後藤大臣会見概要

(令和4年3月25日(金)9:32 ~ 10:00 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
それでは今日は冒頭からいくつか発言がありますので、冒頭発言からさせていただきたいと思います。
 最初に一つ目ですが、新型コロナウイルス対策予備費使用の閣議決定が今日、閣議で行われました。厚生労働省の所管で合計1兆3,475億円の予備費の使用を閣議決定いたしました。
 具体的には、ファイザー社及びモデルナ社のワクチンを追加で確保するために必要な費用として6,670億円、治療薬の追加確保や治療薬の早期実用化に向けた治験に対する追加支援に必要な費用として4,397億円、抗原検査キットを確保するために必要な費用として929億円、検疫体制の確保に必要な費用として1,479億円を措置することといたしました。
 引き続き、国民の皆様の生命、そして生活を守るために万全を尽くしていきたいと考えております。

 それから2番目でございますが、予備費にも関係のあることでございますが、新型コロナウイルス感染症の治療薬について2点申し上げます。最初にまず実用化に向けた緊急追加支援でございますが、今般の予備費では、治療薬の追加確保や治療薬の早期実用化に向けた治験に対する追加支援に必要な費用として4,397億円を計上しております。
 このうち、今後感染再拡大や起こりうる新たな変異株の出現に備えまして、治療薬開発を更に加速するための追加支援を行うことといたしました。これまで、累次の予算措置によりまして、126億円を措置して、治験費用の一部を補助してきましたが、今回の予備費で更に150億円を追加いたします。
 引き続き、治療薬の早期実用化に向けてしっかりと後押しをしてまいりたいと思います。一言付言しておけば、この「新型コロナウイルス感染症治療薬の実用化のための支援事業」というのは、これまでの支援事業において、すでに採択されている薬剤のうち、更なる加速を目指すものについて、評価委員会の評価を踏まえて、追加支援を行うものでございます。
 それから、この治療薬についての2番目の点です。塩野義製薬株式会社の新型コロナウイルス感染症の経口治療薬、「S-217622」の購入について、本日基本合意に至りました。薬事承認がなされれば、速やかに100万人分を、それ以降も一定数量を確保するという内容であります。このような合意を結ぶのは、国内企業が開発する経口治療薬については初めてのこととなります。
 今後の承認が前提となりますが、本剤が実用化されれば、軽症者に対する治療の選択肢が更に広がるものと考えております。今後、最終的な合意に向けて、流通などの詳細を更に詰めてまいりたいと考えております。

 それから3番目の点でございますが、これはワクチンについてでございます。 昨日、厚生科学審議会・予防接種ワクチン分科会を開催しまして、新型コロナワクチンの4回目接種のあり方や、12歳以上17歳以下の方への3回目接種について審議いたしましたので、その内容についてもご報告いたします。
 まず、12歳以上17歳以下の方への新型コロナワクチンの3回目接種につきましては、ワクチンの有効性・安全性に関する科学的知見、諸外国における対応状況等を総合的に議論しまして、2回目接種を完了した12歳以上17歳以下の全ての方を予防接種法上の特例臨時接種の対象に位置づけること、使用するワクチンは、薬事上、12歳以上の方への3回目接種が認められたファイザー社のワクチンとすることが適当とされました。
 この審議結果を踏まえまして、厚生労働省として大臣指示を一部改正しまして、本日から適用することといたします。自治体の皆様には、これまでも接種体制や必要なワクチンの確保、接種券の発送の準備等をお願いしてきたところです。希望する方が、円滑に3回目接種を受けられるよう、引き続きのご対応をお願いしたいと思っております。
 また、昨日の審議会では新型コロナワクチンの4回目接種についてもご議論をいただきました。
 ワクチンの効果の持続期間や安全性等に関する最新の科学的知見や諸外国の動向を踏まえて、4回目接種を行うか否か、仮に4回目接種を行う場合には、対象者や3回目接種からの適切な接種間隔等をどのように設定するかにつきまして、引き続き検討することが適当であるとのご意見でございました。専門家の意見も踏まえつつ、検討を進めてまいります。

 それから第4点目でございます。本日、第二期成年後見制度利用促進基本計画を閣議決定いたしました。本計画は、「成年後見制度の利用の促進に関する法律」に基づき、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、成年後見制度利用促進専門家会議の意見及びパブリックコメントを踏まえて策定したものです。
 本計画には、令和4年度から令和8年度までを対象に、成年後見制度の見直しに向けた検討と権利擁護支援策の総合的な充実、成年後見制度の運用の改善、後見人への適切な報酬の付与、地域連携ネットワークづくりを推進するための政策を盛り込んでおります。
 厚生労働省としては、法務省などの関係省庁や裁判所、地方公共団体などとも連携しまして、本計画に基づく施策を着実に推進していきたいと考えております。

 それから第5番目になりますが、これは人事案件でございますが、本日の閣議におきまして、厚生労働省所管の独立行政法人のうち、3法人の理事長の人事について了解されましたので、4月1日付けで任命をいたします。詳しくは別途お配りする資料をご覧ください。以上でございます。

※参考付記:大臣冒頭発言(予備費使用の閣議決定について(厚生労働省関係))に関する参考資料はこちら 
※参考付記:大臣冒頭発言(第二期成年後見制度利用促進基本計画の閣議決定について)に関する参考資料はこちら  


手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年3月25日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
旧優生保護法訴訟について、国は東京高裁の判決を不服として最高裁に上告しました。昨日(官房)長官は、「320万円の一時金について、水準を含む今後の対応を国会と相談し、議論の結果を踏まえて検討したい」と述べましたが、手術を強いられた方は高齢となり早期解決を求める声もある中、どのように検討を進めるのか、時期ですとか、枠組みについて教えてください。
大臣:
旧優生保護法国家賠償請求訴訟に関する東京高等裁判所の判決につきましては、上訴せざるを得ないとの判断から、3月24日に最高裁判所に上告受理申立てを行いました。
 しかし、旧優生保護法について、この法律に基づき、あるいはこの法律の存在を背景として、多くの方が特定の疾病や障害を理由に、生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてこられたことについて、政府として真摯に反省し、心から深くお詫びする気持ちに、いささかも変わりはありません。
 この点につきましては、超党派の議員連盟において、一時金支給法が取りまとめられまして、平成31年4月、議員立法により全会一致で成立しております。
 政府としては、このような事態を二度と繰り返さないよう、最大限の努力を尽くしていくとともに、立法府の総意による法律に基づき、一時金を円滑かつ確実に支給することで、その責務を果たしてまいりたいと考えています。
 また、一時金の水準等を含む今後の対応のあり方については、昨日、官房長官のご発言のとおり、国会とご相談し、ご議論の結果を踏まえて対応を検討すべきものと考えております。
記者:
現時点でいつまでにといった時期ですとか、形というのはまだ決まってないということですか。
大臣:
ともかく官房長官の発言のとおり、まずは国会とご相談し、ご議論の結果を踏まえて今後対応すべきものということ以上に、今の段階で何も決まっていませんし、それ以上のことを申し上げる状況にはありません。
記者:
まず国会に相談ということなのですが、今後政府の中で、被害者への一時金に関して検討組織のようなものをつくるお考えはありますでしょうか。
大臣:
今の段階では、先ほど申し上げたとおりでありまして、一時金の水準等を含む今後の対応のあり方については、官房長官の発言のとおり、国会とご相談をして、ご議論の結果を踏まえて今後対応を検討するということであります。
記者:
独立行政法人地域医療機能推進機構の理事長が尾身茂さんから変わった理由などもしあれば、教えていただきたいのですが。
大臣:
地域医療機能推進機構(JCHO)は全国で57病院、職員数約2万4千人以上を有する病院グループでありまして、平成26年4月に設立されて以降、これまで8年間にわたりまして、尾身理事長が初代理事長として強いリーダーシップを発揮されて全病院が一丸となって与えられたミッションを遂行されてこられたところであります。
 尾身理事長におかれては、平成24年4月より、地域医療機能推進機構(JCHO)の前身である年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の理事長に就任されていますので、RFOから通算すると10年間にわたり理事長職を務めていただいたことになります。
 尾身理事長ご自身としては任期の途中ではあるものの、以前より10年の理事長職を持って、後進にバトンタッチをすることが組織を安定的に継続させることに繋がるとの考えをお持ちであったとのことでありまして、尾身理事長自身より、令和4年3月31日付退任の申し出があったものでございます。
 尾身理事長には大変にお世話になりましたし、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策分科会会長等のお立場から、政府の新型コロナウイルス感染症対策にご助言をいただくなど、ご活躍をお願いしたいと考えております。
記者:
冒頭仰っていた塩野義製薬との基本合意についてお伺いします。審査中とのことなのでまだ何とも言えない状況だと思うのですが、政府としてどれぐらいを目途に供給したいという目標みたいなものはあるのでしょうかというのと、100万人という数を基本合意したということなのですが、結構な数だと思うのですがこれなぜ100万人分にしたかという根拠みたいなものがあればお願いします。
大臣:
100万人分というのは、まずは塩野義製薬の方から100万人分、製造に取りかかればすぐに準備ができるという発言を塩野義(製薬)からもいただいておりましたし、100万人分を購入した以降も一定数量を買っていくということでの基本合意でございます。具体的なことは数量全体のことも含めてこれからということになります。
 また、購入の合意ということについてはできましたが、いつ頃承認されるのかということは、これは薬にとっては重大なことでありまして、2月25日に条件付承認を求める申請がなされておりまして、現在、PMDA(医薬品医療機器総合機構)において審査をされているところであります。
 本剤は海外で承認がされているものではないことから、特例承認と比べて慎重な審査が必要でありますが、早期実用化に向けて優先かつ迅速に審査を進めまして、安全性・有効性が確認された場合には、速やかに承認し必要量を供給してまいりたいと思います。
 特例承認は、割合に早く行われておりますが、例えば、メルクのモルヌピラビル等においても米国で初めて審査を受けるときは76日間とか、それなりの時間がかかっているということにはご留意をいただければと思っております。
 薬事承認がなされれば100万人分を確保するということでございますので、薬事承認、しっかりとできるように塩野義製薬にも頑張ってもらいたいと思いますし、我々の方も先ほど申し上げた150億円の補助金も、これも塩野義(製薬)から申請あれば、使っていただきたいとも思っておりますし、できる限りの国産の治療薬の応援をしていきたいと考えています。
記者:
予備費について確認させていただきたいのですが、この予備費の使い道なのですが、これは先日岸田総理がまん延防止等重点措置の解除の時に仰った体制を確保するために使う予算という理解で良いのかということと、治療薬の確保も先ほどの塩野義製薬の契約の見込み額が入っているのかということと、更に検疫体制について、経済界からは今よりも更に1日の入国者を増やしてほしいという要望もありますが、この1,479億円というのは更なる拡大も視野に入れたものなのか、現状を維持していくために必要な予算というお考えなのか、このことについてお考えをお聞かせください。
大臣:
まず基本的な枠組みから言えば、前回、総理の記者会見で述べられた全体的な方向に沿うものとして予備費の使用の閣議決定を今日しています。 もちろん例えば、ワクチンの確保について言えばファイザー社、皆さんのところには何か資料が渡っているのかな。
 ファイザー社、モデルナ社のワクチンを追加で確保するということで、ファイザー社7,500万回分、モデルナ社7,000万回分、(本年)下期の分です。それから、その他に1~3月分のファイザー(社)の1,000万回分、モデルナ(社)の1,800万回分、こうしたものも確保するための予算にも入っています。
 また、治療薬の確保につきましては、追加確保の分で4,247億円。(加えて)治験に対する追加支援150億円、コロナ治療薬の治験助成ということで治療薬実用化支援事業で採択されたもの、そして現在も治験を実施中の薬剤のうち、中間評価を踏まえて、更に加速化するための緊急追加支援ということで計上をいたしております。
 それから抗原検査キットの確保等については、これは国が買い上げ保証を行っておりますので、買い上げ保証、12月の段階でどのぐらい保証するのかということは、未だ分かりませんが、一定割合を想定したところで、買取保証額のうち既に既定予算で対応している部分の残りを929億円対応するということです。
 検疫体制の確保、これそれぞれ宿泊療養施設および待機施設の確保450億円、待機施設の運営委託871億円、あと空港内の待機スペースや人員の確保で83億円、民間検査機関への委託で76億円というようなことで積算があります。
 こうしたことについては予算として当然のことでありますが、現在予定されているいろいろな施策に加えて、若干のアローワンスをとって予算積算をするということではありますが、予算の説明をするにあたって、今後の政策について、どういう政策が予定されているのかとか、そういうことを予備費の使用にあたって申し上げるということではないです。
 予備費の基本的な考え方は、今決まっている施策の執行において必要なものを、必要欠くべからざるものを使う、というのが予備費の基本的な考え方ということであります。
 治療薬の追加確保等につきましては、枠組みそのものは申し上げているのですが、どこの会社の何をどのぐらいというような話は、申し上げることは、いろいろ喋っていくうちにどんどん各社との量だとかいうことになっていきますので、その辺のことについては控えさせていただきたいと思っています。
記者:
今のご質問ともちょっと関連すると思うのですが、ワクチンの確保のところで、先日確保の合意を行ったと思うのですが、この金額はそれに対応する金額ということでいいでしょうかということと、キットについても先ほどご説明をいただいたのですが、この929億円の根拠といいますか、大体いつ頃までの何万回分なのかとか、そういったもし数字的なものをお示しいただけるようでしたらお願いします。
大臣:
まずワクチンの確保に関する予備費使用額ですが、(本年)下半期に、今後、ファイザー社から7,500万回分、モデルナ社から7,000万回分を追加購入することを合意したので、これについてはもちろんこの予備費の執行で当てることになります。
 それから、この1月から3月までにファイザー社から1,000万回分、モデルナ社から1,800万回分を購入いたしておりまして、既定経費の活用という形で確保しておりましたが、その分も含めて、基金に、既定経費を活用した分を基金にお戻しをしたところで、そこの部分も含まれているということで、計6,670億円を措置しているということになります。
 検査キットについては、全体としてのキットの今後の対応については、厚生労働省、政府として身近な検査体制を強化するということで、国が必要な買い上げを保証した上で、向こう6か月間で計3.5億回分、抗原検査キットを準備すると。
 当初期初在庫で1.5億回、それから6か月間で2億回ということで計3.5億回分の抗原検査キットを準備していくという、そういう全体としてのオペレーションをやっています。
 そのオペレーションの前提として買取保証をしたわけですが、買取保証というのは、これ普通に売れた場合には、国が保証をして買い取るということはないので、前提を置いて12月に買取をする必要がある割合について、買取を行うという予算。
 そのうち一部既定予算でもう対応済みのものがあるので、その残りを差し引いたものが929億円ということになります。
 ですから、どのぐらい確保するのですかという質問については、全体としてのオペレーション。それを支えるための買取保証額を前提として積算して、その買取保証額の所要額、既定分を除いた分を計上したというのが929億円です。
記者:
新型コロナワクチンの4回目接種について、早ければ再来月5月にも始められるよう準備を進める方向で検討に入ったとの報道があります。事実関係を教えてください。
 また、昨日の審議会では3回目との接種間隔について6か月を基本としつつ、諸外国の動向も踏まえて改めて検討するとして方向性を示しましたが、接種期間を6か月よりも短縮することも今後の選択肢の一つとして検討されるのでしょうか。
大臣:
昨日の厚生科学審議会において、4回目接種については、ワクチン4回目の接種について行うか行わないか、それから仮に4回目接種を行う場合にはその対象をどうするか、3回目接種からの適切な接種間隔をどうしていくのか、そういう、諸外国でも議論がある問題について、我が国でも審議会において議論する必要があるという状況で今あります。
 それからもう一つ言うと、4回目接種を行うにあたって、体制の整備をしておかないと、決めたときにすぐに取り掛かれないという問題点もあります。ですから、適切な時期に地方公共団体等に接種券の準備をしてもらうとか、そういった事前の事業については前倒しでお願いをするということの話はさせていただいています。
 しかし、これはあくまで前倒しでお願いをするということであって、4回目の接種をするのかどうか、それからするとしてどんな人を対象にどんな間隔でするのか、それは今後検討するということで引き続きの検討になっています。議論の対象になっているわけなので、それ以上の内容について私の方から今、方向性や予測を申し上げるという事態ではまだないと思います。
 
 

(了)