田村大臣会見概要

(令和3年7月30日(金)11:13 ~ 11:34 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
おはようございます。私からまず今日冒頭3件、これ閣議でご報告した件であります。
 一つは、厚生労働白書、令和3年版ですね。「新型コロナウイルス感染症と社会保障」ということをテーマにいたしております。リーマンショック時との比較でありますとか、国際比較等も交えながら分析をしているということでございます。今後とも新型コロナウイルスとの戦いは続いていくわけでありますので、こういう経験を踏まえながら、社会保障というものをどういう形で社会的危機、これはコロナだけでありませんが、どう乗り越えていくかというようなことを取り組むべく、今回の白書をお示しさせていただいております。  
 それから雇用統計ですが、有効求人倍率は、1.13倍、6月でありますが、(前月より)0.04ポイント上昇したということでございます。完全失業率は(前月より)0.1ポイント低下ということで、数字だけ見ると有効求人倍率は上がっておりますが、全体としてこれ自体、求職活動等を(繰り延べるなど)、これはいろいろな、コロナ等で緊急事態宣言等もありましたので、そちらの状況もございますので、決して雇用情勢が良くなっているという認識ではなく、コロナ禍において厳しい状況が続いているという認識でございます。  
 それから、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」ということで、今般、大綱の変更が閣議決定されたということであります。この変更は、新型コロナウイルス感染症への対応ということで、新しい働き方等を踏まえた取組ということです。どうしてもテレワークということになりますと、なかなか労働時間というものが把握しづらいというようなこともございます。しっかりとそこら辺のところ、過労死等防止対策を充実していくということが必要だと思いますし、また、新しい数値目標として、「週労働時間60時間以上の雇用者の割合」でありますとか、「勤務間インターバル制度の周知、導入」、こういうものに関する目標、これを更新するということでございます。いずれにいたしましても、過労死ゼロの実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。私からは以上です。

手話付きの会見動画は(手話付き)【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2021年7月30日)(厚生労働省 / MHLWchannel )からご覧ください。

質疑

記者:
29日に発表された東京都の新規感染者数が3,865人となり、全国で初めて感染者が1万人を超えるなど感染拡大傾向に歯止めがかかりません。本日、基本的対処方針分科会で、緊急事態措置の対象地域拡大と宣言期間延長が諮問され、了承されました。緊急事態宣言の効果に疑問符がつけられるなか、収束に向けたシナリオについてどのようにお考えですか。
大臣:
緊急事態宣言のエリア拡充ということで、これは緊急事態措置自体、今までまん延防止等重点措置で感染がなかなか収まらない中において、より強いメッセージも含めての対応ということで、地域の拡大という形でありますし、まん延防止等重点措置の地域の拡大もそうでありますが、しっかりとメッセージを伝えていかなければならないと思います。一方で、東京に関して、沖縄もそうですが、既に緊急事態措置を講じているにもかかわらず、特に緊急事態措置から2週間以上経っている中での急激な拡大というものが見られるわけでありまして、これは非常に危惧しております。夜間の滞留人口を見ますと、いろいろな皆様のご協力を得て若干減っているのです。これは本当に皆様
が、4回目の緊急事態措置にもかかわらず、ご努力いただいているということは本当に感謝しなければいけないと思っておりますが、ただ一方で、どうしても4回目ということで、行動制約の疲れというものがあるということも確かでありまして、以前ほど、夜間の滞留人口が減っていないと、減っているのですが以前ほどは減っていないというのが、一つあります。
 同時に、やはりこのデルタ株に今、変異株の置き換わりが急速に進んでおりまして、東京のデータを見ると5割を超えているというような状況になってきています。当然、(デルタ株の)感染力は、これは以前の変異株と比べても強いということが、これは明白になってきておりますので、その分、やはり以前よりか夜間の滞在人口の減り方が弱いのと、それから変異株というものの感染力の強さと、こういうものの影響の中で急激に伸びているということでありますので、更に強く、大変申し訳ないのですが、リスクの高い行動を控えていただくということが重要になると思います。
 ある程度明確な因果関係が見えつつあるのがワクチンとの関係で、65歳以上の方々の新規感染者の割合、これはもう急激に減っています、東京は。今もう3%を切っていると。一番高い時は2割くらいあったと思います、3月の終わりぐらい。それがもう今3%を切っているという状況ですから、ワクチン、もちろん感染を防ぐ効果というものがその効能に書かれているわけではありませんが、どうも見ていると世界的にそういう効果がある(ように見えます)。もちろんそれにプラスして、重症化予防効果というものがあるわけなので、今、重症者の割合を見ておりますと、これはよく皆様方も仰いますが、40代、50代というところが非常に重症者のボリュームゾーンになってきているわけです。すると、40代、50代の方々を重症化させないという意味からすると、しっかりとこのワクチンを40代、50代に進めていく。残念ながら、まだ40代、50代が高齢者と同じような形で進んでいる状況ではありません。まだ、これ1か月は当然かかってくるわけで、そういう意味ではこの8月いっぱい、何とかして行動を控えていただきたい。
 高齢者の方々というよりかはやはり行動力のある方々、そういう意味ではまず重症化する(おそれのある)、今一番多い割合の方々の40代、50代は、是非ともリスクの高い行動は、是非ともご自身のお体のことなので、これはもうお控えをいただきたいということであります。そして、20代、30代は比較的重症化リスクが低いと言われています。もちろん後遺症のことがありますので、その方々も全くもって安全ではないということは、理解をいただきたいと思いますが、こういう方々も例えば、40代、50代に私はうつさないのだと言われる方、つまりそういう方と接する機会がないという方も、実はその方、今、初期症状が非常に軽くなっているといいますか、風邪と分かりづらくなっているというそういう情報も出てきております。そうなりますと、軽い風邪もしくは二日酔いのようなそういう症状だろうと思って、自分自身は40代、50代、高齢者と接していないとしても、友達と接した、その友達は飲みに行っていないとしても、その友達にうつり、その友達がご家庭で自分の親にうつすということがあると思います。でありますから、リスクというものは、うつしていくリスクというものは、誰しもが持っているわけなので、本当にこれは申し訳なく(思っており)、我々も日常生活を取り戻すべく今ワクチンの接種を一生懸命進めているわけですが、どうか40代、50代の皆様方のワクチン接種が更に進むまでの間は、何とかそういうそれぞれのご活動というもの、リスクの高い活動というもの、これをお控えいただきたいという(ことです)。
 我々、本当にいつまでもこういうことをお願いし続けるということが、これは無理だということは、我々も重々分かっているわけですが、今ワクチンというものが今一度、もう一段進むまでの間はどうかご理解をいただいて、ご協力をいただきたいという思いで、今般の緊急事態措置、特に東京の場合は期間の延長ということをお願いいたしています。とにかく緊急事態措置にもかかわらず、感染が大幅に伸びているということは、これは大変危機的な状況でありまして、高齢者の方々も割合減っているという話はありますが、一方で、割合が減ったって母数の感染者数が増えてくれば、実数としては増えてくる、こういうことがあるわけでございますので、どうか国民の皆様方の健康、命というものを守るという意味合いにおいてご協力をいただければ、もうしばらくのご協力をいただければありがたいということで、今般の決定に至るわけでございます。今日、夕刻に正式な決定になろうと思います。
記者:
関連してお伺いします。8月末までのワクチン接種が進むまで緊急事態宣言の期限が延長するというのは分かるのですけれども、それまで医療の現場がもたないのではないかと思います。新しい対策ですとか、次の対策をとるお考えはありますでしょうか。
大臣:
東京の話が今一番心配されているところだと思うのですけれども、東京基準の重症者という見方でいくと、これは人工呼吸・ECMO等対応されている方々であります。今このハイフローセラピーという、要するにこういう呼吸をするための挿管をするようなものではなくて、もう少し簡単に鼻から入れられるようなそういう治療方法が拡がりつつあって、重症化を防ぐための一つの方法として、各医療機関、東京でも取り入れられておられます。
 それから、もう一つは治療薬でロナプリーブというものがあります。これは、比較的軽い方々に使うと、重症化リスクを7割軽減できるという薬で、承認されて既に国が買い上げて各医療機関に配布を始めておりますので、こういうものをしっかりと、リスクが高い方々にお使いいただきながら、重症化をさせない、短期間で退院をいただく、こういうことを進めていく。そういうことを、分科会の中では外来でこういうものが使える、安全性もありますので医療機関を指定しながら外来の方にも使えるという方法はないのか検討しようというお話もいただきました。そういうことも含めて、しっかりと安全性も担保しながら、検討しながら病床の確保、それから病床の確保だけでなく、保健所自体が、感染者が倍で増えてきていますので、急激に増えてくると、やはり保健所の体制、人員の増強が間に合わないということが起こって、結果的に調整という方々が増えて、その中に重症化される方がでてくると、本当に命に関わる問題になってきますので、そこの目詰まりが起こらないようにするためにどういう対応があるのかということを、早急に都、それから保健所の区等との連携をしながら、我々としてもいろいろなお手伝いをしていかなければならないなと思っております。
 いずれにいたしましても、言われる通りでございまして、前回と比べれば今のところ高齢者の方々が感染者の割合として少ないということで何とか、前回はこんな三千何百だったら大変なことになっていたわけでありますけれども、何とかぎりぎりのところに今あるわけでありますが、更に感染者が増えてくると、やはり重症者も当然、増えてくるわけでありますから、大変なことになりますので、そうならないために感染をしっかりとこれ以上伸びないように、ご理解をいただいて、それぞれの行動を変容いただきたいというのと、それから更なる医療の増強、目詰まり等の解消、こういうことに関しては我々、都としっかりと連携をしてまいりたいと思っております。
記者:
2点お尋ねいたします。日本医師会などが全国への緊急事態宣言発出を提言しました。こちらの検討状況をお聞かせくださいというのが1点です。2点目が、総理は記者団に最近、抗体カクテルの治療法や高齢者の重症者・死者の減少について強調しておられますが、厚労省としては総理が仰るようなポジティブな要素も踏まえて国民に行動変容の自粛等を促すのか、それとも、これまでの流行期と同様の警戒感を持ってほしいのか、どちらでしょうか。以上2点お願いします。
大臣:
まず、今分科会はもう終わったと思いますけど、私はちょっと途中で閣議等があって退出したのですが、最終的に拡大という形の中でご判断をいただいたというお話を伺っております。全国という話になれば、医師会からそういうお話があったのですかね、私は直接聞いていなのですけれども、最終的といいますか、一番の現場の責任者の方々は知事さんでありますとか、各自治体の首長さんの皆様方であると思いますので、その方々からのご意見をしっかりといただきたいと思います。ちなみに今回は、そういう知事さんからご要望をいただいたところ(都道府県)は、そのような対応をさせていただいたということであります。
 それから、高齢者の新規感染者比率、先ほど言いましたとおり下がっているのも事実でありますし、重症者が以前と比べると割合で減ってきているというのも事実であります。誤解されるといけないのは、だから安心していいわけではないので、先ほどから申し上げております通り、その比率は下がっても、今のように感染が倍々で増えていったら、当然割合ですから、割合が減ったって全体が増えていったら実数が上がっていってしまうわけですよね。そうなると医療の逼迫というのは起こるわけなので、もう今起こりつつあるので、そういう意味では、やはり今の状況、特にこの変異株、デルタ株というのは感染力が、今までの変異株とは比べものにならないくらいの感染力がありますので、全体の感染者数をやはりこれ以上増やさないということをしていかないと、医療は逼迫をしてまいりますし、既にそれが起こってきているわけでありますので、我々は、非常に厳しいというよりかは、今までよりも伸び方がすごいということを皆様にご理解いただきたいです。だから今まで以上に何とか行動を変えてもらわなければ、それは倍々で増えていきますので、そのようなことになれば、もたなくなるのは自明の理でありますから、何とかしてご理解をいただいて、行動をお控えいただきたいという思いです。
 一方でワクチンが進むことによって先ほどから申し上げておりますけれども、重症化リスクというものが下がってきます。このようなこと(行動の制約)をいつまでも続けていても国民の皆様方の理解は得られないと思います。何故かというと、ちょっと減って緩めればまた増える、また増えたらまた行動変容をお願いしますと言って厳しいことをお願いする、またすると、ある程度減ったら、といつまでもそれを続けるわけにはいきません。我々行政というのは、国民の皆様方に行動制約をお願いするということ自体、本来はあってはならないことですよね。しかし、感染のリスク、国民の命と比べて、何とかして、本来はやってはいけないことなのですけれども、ご理解下さいと言ってお願いをしております。ですから、そういう意味からすると、よく私は申し上げますけれども、納得をいただいた上で共感をしていただかないと、なかなかご理解をいただけませんから、そういう行動変容に繋がらないということがあって、それを我々政府としては、何とかして国民の皆様方に共感をいただくようにお願いをいたしているわけでありますけれども、すると、将来に向かってある程度今よりかは、生活が以前の生活の方に、全く同じ生活に戻らないにしても、行動制約がちょっとずつ緩まっているという姿をお見せしていかないと、これは国民の皆様方はいつまでも、ご共感をいただいて我々のいろいろなメッセージをお聞きいただけないというところがあるのです。
 そういう意味では、実態としてワクチンを使うことによって、2回接種した方々、そういう年齢層は、重症者も新規感染者も割合が減ってきているという事実がありますから、そういう将来に向かっての希望もありますから、何とかもう一段、ワクチン接種が進むまでの間はご理解をいただいて、リスクの高い行動は何とかお控えいただきたいというお願いをさせていただいております。総理もそういうおつもりで仰っておられると、私は思っておりますので、どうかそういうメッセージだということをご理解いただいて、報道の皆様方も国民の皆様方にお伝えいただければありがたいと思います。
記者:
話題変わりますが、黒い雨についてお伺いします。原告84名以外についても救済を検討しているということですけれども、広島市は原告について8月6日までに被爆者手帳を交付したいと言っていますが、この原告以外の早急な被爆者手帳の交付というところのスピード感、時期の目処について伺いたいのが一つと、もう一つは8月6日が近づいてきますので、大臣は広島に帰るお考えがあるのか、また黒い雨の被害者の方と面会したいというお考えがあるのか、この二点をお願いします。
大臣:
黒い雨訴訟に関しては、これは交付をすることを我々も決めておりますので、これは手続きに則って広島市長がなるべく早くやっていただくということになると思っています。それ(原告)以外の方々、つまり状況が同じような方々に関しては、これは前から言っております通り、実務的な話し合いを始めようと思っておりますので、事務方の担当者と、今どのような形で申請が出てきているのか等も踏まえていろいろな意見交換をして、早急に話し合いを進めていきたいと思っております。それほど遠くない日に、それほど遠くないというのは、2週間も3週間も先ということではありません、そんなに遠くないうちに実務者との話し合いを事務方の方も始めるとご理解いただいて結構だと思います。それと黒い雨の原告団の方々には、我々は上告しないと決めておりますので、そういう意味でメッセージは伝わっていると思います。あわせて、広島に行くか行かないかということについては、式典の方には私もお伺いします。
記者:
被爆者団体の方と会うかどうかは。
大臣:
いつものように被爆者団体の方々とは意見交換をさせていただく形になります。
記者:
その場合は、今回のこうしたメッセージ・談話を総理がされたというタイミングでもありますので、黒い雨の被害者の方を招いて、というお考えはありますか。
大臣:
それは、段取りの方は全体、広島市等との調整をしておりますので、今のところ聞いておりません。
 

(了)