田村大臣会見概要

(令和3年1月19日(火) 10:45 ~ 11:25 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日、私からは冒頭一点ご報告させていただきます。医療提供体制の確保ですが、多くの都道府県で医療に対して負荷がかかっている中において、医療の最前線で大変ご活躍いただいています医療関係者や、病院、医療機関等に対してしっかり支援をしていかなければならないということで、医療提供体制のパッケージ、これは病床確保のためのものですが、こういうことをさせていただきながら、更に新たな病床確保をいただいた医療機関には加算という形で行ってきたところです。
 一方で、現在議論いただいています感染症法の改正、これは政府、与野党協議会等で議論いただき、各党でもいろいろご議論いただいていると思います。ここで医療関係者への国や都道府県からの権限の見直しを検討しているということで、各社報道いただいております。
 これに関して、医療機関の皆さま方にご心配いただいているという声もお聞きしております。そういう意味では、この整理と言いますか、具体的にどういうことかということを私から申し上げたいと思います。
 基本は、現状の規定にあります協力要請、つまり要請をすることが基本であるということでありまして、今回新しく提出の予定をしております法案の中身では、正当な理由なく協力要請に応じなければ勧告をすると、そして勧告をした後も、正当な理由がなければ今度は公表ということになっております。
 しかし、基本はやはり協力要請ということでして、その上でそのときの状況等もあると思います。例えば、感染の状況ですとか、感染の結果、重症者が増えて命に関わるような患者が多い、どれくらいいるかということですとか、それから医療機関の逼迫状況というものを総合的に勘案する中で、それでも正当な理由と言いますか、例えば従業員に医師も看護師もいて地域医療体制の確保ができているのに受け入れないですとか、元々いろいろな計画を作っていただいていて、十分に地域の医療を回せる状況であるけれども、それでもなお受け入れないだとか、そういったことを総合的に勘案した上で、正当な理由、これはこれから通知、そういう形で具体的な形をお示しさせていただきたいと思いますが、一義的に国もしくは都道府県が要請して、その要請に応じていただけなくて、その後勧告、そしてそれに対しても正当な理由がなく公表というわけではなく、そこは丁寧に対応してまいりたいと思っております。
 今般のことに関しては、それぞれこの間も病院団体の皆さま方、日医、看護協会の皆さま方ともいろいろとお話を、総理と共にさせていただきましたが、そういう対応をこれからしていきたいという非常に強い気持ちをお持ちいただいておりますので、決して、コロナ禍においてこういう強制力を持って無理矢理という話ではなくて、そこはしっかりとお互いの信頼の下に対応をいただいていく、協力いただいていくということであるということだけは、私からしっかりと申し上げさせていただきたいと思います。少し誤解があるようですので、十分な説明をしていなかったということで反省を込めて冒頭このような形で報告させていただいたということです。私からは以上です。

質疑

記者:
昨日、菅総理が新型コロナウイルスのワクチン接種を円滑に進めるために、政府全体の調整役に河野行政改革担当相を充てる方針を明らかにされました。このことの受け止めと、厚労省など他省庁との役割分担を含めて政府としてどういった体制で臨むのか教えてください。
大臣:
ワクチンの接種というのは、一つの大きなプロジェクトになると思います。特にファイザーの場合はご承知のとおり、マイナス70度で保管しなければならないという形の中で、一度マイナス70度と違うところで保管すると有効期間がある程度限られてくると。
 そういう意味からすると、例えば一つの中に1,000ロット入っているみたいな話になってくると、かなりのスピードで打っていかなければならないという形になると思います。
 そういう意味では、地方自治体、それから輸送をいただく業者、もちろんワクチンのメーカー、卸、いろいろなところと対応していかなければならない。それから、ディープフリーザー等はいわゆる省庁だと経産省という話になりますし、それぞれ医療廃棄物ということになると多分環境省。いろいろな意味でいろいろなところと対応いただかなければならない。学校の体育館を使おうとすると文科省ということになってきます。
 そういう意味からすると、全体のコーディネートをするという意味で、河野大臣が適任ということで今回こういう決定をなされたと受け止めています。イスラエルは比較的かなりのスピードで打っておられますが、世界中を見てもワクチンを打っているところがなかなか進まないのではないかということで、それぞれ各国のマスメディア等からいろいろな報道がなされているということです。
 多分、そういう意味では官邸でもこれはかなりプロジェクトを組んで対応しなければならない、今も官邸でチームを作っていろいろとやっておられますので、そこは河野太郎大臣がしっかりといろいろな指示を出して全体のコーディネートをしていくと捉えています。
 厚生労働省も他の省としっかり協力しながら、決して縦割りにならない形で接種をしっかりできるように体制を我々としても進めてまいりたいと思います。
記者:
昨夜発表された変異株の国内感染について伺います。英国の渡航歴がなく、感染経路が分からない変異株の感染者が確認されたのは、初めての国内感染事例となりますが、大臣の受け止めと今後の対応方針についてお考えをお願いします。
大臣:
変異株というものに関して、これまで水際で対応してまいりました。ただ、9月頃からイギリスで広がってきているようだということが分かっているわけで、そういう意味からすると、イギリスが発表したのがたしか12月の終わり頃、20日くらいだったと思いますが、その間報道や発表では感染力が従来株に比べて強いと。
 今イギリスの新規感染者のかなりの部分が変異株ということですから、そういうことになるのだと思います。イギリスは当時EUの中にまだ入っておられて、当然そこは国境という意味からすると自由な出入りがあったわけで、ヨーロッパにおいてもいろいろな対応はあるのだろうと思いますが、当然9月からということになれば、他国にもそういうものが入ってきていたということは、これは推測はされるわけです。
 我々は、イギリスの発表以降、水際に対しては更に強化しているわけですが、それまでは一定程度任意の下でやっていたということもあります。そういう意味では、決して日本国内に一定程度そういう患者がおられるということ、これは我々からしても絶対ないというようには言えないわけです。
 ゲノム解析、これは感染研でやってきていますが、だいたい全国の一割弱くらい陽性者の検体を感染研に持ってきていただいて、そこでゲノム解析をやっています。
 これは少しタイムラグがありますので、多分今感染研でやられているのは、ちょっと前の、どれくらいということはなかなか言いづらいですが、少なくとも3週間くらい以上前のものをやっていると思います。1ヶ月くらいかも分かりません。これは感染研に聞かないとわかりません。その頃までの解析では見つかっていなかったということです。
 あと東京都が、これは都衛研で新しく開発されたPCRのプライマーを使ってやっておられますが、少なくとも私が聞いている範囲では、東京の感染者は非常に増えていますが、東京で変異株がばんばん出ているということは聞いていません。そういう意味では、年末年始の感染が増えていることが変異株で増えているということは、つぶさに全部調べているわけではありませんから確かなことは言えませんが、そういう状況から見ると、もし本当にこれが変異株だとすれば都衛研でどんどん出てくるはずですから、そういうことではないのだろうと思います。
 ただ一方で、静岡で孤発例と言っていいのかわかりませんが、これが見つかったと。要するに、3人おられるわけですが、2人は濃厚接触で1人はそうではないということですから、2つの系統なのかも分かりませんが、ということはそれはどこかから入ってきているということは間違いないわけです。
 それが全国に広がっているかということは、これから徐々に現状は感染研のゲノム解析で分かってきますが、少なくとも12月の中頃くらいでは少なくともそういう状況ではなかったのであろうと思います。
 それではどういう対応をしていくかということですが、少なくともこれは静岡で見つかった件ですので、見つかったエリアに関して、やはりしっかりと、全量はなかなか難しいですが、できる限りすべての検体を地衛研に提出いただいて、今この地域は少なくともでている地域ですが、どういう状況なのかということをしっかりと調査していく必要があると思います。
 そういう意味では、サーベイランスをしっかりやりながら、その他にも先ほど言いましたが、感染研にも徐々に、若干時間が遅れながらですが、なぜかと言いますと、今感染研はこういうような、多分今回の静岡の例なんかは抜き出して調査しますから、そういうように優先的にやっている部分がありますので、そういう意味で全国的なものは若干遅れているというわけではありませんが、そもそもいろいろな解析をした後に、その解析の中身をしっかりと見ていくのにだいたい2週間かかると。
 それは検体が届いてからの話ですから、全国の地衛研から届くまでにどれくらいかかるかという問題がありますから、そこにタイムラグがありますが。そういう意味ではしっかりやっていきますけど、優先的にやらなければならないものもあります。そういう意味では、足下のデータというわけではありませんが、そんなに遅れて出てくるわけではありませんので、しっかりその調査を全国的に見ながら、また今回の静岡エリアを見ながら、どういう状況かというものも情報発信をしていかなければならないと思っております。
 あくまでも、その感染防止策は、これは変異株であろうと今までの在来株であろうと同じです。飛沫を防いでいただく、接触感染を防ぐためにアルコール消毒等をしっかりやっていただくということになっていくと思います。そこはこれからも徹底していただきたいと思います。
記者:
感染症法の医療関係者への権限を強める狙いについてご説明いただきました。今、足下の病床がひっ迫している現状ですが、既に16条の2「協力の要請」をしていないと思うのですが、まずこれは何なのかというのをお聞かせください。
 その上で、これまでやっていなかったけれども、今後は法律に基づく協力を依頼していくということなのでしょうか。
 また、特措法との絡みで31条にも医療関係者に要請するという記載があります。なぜ特措法を使わず、感染症法での対応ということになったのでしょうか。
大臣:
特措法は、また私の担当ではないので直接は担当の内閣府の方にお聞きをいただければありがたいと思いますが、私の認識では確か特措法の医療関係者というのは個人、医師とか看護師というところに対して、その大変な感染状況のもとで、そういうような何かここでしっかりと患者を診てもらいたいというときに、それをされなかった方々に対して、ああいうような対応の形ができる、そういう立て付けだったと思います。
 一方で、同じような書きぶりなんですけれども、感染症法の方は、コンメンタールで医療機関等も入るというようなことはしっかりと示されていると記憶しておりますので、そういう意味では、やはり医療機関という意味からしますと感染症法という話なのだろうと思いますし、感染症法の方が一般的に感染症というものに対しての対応というところもあるので、そういう意味でこちらの方の改正ということになったのだと認識しております。
 併せてなぜ今協力要請していないかなんですけれども、正直申し上げると協力要請はこの法律に則らずでも今までもお願いをしてきております。
 それで、要は前から申し上げておりますけれども、本来ならばこういうことを想定をして、地域医療計画の中でしっかり位置付けながらいろいろな準備等、各地域の医療機関にしていただくということがあれば、当然のごとく対応ができたわけでありますし、それでも協力いただかなければといいますか対応いただかなければ、そこで例えばこの協力要請というものをかけて、元々計画していたのですから、それに対して対応してくださいということができたと思います。
 ただ今回の場合ですと、これはいつも議論になるのですが、地域の医療機関、つまり今重症化を診れるような医療機関等を基本にですね、ですからICUを持っているような医療機関を中心に、重症者患者を診ていただき、場合によっては中等症の患者を診てきながら対応いただいてきたということであります。
 感染拡大になって、先般から中小病院に関しても民間も含めて、しっかりと対応いただきたいというお願いをしておりますが、当然のごとく対応の準備というものは必要でありますし、中には対応できないような医療機関もあると思います。例えば療養病床のような慢性期の患者を診ておられるところは慢性期の患者を移すにも移せないということもあるのだろうと思います。
 ですからそういう意味からしますと、そういうところに協力要請をかけて、といっても対応する準備ができていないので、まずは準備をしっかりやっていただくという意味で協力要請をかけて、協力要請ですから要請なのであれですけれども、法的根拠を持った要請というのはそれなりにですね、医療機関にとってみてもある意味プレッシャーになると思いますので、一般的な要請のお願いをさせていただきながらということで、国もまた都道府県もそういう対応をさせていただきながら今その準備をいただいている。
 つまり何が言いたいかというと、本来ならば医療計画の中で準備をしていなければいけなかったものが、そういうことになっておりませんので、今現状、準備をいただきながら例えば今まで診ていただいた患者、そういう患者も場合によっては転院していただかなければなりません。
 そのお願いもしていただかなければならないわけでありますし、それから医師・看護師の配置、配置といいますか医師・看護師が一定程度やはりコロナ患者に対して対応いただくためには、そういうマンパワーの必要性もありますから、そういうものの準備も必要になってまいります。
 ですから、そういう諸々の準備を今、お願いをしながら協力をしていただいているということでございますので、そういう意味では法律に則った協力要請というのは今まではかけさせていただいていなかったということであります。
 ただ、これからいろいろな準備もでてくるでしょうし、更に感染拡大ということになってきた場合には、こういうものを慎重に検討していくということはあり得ると思いますが、今のところはそういう形の中で医療機関も対応をすると仰っていただいておりますので、そういう中においてもお願いをさせていただいているということであります。
記者:
ワクチンについてお伺いします。来月下旬からの接種の開始にあたって、政府は国立病院機構など3機関に先行して接種する方針と一部報じられていますが、そのあたりの検討状況と優先接種の対象というのはどのような考え方で選定されていかれるのかお考えをお聞かせください。
大臣:
これ国立病院機構でありますとかJCHOでありますとか、それから労災病院等に関して、もちろん本人にしっかりと同意を、ワクチン接種の同意ではなくて健康調査をしますので、その同意もいただきながら1万人規模でお願いをさせていただく、お願いするのはもっと増えるのかもわかりません。1万人ぐらいの方々にそういう健康調査をやっていきたいと思いますので。
 ですから今それぞれのところにそういう同意を取るということを前提に準備をさせていただいているということであります。優先順位というのは一般的な優先順位ということで良いのですか。
記者:
医療機関とか高齢者とか全体のです。
大臣:
この考え方は一つはやはり医療機関という話になると疾病をお持ちの方々も多いので、当然、感染リスクが高いというのはあります。それから感染リスクが高いと同時に、必要なマンパワーでありますので、そういう方々が医療行為をできなくなってしまうと困るということもあります。
 同時に、高齢者はご承知のとおり重症化をするおそれがあるので、重症化をするおそれの方々に対してそれを防ぐためのワクチンという意味合い、もちろん発症も含めてでありますけれどそういうような優先順位ということであります。
 それから介護施設に関して申し上げますと、介護施設もクラスター等が起こると、クラスターが起こっても入っていかなければならないわけですよね。介護しなければいけませんから。そういう意味からすると、やはりかなり感染リスクが高い職種であるということ。
 ですから、ただ単に高齢者と接しているだけというよりかは、クラスターが起こった後も対応いただかなければいけない職種であるということもございます。もちろん感染しないような十分な対応はいただいているということになると思いますけれども。
 そういういくつかの理由から、優先順位を考えさせていただいているということであります。
記者:
静岡の変異株の対応についてお伺いします。地域でのまん延が本当にないのか調査いただく、三週間ほどまだかかるというお話しでしたが、でしたらその間だけでも、白黒はっきりしない間は予防的措置として、例えば緊急事態宣言地域に準ずるような厳しい行動制限を取るとか、新変異株の感染拡大を防ぐためのより強い措置というのは必要ないということでしょうか。
大臣:
今のところ緊急事態宣言を出すというような考え方は出てきておりません。というのは今、2種類、2種類といいますか3名、2系統と言った方が良いのかな、出てきているということでありまして、その他、そこから濃厚接触というか、言うなれば感染の可能性のある方々、そういう方々の検体を調べましたが、そこは出てきていなかったということでございます。
 そういう意味では面的広がりはしていないだろうという言い方をしたんですかね、昨日、脇田先生は。そういう話だったと思います。そこからの広がりはないというような形なんだろうと思います。
 そうであれば他のところに関してどうなんだというような話はありますけれども、少なくとも静岡で今感染が広がっているというようなことではなくて、静岡はどちらかというと感染は、ある程度、今拡大はしていないというような、そういう状況でございます。
 ですからそういう中において、特措法に則った緊急事態措置地域というんですかね、緊急事態措置を行うエリアとして指定するのは、それは感染拡大というようなことが前提になっておりますので、その基準には静岡は当てはまっていないということでございますので、そのようなことを今、念頭にはまだ置いておりません。
記者:
今の静岡の変異株についてお伺いしたいのですが、二点ありまして、厚労省のクラスター班が静岡入りして感染源の調査に当たっているということですが、具体的に今後、静岡県とどのように連携をして拡大防止を図っていくかということと、昨日の会見で感染者の行動履歴や住まいなどは公表されなかったんですけれども、必要な情報がないと個人レベルの対策は難しいのかなというところから、県民の不安がどうしても募ってしまうということも考えられ、改めて公表しない理由をお伺いすることは可能でしょうか。
大臣:
公表というのは行動履歴ですか。
記者:
行動履歴と、感染者の今の在住市・町なり、地域というところです。
大臣:
それに関しては、変異株の話をされますけれども、新型コロナの従来株に関してもやっていなかったことでございますので、変異株だから特別にやるというような話ではないと思います。
 どうやって防止していったら良いか分からないというお話しがございましたが、明確に、コロナの感染リスクというのは、今までも我々分科会またアドバイザリーボードの皆様方のいろいろな提言のもとにお示しをさせてきていただいております。
 例えば5つの危険な場面、それは会食等でありますとか、大人数で長時間の飲食の伴うそういうような場でありますとか、それからマスクを取っての会話でありますとか、あとは狭い場所で同居しているというか、学生寮のような感じですね。そういうような場所でありますとか。
 あとは場面の転換などで、会社で働いておられながら、ちょっと息抜く時にマスク外して、例えば喫煙目的で外して、たばこ吸いながら喋るとか、コーヒー飲みながら休憩室で喋るとかという場所なんですね。
 ですから、極端といいますか簡単に言えば、マスク外してまず喋るというような行為、近くで。こういうような行為を避けていただく、後は接触感染でありますので手洗いしていただくとか、アルコール消毒していただく。これは従来株の新型コロナウイルスと変わりません。
 ですから、今まで以上にご心配なエリアに関しては変異株等に対して、非常に心配だということであれば更に徹底いただいて、そういう対応をお願いさせていただきたいということでありますし、改めてここはしっかりとここはサーベイランスやりまして、今、地域の状況はどういう状況なのかということを早く地域の方々にもお知らせできるようにしていきたいというように思います。
記者:
先ほどの医療関係者への要請について重ねて恐縮です。大臣は特措法担当じゃないということで恐縮ですが、西村大臣が先日国会で、医療機関の代表者に要請することでその機関も事実上、その同意することができると答弁されています。
 その上で、今回のその医療機関への要請というのは特措法を使うのか、あるいは感染症法を使うのか、どちらの法律を根拠に対応することになるのかという議論はされているということでしょうか。
大臣:
今現状、要請をかける段階になっておりませんので、そういう意味ではまだ具体的に詰めはしておりません。
記者:
どちらの法律も備えておくということでしょうか。
大臣:
西村大臣がそう仰られたのならば、西村大臣はそういうことを念頭に置かれているのかも分かりません。
記者:
厚労省は厚労省として、感染症法での備え。
大臣:
というより、私も西村大臣も、分科会の副本部長であります。で、そこで調整しながらという話になると思いますから、どちらがどちらでと言い争って自分の権能を主張し合うということはありえないので、そこはちゃんと調整をさせていただきます。
記者:
ワクチンについてお伺いします。現在の審査の状況と2月中旬に特例承認という報道もありましたけれども、その見通しについてお聞かせください。
大臣:
審査の状況は、審査をしっかりやっているということでありまして、具体的に中身のことは申し上げるわけにはいきませんので、ご理解いただきたいと思います。
 それから、2月中にと言われましたかね。つまり2月のままでということなんでしょうけども、何とか接種をスタートしたいということを総理も仰っておられているわけでありまして、そういう意味からするといろいろな準備を考えると、やはり2月の中旬頃までに承認が出ないと、そういうような対応が取っていけないであろうということでございますので、一応我々としては段取りというのはそこを念頭に置きながらやっております。
 しかし、承認というのは客観的に安全性と有効性が認められないと承認できませんものですから、そこに関しては我々予断をもっているわけでありませんので、しっかりと審査をした上で、その計画に乗っていけるような準備をしているところです。
記者:
冒頭、大臣から今般、国会に提出される法案について、あくまでも協力要請をした後だと、このようにご説明なされましたけども、実際には法律の趣旨は、結果としては、政府の裁量の中で、問題があればやはり罪を問うという形になってくると。
 そのこと自体が、医師会の連合会や専門家の反発を招いたんではないかと思います。そういう意味では、今回の法案については、基本的に考え直す必要があるんではないかと思うんですけど、いかがでしょうか。
大臣:
いろいろなお声があること自体は我々としても認識しておりますが、こういう法律が必要だという方々もおられるというのも事実ですよね。
 そういう意味からしますと、我々としてはあくまでも、これは無理矢理やれる話ではないですよね。例えば、医療機関の対応に関して、医療機関が何の対応準備もないのに、いきなり、勧告だ、公表するぞ、と言って公表したところで、準備もできていなければ、人もいない、そういう状況では、何ら前に進まないわけであります。
 機械的に何かしたからといって対応ができるという話ではないので、そういう意味では、そんなことをしようとは毛頭思っていませんし、やったところで意味がないと、はっきりと申し上げておきます。
 その上で、十分に対応ができて、そういう準備もあって、そういう計画もあって、にも関わらず、というようなことがあった場合にはこういうこともあり得ますよ、という話でありまして、あくまでも我々としては、しっかりと準備をしていただいて、そして協力をいただくということが前提でありますし、そのためにいろいろなパッケージもお示しをさせていただいて、お助けをいただきたいということをお願いしておりますので、この法律をもってして、できないことを無理矢理、勧告をして、公表するということはないというふうにご理解いただければありがたいと思います。
記者:
国民の中には、市民の側にコロナウイルスまん延の責任があるというような政府の姿勢というのを批判する声も徐々に高まってきていると思います。そういう中でこの法律の趣旨が、やはりそういう姿勢に立っているのではないかという懸念もございます。そのことにつきましてはいかがでしょうか。
大臣:
市民の責任ですか。     
記者:
基本的に市民、国民の側がやはり努力が足りないと、そういうような姿勢です。
大臣:
これは国民の責任ではなくて、ウイルスの責任なので、そういう意味では、ウイルスというのはそれぐらい恐ろしいものなのだということなんだと思います。
 その上で、色々なお願いを国民の皆様方にさせていただいております。今回、緊急事態宣言というものも発令しながらお願いをしております。これ自体は、私は緊急事態宣言は本来出すべきじゃないと、国民の私権を制限するようなことは本来すべきじゃないと思っています。
 しかし一方で感染が拡大して、健康、命が危険にさらされるのは国民の皆様方でありますので、そういう意味では、本来出したくないですけれども、しかしながら、今にいたっては、国民の皆様方に注意喚起をさせていただいて、ご協力をいただきたいということで、緊急事態宣言を発令させていただきました。
 このウイルスが恐ろしいと、こういう対応をしていただかなければ感染拡大を防ぐことはできないと、どれだけ申し上げても、ちゃんとした説明をさせていただいて、その上で理解をしていただいた上で、納得していただかなければなりません。そして、納得をいただいただけではだめで、その上で、「じゃあ、そうだよね」と共感をいただいて、初めて、次に行動に移っていくんですね。
 ですから、私といたしましては、まずご説明をさせていただいて、ご理解をいただいて、ご納得をいただいて、ご共感をいただいた上でじゃないと、国民の皆様の行動は変わらないと思っていますので、それを我々としてはもっと丁寧に国民の皆様にさせていただきたいという思いであります。
記者:
納得、共感の中には、やはり補償という裏付けが納得させるものだとおっしゃる方も多いかと思います。その点についてはいかがでしょうか。
大臣:
補償という言葉がですね、1件1件企業また事業主の方々に補償ということになると、東京だけでも数万件、1都3県だともっとあると思います。全国、これからどこまでが対象となるかわかりませんけども、すごい数の飲食店があるわけです。
 それを1件1件個別に補償していけるか、つまり、もし店を開いていれば、どれぐらいの売り上げがあって、どれぐらいの利益があったかというのを調べてやれば、多分、お金が出るまでに経営ができなくなってしまうという話があると思いますし、業種も違いますよね。色々な業種があって、それを補償するのが国民的にご理解いただけるのかいただけないのかというようなこともあるかもわかりません。
 そういうことも鑑みますと、よく使われますけれども、やはり補償という意味合いがどういう意味合いで使っているかということを認識しませんと、一概に「補償します」と言って、「全部見るんでしょ」という話になったときには、物理的にも無理でしょうし、国民的なご理解をいただけるかどうかという問題もあるかと思います。
 そういう意味では、支援をするというような言葉を遣わせていただいているということはご理解いただきたいと思います。     
記者:
新型コロナウイルスのワクチンについて、これまで厚労省としても接種体制の整備をされてきたと思うんですけれども、今回、河野大臣が担当になられるということで、厚労省の役割はどのように変わるんでしょうか。
 ということと、これまで厚労省が主導的に進めてきたと思うんですけれども、主導権は河野大臣に移るという理解でよろしいんでしょうか。
大臣:
今までも、和泉補佐官のもとで全体のコーディネートは行ってきました。内閣官房タスクフォースでやってきました。そこが全体の役所の取りまとめをしてきています。
 厚労省では、厚労省から他の省庁にお願いはできますけれども、よくありますが、強い力でそこに対していろんな依頼ができるかと言うと、そんな縦割り行政のことを言うなと言われるかもしれませんが、やはり省庁同士横並びになっておりますので、協力はいただいてきておりますけれども、それを迅速に効率よくコーディネートしていくという意味からすると、厚生労働省が担当するというのはなかなか難しいということで、内閣官房にタスクフォースを作っていただいたと。そういう意味で、基本的な考え方は変わらないと思います。
 河野大臣が内閣官房のタスクフォースそのものになるかは別にして、河野大臣が全体を見るという形で、責任大臣が担当されるということになりますので、多分、今までとやっていること自体は変わらないと思いますけれども、よりうまくコーディネートしていただけるような形になることを私も期待しておりますし、そのために我々としても主体的に協力をしていかなければいけないと思っています。     
記者:
静岡の件で先ほどの大臣のご発言の中で確認なんですけども、検体の全量提出という部分に関しては、静岡エリアというのは、静岡県内全域という理解でよろしいでしょうか。
大臣:
できるかどうかは、実際問題、それぞれの衛生研究所等の対応がありますし、民間がやられたりしていると、なかなか検体が集まらないということもあり得ますので、実際全部できるかどうかはわかりませんが、できれば静岡県全体の検体をなるべく多くご提出をいただければありがたいというお願いをさせていただこうというふうに思っています。     
記者:
いつぐらいに遡っての検体ということでしょうか。
大臣:
検体といってもゲノム解析できないとわからない話になってきますので、ちょっとそれは技術的な話であるということと、どれくらいのものが保管されているかということも含めて、ここでは具体的に申し上げられませんので、後でまた事務方と静岡県の方と調整いただきながら、お話させていただいた方が正確な情報が伝わるかと思います。

(了)