状から考えると調べていくということも難しいと。
 それよりも、今全力を挙げていくべきは、3回目接種を、特に若い方を中心に接種を進めていただくこと、あるいは始まった4回目接種についても、リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方たちにきちっと打っていただくように、そのことについて全力を投入していくということが今最も大切なのではないかと考えております。
記者:
6月に入って気温が上昇してきまして、熱中症で搬送される方も増加してきていますが、一方で屋外でマスクを外すことが推奨される場面においてもマスクの着用者が依然多いという現状があると思いますが、改めてこういった現状の認識と、夏場の正しいマスクの着用について大臣から呼びかけや注意喚起等がございましたらお願いします。
大臣:
今ご指摘のあったように、大変温度も高くなってきておりまして、熱中症のリスク等も高まっております。そうした中で先だって基本的なマスク着用の原則を変えるものではありませんでしたが、少なくともそれほど近くないようなところで、そしてそのマスクの着用についてルールを改めて確認させていただくようなことを明確にいたしました。
 そういうことで是非皆さんにはそういうルールに従って、健康に十分努めていただいて屋外でのマスクをしないとか、屋内であっても会話をしなくて離れているような場合のマスク着用が義務づけられてはいないということを明確に理解をして、やっていただきたいと思っています。
 そのことについて言えば、今後、厚生労働省としてもその内容をポスター、あるいはSNS等にもあげておりますが、そうした広報周知活動をもう一段強めると共に、政府としてももう一段の広報をしていく必要があると思っています。

(了)