後藤大臣会見概要

(令和3年10月26日(火)11:40 ~ 12:00 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
それでは本日は冒頭から4つ発言させていただきたいと思います。総理から今朝の閣議の後、先日示された骨格に沿ってコロナ対策の全体像の取りまとめに向けて、作業をしっかり進めるようにということ、その中で病床確保とあわせて予防・検査・治療の一連の流れの強化、特に経口治療薬の年内の実用化を目指すとともに、しっかりと必要量の確保に向けて取組を加速するようにというご指示がありました。
 我々厚生労働省の方においても、治療薬の開発支援や承認された場合の必要量の確保に努めてきておりますが、新たに実用化が期待される経口薬は国民に安心を確保していくための切り札と言えるものでありますので、総理の指示を踏まえ、厚生労働大臣としても全力を尽くしてまいりたいと思っております。  

 それから、本日の閣議に先立ちまして、新しい資本主義実現会議が開催されまして「成長と分配の好循環」ならびに「コロナ後の新しい社会の開拓」というコンセプトの下に、我が国の新しい資本主義のビジョンと、その具体化に向けた第一回目の議論が行われました。
 私の方からは、労働分配の原資を稼ぎ出す成長の実現に向けては、労働生産性を高め、付加価値を創出していくということが非常に重要であること。
 それから子ども、若者、女性、高齢者など、多様な主体が育ちや職業訓練や学び直しなどの機会を通じて、人生100年時代の中で自分自身の希望に応じていつでも新たな挑戦ができること。また、キャリアアップができるように取り組んでいく必要があること。
 また、多様な人材が労働参加して、その能力を最大限発揮していただくようにするために、就労環境や労働市場の整備にも取り組んでいくと、そういう話をさせていただきました。
 今後の議論も踏まえながら、必要な取り組みを進めてまいりたいと思っております。総理からは緊急提言案を11月上旬にもまとめるというご発言もございました。詳しくは山際担当大臣の方にお聞きいただければとは思います。

 それから次に3番目でございますが、「児童虐待防止推進月間」についてでございます。児童虐待については、児童相談所の相談対応件数は20万件を超え年々増加の一途をたどっております。
 その防止は社会全体で取り組むべき重要な課題だと思います。社会全体で児童虐待防止の取組を進めるにあたりまして、国民の皆様により強く関心を持っていただく必要があります。
 このため厚生労働省では、11月を「児童虐待防止推進月間」ということで位置づけまして、集中的な広報や啓発活動を実施しております。
 令和3年度の標語は「189(いちはやく)「だれか」じゃなくて「あなた」から」というのが標語です。本日の閣議では大臣の皆様にも月間へのご協力と、それからオレンジリボンのバッジの着用をお願いしました。
 報道機関の皆様におかれても、「児童虐待防止推進月間」にあたりまして、「児童相談所虐待対応ダイヤル189(いちはやく)」ですね。広報・啓発にご協力をいただきたいと思っております。

 それから4番目でございますけれども、第72回WHO西太平洋地域委員会について説明させていただきたいと思います。昨日10月25日から兵庫県姫路市におきまして、第72回WHO西太平洋地域委員会が開催されておりまして、私もホスト国を代表して開会式典等に出席してまいりました。
 日本での開会は19年ぶりということでありまして、昨年は新型コロナウイルスの感染によりまして会が開けず延期になり、本年の開催となっております。
 本委員会においては新型コロナウイルス感染症をはじめ、結核だとか学校保健だとか地域の重要な保健課題についても議論をされます。
 新型コロナウイルス感染症対策にあたっては西太平洋地域の連携というものが非常に大事でありまして、その連携のあり方について委員会の議論とは別に、出席されていた、フィリピン、ラオス、マレーシアの3大臣とバイ会談も行わさせていただきました。
 我が国は「COVAXワクチンサミット」で合計10億ドルの貢献を行うことを表明したほか、6千万回分のワクチンを現物供与することを表明しておりまして、既にほぼ3千万回分を実行いたしております。
 各大臣からは、また、各国の代表団からは、これらを通じた支援に対する感謝の言葉をいただいたほか、お互いに西太平洋地域の国は、各国ともに支え合って新型コロナウイルス感染症に対応していく必要があるということについて確認をいたしました。
 また、東京2020オリンピック・パラリンピックについては各国から感染症対策、新たな時代の感染症対策の模範となる取り組みであったということで大変な評価をいただきましたこともご報告させていただきます。
 今回の開催が西太平洋地域の各国、地域の連携を深める機会としてパンデミックからの脱却に大きく貢献ができるよう、ホスト国として最大限の力を尽くしてまいりたいと思います。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年10月26日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
新型コロナについてお尋ねします。現在新規感染者が減少を続けて7日平均で全国で300人程度にまで減っています。これ現状でこれだけ減っている中でも第6波は来るとお考えでしょうか。もしそうでしたらその根拠もお聞かせ下さい。
 それから、経済活動再開のためにワクチン検査パッケージの本格運用が望まれていますが、この時期について、今どのように目標なのか目途なのか、いつ頃をお考えでしょうか。旅行需要、飲食需要が高まる年末年始に間に合う見通しはあるのでしょうか。
大臣:
これまで本当に多くの市民や関係者の皆さん、事業者の皆さんの感染対策への協力によりまして、またご承知のとおりのワクチン接種率の向上等によりまして新規感染者の減が継続し、7日間移動平均で10月25日時点では295人ということになっているのは本当にご指摘のとおりでございます。
 ただしアドバイザリーボードで、これは10月20日にも議論になったわけでございますが、緊急事態宣言解除後多くの地域で夜間の滞留人口の増加が続いていて、感染者の減少速度鈍化や下げ止まりの懸念がある地域もあること、また年末に向けて社会経済活動の活発化が予想されることや気温の低下で屋内の活動が増えるということ、またワクチン接種が先行していた世界各国においても大幅な規制緩和の中で大きなリバウンドが発生している状況もあること、そうしたことから対策の緩和は段階的に行うことが望ましいという評価・分析もいただいておりまして、引き続き基本的な対応を含めて警戒が必要だと思っています。
 国民の皆様にはマスクの正しい着用や手指の衛生だとかゼロ密や換気とか、そういった基本的感染対策の徹底について、引き続きご協力をいただきたいと思っております。
 それから第2のご質問でありましたワクチン検査パッケージでありますが、希望者全員へのワクチン接種完了、これを11月の初旬までには終了するということを展望しまして、感染リスクを低減させることによって飲食やイベント、人の移動の各分野における行動制限の緩和を可能とする方策の一つとして活用が期待されるものだと考えています。
 現在内閣官房におきまして技術実証を行っているところでありまして、今後事業者や自治体の皆様のご意見も踏まえながら具体的な内容を検討して11月早期に取りまとめる対策の「全体像」の中でお示しできるように検討を進めていく。また、時期については技術実証の結果等を見ながら考えていくという段階でございます。
記者:
ワクチン検査パッケージの時期についてですが、11月初頭にまとめられる総合的な対策でスケジュールや対象となる事業、そういったものも含めてそこで正式に決定できるということでよろしかったでしょうか。
大臣:
まだ11月早期に取りまとめられる対策の「全体像」の中でどこまで書けるかということも含めて技術実証を行っている状況ですので、その状況も見ながらできる限り具体的に書けることについて書いていくというのが「全体像」の中でお示しできることだと思います。
記者:
ワクチンの接種率についてお伺いします。25日時点での接種率は69.6%となって7割が目前となっていますが、7割達成の意義について大臣はどのように考えているかということと、政府は11月までに希望者全員への接種完了を目指していると思いますが、何を持って希望者全員への接種完了という節目と捉えるのか、最終的に目指す具体的な接種率についてどう考えているのか教えて下さい。
大臣:
2回接種を終えた方の全人口への割合は69.6%ということで、本日か明日か公表値で7割を超えるのではないかと考えております。他国に例を見ないスピードで接種が進んでおりまして、自治体や医療関係者の皆様、大変感謝をいたしております。
 政府としては希望する全ての国民が2回のワクチン接種が終えられるように、対象となる12歳以上の人口の約9割が2回接種できる量のワクチンを配送したところでありまして、自治体の取り組みの好事例に関する情報提供等も行っております。
 引き続き自治体の状況をよく見ながら自治体の取り組みの支援、必要なワクチンの供給、そうしたことに努めてまいりたいと思っています。数値目標をはっきりとお示ししているわけではありません。
 希望者に納得していただいて打っていただくということでありますし、そういう意味で希望者全員への接種が終わったかどうか、そのことについては自治体の接種の状況だとか、予約状況の入り方とかそういうものをよく見ながら判断をしていくということになります。
記者:
冒頭発言されたコロナの経口薬の年内の実用化についてお伺いしたいのですが、年内といってもあと2か月くらいしかなくて、具体的なスケジュールというものはあるのかということと、例えばメルクのモルヌピラビルはヨーロッパのEMAが承認への申請を始めましたが、国内の申請の目途は立っているのでしょうか。
大臣:
現時点では薬事承認された経口治療薬はありません。政府としては薬事承認を前提として必要な経口治療薬を確保していくということで前広にいろいろな取り組みを進めていくと考えております。
 いずれにしても承認申請までは企業の内部での開発過程でもあり、また我々、助成だとかそれから事前の相談だとかいろいろなことで情報等を持っておりますが、それについては政府と個社の事前の対応ということなので、明らかにすることはできませんが、いずれにしても我々としてはコロナ治療薬の治験を支援するための補助を行うだとか、あるいはコロナ予備費なども使用して中和抗体薬に加えて薬事承認を前提とした経口治療薬の確保の取り組みとかいうことも支援を進めているところであります。
 いずれにしてもそういう事態なのでできる限り承認を早く進めて、そしてしっかりと確保した上で国民の皆様にも薬事承認を前提とした上で、経口治療薬の具体的な確保状況や見通し等についてしっかりと説明できるように準備を進めていきたいと思っております。
 このことについては本当に今後の感染対策の切り札ともなる、そういうものだと思っておりますから、しっかりと私自身も取り組んでいきたいと思っております。
記者:
治療薬の確保に関しては世界中で争奪戦ということも予想されますが、確実に日本国内の供給量を確保していくためにどのように取り組んでいくお考えでしょうか。
大臣:
それについては、厚生労働大臣もしっかりと、私自身が直轄の問題としてしっかりと取り組んでいきたいと思っています。年末までに予断をもって語ることはできませんが、お話のあったメルク社は今検討が進んでいるということではございます。
 いずれにしてもしっかりとできるだけ早くに確保していくように進めていきたいと思っております。
記者:
新型コロナワクチンの12歳未満への接種についてお伺いします。アメリカのファイザー社は5歳から11歳を対象とする臨床試験で、高い有効性が示されたという資料をFDAに提出しました。ファウチ大統領主席医療顧問はこの年齢層の子供たちへの接種を11月前半にも始めると示唆しています。日本での第5波では子供の感染も増えて学校や塾でのクラスターも確認されておりますが、国内での12歳未満へのワクチン接種の必要性についてお考えをお聞かせ下さい。
大臣:
これについてはまた専門家の皆さんのご意見をよく承ってしっかりと手続きを踏んで進めていきたいと思っています。アメリカの状況についてはおっしゃったような事態が進展していることはよく認識いたしております。

(了)