田村大臣会見概要

(令和3年2月24日(水) 8:48 ~ 9:10 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。今日は私からご報告ございませんので、ご質問あればいただきたいと思います。

質疑

記者:
2点伺います。緊急事態宣言の解除の関係です。大阪や愛知など4府県の知事が昨日、緊急事態宣言の解除要請を行いました。変異株の拡がりなど懸念される中でこうした地域の独自の解除の判断について、大臣はどのようにお考えかお伺いします。
大臣:
昨日、西村大臣のところに、解除の要請があったということでありますが、今日これからアドバイザリーボードをやりますので、そこでそれぞれの感染状況のご評価・分析をいただいて、その後、政府でどうするのか検討するということであります。
 一定の水準との比較で見ると、ステージ4からはそれぞれの地域が外れてはいるということでありますが、病床の状況でありますとか、新規感染者の状況、本来はステージ2まで落とすことを念頭に置いておりまので、そういうことを踏まえてアドバイザリーボードのご評価をいただくということが、まず、第一であるということであります。その後、判断していきたいと思います。
記者:
ワクチンの副反応のことですが、国民の正確な理解を促すためには副反応疑い報告の事例に限らず、より軽微なものも含めた情報開示が必要かと思います。日誌をつけている先行接種した医療従事者の副反応の状況についてはいつ頃どのような形で公表される予定なのか教えていただけますでしょうか。
大臣:
まず、先行実施の方々は、これご承知の通り健康日誌と言いますか、観察日誌を付けていただいており、2回目接種が終わってから、20数日後まで毎日つけていただくということであります。
 2回目接種後1ヵ月ぐらい、28日だったと思いますが、つけていただくことになりますので、そういう意味からしますと、それから集計をしてという話になると思います。情報が、データが集まり次第、なるべく早くお示しをさせていただきたいと思います。
 それから、現状では、接種が始まったばかりでありますので、軽い副反応等も含めて、上がってきたものいただいたものはご報告をさせていただいております。
 今は当初ということでありますから、なるべく国民の皆様に軽微なものも含めて副反応をお示しさせていただいておりますが、一定期間経てばこれに関しましても、本来は審議会でご評価いただいた上でまとめてお出しするということでございますので、今はこういう状況ですが、やがてまとめて出させていただくという形にしていきたいと思っております。
記者:
生活保護の基準額の引き下げについて伺います。22日の大阪地裁判決で、2013年から2015年までは違法と判断されて原告に対する処分が取り消されました。この判決の受け止めと今後の対応方針についてお伺いします。
大臣:
国の主張が認められなかったということは厳しい判決であったと受け止めております。いずれにいたしましても法務省でありますとか、関係の自治体と話し合わさせていただきながら、対応を考えてまいりたいと思っております。
記者:
政府が首都圏の1都3県を除く6府県で期限を前倒して今月中に解除する方向で調整に入ったと報じられました。しかし、緊急事態宣言発令対象の愛知県と岐阜県以外の8都府県を含む全国では、2月18日までの1週間は、前の2週間に比べて人口10万人あたりの新規陽性者数の減少ペースが鈍化しています。更に1人が周りに感染させる人数を示す実効再生産数は減少どころか増加傾向にあります。
 にも関わらずなぜこのタイミングで政府は早期の宣言解除を認めるのでしょうか。安全性を確認されたのでしょうか。地域経済のダメージを低減することが理由であれば、再度の感染拡大が起こらないような手段が必要なはずですが、そのような手立ては用意されているのでしょうか。また、今から規則を緩めた結果、これまでと同様に再度、感染拡大すればちょうど夏頃に第4波が来る可能性が高いと考えられます。
 夏に五輪を開催できますでしょうか。五輪組織委員会の森前会長と加藤官房長官が無観客も視野に入れると発言されましたが、五輪の観客を入れてのフル開催を諦めたからでしょうか。
 現在、ワクチンが万能の切り札のように喧伝されています。しかし、ワクチンは発症や重症化を食い止めるためのもので、感染予防効果の実証は難しいと昨年10月の厚生労働省のワクチン分科会でも報告されています。しかし、政府から発信されるメッセージでは、あたかもワクチンが感染拡大防止とパンデミック鎮圧の唯一万能の手段であるかのように受け止められます。しかも、丸川五輪大臣は22日の衆議院予算委員会で、ワクチン供給の遅れの五輪への影響を問われて、ワクチン接種を前提としなくても、安全・安心な大会を開催できるよう総合的な感染症対策の検討を進めていると発言されており、切り札とされるワクチンの用意さえ困難な状況が伺えます。
 丸川大臣の総合的な感染症対策の中身とは何なのでしょうか。最後に、再び新規感染者数を増加に転じさせないためには、ワクチンだけではなく公費による徹底した住民への検査の実施と、無症状陽性者の選別と隔離が、より一層必要ではないでしょうか。ところが、PCR検査数は1月19日の10万3,133人以降、2月22日の5万4,182人まで減少の一途にあります。
 厚生労働大臣として解除のタイミングの是非及びオリンピック開催について見解、そしてPCR検査の拡充に対する計画についてお聞かせください。
大臣:
解除を決めたわけではありません。これから専門家からもご意見いただいて判断していくということであります。
 オリンピックはオリンピック担当大臣にお聞きをいただければと思います。どういう開催をするか、それに関しては厚生労働省としてそれを決める権限はありませんので。
 それからPCRは感染者が減ってきておりますから、当然PCR検査数自体も減ると、それは今までもそうでございましたので、感染者が多い時には検査される方が多いということだと思います。
記者:
ワクチンについて2点伺います。河野大臣が4月の高齢者のワクチン接種について、一部の試行になると発言しておりますが、厚労省として、高齢者全体への接種はどの程度ずれ込む見通しとお考えですか。
 また、自民党からワクチン接種について、2回打ちから1回にという案がでておりますが、現状、どのように検討していますでしょうか。
大臣:
これに関しては、試行というように河野大臣が仰られましたけれども、当然ワクチンは一度に全部入ってきませんし、順次入ってまいりますから、入ってきた量を各都道府県に配分させていただいた上で、各都道府県としては、その後ずっと入ってくる中で、上手くオペレーション回っていくように、いろいろ自治体で工夫をされるんだと思います。そういう意味で、河野大臣がそう仰られたのだと私は理解しております。
 その上で、ずれ込むというより、これはワクチンがどれぐらいのペースで入ってくるかということでありますので、もちろん我々楽観的観測を持っているわけではありませんでして、それは今世界中でワクチンがそれこそ取り合いになっている状況があり、日本以外でも、契約通りに入らないという形で、EUではワクチンをEU圏内に出すときには承認を取るという形になっております。
 そういうような状況を我々十分に把握しておりますが、その上で、河野大臣中心に、しっかりとワクチンを、日本の場合はまだファイザーだけですけれども、ファイザーから確保するということで努力をいたしているということでございます。しっかり努力をした上で、なるべく早く高齢者の皆様方、国民の皆様にお打ちいただけるようにこれは我々頑張ってまいりたいと思います。
 それから、1回打ちの話がいろいろでております。自民党の方からも、そういう話をいただいていると聞いておりますが、薬事承認で言うとこれ2回打ちで承認させていただいております。
 1回打ちはイスラエルのデータがランセットに載ったという話はありますが、あれはブラインドテストをやっていないと思います。結果的に、1回打った人がどういうような状況だったかということを事後的に確認しているというようなことだと思います。
 薬事承認という意味からすると、ブラインドテスト等をやっていただいた上で、1回打ちでも十分な効果を評価できるのかという話になりますので、なかなか1回打ちというものを予防接種法に則ってやるということは、制度上、検討しているわけではありませんが、難しいだろうと私は今の時点で思っております。
 でありますから、1回打った方が次なんらかの事情で打てない、もしくはこんなことはあっていけないと思いますが、ワクチンが入ってこないために1回打ちで2回目まで間が空くというような状況はあり得ると思いますが、その1回打ちを前提に国民の皆様方に、というのは現時点ではまだ我々検討しているわけではありません。
 あわせて申し上げれば、ヨーロッパ等感染拡大が非常に拡がっているところ、もちろんイギリスあたりも5万人から1万数千人まで、1日当たりの新規感染者が減ってきていますが、それでも日本と比べればかなり1日の新規感染者が多いわけで、その分やはり重症化、場合によってはお亡くなりになられる方もたくさんおられるという中で、国民的ご理解を得られてそういう1回打ちということを考えられることはあると思いますが、日本の場合、どこまでそういうご理解をいただけるのか。
 なぜかというと、普通に考えると2回打ちよりかは発症を予防する効果は一定程度落ちると思いますし、大体ワクチンの場合は2回打った場合と1回打った場合とでは当然抗体の値が、いつまでどれぐらいの期間保つかという、そういうものも期間が短くなるであろうと思います。
 そういうことがちゃんと国民の皆様方に理解できるデータがでてきて、その上で、国民の皆様が1回打ちでもというようなご理解が得られるのであるならばそういうこともあり得るのかも分かりませんが、今のところ国民の皆様方にもそういうことを理解いただけるデータを我々持ち合わせておりません。
 つまり、国民の皆様方のご理解というものを得られるのかといえば、まだ我々としてはそのような国民的な理解を得られるところまではいっていないのかなと思いますので、今のところまだ1回打ちということを考えているわけではありません。
記者:
関連して、1回打ちについては今のところ考えられないということですが、今後例えばデータをファイザーから送ってもらうとか、日本でもまた治験をしてもらうだとか、そのあたりの有効性について検証していかれるなどそういったお考えはありますでしょうか。
大臣:
ファイザー社が1回打ちで治験を行い、そのデータを踏まえて薬事申請を出してこられると、そういうことであればそれは審査をするという形になると思います。ただ、接種が始まっていますから、そういうものが出てくるかどうかは、我々としてはまだそういうものに対しての十分な情報がありませんので、もしそういうことになればそれは審査をするという形になると思います。
記者:
3週間の間隔を延ばすこともあり得るのではないかというご発言もございましたが、このあたりについての有効性は検証していくお考えはありますか。
大臣:
これは先ほど申し上げましたいろいろな理由で、3週間で打たずにもうちょっと伸びる場合、これは以前から言っておりますがなるべく早く3週間越えても打ってくださいというのが今の方針です。
 専門家の方々のご評価です。ですから、その3週間が伸びるということは物理的にはあり得ると思いますが、それを延ばしたということによって、薬事審査で得られている効果がどれくらい減少するかが分からないので、それももしやるとすればもう一度そういう治験をやっていただいて、そして薬事申請が出てくればという話になると思います。
 今の状況では3週間という形の中で評価をいただいておりますので、基本的には3週間で2回目を打っていただくということですし、3週間以上かかる場合もなるべく早く打っていただくというような形です。
記者:
ハンセン病の関係でお聞きします。長野県内のハンセン病患者らの名前や住所をまとめたとみられる台帳がヤフーのオークションで一時出品されて、一時的に閲覧できる状態となっていたことがありました。個人情報がさらされ、専門家からは重大な人権侵害に繋がりかねないという指摘もございますが、大臣の受け止めをお聞きします。
大臣:
長野県の人権担当部局ですとか関係機関で、今しっかりと対応について検討しているということですが、厚生労働省としてもどういう対応ができるのか検討していきたいと思います。
 本当に許されないことであり、以前のデータとは言え、こういうものがオークションに出る、そして閲覧が可能であったということはあってはならないことだと思います。
 どうかこういうことが二度とないように、関係者の方々にもご協力いただいて、もちろんオークションに出す方が私は一番問題があると思いますが、元ハンセン病の方々、こういう方々の人権に差別とかそういうものが生まれないように、是非とも徹底していただきたいと思いますし、我々も徹底していかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、今回の案件に関しては、厚生労働省としてもどういう対応ができるのか検討していきたいと思います。     
記者:
ワクチンに関連して、ファイザーのワクチンの冷凍保存が、マイナス75度だったのがマイナス20度でも保管可能というようなお話も出ていますが、この辺りの対応についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これからマイナス20度ということになれば、今までよりかはいろいろな対応ができると思いますし、それに併せて小分けした場合にどうなるのかがまだ我々もよく分からないので、今は小分けした場合は5日程度しかもたないという話ですが、情報収集をさせていただきながら、分かったことは自治体等にしっかりとお伝えしたいと思います。
記者:
昨年10月2日の第17回厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会の「ワクチンの有効性・安全性等副反応の捉え方について」という資料の中で、ワクチンの効果についてというページがございます。接種した人は感染しないという効果については実証が難しいと書かれています。ある意味心配な記述ですが、その後これについての見解の変化ということはございますでしょうか。
大臣:
感染予防の効果があるかということですかね。
記者:
そうです。
大臣:
これは今のところ、世界中で、感染予防効果があるということ自体が認められているということではない、と我々は理解しています。実際例えばファイザーのワクチンに関しても、我が国においては発症予防に関しては確認できていると。
 重症化予防に関しては重症者の事例が少ないため確認はできていないのですが、ただ重症化予防というよりは重症者が減るかということから考えると、発症者が減れば重症化しないわけですから、発症者が減った分は重症者が減るのだろうと思っております。
 ただ、感染予防という意味からすると、これは十分にエビデンスがまだないので、そういう意味では我々はこれを確認できておりません。あるかないかが分からない。
 つまり、もしかしたら感染予防効果もあるかも分かりませんが、エビデンスがないということなのでそれが確認できていないと我々は理解しています。
記者:
それは、接種した人が自分がかからないということ、それから人にうつさないという両方とも・・・
大臣:
自分がかからなかったら人にうつすことはないので、感染はしているけれども人に対してうつす能力があるかどうかもまだ確認されていません。
 ただ、これも一般論として申し上げれば、発症しなければ咳やくしゃみは出にくくなりますので、その分は飛沫でうつす場合、うつす能力は軽減されるのだろうと推測はできます。
 新型コロナウイルスの場合は普通に大きな声で喋るだけでも感染リスクがあると言われていますから、そういう意味ではそこは全くもってまだエビデンスがないということです。
記者:
確認できる見通しはどのような形で・・・
大臣:
それは基本的にメーカー等で確認いただくという形になると思います。もちろんそれぞれの研究者が確認することもあるかもわかりませんが、そういうデータ・情報があれば我々も収集してお伝えさせていただきたいと思います。

(了)