後藤大臣会見概要

(令和4年1月11日(火)10:40~11:09 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
それでは最初に冒頭こちらから発言をさせていただきたいと思います。今朝、総理から新型コロナ対応の基本姿勢について、ご発言がありました。
 私自身、昨日、総理との打ち合わせに参加しましたが、足下の全国のオミクロン株を含めた感染者数の増加が見られ、3県にまん延防止等重点措置を適用する中で、当面の対応として現在の水際対策の骨格を維持しつつ、今後、オミクロン株対策の重点を更に国内対策へ移していく旨を発言されたと承知しております。
 オミクロン株につきましては、不明な点もまだ多いというのが現状でありますが、専門家からは感染力が高い一方で、感染者の多くは軽症・無症状であり、重症化率は低い可能性が高いことなどの分析が報告されております。
 しかし、一方で、感染者数が増大すると、どうしても重症者の絶対数が増加しまして、医療への負荷が増すことが懸念されております。
 こうした中、これまで「全体像」で準備してきた医療体制をしっかり稼働させていくことが今後の対応の基本であると考えております。
 また、ワクチンや治療薬といった予防から早期治療の流れを引き続き強化していくことが重要だと考えます。
 引き続き、オミクロン株に関する科学的知見を収集しつつ、国民の命を守ることを第一に、専門家の意見を伺いつつ自治体や医療関係者と連携・協力して、具体的な対応、対策に全力で取り組んでまいります。
 個人の予防策といたしましては、オミクロン株であっても従来株と同じです。国民の皆様におかれては、改めてマスクの着用、手洗い、3密の回避、換気などの基本的感染防止策の徹底を心掛けていただきますよう、改めてお願いいたします。
 また、少しでも具合の悪い場合には、外出を控え、医療機関での受診・検査をお願いしたいと思います。以上でございます。

質疑

記者:
沖縄など3県にまん延防止等重点措置が適用されましたが、同じく感染者数が急増している東京都について、現在の感染状況をどう見ておられるか、また、新たな対策の必要性について教えてください。

 二点目、経口薬のモルヌピラビルについて、大臣は「薬局に来所しなくても自宅で受け取れるようにしたい」と発言がありましたが、現時点で薬局から自宅への配送体制の整備状況や目途など分かれば教えてください。
大臣:
まず、第一問でありますが、東京都の新型コロナウイルスの感染状況は、新規感染者は昨日10日の発表で871人、前週比で10.2(人)となっておりまして、感染が拡大しております。
 東京都においては、こうした感染状況を踏まえまして、1グループ8人までとしていた認証店における人数制限について、4人までとするよう協力を依頼するなどの感染拡大に伴う措置を、本日から講じていくものと承知しております。
 一方で、気温の低下によりまして屋内での活動が増える時期であることや、オミクロン株への置き換わりが急速に進みつつあること、成人式を含む3連休があったことなどを踏まえますと、今後の感染状況について、高い警戒感をもって注視していく必要があると考えております。
 今後、どのような対応を東京都において図っていくのか、東京都と密接に連携しつつ、また、専門家の意見も伺いながら対応していくものと考えております。

 それから、経口治療薬の件ですが、昨年12月24日に承認いたしました経口治療薬「モルヌピラビル」、販売名は「ラゲブリオ」でございますが、これについて、患者が医療機関の外来を受診した場合、医療機関が処方箋を薬局に送付し、その処方箋の情報に基づいて患者宅へ薬を配送する仕組みを構築しておりまして、患者が薬局へ来所せずとも薬を受けとることができる仕組みが動いております。
 既に、患者への投与を希望する医療機関や薬局の登録を進めるとともに、発注があった医療機関・薬局には配送を開始しており、1月9日時点で、約8,600の医療機関と約9,600の薬局が登録を終えております。このうち、約8,000の医療機関・薬局に対しまして、約23,700人分の薬剤を既に配送しております。
 引き続き、コロナ対策の切り札である経口薬を、安心して活用していただけるように、希望する医療機関・薬局に対し、速やかにお届けしていくようにしたいと考えております。
記者:
今朝の総理の発言ですが、「モデルナのワクチンについて、3月以降は追加で確保した1,800万人分について、こちらを活用する一般分についての前倒し」という発言がございましたが、現在の確保の状況と、もし前倒しのスケジュール、現在検討しているものがありましたら教えてください。
大臣:
ワクチンの確保につきましては、1,800万回分の確保をいたしております。これは年内に第1四半期に納品されるということになっておりまして、今、最終的にその時期がいつになるのか調整したり、あるいは流通過程における様々な問題点等について、製薬会社と調整をいたしております。
 できるだけ早くに、そうしたワクチンの確保時期等が定まり次第、これはもう本当に早急に、前倒しの3回目接種について、国民の皆様にご説明をしたいと考えております。
記者:
3回目接種についてお伺いします。現在、3回目接種の接種率が0.6%とまだ非常に低い数値に留まっております。オミクロン株の感染状況を見ると少しでも急いでいただきたいというのが正直な気持ちなのですが、現状で、3回目接種が進まない要因、一番何がネックになっているのか。
 それと、岸田総理が大規模接種会場の設置の意向を示されましたが、その大規模接種会場を設置することによって、その状況というのは大きく改善されるのでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
今ご指摘のあったように、新型コロナワクチンの3回目接種、接種実績が1月7日公表時点で0.6%に、全人口に占める割合が、留まっているのはご指摘のとおりです。
 そのことにつきましては、まずは、できる限り地方公共団体の皆様に体制の整備をご協力いただき、医療関係者の皆様にもご協力をいただきながら、国としても最大限のメッセージを関係者の皆様に送って、できる限り早い、特にリスクの高い高齢者への3回目のワクチン接種を進めていきたいというのが国の姿勢でございます。
 3回目接種につきましては、年末から開始しているわけでありますが、地方公共団体の中には年明けから本格的に開始することを考えていた自治体も多いと聞いております。
 また、3回目接種については、2回目接種完了から一定の間隔で接種を行うということで、当初、1・2回目の接種において、ペースが上がらなかった時期については、前倒しのスピードが例えば「100万回打てたじゃないか」というような時に比べれば、遅かったということはありますが、いずれにしても今最大限、引き続き自治体等の取組状況を把握しながら、適切に我々の方から助言を行ったり、あるいは是非とも推進をしていただくようにお話しをさせていただきながら、今、総理からの発言のご指摘がありましたが、各都道府県における大規模接種会場の設置や、接種場所の更なる確保などを通じてペースアップを要請していくと、そういうことをしっかりと取り組んでいきたいと思います。
 自治体と緊密に連携し、今後本格化する3回目接種の着実な実施を期してまいりたいと思っています。
 大規模接種会場の設置につきましては、設置場所の更なる確保など等も、これは同じ話ですが、ともかくあらゆるチャネルを利用して早期に3回目の接種を行っていく、その体制整備のひとつの起爆剤として、しっかりそういうことにも取り組んでいくと考えております。
記者:
今、ネックとなっているのは、ワクチンの確保とか配送をどうするとかではなく、一番厳しいのは自治体の準備が追い付いていないという認識なのでしょうか。
大臣:
既に4,700(万回分)については自治体の方にワクチンをお送りしているわけでありますし、12月、1月の分について言えば、在庫分から既にお送りしているところであります。
 ですから、少なくとも前倒しを決めた分について言えば、体制が整えばどんどん800万回分、やっぱり打てるようにしていく必要があると考えています。
 前倒しを決めたのが12月ということでもありますので、それは関係者、自治体の接種場所についても、接種体制についても、また、接種票の送付についても遅れているところもあろうかと思います。
 接種票などについては、届いていなくてもこれは接種をしていただいて、あとできちんと報告をしていただければ良いということもお願いしておりますし、いろいろなチャネル含めてしっかり準備体制を整えていくことだと思います。    
記者:
今のに関連して、あらゆるチャネルを活用して接種を進めていきたいと仰っていたと思いますが、ワクチンの確保状況によるとは思いますが、職域の前倒しについては現状どう認識されておりますでしょうか。
大臣:
職域の前倒しについても、一般の皆様の前倒しが進むのと同じペースでもちろんやっていこうと考えています。
 3回目、先ほど1,800万回分の追加購入が昨年末できたというお話をいたしましたが、今、早急にその詳細をお示しをすると考えておりまして、その中で、職域接種についてもしっかり対応を図っていきたいと考えております。
記者:
話題が変わって恐縮ですが、総理が17日召集予定の国会で、感染症法改正案の提出の見送りを表明されました。病床確保の強化に向けた改正だったと思いますが、今回、次期国会で見送られることについての大臣のご所見をお願いします。
大臣:
病床確保について、例えば医療機関との間で強制力のあるような手段の確保ができないかとか、あるいは、国と地方との間における強制的な指示だとか、そういう問題について、法律改正について検討をしてきたわけですが、今、足下に火がついている状況の下で、そうした権利義務に関わる問題だとか、そうした問題についてもう少しきちんと検討をしてから法案を提出するという考え方は、それはひとつあると思います。
 今、足下、はっきり言って法案を作るチームとコロナ対策の現場で闘っているチームは同じチームで人材を割くことにもなりますし、それは今の現状からみて私も必要な判断ではないかと思います。
 一方で、例えば薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の緊急的な承認の対応等、そうしたことについては今後とも法律改正、今回の国会に向けてどうしていくかというようなことについては考えていきたいと、対応したいと思います。
記者:
総理の発言の中で、オミクロン株患者の入退院基準について「先進国の取組みを参考にしながら、科学的知見の集約を急ぎ進め対応したい」と発言がありましたが、現時点の見直しの方向性や現在の検討の状況を教えてください。
 もう一点、保健所業務のひっ迫について、ITも活用したネットワークの整備と総理が言及されましたが、具体的にこれはどういう取組みを進めるお考えでしょうか。
大臣:
まず、入退院基準でありますが、この医療提供体制について言えば、全体像に示した医療体制を確認、強化していくと。これがまず今後の対応の基本だと思っております。
 各都道府県に点検を依頼しておりますが、病床を順調に確保、在宅・宿泊療養は計画を更に上回る、3割を上回る体制を確保いたしております。ただし、今後、例えば今大変足下でオミクロン株の感染拡大が続いておりますが、感染がこうした全体像に示した想定を更に超えて急拡大した地域等においては、やっぱり重症者の数が増えていくということは予想されます。
 病床がひっ迫するような緊急事態が発生した時に、緊急事態に陥ることを極力避けていくということから考えれば、例えばオミクロン株患者の入退院基準についても諸外国の例も参考にしつつ、例えば科学的知見での検討を進めることによって、それに基づいて入退院基準等を考えていくということも検討すべき課題であると考えています。
 例えば、既に今でもオミクロン株が陽性になった時に、全員入院しなくても良いとか、あるいはこれまで2回陰性が検査で確認されない限りは退院できない扱いであったものを、発症後、あるいは採取後に10日間経てばワクチンの接種者のみでありますが、退院ができるというような取扱いをしてきております。
 こうした取扱いは、科学的知見から見てそういう取扱いをしても実質上、感染拡大への懸念やそうした問題が生じないという判断でやってきたものでございます。
 今後とも、先ほどの繰り返しになりますが、先進諸国の取組みや、あるいは科学的知見に基づいてどういうことなら可能であるかということを踏まえながら、そういう入退院基準の見直しも検討していくということだと思っています。
 それから、保健所の業務でありますが、オミクロン株の高い感染力を考えますと、感染者数が急増する可能性は非常に高いわけで、各種の調整にあたる保健所・自治体業務の負荷が非常に重くなるということは予想されます。
 このため、保健所の体制を強化していくということで、各都道府県や医療関係者と緊密に連携して、ワンチームで保健所だけに頼らない、重層的なネットワークの整備を早急に進めていく必要があると考えています。
 そういう保健所に頼らない重層的なネットワークということの中には、例えば保健所を経由せずにオミクロンを発見した医療機関で診療を早速開始するだとか、いろいろ保健所をこれまで必ず経由して対応してきたことを、もう少し感染が拡大をした場合には新たな保健所に頼らない対応を進めていくということも可能だろうと思います。
 それから、保健所自身についても例えば科学的根拠に基づきまして、積極的疫学調査を重点化して感染状況が高まった時に、合理化していくこと。
 それから必要性の低下した、例えば全ゲノム解析みたいなものについては業務を合理化するということで、保健所の業務の合理化も図りながらオミクロン株患者への対応に保健所が最大限有効に対応できるように、注力できるようにそういう体制を作っていく必要があると思っています。
記者:
ちょっと話題が変わるんですが、国内で2016年以降に少なくとも11病院がコンピュータウイルス「ランサムウェア」による被害を受けていることが弊社の調査で明らかになりました。この他、都立の2病院も攻撃対象として名指しされていることもわかっています。医療機関へのサイバー攻撃が激化している現状の受け止めをお伺いしたいと思います。
 後、被害事実が判明している、こうした医療機関は氷山の一角の可能性もあり、それ以外に被害が広がっている可能性もあるため、厚労省として実態把握の調査ですとか、新しい対策を行うお考えがあるかお聞かせください。
大臣:
近年サイバー攻撃の脅威の高まりを受けまして、医療機関においても情報セキュリティ対策を強化する必要があると考えています。厚生労働省においては、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を2005年3月に定めまして、医療機関等に対しまして、技術的・運営管理上の観点から必要な対策の遵守を求めているとともに、2018年10月以降、医療機関において発生したサイバー攻撃事案については厚生労働省への報告を求めています。11病院のうち、(2018年10月以降に発生した)7病院についてはこの報告を受けているところです。
 今般の病院へのサイバー攻撃の被害の中で、特に診療が長期にわたって、数か月間、システムが使えないという形で制限された事例があったことから、全国の医療機関に対し注意喚起を行ったところです。
 そして、今後さらに、脆弱性が指摘されている機器への対応、あるいは、電子カルテ情報のバックアップが適切に行われているかどうか、といった問題について、全国の病院に対する実態調査を行う予定でありまして、それを踏まえて、必要な対策を講じていきたいと考えております。     
記者:
先ほどの保健所の積極的疫学調査のところがよく分からなかったのですが、重点化というのは、積極的疫学調査に更にリソースを割いて集中していくということなのか、それとも必要な地域・時期に限定して行って、ある程度必要性のあるところは全体のサーベイランスの方に力を入れて個々の調査はあまりやらなくするということなのか、どちらなのでしょうか。
大臣:
例えば感染が起きた時に、誰にうつしたのかとかいうような調査というのは、これは必要だと思いますが、要は積極的疫学調査を全てのことに対して広範にやっていくということではなくて、本当に必要な部分に重点化していくと。先ほどコメントした内容は積極的疫学調査の重点化という合理化の脈絡でお話をしました。
 ただ、もちろんどういう人にうつしているのかみたいなそういう調査についてはしっかりやっていかなければいけないということは当然でありますが、全般的な疫学調査を限られた人数でやり続けるということは難しいという趣旨とご理解いただきたいと思います。

(了)