田村大臣会見概要

(令和2年12月21日(月)11:40 ~ 12:07 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は私から冒頭3件ご報告です。本日の閣議で、令和3年度予算案を決定いたしました。令和3年度予算について、新型コロナウイルス感染症から国民のいのち・生活を守り、新たな日常を支える社会保障を構築していくということであります。
 一つはウィズコロナ時代に対応した保健・医療・介護の構築ということが一つの柱です。それから、雇用・就業機会の確保も一つの柱です。そして、新たな日常の下での生活支援ということでありまして、このような観点から予算額としては一般会計で約33.1兆円ということであります。
 前年度と比べると0.5%増ということで、過去最大の規模となりました。今後通常国会で予算案の審議が行われますが、これらの予算を効果的に活用して、令和2年度の第三次補正予算とつながるような形で、合わせて切れ目のない対応をしてまいりたいということです。
 詳細については事務方からブリーフィングをいたします。
 
 2点目ですが、新子育て安心プランについてです。本日の令和3年度予算案の閣議決定に併せて、今後4年間、保育の受け皿整備等を進めるために新子育て安心プランを取りまとめました。
 4年間で14万人分の枠を確保していく、待機児童の解消に向けて対応していくということです。引き続き早く待機児童の解消を目指すということです。    
 
 3つ目ですが、これまで感染拡大防止の観点から行政検査には十分適切に対応できるようにということで、検査機能の強化をしてきたわけです。当初、今年2月前半頃でありましたが、1日2,000件という形で非常に少ないというご不安もあったわけです。
 しかし直近では1日9万5,000件まで向上していると報告をしてまいりましたが、今般医療機関等でやっている検査、これはG-MISで拾えるようになってまいりましたので、G-MISで再度確認した上で再集計しましたところ、現在は1日10万9,000件の検査ができるという機能、これは通常の想定、つまり通常の回し方で回した場合ということです。
 感染が拡大して、検査が非常にタイトになってきた場合には、更に各機関に1日で検査をしていただく量を増やしていただくということでありますから、技術上は10万9,000件以上行うことができる能力があるということです。
 平常に運転して1日10万9,000件行う能力があるということです。これからも必要な検査体制の強化を図ってまいりたいと思います。

質疑

記者:
先ほどお話しいただいた来年度予算案ですが、新型コロナウイルス対策関連予算など、全体の評価をお願いします。
大臣:
今も申し上げましたが、ウィズコロナ時代に対応した体制ということで、そういう意味では保健・医療・介護それぞれの構築ということからすると、地域医療構想等の感染症対応というものを含めて、これからどうしていくのかということを議論していかなければなりません。
 それぞれの分野はかなり様態が変わってきておりますので、そういうようなものに対して対応できるような、それぞれの体制整備、こういう意味での予算。更には新型コロナウイルスの下で非常に雇用が不安定になってきております。
 そういう不安定な状況の下で機動的に対応できるような、もちろん雇調金もそうですが、それだけではなくて職業教育訓練等も含めたいろいろな対応というもの。
 それから新たな日常の下での生活支援ということで、これも非常に不安定な就業環境の中における、それぞれの生活者の方々の不安をある程度和らげるためにいろいろな生活支援等を含めて、コロナの下いろいろと状況が変わっている中での対応をするという意味では、しっかり予算を確保できたのではないかと思っております。
記者:
昨日東京都で新型コロナウイルスの新規感染者数が日曜としては過去最多の556人となりまして、国内累計で約20万人となりました。感染状況の受け止めと、年末年始の医療体制について今どのようなことをお考えになっているかお願いします。
大臣:
まず、12月16日のアドバイザリーボードですが、いろいろと評価、分析いただいております。やはり高止まりした後は増加傾向ということで、史上最多の水準が続いております。1週間の移動平均を見ましても、やはり先週と比べてこの週末でありますが、120~130人増えているという状況であります。
 やはり増加傾向であるということ、それから全体として高齢者の感染者も絶対数も多くなってきているということがあります。そうなってまいりますと、入院者数のみならず、重症者数もやはり増えてくるということで、医療提供体制に負荷がかかってくるということであります。
 死亡者も増加しておりますが、更に重症者が増えてきているということは、あってはならないことですが死亡者が増加する可能性もあるということで、必要な対応をとらなければならないと思っております。
 これから更に感染拡大した場合には、酒類を提供する飲食店などの時短要請の範囲を更に強化するということも含めて検討が必要だと、アドバイザリーボード等で指摘をいただいております。
 新年会、忘年会それから帰省等がこれから予想される時期になってきますが、そういうものに対しても静かな年末年始を迎えていただくために、感染を広げないために、それぞれの対応をお願いしたいということです。
 こういうことを踏まえて、我々また分科会もやっていくわけです。これからまたいろいろなご意見をいただきながら対応してまいりたいと思います。これまでもいろいろな対応をしてきていただいております。
 それこそ、GoToトラベルもそうですが、それのみならず、リスクが高まる場面とよく言われるような場面、例えば飲食店等で、大人数で宴会をやるということですとか、そういうことに対して、いったん時短の営業の中で、一定程度そういうものも国民の皆さま方には抑制をいただいているものだと思います。
 にもかかわらず感染が増えているというのは、一つは季節的なものがあるのではないか、これは気温の低下というものは感染拡大の一つの要因であるということは分科会でもそのようなご意見をいただいています。まだこれから寒くなってきます。乾燥もしてきます。
 我々としては、最大限危機感を持って医療提供体制の整備等をしっかり進めていかなければならないと考えています。
記者:
2点伺います。1点目ですが、新子育て安心プランについてです。待機児童解消についてはできるだけ早くとされていますが、具体的には例えば21年度内の達成などを念頭に置いているのでしょうか。
 また政府は現在、今年度末までの待機児童ゼロを目標に掲げていまして、今年4月時点では1万2,000人以上の待機児童がまだいますが、本当にゼロを達成できるのかお考えや見通しをお願いします。
大臣:
今年度ですか。
記者:
はい、現時点での目標です。
大臣:
今年度の待機児童解消に向けてずっと進めてきたわけです。更に申し上げれば、それ以前に5年計画等組んで、そしてまた更に延ばしてという形で3年間やってきたわけです。
 我々の計画にほぼ近い、計画どおりの定員枠の整備は進めてきております。保育所のみならず、幼稚園やこども園も含めてですが。
 そういう中で、やはり女性の就労が非常に予想以上に増えている、これ自体は非常に喜ばしいことでもあるのだと思います。当然それに伴って、必要な保育所、子どもを預ける定員枠も増えてきているということで、今般、更なる新プランという形で14万人分、これを増やしていく計画を作ったわけです。
 そういう意味では、もちろん待機児童を今年度末解消ということで進めてきていますが、ただ一方で、今言ったような違った状況も出てきています。それからやはり、コロナで状況が若干変わってきていますが、やっぱり東京圏、東京圏だけではなくて大都市圏といった方が良いかも分かりませんが、若い人たちの流入というものがずっと続いてきていたわけです。
 若い方々が増えてくると、全国の保育所の定員という意味では、ある程度充足してきていても、ミスマッチが生まれてきます。そうするとその地域はまた足りなくなる。東京の中でも子育ての環境整備ができているところにまた新しいご家庭が来られて、更に保育所の定員枠が必要になってくる。このようなミスマッチもあります。
 ですから、そういうものも含めてこの4年間でしっかりと解消するためにいろいろな方策を考えていかなければならない。もちろん14万人の新たな枠もそうですが、全体のミスマッチをどうやってなくしていくかということも踏まえての新プランになってまいります。
記者:
できるだけ早くというのは具体的な時期設定というものはありますか。
大臣:
できるだけ早くです。
記者:
コロナの関連ですが、先日広島県で自宅待機中の男性が新型コロナで亡くなる事案がありました。基礎疾患があったため、医師が入院を必要と判断していましたが、一度帰宅して翌朝に亡くなっていたという事案でした。
 先日は神奈川県でも宿泊療養中の患者さんが亡くなる事案がありまして、病床が逼迫する中、自宅待機者や宿泊療養者が今後増えていくと想定されていますが、今回の事例をまずどう受け止められているか、厚労省として通知を出すなど検討されている対応がありましたらお願いします。
大臣:
基礎疾患がある場合には、やはり病態が急変する可能性があるわけです。基本的には、入院をいただくという形であります。
 様々な事情で一旦自宅待機になったのだと思いますが、しっかりと対応いただけるような体制を取ることは非常に重要だと思いますので、各都道府県には再度お願いをしなければならない。今までもお願いしていますが、それを徹底していかなければならないと思います。
 一方で、基礎疾患のない方、そして病状・症状の軽い方に関しては、やはり特に逼迫している地域では、自宅待機またはホテルの療養等をお願いする、そういう通知を出させていただいております。そこのところをしっかりと各都道府県等でご判断をいただいて、適切な対応をいただければと思います。
記者:
新型コロナの関連で伺います。イギリスで感染力が強いとされるウイルスが急速に感染を広げているとされています。こうした海外の変異したウイルスの現状をどう認識しているかということと、今後国内でどのような対策を取る必要があるとお考えでしょうか。
大臣:
まだ我々も報道ベースでしか確認できていない部分があります。実際、隣国が飛行機を止めたり入国を止めたりしているということを報道で承知しておりますが、外務省を通じて今しっかり確認している最中です。
 その上で70%感染しやすい、これもニュースで今朝私も見た次第ですが、ジョンソン首相がそういうことを仰っているということで、確定はしていないという話らしいですが、そういう話であれば我々もしっかりと情報を確認した上で、専門家の方々と相談をさせていただいて、どういう対応をすべきかということは早急に検討し、実施していかなければならないと考えています。     
記者:
人口動態統計についてですが、毎年年末に公表されていますが本年も発表される予定でしょうか。
大臣:
人口動態統計ですが、ご承知のとおり10月くらいまでの数字は出てきて公表していますが、年末に向かって一定の計算の下に機械的に推計して、毎年公表しております。
 今年は数値を見ると、まず死亡者数が近年の高齢化によって増加傾向であったのが、1月から10月の累計では対前年同月比で11年ぶりに減少というような、これはどういう理由かというのはしっかり分析できていませんが、こういう状況があります。
 それから婚姻件数ですが、令和への改元以降、例年と比べ大幅に増加または減少している月があって、なかなかこれ昨年と比べて比較できないという理由があります。
 更には、離婚件数ですが4月以降大幅に減少していること、更には妊娠届出数が5月から、また死産数が7月から大きく減少しているということで、妊娠届を考えますと早ければ12月から出生数に影響が出てくる。例年と違っていろいろな不確定要素が多くて、これで機械的に今までのように計算式に入れますと、多分この11月、12月の推計がちゃんとした数字が出てこないのではないかということ。
 言うなれば、精度が高い数字が出てこないのではないかということで、こういう数字をお出しするとある意味ミスリードしてしまう部分もあるということで、今般は公表を控えさせていただこうと考えております。
 なお、毎月のものはご承知のとおり10月分まで公表しておりますので、それを見ていただければどういう傾向、毎年かなり違っているなという傾向は分かると思います。そういうものを見ていただきながら、いろいろとご判断いただければと思います。
記者:
先ほどもお話にあがりましたけれども、英国内で確認された新型コロナウイルスの変異種の感染力が、従来のものよりも最大で約70%強い可能性があると発表がありました。この変異種は変異部分が23箇所もあり、細胞に侵入する働きに変異が見られ、この変異がワクチンの有効性を低下させる可能性があるとも指摘されています。
 また、米国ではワクチンのアナフィラキシー症状で入院した人もでたと報じられています。ワクチンに全面的に頼るより、基本に立ち返って大規模で徹底的なPCR検査こそが必要ではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
英国の状況ですが、先ほども申し上げましたが私も報道ベースですが、ジョンソンさんがああいう形で70%感染力が増している可能性があると、まだこれはしっかりと検証できていないお話であったと思います。
 ただ、一国の総理がそういうことを仰ったということで、ヨーロッパ隣国のいろいろな対応をされていると、これも報道ベースなので確かめている最中でありますけれども、それはそれで重く受け止めなければならないと思います。対応としては先ほど申し上げた情報をしっかり収集した上で、専門家にお聞きいたしまして検討の上、早急な対応を考えなければならないと思います。
 それから後段の検査・ワクチンの話ですが、ワクチンの副反応、アナフィラキシーという問題は、これは一般的に、コロナウイルスワクチンだけではなくていろいろなもので、アナフィラキシーは起こります。
 でありますから、報道をもって一喜一憂するというよりかは、しっかりとそういう副反応の情報を我々として収集した上で、これから薬事申請、承認のプロセスに入ってまいりますから、その中でしっかりと評価をさせていただきたい、安全性・有効性というものを確認させていただきたいと思います。
 それと検査については、先ほど申し上げましたけれども、日本もかなり検査能力は増えてまいりました。ただ、問題なのは民間の検査が精度管理できているのかいないのか分からなくて、ご自身で独自に医療機関を通じないもしくは提携していない検査機関でやって、仮に陽性がでてもその後行き場を失っているという事例がたくさんあります。
 ですから、検査をやるためには、ひとつは医療機関での検査もしくは提携している検査機関での検査をやっていただくよう再度依頼を、先般の閣議後会見でもさせていただきました。検査はある程度やらないといけないと思いますが、検査をやるだけで感染が減るかというと、アメリカはCDCだったと思いますが、1億8千万回以上検査をやっておられますが、やはり感染が広がっている。ヨーロッパにも日本よりもやっている国もありますけれども、日本より広がっているということであり、結論から申し上げればやはり効果的な検査をしっかりやって、抑え込みをしっかりやっていく。
 例えば高齢者施設でありますとか医療機関、感染が拡大している地域においてはこういった部分を定期的にやっていただいて、その上でクラスターを作らない、重症化をさせないということは重要であり、先般通知を出させていただいて、行政検査含めそういう形で対応いただきたいとお願いさせていただいております。
記者:
コロナ禍で、非正規、非婚、女性などの社会的に立場の弱い人たちほど、失業など経済的な貧富の危機にさらされています。年末に向けて早急な救済措置が必要と考えますが、厚労省はこうした方たちの実態調査を行っているでしょうか。
 また、菅政権はまずは自助といいますが、そうしたメッセージが生活保護受給などに対する罪悪感を植え付けていると側聞しています。こうした人たちには自助と共助と公助を同時に行う必要があるのではないかと考えますが、お考えをお聞かせください。
大臣:
例えば、ひとり親の家庭の皆様方に対しては給付金をお配りしたんですけれども、これをもう一回というお話がありまして、これはSNSで調査しました結果、やはり一般の家庭よりは非常に大変だということで、この年末もう一度給付金をお配りさせていただくということで対応をさせていただいたということであります。
 また、いろいろな窓口に関してはしっかりと必要なものは対応できるようにするということは考えておりますし、そういう意味では各地域、自治体なんかもそうした相談窓口はちゃんと設置いただくようにお願いをさせていただいております。
 あとは緊急小口資金などの運用も延長しながら対応していくということで、そういう意味では新型コロナウイルス感染症拡大ということでいろいろ対応していると思います。自助・共助・公助というのはちょっと誤解がありまして、誰だって自助・共助・公助で生きているわけで、自助がなかったらそもそも生きられないわけであります。
 まず努力があるのは、当たり前といえば当たり前で、生活保護自体がそういう立て付けなんですね。持ちうる能力を全て使った上でという、そういうような法律になっておりますので、当然のごとく自助はお願いしないといけませんが、自助・共助だけでは対応できない方がおられることは、これは我々も理解させていただいております。
 また、私ども生活保護を始めとするいろいろな公助の仕組みがあるわけでございます。そこが例えば、自治体の窓口でなかなかつながらないというようなことがもしあるとすれば、それは今までの各自治体に生活保護を受けるための対応ということでお願いしてきたわけでございまして、個別にまたそういうお願いがあるとすれば、我々としては確実に対応を促していくということでございます。
記者:
人口動態統計について確認で、追加で質問させてください。推計に関しては見送られるということなんですけれども、例年6月に概数、8月に確定値というものを出しておりますけれども、このスケジュールに関しては基本的に今回、コロナ前の影響というのはなくて、きちんと予定通り公表されるということでしょうか。
大臣:
基本的には確定に関しては従来どおりやります。あくまでも先ほど申し上げたのは、年末に向かって推計をするということになりますと機械的な計算式に入れてやらなければならないところ、ちょっと例年と違う状況となっておりまして、今までの機械的な計算では精度が高いものがでてこないであろうということで、今回それを見送らせていただくということでございます。今言われた確定値についてはしっかり数字を出させていただきたいと思います。
記者:
コロナウイルスについてですが、中部大学の武田邦彦教授や京都大学大学院の藤井聡教授ら著名な大学教授がネット上で「新型のコロナ感染症予防対策についての共同宣言」と称して、私たちの生活様式が変更されなければならないほどの脅威は存在しない、また、厚生労働省は自粛の必要性についてその科学的根拠を示すべきであるなどと訴え、政府のマスク着用の推奨の停止やPCR検査による陽性者認定の停止、また、感染者数の発表を停止するなど求めています。このことについてどうお考えでしょうか。
大臣:
厚生労働省の下には、感染症の専門家で構成される、例えば臨床の先生方がいるのですが、アドバイザリーボードというものがございます。そこで、いろいろな医学的・感染症学的な評価・分析をいただいております。
 その中で、そのようなご意見はいただいておりませんので、アドバイザリーボードからいただいたご意見を参考にしながら分科会にお諮りをさせていただいて、政府としての対応を決定させていただくということであります。

(了)