後藤大臣会見概要

(令和3年12月3日(金)11:01~ 11:17 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は冒頭発言ありませんので。

質疑

記者:
3回目接種の前倒しについて伺います。オミクロン株の流行が懸念される中、岸田総理は来週の所信表明演説で、2回目から8か月という原則をできるだけ前倒す方向と報道されています。前倒しの供給に関するファイザーとの交渉の進捗状況について教えてください。また、モデルナは年内に薬事承認できそうでしょうか。お願いします。
大臣:
新型コロナワクチンの供給に関する交渉についてですが、誠に恐縮ではありますが企業との間の関係もありまして、その内容の詳細を申し上げる事は差し控えたいと思いますが、政府として厚生労働省を代表して必死に交渉をさせていただいているところであります。
 それから、年内に薬事承認できそうかということでしたね。モデルナ社のワクチンの追加接種については、現在PMDAで承認審査を進めているところでありまして、これは客観的な薬事の承認審査でありますから、それを待っているところであり、厚生労働省として速やかな承認を目指していきたいと考えております。
記者:
年内にということでしょうか。
大臣:
今、私の方から時期を申し上げることではないと思っておりますが、11月10日に申請が出まして、急ぎ作業を進めておりますので、できるだけ速やかな承認を目指していきたいと思っております。
記者:
もう一点、アドバイザリーボードで脇田座長はオミクロン株について「今後市中で見つかる可能性を否定できない。」と述べておられました。国内の体制強化が必要とされていますが、どのように検討していくお考えですか。
大臣:
まず、脇田座長が市中で見つかるということを仰ったかどうかの確認は今私はしておりませんが、いずれにしてもオミクロン株についてのウイルスの性状に関する実験的な評価がまだなく、疫学的な評価も行うには十分な情報もないということで、年代別の感染性への影響だとか、重篤度だとか、ワクチンや治療薬の効果についての影響だとか、それから既存株に感染した方が再感染するリスクはどのぐらいあるのか、そうしたことは大変大きな影響があり注視が必要と考えています。
 それを前提にして、オミクロン株の国内での発生動向を監視し、適切に感染防止対策を行っていくことが重要であるということで、具体的には2つ。
 1つは、11月28日に厚生労働省から各都道府県に対しまして自治体主体で行う全ゲノム解析について、従来お願いしている実施率にとどまらずに現時点の検査能力を最大限発揮して、ゲノム解析の実施を要請したところです。
 2点目は、これは12月2日に都道府県に同様に依頼した件でございますが、国立感染症研究所におけるオミクロン株に対応した変異株PCR検査の手法の確立に関する検討結果が出ましたので、その結果を踏まえまして、デルタ株の検査で用いたL452R変異株PCR検査の陰性を確認することによって、スクリーニング検査の実施をしていくということの依頼をしたところでございます。
 また、政府としては水際措置の強化ということで、今申し上げた二つの国内のサーベイランス体制の構築とともに、オミクロン株への対応にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
 また、国立感染症研究所からは、個人の基本的な感染予防策としては、これは変異株であっても従来と同様に、3密の回避、特にマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨されるという見解を発表しておりまして、引き続き国民の皆様には基本的な感染予防策へのご協力を強く呼びかけてまいりたいと思います。
記者:
先ほど、今日の中医協で薬価調査が発表されました。平均乖離率は7.6%でしたが、この調査結果は次期薬価改定にどのような影響を及ぼすのかということと、一方で、10月の衆院選では公明党は薬価の過度な引き下げが起こらない仕組みを検討すると公約で掲げていましたが、例年のような大幅な薬価のマイナス改定は可能なのでしょうか。
大臣:
薬価調査の結果については、本日、平均乖離率は7.6%と昨年と一昨年と比べても大きく変わらない数値が発表になっています。市場実勢価格について、しっかり調査された結果が出ていると受け止めておりまして、令和4年度の診療報酬改定にあたっては、今回の結果、そして先日公表されました医療経済実態調査の結果等も踏まえまして、引き続き検討を進めていきたいと思っています。
 薬価制度については、制度の検討も、これも不断なく続けるべきことだと思っていますが、今のところを特に制度について何らかのことが決まっているというわけではありません。いずれにしても、年末に向けてしっかりと水準の議論をしていきたいと思っています。
記者:
介護分野の賃金の引き上げが予定されていますが、それに伴い介護報酬の臨時改定が予定されていると思います。その議論はいつ始まり、いつ頃結論が出るのか分かれば教えてください。
大臣:
11月26日に閣議決定された補正予算において、賃上げ効果が今後も引き続き継続される取組を行うということを前提として、介護職員について収入の大体月3%程度、月額9千円を引き上げるための措置を講じて、それも来年の2月から9月まで実施することを盛り込んだところでありまして、その点についてはご指摘のとおりです。
 これを、今後どういう形で継続的な取組にしていくかということは、介護報酬で対応するかもどうかを含めて来年10月以降の取扱いについては、まずは公的価格評価検討委員会の議論を参考にしながら、年末の予算編成過程で決定するということになります。
 仮に介護報酬で対応することとする場合にも、具体的な要件等については年明け以降に社会保障審議会介護給付費分科会でご議論いただくことになりますが、まずは年末の予算でどういう形にするのか、そしてその水準をどう決めていくのか、そうしたことを決めていきたいと思います。
記者:
一部報道で3回目接種について、1回目と2回目のモデルナ社製の在庫を活用して前倒しを目指す方針になると報じられました。事実関係や検討状況をお聞かせください。
大臣:
前倒しにつきましては、我々としては事務連絡を発出した時から申し上げていることでありますが、今後の感染状況の変化や自治体の準備の状況だとかワクチンの供給力、また、オミクロン株の特性等も踏まえた上で、必要があれば8か月を待たずして接種を行う範囲について更に検討を行うと申し上げているとおりで、今もそういう考え方であります。
記者:
新型コロナウイルスの水際対策について二点伺います。厚生労働省のホームページを見ると、入国者に対してはコロナの検査を行う旨が記載されていますが、PCR検査なのか抗原検査なのか、何の検査なのかについての記載がありません。空港検疫で行われる検査は何検査なのでしょうか。
 出入国に関して、政府は、邦人などの再入国者に対しては入国を認める方針をとっていますが、外国人の新規入国に対しては入国を認めていません。WHOもこの日本の対策を「ウイルスは国籍や滞在許可証を見るわけではない。自国民か否かで判断するような対応は矛盾している。疫学的に原則が理解困難だ。公衆衛生上の観点からも論理的とは言えない」などと批判をしています。
 公用であろうと私用であろうとやむにやまれぬ事情がある方もいると思います。一律に徹底したPCR検査を行い、感染の疑いがある方は早期に捕捉すれば済む話ではないでしょうか。以上について、よろしくお願いします。
大臣:
まず、検疫においては全ての入国者に対しまして、原則として唾液を用いた抗原定量検査を実施いたしております。抗原定量検査については、陽性か陰性かの判定を確定させることが難しい場合がありまして、その場合には追加でPCR検査等の結果を踏まえまして、判定する取扱いとされております。
 また、現在オミクロン株の世界的な発生を踏まえて、諸外国でも水際対策が強化されている中で、我が国においても11月30日以降は外国人の新規入国について、全世界を対象に停止するなど水際対策を強化しております。
 今般の措置は、我が国として、最悪の事態を避けるための緊急避難的な観点から、オミクロン株についての情報がある程度明らかになるまでの予防的措置であって、各国に対しても国民に対しても引き続き理解を求めてまいりたいと思います。
記者:
今の大臣の答弁の中で、PCRではなく抗原検査が使われて、それを補足する形でPCR検査ということでしたが、抗原検査はPCR検査より精度が劣ると言われておりますが、この場合、なぜ抗原検査の方がPCR検査より優先されているのでしょうか。
大臣:
唾液を用いた抗原定量検査ですね。抗原定性検査ではなく、抗原定量検査については、PCR検査と高い一致率を示すという調査研究もあります。また、PCR検査よりも処理能力も高いということで、抗原定量検査を使わせていただいているということであります。

(了)