後藤大臣会見概要

(令和3年12月7日(火)10:57 ~ 11:24 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
最初にこちらから冒頭発言がございます。新型コロナウイルスについて、今年の夏の感染拡大を踏まえて都道府県が策定しました保健・医療提供体制確保計画を取りまとめましたので、本日、追って公表をいたします。
 これは各都道府県が構築方針を取りまとめまして、それに従いまして11月12日に「全体像」としてお示ししましたが、その後、各都道府県においてその体制の構築作業が完了したものでございます。
 「全体像」では、今後、コロナ患者の受入人数を、全国で今年の夏のピーク時の約3割増、約1万人増に当たる約3.7万人としておりました。これは感染想定に基づく都道府県の「方針」ですが、今般、医療機関等、都道府県が協議を行いまして、その結果として医療機関ごとに積み上げた数値として、3.7万人を受入可能体制を確保するという結果にまとまっております。
 臨時の医療施設・入院待機施設、宿泊療養施設、自宅療養者に対する必要な健康観察や治療の提供体制等についても、全体像に沿った、またはそれ以上の、それを上回る水準を確保することができております。
 こうした体制をしっかりと機能させることにより、今後、感染拡大が生じた際の対応に万全を期してまいりたいと思っております。詳細については、本日、後ほど事務方よりご説明をさせていただきます。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年12月7日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
岸田首相が昨日、所信表明でワクチンの前倒しに言及されました。できる限り前倒しということでご発言されたのですが、具体的な時期、それから対象者について、現在の検討状況をお聞かせください。
大臣:
今のご指摘がありましたように、新型コロナワクチンの3回目接種について、2回目の接種から8か月以上経過した者に、順次接種することを原則としておりましたが、感染防止に万全を期すという観点から、既存ワクチンのオミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で優先度に応じ、追加承認されるモデルナ社のワクチンを活用して、8か月を待たずにできる限り前倒しをするとの方針が昨日の総理の所信表明演説で政府の方針として示されております。
 オミクロン株に対するワクチンの効果、オミクロン株の特徴、こうしたものについては今、専門家や製薬企業の間でも検証が進められているわけですが、そういったものを確認しつつ、これらに加えて日本の感染の動向、それから全国の自治体の準備状況、ワクチンの供給力を踏まえた上で、前倒しの範囲や方法をお示ししていきたいと考えております。
 いずれにしても、専門家のご意見をよく聞きながら、また自治体と連携して早急に対応していきたいと思っております。なお、追加接種では、ファイザー社のワクチンとモデルナ社のワクチン両方を用いることとしております。2社のワクチンを合わせますと、1億7千万回の供給を受ける契約を締結いたしておりますので、総量として必要なワクチンは確保されております。
 また、近く承認されますモデルナのワクチンをファイザー社のワクチンを接種した方にも交互接種ということで活用することによりまして、優先度に応じて一定程度の国民に前倒しは可能であります。
 その辺のところをしっかりと今後、できるだけ早くに詰めてお示しをしていきたいと思っています。ただし、ワクチンは順次輸入されるものでありまして、現状で全国民を対象に接種間隔の前倒しを一律に行うということは困難であると、そういうワクチン供給力であることもご理解をいただきたいと思います。
記者:
ファイザーのワクチンについてですが、自治体にある11月末時点の在庫を昨日6日までに報告するよう求めていました。在庫の規模や地域差、在庫がゼロの自治体があったかどうか含めてお聞かせください。
大臣:
今お尋ねのありましたように、ファイザーのワクチンの保有状況については、11月19日付の事務連絡によりまして、30日時点の保有状況について、昨日6日までの報告を求めていたところでございます。報告結果については現在集計している途中でございますので、集計が終わり次第、公表したいと思います。
記者:
ファイザー社とモデルナ社のワクチン1億7千万回供給を受ける契約を締結し、順次輸入されるということなのですが、それぞれの社から具体的にどれぐらいの量が国内に入ってくるのか、分かっている範囲で教えてください。
大臣:
ファイザー社のワクチンの供給については、来年分として1億2千万回分を購入しておりますので、来年1月から12月までの間に輸入されることになっております。単純に平均すると各月1千万回ということになります。
 また、モデルナ社のワクチン供給に関しては、来年分として5千万回分を購入することになっております。追加接種では、(モデルナ社の)今薬事承認申請が出ているものは接種量を半量にするということになっているので、1回目・2回目接種の1バイアルあたり10回採取という取扱いから、追加接種は1バイアルあたり15回以上採取ということで、取扱いが変更できると考えますと、この取扱いを踏まえて1.5倍量で計算して、5千万回分は7千5百万回(の追加接種)分として活用することができるだろうと思っております。
 7千5百万回分をモデルナ社の場合は、概ね来年上半期を念頭に輸入できるということになっていることを踏まえまして、単純に平均するとモデルナ社ワクチンの輸入量は、来年上半期において各月1,250万回ぐらいということになります。
 それぞれのワクチンは、実際の輸入量、納品量というのはある程度、近くになってから提示されるということもございます。具体的なワクチンの輸入量が判明した段階で、順次自治体に対してワクチンの配送量をお示ししてまいりたいと思いますが、できる限り透明性が高く、予想可能性が高いように早期に輸入量を確認できるように、懸命の調整をいたしております。
記者:
先ほどの3回目接種について、全国一律での前倒しは難しいとのことですが、8か月の原則というのは変えない、つまり特例措置を拡大するというような方針でいるのかというのが一点。もう一点は、モデルナの在庫について、1、2回目用に輸入したモデルナ、これを3回目接種に転用できる在庫量というのは、現状でどれくらいあるのか、現状のご認識をお聞かせください。
大臣:
最初発表を申し上げた時は、原則8か月で例外6か月。6か月というのは高齢者施設、医療施設等でクラスターが発生するとか、あるいは、そういうクラスターの発生が地域において拡がりがある時に、地域単位において例外の前倒しを認めると、それについて厚生労働省にご相談をいただきたいということでやっております。
 今回は、8か月を待たずにできる限り前倒しをしていくということでございます。考え方をどう整理するかということよりも、今、手元にあるワクチンの供給量を使い、そして、実際にそれを接種していただくそれぞれの地域の体制のことも考えた上で、オミクロン株の性状や感染性とか、そうしたものをできる限り早くに一定量情報を整理して、最も的確に前倒しをしてワクチン接種に取り組んでいくことが大切であろうと思っております。
 それから、3回目接種に回せる量というご質問ですが、今既にファイザーとモデルナのワクチンについて、来年3月までの追加接種に必要なワクチン量としてそれぞれ配送量をお示ししております。
 このうちファイザーのワクチンについては、1回目・2回目接種用のワクチンの配送が終了した段階で1,600万回が国の在庫となっております。これを活用して12月および1月の追加接種分用に約400万回分を既に配送済です。2月および3月分の追加接種用の一部として1,200万回分、合計1,600万回分を年内に配送ということになっています。
 それから、モデルナ社のワクチンについては、約1,500万回分が国の在庫となっておりまして、先ほど申し上げた接種量の半量問題を勘案して、追加接種として2,200万回分のワクチンの在庫相当量になると思います。
 このうち2月および3月の追加接種に必要なワクチンとして合計3,700万回と申し上げているのですが、そのうちの1,700万回分を来年1月に発送するということになっております。
 一応、3回目接種に回せる量として今こういうことで考えておりますが、どのように今後対応ができるかということは、供給量の確保の問題や、それからどういうところに重点的に、優先的に接種をしていくか、そういったことを考えながら、ある程度限られた条件の中で最大に効果のある前倒しをしていく必要があると思っております。
記者:
モデルナの500万回分という在庫の使い道が決まっていないように、今のご説明だと思うのですが。
大臣:
そういう意味においてはモデルナの分は、今申し上げているのは8か月後接種ということでお配りしている数字でありますので、その部分について2,200万回マイナス1,700万回、500万回というのがあるというご指摘については、その分についてはその通りだと思います。
記者:
前倒しの。
大臣:
ただそれだけじゃないので、今、ワクチンの供給量については、供給量の前倒しや、またより多くのワクチンを確保する、そういうことも厚生労働省として私自身も先頭に立って確保の交渉を試みておりますので、その辺のところも含めてできる限り早くにオミクロン株の性状、感染力、重篤度そうしたものについての一応の知見等を踏まえながら、長くかからずにできる限り早くに前倒しを進めていきたいと申し上げております。
記者:
冒頭の医療提供体制に関して質問です。第5波で課題になった人材確保はどのように目途を立てたのでしょうか。また、ワクチンや治療薬の効果が前提になっていますが、オミクロン株が確認される中、医療提供体制は十分だと言えるのでしょうか。
大臣:
人材確保について、詳しくは後ほどと申し上げたのですが、医療人材の派遣に協力する医療機関数については約2千施設、協力する施設からの派遣可能職員は約3千人ということで、それぞれの県から数字が上がってきております。
記者:
どのように人材確保に至ったといいますか、どのような目標があって人材確保に至ったのでしょうか。
大臣:
元々、全体像では感染力が2倍、まずはワクチンの接種量の割合が増えたことによって、感染者の数が少なくなることを仮定して、そこから2倍程度の感染が増えて感染力の強化ということを前提に、それぞれ保健・医療提供体制確保計画を県に作っていただくようにいろいろ前提条件を申し上げて、そしてやはり今年の夏の厳しい病院受入体制、あるいは自宅療養における医療提供の体制、そうした厳しい現実を県の皆様、関係者の皆様、医療界の皆様も含めて十分に経験した上で、本当にリスクに従ってどのように対応していくことが必要かと、そういう真摯な姿勢で取組みをしていただいた結果として、我々としては2割程度というのを、受け入れる方でも3割という上積みができました。
 そういう中で、県内において医療提供体制の充実の中に、人手が足りないということが一つの大きな制約要因だったので、その制約要因について融通ができるということも一つの大きな医療提供体制を充実させることになるという理解の下に、これも具体的にしっかりと積算していただいた上で、各県から出していただいた数字の合計がこういうことになっているということです。     
記者:
オミクロン株による拡大が懸念される中で示された内容というのは医療体制として十分なものと考えておられますでしょうか。
大臣:
オミクロン株がどういう影響があるのか、例えば感染力、重篤度、そして薬だとかワクチンの効果だとか、こういったものは今必死に世界的な知見や、あるいは専門家の皆さんの研究や、あるいは製薬企業の血清を使った検証とか、ちょっとでも入手しようという状況ですが、こういうことを総合的に勘案したところでしっかりと今後、これ例えば感染力が強くても重篤度がどうなのかということによっては確保している経口の治療薬の使い方が非常に戦略的に進むということも考えられますし、いろいろな条件に応じて総合的に勘案したところで、まず3割増というものが十分であるかということは評価をせざるを得ないということだと思います。
 その後、この全体像には、更に拡大していった時にどうするかということについても、更なる感染拡大時への対応の方針も示されておりますので、今の計画を総合的な観点から見直しを条件が変わればいたしますが、いずれにしても今回の全体像は2倍の感染力があるということを前提にして、これは他の変異株に変わることも含めての対応でありました。
 それが、それを超える場合、あるいは更にもっと超えることになって3倍以上になるような場合、そういうことも含めて全体像ではお示しをしているので、そういう方針に従って適切に医療提供体制の構築を今後、臨機応変に進めていきたいと思います。
記者:
モデルナのワクチンの3回目接種分の購入についてですが、5千万回分の購入予定ということは今、薬事承認を待っている分が5千万回分ということでよかったでしょうか。そして薬事承認の目途について、年内にできそうかどうか現状について教えてください。あと、今日、閣議の後に総理と20分程度お話しされたと思いますが、それについてどのようなことをお話しされたのか、オミクロン株の感染者の新規発生等があったのかどうかお願いします。
大臣:
モデルナの薬事承認というのは3回目接種についての薬事承認はまだです。ですから、モデルナを3回目接種に使うということであれば、薬事承認を受ける必要があります。
 薬事承認の時期について、私の方から早急に申し上げることはできませんが、申請が既に出ておりますので、年内できるだけ早い時期に薬事承認が下りることを前提にいろいろな作業を進めているというのが今の状況であります。
 それから、総理のところでは、閣僚が集まりまして山際大臣がまとめてレクをした話ではありますが、中小企業をはじめとした今の企業が、しっかりと物件費や人件費等を転嫁して、価格にしっかりと乗せられるような、そういう体制を作っていかないと、この時期は乗り越えられないという意味での施策をまとめるという会議の後、短い時間ではありましたが新型コロナ対策のことや、そうした問題についてお話しさせていただきました。総理との間のことはこれ以上は申し上げないということにしておきます。
記者:
政府が高齢者施設等に配る布マスクの状況なのですが、会計検査院から8千万枚分の布マスクが余っていて有効活用すべきということで指摘されてから1か月経ちましたが、その検討状況等があれば教えてください。
大臣:
布マスクについては、8千万枚分をお配りするということで考えておりましたが、それをご要請があった場合のみに対応するという形にしたので、在庫になっております。
 会計検査院からそのことについてのご指摘を受けたことはそのとおりでありますが、一言申し上げておくと、あの時は本当にマスクがなく、マスクが必要だという時に緊急避難的に使ったことでもありますし、不織布マスク等の生産体制が十分に整わない間、洗濯できる布マスクというもので少しでも国民の健康を守りたいという一心でやらせていただいたことだと認識をいたしております。
 余った分についての有効利用を考える必要がありますが、今、検討しておりますのは、災害対策用にこれを備蓄して利用できる道があるのではないか、あるいは個人等の皆さんから、マスクを欲しいということがあった場合に個人の皆さんからのご希望に対して応えられるシステムを構築するような、そういうような形のことを検討しております。
記者:
そうすると災害用ですと来年度も保管費用がかかってくるということなのでしょうか。
大臣:
そこの保管費用だとか、そういうことについては検討を始めたところですので、その中でそうしたいろいろな事務的なことも含めて検討することになると思います。

(了)