田村大臣会見概要

(令和3年8月3日(火)10:45 ~ 11:07 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日私からはご報告ございませんので、ご質問ございましたらいただきたいと思います。

質疑

記者:
新型コロナの患者の治療に関して2点お伺いします。まず一つ目は、カクテル療法なのですが、現場の医療機関からは薬を発注してから納品まで4日かかるなど、スムーズに患者さんに投与ができないといった声が挙がっています。今後、流通や運用の見直しを検討するか、お考えをお聞かせ下さい。二点目は、酸素投与を必要とする自宅療養中の中等症の患者さんが増えていますが、今後、酸素を確保するために国として支援など何かお考えはありますでしょうか。
大臣:
まず一点、中和抗体薬、カクテル療法でありますけれども、基本的にご連絡いただいた次の日には配送できるという体制をお願いいたしておりますが、土日挟むとその分遅れるということで、感染から5日以上経っても届かずに、結果的には使ってもあまり効果が期待できないというご心配かと思います。今、使える医療機関は順次増えていますが、全てというところまでいくかどうか分かりませんけれども、比較的利用される患者さんの多い医療機関、こういうところには一定の、一定のと言ってもそんなに多くというわけにいきませんけれども、ストックを置いていただけるような、そういうことも含めて早急に対応してまいりたいと思います。
 それから、酸素投与をしなければならないという方々、基本的にはそういう症状が出て、人工呼吸器まではいかないにしても、酸素吸入でありますとか、それからハイフローセラピーのような、最近よくあります高流量の酸素を鼻から投与するような、そういう療法に関しては、入院していただいておるというのが前提ですが、例えば在宅で、そういう必要が生まれてきた場合、これは基本は、総理からもお話がありましたけれども、入院できる体制を作っておく。つまり、中等症Ⅱの方々がすぐに入院できるような病床をどう確保するのか、というのが非常に重要なので、比較的中等症でも軽い方々は在宅でお願いをしていくというお話にしているわけです。
 一方でそうは言っても、なかなか対応できない、もしくは医療機関まで搬送するよりもほかに方法はないか、ということであれば、今酸素の吸入に関しては在宅でも対応できるようにということで診療報酬でもつけるようにいたしておりますので、実際問題、この4月などもできると関西なんかではそういう対応をしていただいているところもあるとお聞きいたしておりますので、そういう自宅での、人工呼吸器ではなくて酸素投与、そういうようなものもしっかりと在宅でも対応できるように、ということも一つの方法としてございますので、各医療機関でご判断をいただいて対応いただくということになると考えております。診療報酬もしっかりとつけております。以上です。
記者:
黒い雨訴訟の対応についてお伺いします。先日、長崎県知事と長崎市長が長崎でも被爆者の認定対象を拡大するようにとの要望書を出しました。被爆体験者を含めた長崎の人も、広島の原告と同様の事情があるものとして、三号被爆者に認定するように求めるという内容でしたけれども、国としての対応はどう考えていらっしゃるのか、教えて下さい。
大臣:
これは関係自治体と、同じような事情とはどういう事情かということをしっかりと検討するということで、実務者での話し合いも始まったと聞いておりますけれども、自治体としっかりと話をして、基準といいますか、一定の考え方をまとめていくことになろうと思います。
記者:
新型コロナの入院対象者を重症者や重症化リスクに限るとした政府方針についてお伺いします。一部中等症患者も自宅療養になることで、自宅療養者も更に増えていくことが予想されますけれども、これまで自宅で容態が急変して亡くなる事例もあったと思います。患者の急増で健康観察も重要になりますけれども、東京都のフォローアップセンターでは、患者が急増して対応が遅れるような事例も出てきています。そういう中で、本当に自宅療養で安心できるのか、どのような対応を実効性をもってやっていくのか、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
一つは、よく皆さんおっしゃいますが、フェーズが変わった、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の内部書類が本当に正しいのかというのは我々もよく検証してみないとわかりませんが、ワレンスキー所長は実際そういうようなことも検討しているというお話でありました。つまり、何が言いたいかというと、感染力が従来のウイルスと比べると格段に上がっている。ということは、やはり今までと同じ対応では当然感染は増えるわけですよね。世界中で今そういう状況になっているわけですよね。そうなってきた場合、日本は比較的国民の皆様方の大変なご協力があって、国民性もあるのだと思いますけれども、欧米と比べると一桁違う感染者という対応で、本当にご努力いただいて抑えてきています。
 ところが、欧米、仮に1人~8人、9人、これは基本再生産数ですから、もちろん実効再生産数ではないのだと思いますが、それくらいの感染力、仮に水疱瘡と同等の感染力があるとすれば、やはり感染が拡大をしていくのをどう抑えるかというのは、今まで以上に難しくなってくる話で、感染者が増えたことも、我々としてはそうならないようにしたいし、そうならない方がいいのですけれども、そういうことも想定をしなければならない、最悪な状況を踏まえた上でいろいろな検討をしていくわけであります。すると、やはりヨーロッパ、アメリカは、以前の感染拡大の規模でみていきますと、やはり在宅が中心になっておられると、もちろん病床が全然足りなくなってくるので。すると、在宅対応ということを我々も考えざるを得なくなってくるわけで、そういうときに必要なのは、重症化された方々が家でおられてもすぐに医療機関に行けるということ、つまり、中等症以上の症状の方々が入院できる病床を常に確保しておくということが重要で、そのための在宅での対応という形になると考えていただいて結構だと思います。ですから、そこが一番重要なので、病床に常に何かあったときには入っていただけるような余力を持つ対応をしっかりやっていけるかどうかというところを、我々はこれから対応していかなければならないと考えております。
 もう一つは、感染者が増えてきた場合の保健所の対応というもの、一義的に保健所が感染者全てを把握して、それぞれの調整をもちろん都と協力しながらやっていただいております。そこの人員増強というもの、これはもちろんいろいろな形で専門能力を持っている方々の対応、派遣というものも含めて人員の支援、IHEATなどみたいなこともあるのですが、それだけではなくて例えば今健康観察をアプリを使ってといいますか、HER-SYSを使っていろいろな項目の打ち込みのような健康観察をやっています。そういうものも外注に出して、民間の力を借りてやっていかなければならない、実際もうやっていただいている区もあると思います。
 そういうものに対しての支援、例えば民間委託に人を増やしたいのだけれども、どこと話をすればいいのか、というものに対して相談が都や厚労省にあった場合、対応できるようにしていかなければならないと思いますし、そういうことをお願いできそうな企業にはしていかなければならないと思います。いずれにいたしましても、これは本当に全てのいろいろな力を投入して、いつも私スピードの問題申し上げますよね、いろいろな問題が起こるのは感染スピードが早いときなのです。今、まさにそういう状況になっています。これは1月の東京、4月頃の大阪、感染者が増えるというよりは、スピードが速いときが一番いろいろな意味で問題が起こるとき、まさに東京が今そういう状況でありますから、我々もスピード感を持ってそういう対応ができるように、いろいろな支援をしてまいらなければならないと思っております。
 あとは、入院までいかなくても、場合によって在宅で酸素吸入ということもあるかもわかりません。そこまでいかない方々の健康管理、症状の診断、診察というものもあるかもわかりません。そのためには、やはり地域の医師会をはじめとする医療機関との連携という意味で、これも東京都は以前から1月以降進めていただいておりますけれども、例えばオンライン診療、場合によっては往診というものも含めて、対応をいただかなければならないので、そこの連携というものも都、また保健所の区としっかりと問題が生じないよう、我々としては支援をしていかなければならないと思っております。そういう意味で先般も申し上げたと思いますが、総理に医療関係者の方と会っていただいて、そして再度お願いをさせていただく場を設けるということであります。
記者:
今の質問に関連してなんですけれども、今回の医療提供体制の方針についてなのですけれども、重症患者やリスクの高い人以外の方は自宅療養を基本とするということなのですけれども、先ほどの大臣の冒頭のご発言中で中等症Ⅱの方が入院できる病床をどう確保するかが大事だとご発言されたのですけれども、中等症Ⅱ以上の方が入院することが重要ということになってくるのでしょうか。
大臣:
中等症Ⅱ以上という言い方がいいのかどうかわからないのですけれども、要するに重症化する可能性が非常に高い方々が対象になってくるということであります。今までですと、重症リスクがある方は入院という形でありましたけれども、重症リスク、例えば年齢だとか基礎疾患だとかいう意味でも、比較的症状が軽くて、リスクがそれほど高くないという方に関しては、在宅ということも含めて対応せざるを得ないと、それは感染者の数と病床ということを考えれば、というくらいのフェーズが今変わっている状況でありますから、やはりデルタ株という感染力の非常に強いと言われているウイルスに立ち向かっていくためには、国民の皆様方の重症化して命のリスクにさらされる可能性のある方々をまず第一に病院で対応していくということが非常に重要であろうと思っておりますし、そうではない方々も先ほどから申し上げている通り、そうなる予兆が見えてくれば、対応できるように病床を確保しておくことが非常に重要であると考えております。
記者:
「黒い雨」訴訟に関連してなんですが、6日に広島で行われる平和記念式典に出席されると伺っていますが、先般いわゆる「黒い雨」訴訟について、上告を断念して、訴訟当事者を認める方針を打ち出しましたが、この件をめぐって、今回の訪問で、より具体的な措置を打ち出す考えはありますでしょうか。
大臣:
これはもう84名の皆様は上告断念で手帳を交付するということで、広島市、県がもう数十名は交付を決定したのか、されているのかについては、正確にはここではあれですが、そういうことになっていると思います。残りの方々も、多分8月6日に向けて、順次対応いただいていると思いますが、84名は間違いなく交付をするということで対応いただいていると思います。それ以外の方々は今ほど来お話があったとおり、自治体との話し合う中での一定の方向性ということでございますので、関係自治体とは、実務者同士でありますが、話し合いが始まっているところでございますので、しっかりと話し合いをさせていただきたいと思っております。
記者:
先日、全国知事会で、先般のコロナの感染拡大の状況を鑑みて、「ロックダウン」を含めた強い措置を検討するようにという提言がまとめられました。「ロックダウン」を含めた強い措置の必要性ですとか、将来的に検討するのかどうか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいです。
大臣:
「ロックダウン」のイメージというのが、欧米の家から出たら罰金を取るだとか、場合によっては逮捕だとか、さすがに知事さんも、そういうもののイメージではないのだと思います。ある意味、今お願いしている、「不要不急の外出やめてください」、「県境を越える移動に関しても必要最小限度でお願いしていただきたい」というようなことは我々も申し上げている訳でありまして、強い実効措置というものが具体的にどういうものかということを、我々としても知事会の皆さんとお話し合いをさせていただいて、いろいろとご示唆いただければありがたいと思います。
 なお、前段で申し上げた本当に強い措置、法律を作って、欧米並みに罰則、場合によっては逮捕まで含めて行うような法律を作るとすれば、これはかなり私権を強く制限する法律です。今までの我が国ではそういう法体系ではございません。かなり国会でしっかりとしたご議論、また、本来は国民の中でそれなりに時間をかけてご議論をいただかなければならない案件だと思いますが、国民の代表たる国会で、時間がない中でもしっかりとしたご議論が必要になってくるぐらい重い法律になるのだろうと私は思います。総理もこの間から、そこまでは今、政府としては日本の国では馴染んでいないのではないか、そこまでは考えていないというような趣旨だったと、そこは総理にお聞きいただくのがいいのだと思いますが、それなりに時間かかりますしね。今般のこの感染拡大というものには、なかなか法律を作って対応というのには、間に合わないだろうと私は思います。
 一方で、次の感染拡大、このコロナだけではなくて、新たないろいろな感染症が出てきます。そういうものに対しての対応策として、どういうような、今申し上げたことも含めて、対応が必要なのかということは、若干時間がかかっても、国会的な議論していただく話であろうなと。特に国民の皆様方にも大変なご心配をいただいている中にありますから、非常に重い課題であるというふうに受け止めさせていただいております。
記者:
アメリカでワクチン2回接種完了した人も感染してしまうブレイクスルー感染による死者と入院者が激増しています。4月下旬と比較してブレイクスルー感染による死者は9倍に、入院患者は7倍に増加しており、原因はワクチンを突破しブレイクスルーしてしまうデルタ株の感染拡大です。CDCアメリカ疾病予防管理センターはデルタ株に対応してマスクガイドラインを変更し、日本の国立感染症研究所は、ファイザー、ビオンテックのワクチンを2回接種しても、発症、感染予防に関しては最大で8割くらいまで有効性が減じ、重症化予防に関しては最大で9割くらいまで有効性が減じると評価しています。ワシントンポストによれば、現在米国の新型コロナウイルスの9割はデルタ株に置き換わり、デルタ株は従来株やアルファ株と違ってブレイクスルー感染をもたらす可能性があると言っております。現在のワクチン頼み一辺倒の政策では8月中に国内の9割達すると言われるデルタ株によるブレイクスルー感染を防ぐことはできません。やはり、感染症対策の基本、検査と隔離に立ち戻ることが今の日本政府に必要だと思われますが、田村大臣の展望をお聞かせ下さい。
大臣:
検査と療養は非常に重要だと思います。ただ、欧米で検査と療養をずっと日本よりも人口当たりかなり多い量でやってきましたけれども、感染が防げていないということですから、そういう意味ではそれだけでもだめなのだろうなということだと思います。ワクチンに関して申し上げれば、非常に重要なツールだと我々は考えております。アメリカの場合はたしか、ブレイクスルー、元々感染予防というのは、元々我々は掲げていなかった話でありまして、結果として感染予防効果もあるなとわかってきた中で、デルタ株では効果が減ぜられるという報告をCDCはやっておられるようでありますけれども、一定の効果がそれでもあるようであります。
 それから重症化、死亡者、これに対してはブレイクスルーで感染した人たちがどうだったかというのは、なかなか全体を見てみないとわからないですけれども、全体で見るとワクチン接種者は重症化、それから死亡というのは圧倒的に少ないということでございますので、そういう意味からするとワクチンの効果はあるというのはCDCもはっきりとおっしゃっておられる話であります。そういう意味では、ワクチン接種を進めていくというのは非常に重要であり、我々、日常生活を以前と全く同じようにというのは正直まだなかなか厳しいと思います。ただ、今世界中でいろいろな形で制約をかけて日々生活をされている方々に対して、その制約をある程度緩めていくということ、これはワクチンの接種というものが非常に大きな役割を果たすことは間違いないと、それぞれの国でそういう政策を打たれておりますので、各国の対策等も注視しながら日本でもなるべくワクチンを接種いただく中において、日常生活というものを徐々に取り戻していけるようなそんな方向性というものもこれから示していかなければならないと思っております。
記者:
話題が戻って恐縮ですが、「黒い雨」の関係で8月6日に総理が「黒い雨」訴訟の原告団と面会される予定であることが一部報道でありましたが、大臣はご一緒に面会される予定がありますか。もしあるのであれば、面会の意義についてもご意見をお聞かせ願います。
大臣:
私は官邸がお会いになられるという話は聞いておりませんので、官邸側にご確認いただければと思います。今のところ、私も日程がある訳ではございません。

(了)