後藤大臣会見概要

(令和4年1月21日(金)9:24~9:41 院内大臣室前)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
それでは冒頭私の方から二つ話をさせていただきたいと思います。一つは看護師等の人材確保策について、二点発言させていただきます。第一は、オミクロン株による感染が例を見ないスピードで進んでおりまして、沖縄など一部の地域では、医療従事者が就業できなくなって医療現場の負荷が上がるという状況も見られております。
 このため、都道府県や医療機関に対して、改めて診療機能の維持継続に向けた取り組みを確認いただくよう、お願いをいたしております。その点については従来からお話しているとおりです。
 その上で第一に、看護職員の労働者派遣について、これまではへき地の医療機関に限り認めてきましたが、臨時の医療施設については人材確保の緊急性に鑑み、へき地以外にあるものへの派遣も可能にしたいと思います。今夜開催される職業安定分科会で了承いただければ、今日中に関係省令を改正して施行したいと考えています。
 第二は在籍出向の形で、現在勤務している医療機関と異なる医療機関に医療従事者を派遣する場合に、派遣元の医療機関に補助する仕組みがございます。
 この補助金につきまして、高齢者施設で患者が発生した際の対応を強化するために、この高齢者施設についても看護師等を派遣する場合の補助単価を2,760円から5,520円に、2倍に引き上げることとしたいと思います。
 こうした取り組みが、医療従事者の確保への後押しとなることを期待しておりますし、今後とも自治体とともに医療体制の整備に全力を挙げてまいりたい、そのように考えております。

 それから第二点でございますが、ワクチンの3回目接種のペースアップについて、一言申し上げます。昨日1月20日の時点で、3回目接種は約178万回となっておりまして、全人口の1.4%、接種対象者の12%でございます。何とかこのペースアップを図っていかなければと考えております。
 3回目接種は昨年12月より開始しておりまして、ワクチンは昨年中に1,600万回分配送しているところですが、多くの自治体では1月から本格的な接種を実施するものと承知しております。しっかりと体制を整えて進めていきたいと思います。
 また、3回目接種は高齢者や基礎疾患がある方など、感染によるリスクの高い方の健康を守るために大変重要なものでありまして、また社会全体のリスクを下げるために必要なものでございます。
 今後、ファイザー社とモデルナ社のワクチンを活用して、3回目接種を進めていくことになりますが、国民の皆様の中には接種後の発熱の割合が高かったこともありまして、モデルナ社のワクチンを接種することを躊躇されるという、そういう方がいらっしゃるとも聞いております。
 1回目、2回目にファイザー社のワクチンの接種を受けた方が、3回目にファイザー社のワクチンの接種を受けた場合も、モデルナ社のワクチンの接種を受けた場合も、いずれにおいてもオミクロン株に対して抗体価の十分な上昇、発症予防効果の回復、入院予防効果の回復といった効果が報告されておりまして、専門家の評価として、両社のワクチンの有効性に遜色はないと聞いております。
 加えて、モデルナ社のワクチンの3回目接種での接種量は、1、 2回目接種の半量、半分の量となっておりまして、モデルナ社のワクチンによる2回目接種後と比べた場合、3回目接種後では発熱や疲労などの接種後の症状が少ないことも報告されております。
 3回目接種を推進するために、自治体におかれましては、こうした情報を住民の皆さんに十分にお知らせいただきつつ、ファイザー社のワクチン、モデルナ社のワクチン、双方のワクチンの接種を推進していただきたいと思っております。
 国民の皆様におかれましても、ご自身の健康と社会を守るために、いずれのワクチンであれ、できる限り早く早期に接種を受けていただくよう、ぜひご検討いただければと考えております。以上でございます。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2022年1月21日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
看護師をはじめとする医療従事者の国家試験についてなのですが、受験生や学校の関係者の方からコロナに感染して受験できなかった場合に追試などの代替措置を求める声が上がっているのですが、こういった追試などの実施を検討するお考えというのはございますでしょうか。
大臣:
医師等の国家試験についてですが、職業資格を担保するための国家試験であるということを考えると、本試験と同質・同量の内容を担保した試験問題を作っていく必要がありまして、これを短期で作成することは非常に困難であるということは、従来からご説明をしているところです。
 広く機会を与える観点から、柔軟な形で実施されている大学入試における追加試験と異なりまして、従来から、医師・看護師等国家試験においては心身の不調を理由とした追加試験等は、実施していないという認識でおります。
 令和4年の医師・看護師等国家試験においては、濃厚接触者の受験機会を確保するなど、このコロナ禍においてもできる限り受験が可能となる最大の措置を講じていきたいと考えておりますが、今現在はそういう認識に立っています。
記者:
政府分科会の尾身会長が、オミクロン株においては「人流抑制よりも人数制限」だという形で感染対策についての軸足を変えましたが、厚生労働省として、このオミクロン株による国民に呼びかける感染対策、これはデルタ株のときと同じでいいのでしょうか。変える必要性は考えておられますか。
大臣:
基本的対処方針分科会の尾身会長が発言された、「人流抑制よりも人数制限」ということにつきましては、昨日開催されたアドバイザリーボードにおいても、いろいろ議論があったところであります。
 オミクロン株対策として、そのオミクロンの性状を踏まえると、リスクの高い場面での接触機会の低減が必要であるとの趣旨をおっしゃったのだと承知をいたしております。
 オミクロン株の感染経路は、従来の新型コロナウイルスと同様、飛沫、それからエアロゾルの吸入、接触感染等であるということはわかってきていまして、3密の回避、特にマスクの着用だとか、手洗いなどの徹底等の基本的な感染予防策が重要であるということについて、厚生労働省として国民の皆さんに発信していることについて基本的に変わりはないということであります。
 いずれにしても、引き続き国民の皆さんに基本的な感染予防策の協力を強く呼びかけていきたいと考えています。
記者:
今日からのまん延防止等重点措置の拡大で、国民からはまた「同じことをやるのか」という声が多く上がっていますが、それでもやはりデルタ株のときと同じ呼びかけをするしかないということでしょうか。
大臣:
同じ呼びかけをするしかないというか、基本的には今申し上げたように空気感染ではなくて、基本的には飛沫感染であって、エアロゾルの感染であり接触感染であるということですから、国民の皆さんに一つ一つやはり注意していただくということからいうと、基本的なそういう感染防止策をしていただくというのは、基本であるということに変わりはないと思います。
 もちろんオミクロン株の性状等の分析に従いまして、医療提供体制の整備だとか、あるいはどういう対策をしていったらいいのか、そういうことは適宜変えていく必要もあると思います。
 現時点においては、先ほども申し上げたように、感染リスクの高い場面や場所に焦点を絞った接触機会を確実に減らしていくための人数制限が大切だということになると思いますが、地域によって、あるいは更に感染拡大、医療逼迫が生じていくような場合には、やはりより強い形での人流抑制というものが感染の状況に応じて必要になってくるということも、同じといえば同じですが、そのときそのときの局面で、今後また一つ一つオミクロンの姿が明確になるにつれて、必要なことをメリハリをつけて申し上げていくということになると思います。
記者:
昨日のアドバイザリーボードの関連でお尋ねしたいと思います。脇田座長がブリーフィングの中で、「更に今後の感染拡大が進んだ場合には、基礎疾患のない若い世代については、無症状や軽症であれば検査や受診を急がずに、ハイリスクな人の医療を優先するということについて議論があった」とおっしゃっていたのですが、この点について政府としては今後取り得る選択肢としてお考えなのでしょうか。
大臣:
昨日のアドバイザリーボードで専門家の先生方から、今ご指摘のあったように、「今後感染者がさらに急増した場合には、外来医療等が逼迫する可能性があって、外来医療の機能不全を防止するために患者の状態等に応じた受診や診断の具体的な在り方も検討する必要がある」というような議論があったということは、私も参加しておりますから承知しております。
 厚生労働省としては、今後感染が急拡大した場合にも、患者の症状等に応じた適切な療養が確保できるように引き続き専門家の意見やオミクロン株に関する科学的な知見を踏まえて検討・対応していくこととして、現時点では、体調が悪い場合には受診や検査をしていただく必要があると申し上げております。
 また、座長の方からもそういう議論があったという話はありますが、その後の記者とのやりとりの中でも「今すぐではない」というご発言がなされていると承知をいたしております。
記者:
コロナ患者向けの即応病床についてお伺いしたいのですが。昨日20日付けでコロナ病床のための即応病床に新型コロナ感染が確定した患者以外の患者を受け入れることは可能と書かれているのですが、昨日改めてこういった通知を出された理由をお聞かせください。
大臣:
オミクロン株の急激な感染拡大に従いまして、医療機関において病床確保に最大限努めていただいている中で、一部の自治体において救急搬送の受け入れ困難事案が増加しております。
 1月10日から1月16日の1週間で4,151件、コロナ疑いが1,031件、非コロナの疑いが3,120件ということで過去最高となっております。
 こういう救急搬送の受け入れ困難事案が非常に増加している傾向の中で、コロナ以外の患者も含めた救急受け入れ体制の確保も喫緊の課題です。
 こうした中で緊急包括支援交付金による病床確保料について、支給対象となるコロナ患者向けの即応病床におけるコロナ以外の患者の受け入れについて、どういう扱いになるのだという疑義が関係者から出されました。
 そのため、昨日事務連絡を出して、今ご指摘があったように支給対象となる即応病床において、一般の救急患者を受け入れることは可能である旨を改めて周知をしたということです。
 もちろん患者を受けて受け入れている間は、病床確保料は支払われません。受け入れている間は診療報酬が払われるので、二重には受け取っていただくことはできませんが、そういう形で医療現場の皆様にはしっかりと救急体制の確保に全力を尽くしながら、しっかりと病床確保、コロナの方の病床確保にも努めていただけるようにということで、明確にするための通知を出したということです。
記者:
新型コロナの感染拡大で医療人材が不足する沖縄への看護師派遣について、厚労省が各省庁を通じてとりまとめた全体の人数や派遣期間について教えていただけますでしょうか。また、その他の地域も含めた今後の看護師派遣の見通しについてお考えをお聞かせください。
大臣:
医療人材については厚労省から関連の5法人、NHOとかJCHOだとか日赤、済生会、労災病院に依頼しまして、昨年6月から10月までの間に病床の逼迫する地域の医療機関に278人の看護師の登録を受けて200人を派遣しています。
 沖縄につきましては感染拡大が続く中で、公的病院の協力を得まして、各省を通じて依頼をしまして、66名の看護師を派遣することにいたしております。厚生労働省から、公的病院から9名といったものを発表しておりますが、これはこの中に入っています。
 更に宿泊療養については、厚生労働省の方から日本看護協会等にご依頼をさせていただきまして、日本看護協会等から沖縄県に対して潜在看護師等65名を2月末までに派遣するということが決まっております。
 今後の感染状況や、都道府県における医療人材の確保状況も踏まえて、引き続き、国、地方、医療界が一体となって、しっかりと国内の感染拡大に先手先手で取り組めるように、医療関係者の派遣も含めてしっかり取り組んでいきたいと思っております。

(了)