後藤大臣会見概要

(令和4年5月10日(火)9:31~9:54  省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
 冒頭発言はありません。

質疑

記者:
新型コロナの感染状況についてお伺いします。東京都では3日連続で前の週の同じ曜日を上回るなど、再び感染者の増加傾向が見られますが、大臣の現在のご認識と今後の対策についてお聞かせください。
大臣:
直近の感染状況につきましては、ゴールデンウィーク中は診療及び検査数が少なくなっているという事情もありますから、単純に判断することは難しい訳でありますが、全国の感染者数は昨日(9日)時点で、28,368人、1週間の移動平均では29,877人となっております。1週間の移動平均の先週今週比は0.89となっているところでございます。
 感染状況については、感染の増加要因として、ゴールデンウィーク期間中、旅行など行楽やイベント・買い物など移動や外出の機会が増えていること、BA.2系統への置き換わりなどが考えられます。
 一方で、感染の抑制要因としては、ワクチンの3回目接種が進んでいること、 暖かい季節になりまして、換気等の対策が行いやすくなっている、そうしたことも考えられているところであります。こうしたいわゆる感染の増加要因・抑制要因、こうした要因の影響を含めまして、感染状況を引き続き注視していく必要があると思っています。
 国民の皆様におかれては、GW後もマスクの着用、手洗い、三密の回避、換気などの基本的な感染対策に努めていただくこと、ゴールデンウィーク明けの通学や通勤などを再開する場合に、体調管理を心がけていただくこと、連休は終わりましたが、引き続き、積極的に検査を行っていただくこと、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えていただくこと、そうしたことについてご協力をいただきたいと思っております。
記者:
岸田総理は6日の会見で、新型コロナウイルス対策に関して「専門家の見解を踏まえ水際を含む対策を6月にも段階的に見直し、日常をさらに取り戻していきたい」と発言されました。感染者は再び増加傾向にありますが、厚労大臣として、日常を取り戻すためにどのような対策の見直しが必要と考えるかお聞かせください。
大臣:
オミクロン株への対応に際しましては、「全体像」で整備した保健医療提供体制をしっかりと稼働させることを基本としつつ、オミクロン株の特徴を踏まえて、大きく3つの方向性に沿って対策の重点化・迅速化をこれまで図ってきています。
 第一には、「高齢者等、ハイリスク者への備え」として、重症化リスクの高い高齢者への(ワクチンの)追加接種や、高齢者施設における感染対策や医療支援の強化を進めてきております。第二に、「軽症・無症状患者等、医療を必要とする方のアクセスの確保」として、診療・検査医療機関の公表や拡充、そして自宅・宿泊療養者への医療支援体制の強化を進めてきております。第三には、「社会経済活動の維持」として、一般の事業所等については、保健所による一律の濃厚接触者の特定や行動制限を行う必要はないものとしてきているなどの措置をとっています。
 総理からは、連休後の感染状況をしっかり見極めた上で、6月にも、専門家の見解も踏まえつつ、水際対策を含めた、コロナ対策を段階的に見直し、日常をさらに取り戻していきたいという御発言もあったと承知しております。
 水際対策については、6月以降のその具体的なあり方について関係省庁で検討中ではありますが、検疫体制や防疫措置の実施状況等を勘案して、新型コロナの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、政府全体で適切に判断していきたいと思っています。
 今後も、オミクロン株の性状や感染状況、専門家の意見も踏まえながら、必要であればこれまでの考え方にとらわれることなく、適時果断に対応していきたいと思っています。
記者:
水際対策の緩和についてお聞きします。先ほど、「これまでの考え方にとらわれることなく」とおっしゃいましたが、入国時の空港検疫について、いま全数を空港で検査するという方式自体を変えることを検討の範囲に含めるのか、または実際に検討されているのかについてお聞かせください。
大臣:
入国者の総数の上限につきましては、4月10日より、1万人程度に引き上げられておりまして、入国者の増加に向けて、「ファストトラック」の活用や、検疫所職員の確保、業務の外部委託など様々な工夫を講じて、水際対策に必要となる検疫体制の強化を図ってきているところであります。
 入国者総数の制限を含めまして、6月以降の水際対策の具体的なあり方については関係省庁で検討中でございますが、検査体制や防疫体制の実施状況等を勘案して、新型コロナの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえながら、政府全体で適切に判断していきたいと考えております。
 いずれにしても、それぞれこれまでとってきた措置について適時に判断していくということでありまして、「適時果断に対応」の意味は、必要であればこれまでの考え方にとらわれることなくということで、従来から申し上げていることでありまして、例えば水際対策ということであれば、これまでの水際対策の方針に沿って、状況を踏まえながら、どういう風に対応していくか、丁寧にそれは検討していくことだと、それはご指摘のとおりだと思います。
記者:
(入国者が)現状の1万人でも、待ち時間が長時間になるなど、入国時に対する業務に限界が来ているかと思うのですが、人数を増やしていますが、この状況を改善するためには、やり方の見直しが必要だとお考えでしょうか。
大臣:
(入国者総数の上限について)1万人程度への引き上げを4月10日から行っておりまして、確かに、混雑が一部見られるというご指摘はあるわけですが、それでも先ほど申し上げた、「ファストトラック」は相当な方達に利用していただけることになりまして、利用率は大体半分くらいでありますが、デジタルで事前に報告が記入できるということで、随分とスピードアップに役に立っているという認識ではおります。
 それに検疫所職員の確保につきましても、令和4年度より職員体制を130名以上増やすとか、あるいは業務の一部の外部委託というのは、例えば空港などにおいては、職員の10倍程度、エアライン関係者に外部委託をして体制整備を行うなどの、これまで体制を取ってきております。
 今後のことは、先ほど申し上げたように、関係省庁と検討中でありますが、新型コロナの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況等を踏まえつつ、当然検疫体制や防疫措置の実施状況等も勘案しながら、政府全体で判断していくわけでありますが、少なくとも1万人に拡大した体制ということでいえば、今のようなことで、体制をまかなえているとは考えています。
記者:
医薬品の供給不安が続く中で、薬の切り替えや中止を余儀なくされ、患者から「副作用が出た」といった訴えや、てんかんの重い発作を起こして入院に至った患者の事例が学会の調査やNHKの取材で明らかになっています。また、ジェネリックから先発品への切り替えで経済的負担の増加や、高齢者の誤飲リスクも指摘されています。厚労省として、こうした影響をどのようにみているのか、今後の対応について教えてください。
大臣:
2020年末以降、後発医薬品メーカーの医薬品医療機器等法違反を契機に、後発医薬品を中心に、需給がひっ迫している状況が続いております。
 患者の皆様や関連学会からは、薬を切り替えた際に副作用が生じたこと、効能・効果が不十分であることなど、様々な訴えがあると認識しております。 また、薬の切替えに伴い、患者の皆様には、薬代の負担増が生じている。例えば、後発品から先発品に戻すようなことがあれば、相当な負担増が生じる場合がございます。
 医師・薬剤師の皆様には、医薬品の確保だけでなく、薬の形状や飲み方が変わることを踏まえた服薬指導など、ご負担をおかけしている状況にもあると承知をいたしております。
 厚生労働省では、後発医薬品については、承認審査において、先発医薬品と有効性、安全性等が同等であることを確認はしておりますけれども、今後、学会等で懸念が示された後発医薬品等の評価・改善に取り組む「ジェネリック医薬品品質情報検討会」において、今回示されているご懸念についても検討する予定でございます。
 それからこうした検討会で特別にジェネリックの問題について、懸念事項を検討する以外に一般的に医薬品の安全対策としては、製造販売卸売業者に対して、副作用や、海外における安全対策に関する情報の収集と報告を求め、また、厚生労働省においては、副作用等の情報を収集して、それを評価した上で、必要に応じて添付文書の改訂等を通じ、医療現場への注意喚起を行うなどの措置を講じておりまして、こうした措置は、ジェネリック医薬品についても共通で行っております。
 それから、後発医薬品の安定供給に向けまして、各製品の供給量に関する実態調査を行っております。メーカーに対し、供給量が十分な製品について、出荷調整を解除するよう求めるとともに、医療関係者に対して、これらの製品の供給状況を共有して、間違っても買い占めを行うとか、大量発注を行うことがないような適切な注文を要請するといった対応を行っております。
 引き続き、関係者と連携しながら、患者の皆様の安心確保と後発医薬品の安定供給にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。
記者:
GMP違反を巡って、不正が相次いだジェネリックメーカーについては、人材確保・育成が追い付かないほど、国がジェネリックの急拡大を推進したことも要因のひとつとみる専門家も少なくありません。また薬価の引き下げが続き、メーカー側の人材や設備への投資を消極的にさせているという指摘もあります。品質最優先の体制をメーカーが堅持するために手当てを十分に講じてきたか。また、ジェネリックの普及を急ぎすぎた側面はなかったのでしょうか。今後、改善・対応する点があれば教えてください。
大臣:
後発医薬品の使用促進については、メーカーに品質管理の徹底を求めた上で、メーカーの生産体制の拡大状況も踏まえて、段階的にこれまで目標を立てて随時進めてきたと考えております。
 今回ご指摘のような足下の供給問題が発生している背景には、メーカーにおける法令遵守体制が不十分といった課題のほかに、数量シェア獲得のための過大な値引きによる価格低下が、十分な設備投資を困難にしているといった、後発医薬品の特有の課題もあると認識をいたしております。
 このため厚生労働省におきましては、メーカーに対する法令遵守体制整備の義務付けや、行政による製造管理体制の監督強化を行うことに加えまして、医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉を慎むようにガイドラインでその厳格化を進めてきたところでございます。
 なお、医療上必要性の高い医薬品のうち、薬価が低く供給維持が困難なものについて、一定の要件を設定して、薬価改定の際に薬価維持をするという制度でございますけれども、こうしたことも適用を行うということで考えてきております。
 いわゆる基本的な医薬品の制度(基礎的医薬品)のことでありまして、薬価改定の際の薬価維持ということにも配意をしております。今後、こうした取組を引き続き実施するとともに、業界団体の意見も踏まえながら、後発医薬品の課題の解決に向けて、しっかりと対応して行きたいと考えています。
記者:
現在の感染状況について、引き続き状況を見極める必要があるということですが、沖縄県に限ると過去最多の数を更新しています。現状、大臣はその要因をどうみられているのか。ワクチン接種率も依然として低い状況ですが、今後どのような対策が必要と考えるかお聞かせください。
大臣:
沖縄(県)の状態というのは、相当にやはり感染状況の水準が高いと。非常に高いスティープなカーブで感染が増えて来ているなかで、最近は少しのこぎり状態で高原状態にあるという認識も持っております。
 いずれにしても、それぞれの地域で、どうした要因でそうしたことになっているかの分析は行ってきているわけでありますけれども、地域の例えば行事あるいは、外から大勢の観光の方が見えるだとか、色々個別の事情はあるだろうと思いますけれども、全面的に沖縄に対しては、厚生労働省、政府としてもチームを派遣して直接国と沖縄県との間の連絡を密にして具体的体制をとるなど様々な対策を講じてきているところでありますけれども、引き続き必要なことがあればしっかりと対応していくことというだろうと思います。
記者:
日本郵便の小規模郵便局長の採用試験を巡る問題について、郵便局長で作る「全国郵便局長会」が局長志望者に対して、試験前に配偶者を同席させて面接を受けさせるなど独自の人物選考を行っていることが明らかになりました。選考の通過者に対し、政治活動の重要性などを指導して理解させた上で、採用試験を受けさせており、こうした内容は局長会が作成したマニュアルにも明記されています。慣例として採用試験で局長会が認めた人物しか合格しておらず、思想・信条や家族に関することなど就職差別につながりかねない事柄が採用基準となっており、労働行政を所管する大臣の見解をお聞かせ下さい。
大臣:
個別事案については回答を差し控えさせていただきたいと思います。
 なお、一般論として申し上げるのであれば、厚生労働省では、支持政党や家族に関することなど本人の適性や能力に関係ないことを採用基準とすることは、就職差別につながるおそれがあることの周知・啓発を行っております。
 いずれにせよ、公正な採用選考の観点から問題が把握できた場合は、適切に対応してまいりたいと思います。
記者:
日本郵便は公的なサービスを担う会社で、採用や人事の公平性が強く求められる中で、その社員たちがマニュアルまで作って政治活動を重視した実質的な採用者選考を行っている状況なのですが、厚生労働省として事実関係の確認や調査を行う考えはございますでしょうか。
大臣:
先ほど申しあげたように、個別事案について私の方から回答をすることは差し控えさせていただきたいと申し上げたとおりです。そして一般論として申し上げるのであれば、厚生労働省では、支持政党や家族に関することなど本人の適性や能力に関係ないことを採用基準とすることは、就職差別につながるおそれがあると考えておりまして、その旨の周知・啓発を行っているところです。
 公正な採用選考の観点から問題が把握できた場合には、適切に対応してまいりたいと考えています。

(了)