後藤大臣会見概要

(令和3年11月26日(金)11:34 ~ 11:59 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
冒頭、こちらから一言申し上げたいと思います。HPVワクチンの接種につきまして、本日、積極的な勧奨を差し控えることとしていました平成25年の通知を廃止しまして、基本的に来年(令和4年)4月から個別の勧奨を順次実施する旨の通知を発出いたしました。
 これまでに接種機会を逃した方に対する、公費による接種機会を提供すること等については、引き続き、厚生科学審議会で議論をいたしておりますので、今後、取り扱いを考えていきたいと思います。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年11月26日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種について例外的に6か月でも打てるようにする基準について、今どのような方針で検討されているのかという状況と、あと本日全国知事会等もございますが、いつ自治体に通知するのか、そのタイミングについてお考えをお聞かせください。
大臣:
新型コロナウイルスワクチンの追加接種(3回目接種)の接種間隔については、2回目の接種から原則8か月以上とするということでご説明を申し上げております。
 しかし、その中でも例えば離島だとか、余っている無駄になるワクチンをどうするかそういった扱いの問題に加えて、現在感染が非常に強く拡がるような局面において、何らかの例外的取り扱いを認める必要があるのではないかと考えておりまして、当局とご相談をしていただくことも条件でそういう対応を認める方向で検討をいたしております。
 具体的な例外的取り扱いの基準については、今検討を進めているところでございます。追加接種は12月1日から開始するということを踏まえますと、なるべく早くお示しする必要があると考えておりまして、今その作業を最終的に急いでやっているところでございます。
記者:
南アフリカで新しい変異株が出ているという報告がありまして、非常に危険なものではないかということですが、今後の感染状況についての大臣のお考えと検疫とか国内の対策のために遺伝子情報の入手など既に対策として指示を出していること、もしくは方針としてやろうと思っていることがありましたら教えてください。
大臣:
今ご指摘のあった新型コロナウイルスの新たな変異株、B.1.1.529については南アフリカを中心に感染が拡がっているという報道は承知をいたしております。
 新たに変異株が確認されました場合にはその感染性や重篤度、ワクチン効果に与える影響等を併せて評価をしていくということが非常に重要であると考えておりまして、日本においても緊張感を持って対応していかなければならないと思っております。
 変異株B.1.1.529につきましては、現時点では日本で確認されておりませんが、引き続きWHO、また諸外国の動向等の情報を収集していく、また、日本で検疫で陽性が判明した検体全てについて国立感染症研究所によるゲノム解析を実施するとともに、国内におけるゲノムサーベイランス等におきまして変異株の動向を監視してまいりたいと思っております。
 現在、新たな変異株に関する最新の科学的知見や、WHOや諸外国の動向等の情報を収集するとともに、国立感染症研究所において新たな変異株の感染性、重篤度、ワクチン効果に与える影響等を評価しているところでありまして、こうした評価を踏まえて引き続き適切にしっかりと対応していきたいと考えております。
記者:
感染研でこの新しいもののゲノム解析を全陽性検体で行うという方針は既に感染研の方に指示は出されているのでしょうか。
大臣:
それは、今そういうルールになっておりますので、そういうルールに従って国立感染症研究所は仕事を進める、そういう仕組みで動いております。
記者:
昨日広島県知事との会談で、大臣から厚労省と広島県知事などと、近々正式な協議を設けるとの発言があったと伺いました。正式協議についての具体的な日程や内容について教えてください。また、救済の支援制度運用の開始時期はいつ頃を想定しているか、現在の検討状況を教えてください。
大臣:
今、お尋ねのあったいわゆる黒い雨訴訟の広島高裁判決、その後の総理談話を踏まえた対応につきましては、実務者レベルでの打ち合わせをこれまでも行ってきておりました。
 そうしたことを踏まえまして、令和4年度当初の運用開始を目指して、まもなく、広島県や広島市、それに長崎県、長崎市を交えた協議を開始する予定にまで至っているとの報告を受けております。第1回目の協議は11月30日を予定しているとの報告を受けております。
 政府としては、これまで被爆者援護行政として積み重ねてきたこと、司法の場で示されてきた様々な判断もある中で、今回の一審・二審の判決や、7月の総理談話を踏まえて、どこまでの対応が可能か、広島県や広島市などのご意見を丁寧にお聞きした上で検討を進めてまいりたいと思います。
 関係者も高齢化されているので、スピード感を持って取り組むことも重要であると考えております。
記者:
診療報酬についてお聞きします。改定の議論が本格化していますが、高齢化による医療費の引き下げ等以外にも今年は看護師の処遇改善ですとか、あと不妊治療の適用、あと新興感染症への適用など診療報酬プラスになる要因があるかと思いますが、これらについて、改定にどのような影響があると大臣お考えでしょうか。あとそれから今後の改定の議論に関してなのですが、厚労省としてはどのように対応を進めていかれますでしょうか、お考えをお聞かせください。
大臣:
診療報酬の改定の議論は、経営実態調査が発表になっておりまして、前回の改定のときと比べて、各医療提供機関の経営の状況がどうなっているか、そうしたことを今分析し、検討しているところでございます。
 例えば、今ご指摘のあった診療報酬改定の中に含まれる処遇改善部分の来年度における報酬改定における扱いをどうしていくかとか、あるいは、不妊治療関係をどうしていくかとか、様々個別の案件はあります。
 ですから、適切な診療報酬改定の水準と、どういう改定をしていくのか、これからまさに検討していくときでありますし、中医協のしっかりとしたご議論も待っていきたいと思っています。   
記者:
HPVワクチンの積極勧奨再開についてお伺いしたいのですが、8年半という歳月の長さをどう考えられるかということと、再開にあたってまた混乱が起きないようにどういった点に注意しようとお考えなのかということを具体的にお伺いできればと思います。
大臣:
ご承知のようにHPVワクチンについては平成25年に積極的な勧奨を差し控えてから今年までで相当長い時間が経っていることはご指摘のとおりでございます。
 しかし、その間安全性、有効性のエビデンスをしっかり改めて整理し直すこと、また84ある協力医療機関の体制をきちんと整理していくこと、また、HPVワクチンの様々な安全性、有効性等についての広報をしっかりと行っていくこと、そうしたことを丁寧に行って国民の理解を求めてきました。
 そしてその結果としてHPVワクチンの定期接種を受ける方の割合も1%から10%に上がってきたと、そういうような長い期間というご指摘はそのとおりだと思いますが、そうした国民理解と手順を踏んで今回リスクベネフィットについての最新の知見が例えばスウェーデンやイギリスで子宮頸がん患者の低減率が88%、87%であるとか、それからエビデンス等も整理し直し、また84ある協力機関での必要な診療提供体制をチェックしたうえで、大きな広報も1年やらせていただいたうえで、今回こういう積極的勧奨をもう一度再開していくということを決定したもので、これは厚生科学審議会副反応検討部会において十分にご審議をいただいて12日に結論を出していただいた、そのことを実行するということでございます。
記者:
COCOAのアプリのことについて伺いたいのですが、昨日のアップデートでアプリの不具合を厚労省の方が公表されましたが、このアプリを巡っては昨年から不具合があったと思いますが、大臣の受け止めがあれば教えてください。
大臣:
昨日25日に公開しましたCOCOAの最新版を更新した一部の端末において、COCOAを起動するとすぐに強制終了してしまうということが発生をいたしました。
 デジタル庁において既にこの不具合の原因を特定いたしまして、修正版を開発いたしまして、iOS版については既に修正版が公開されたと承知しておりますし、Android版については引き続き審査を進めている最中であると聞いております。
 こうしたトラブルが起きることについては、利用者の皆様に対して本当に申し訳ないと思っております。このCOCOAについては公衆衛生の観点からの企画立案を厚生労働省が、アプリの保守・運用はデジタル庁が担当するということになっておりますので、引き続きデジタル庁と連携してしっかりと対応に努めてまいりたいと思っています。
記者:
先ほどの黒い雨の質問に関連して伺います。大臣先ほど、令和4年度当初の運用開始を目指すということでしたが、総理談話には原告団以外の救済を記載されておりまして、来年度当初ということになりますと、被ばく者に認定していくことになると予算が必要になると思うのですが、来年度当初予算にそうした関連予算を盛り込む方向で協議をしていくということなのかというのが一点と、もうひとつ長崎県と長崎市を交えるということで、この意味を、長崎県では被ばく者認定されていない被ばく体験者の方々もいらっしゃって、地元は被ばく者と認定されたいということを求めていますが、長崎県・市を協議に加える意味を、この二点お願いします。
大臣:
まず、予算等については施策を実行することに必要な予算をしっかりと整えておくことは政府の責任だと思っています。
 それから、長崎県と長崎市を協議の開始にあたってメンバーとして一緒に協議していくということについては、平成22年に作られた個別認定指針が広島県、広島市、長崎県、長崎市との協議の上で作成された経緯もあることから、今回の指針改正にあたってもその経緯を踏まえて一緒に協議するというものであります。
 ですから、そういう改正案の作成にあたって4県市の意見を丁寧に聞きながら進めていくということでございます。
記者:
重ねてすいません。ということは広島県の、広島高裁の判決を受けて広島県の関係の方を救済していくということがメインだと思います。長崎県に関してそういう救済を前向きに検討していくということでは今の時点ではないということでしょうか。
大臣:
先ほど丁寧に申し上げたのはそういうことで、救済について広島の皆様のいわゆる黒い雨関係の事案についての取扱いと、それから今長崎でそれぞれ起きている問題を一緒にここで取扱いをするというところまで含めているわけではありません。
記者:
前回こちらがした質問で、厚労省の方で引き取りとなっていた件につきまして、もし回答いただけましたらよろしくお願いします。
大臣:
この間ご質問がありましたのは、新型コロナワクチンによる健康被害救済の申請件数が何件かということだったと思います。そのことについては、まず、予防接種法に基づく健康被害救済制度は、接種に係る過失の有無に関わらず予防接種と健康被害との間の因果関係が認定された方を迅速に救済する、そういう制度でございます。
 この予防接種法に基づく健康被害救済制度、11月25日の時点で592件の新型コロナワクチン接種にかかる健康被害救済申請が国に届いております。     
記者:
今の592件という数字は、厚労省の死亡者数の状況をホームページで発表されていますが、それに含まれるということでしょうか。
大臣:
今は、健康被害救済の申請件数で、死亡者の件数を言っているわけではありません。
記者:
政府の施策において健康被害に遭われた方に利用可能な行政サービスというのがあれば、それをより広範に周知していただきたいというのが先ほどの質問の趣旨だったので、よろしくお願いします。
 もう一件追加で、新型コロナワクチン接種後の死亡事例について伺います。厚労省の医薬品等行政評価監視委員会において、佐藤嗣道委員長代理は、医師などからの厚労省への死亡事例の報告について次のように発言されています。「医療機関から報告されなかった死亡例というのも恐らくたくさんある。ワクチン接種後の死亡や様々な有害事象についてもツイッターなどのSNS上にたくさんあがっており、実際に厚労省に報告されている接種後の死亡例というのは、そのごく一部でしかないということが何となく伺い知れる。また、もしかすると10倍ぐらい高い可能性も視野に入れておかなければいけないのではないか」という内容の発言をされています。ワクチン接種と死亡との因果関係が情報不足により評価できず、ご遺族への補償が全く行われていないことに加えて、死亡の事例の全容を政府として把握していない現状は、今後ワクチンの追加接種やワクチンに不安を抱く方への接種を進めていくにあたって、大きな障害になるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
大臣:
今、医薬品等行政評価監視委員会において、佐藤委員の発言のご紹介がありまして、その佐藤委員の発言自体は、これは制度から言うと副反応疑い報告のことについてのご指摘だと思います。
 健康被害救済制度は、本人が何らかの疾病と予防接種の因果関係判断を前提として、救済を求める制度でございます。一方で、副反応疑い報告は、医師等が報告をするものでワクチン接種後に生ずる症状との傾向を把握するためのものであって、副反応疑い報告の審査結果が、即お尋ねになった健康被害救済の申請件数や申し立て等と、同列のものではないと思っています。
 ただし、今お尋ねがありましたが、このいくつか死亡者の報告が少ないのではないか、といった仮定でのご質問に答えるというのは必ずしも適切ではないとは思いますが、いずれにしても副反応疑い報告制度に基づいて、適切に各医師等から報告をしていただけるように、制度の周知徹底と適切な運営を図っていくことについては私どももそのような考えでおります。

(了)