田村大臣会見概要

(令和2年12月18日(金) 10:59 ~ 11:16 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
まず私から1点目ですが、建設アスベスト訴訟についてです。12月14日に最高裁は、東京1陣建設アスベスト訴訟に係る国の上告受理申し立てを受理しないということを決定いたしました。
 一部原告の方を除いて、本訴訟において国の責任を一部認めた東京高裁判決が確定いたしました。国の責任が認められたということでございまして、国の責任が認められた原告の方々に対しては、責任を感じ深くお詫び申し上げたいと思います。
 同高裁判決を踏まえて、適切に対応していきたいと思っております。

  続きまして、新型コロナウイルスのデータを一新させていただき、「コロナウイルス感染症情報」という形で、データを見れば分かるという形にさせていただきたいと思います。
 ホームページで公表してきたデータを基本に、性別ですとか年代、こういうものを含めた都道府県別のデータが分かりやすい形で国民の皆さま方に開示させていただきたいと思っております。
 こういうものを、しっかりと見ていただく中において、参考にしていただいて行動変容の一つにしていただければと思います。

 続きまして、最近自費検査が非常に、この東京でも広がってきております。無症状の方が自費検査をやられるということで、例えば陽性になった場合、これは医療機関と提携いただいていたり、医療機関自体がやっております自費検査ですと、医師がそこで診断し、それを基に感染症法に則って保健所に届出いただくということになります。医師と提携していただいていないと、そういうことになりません。
 厚生労働省としては、11月24日に事務連絡を発出しまして、民間検査機関に対しては、医療機関としっかりと提携をしていただく、提携医療機関を持っていただくということをお願いしています。
 改めて、ここでお願いをさせていただきますと同時に、当然提携いただいている医療機関は医師の方々が診断をされますので、医師の方々の診断に資する、診断の期待に応えられる精度が求められるわけです。
 我々厚生労働省としても、診断に資する精度というものを是非ともお願いしたいということです。提携していただいていないと、仮に陽性が出てもどこで行政検査をやるんだという話になってまいりますし、そもそもどれくらいの精度をもった診断か分からなければ、医療機関に来ていただいても医療機関が困ってしまいますので、是非とも民間検査機関の皆さま方には医療機関と提携していただきたい。
 逆に言うと、提携していない検査機関で検査をいただいた場合には、検査された方々が困ってしまうことになりますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。ご質問お願いします。

質疑

記者:
新型コロナウイルスのワクチンについて、ファイザー社が今日にも承認申請をするという情報があります。厚労省として現在の事実関係の認識がどうなっているのかということと、申請を受けた後に特例承認を含めてどの程度で承認を目指すのか、このことを改めてお願いします。
大臣:
まだ申請がきておりませんので、来てからの話になると思います。特例承認という話もありましたが、特例承認での申請が来るのかどうかは分からない状況です。申請が来れば、その上で有効性・安全性をしっかり審査した上で判断していくという話になると思います。
 どれくらいの時期かということも、米国では緊急使用許可が出たという話もありますが、我が国としてどうするかということはしっかりとデータを見させていただいた上でということになります。最優先の課題ですから、最優先で審査はしっかりさせていただきたいと思います。
記者:
菅総理の会食に関しての問題ですが、総理が5人以上の会食をされたということで、国民に大人数での会食を控えるようにと呼びかけている中でのことに批判がある一方で、総理が夜の会食を禁止してしまうと情報収集とか、意見交換という面で業務を執行する上で障害になるのではないかという養護する声もあります。田村大臣として、今回のこの意見と総理の夜の会食そのものについてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
5人というのは一つの例示で示されたんだと思いますが、5人以上になると感染リスクが高まるということはいろいろな方が言われている話です。そういう意味からすると、しっかりと感染防護をしていれば大丈夫ではないかという意見もあります。
 そうしていないような会合も良く散見されるわけです。そういう意味からすると国民の皆さまにメッセージという意味では、禁止するものではないですよ、それは国民の皆さま方の自由な行動ですが、しかし、5人以上のそういう会合に関しては、なるべく避けていただきたいという思いの中で、5つのリスクの高まる場面という中で、例えで示させていただいたものと思っています。
 総理自身が、誤解を招くような行動、まさに5人以上でも会合しても良いんだという誤解を招くような状況であったので、総理自身が真摯にご反省をされているわけですから、総理自身が5人以上の会合は重ねてなるべくやっていただきたくないということ、お詫びを申し上げるとともに国民に訴えられたのだと思います。
 そういう意味では、大人数の会合というものは、国民の皆さま方にもできるだけ避けていただきたいということが我々の思いです。
 一方で情報収集は大変重要です。例えば食事をしないような形でもいろいろな情報は入手できるわけですので、そういうことを踏まえた上で、やはり官邸に入るとなかなか外から声が入りづらいこともありますから、いろいろな方々のお声は是非とも総理にはお聞きいただきたいということが我々の思いです。
 そこは、感染を避けるためのいろいろな行動と情報収集するということは、両立しながら対応していただきたいということであると思います。
記者:
ファイザーのワクチンの関連です。海外では副反応と見られるようなケースも報告されていますが、国内で承認になった際には、使用するに当たってこうした懸念にどう対応していくかお願いします。
大臣:
しっかりと情報収集はして、これからもいろいろな副反応の情報、海外で接種が始まっておりますから、そういう事象が起これば我々も申請された上で審査するわけですから、その中の1つのデータとしてしっかり分析していきたいと思います。
 一方で、ワクチン全般にそのようなアレルギー反応というものは、ごくまれですがあるわけですので、そういうことを踏まえて我々としてはしっかり審査していくという話になると思います。
記者:
新型コロナの関連で、昨日東京都で800人を超える結果が出ていまして、まだ感染拡大が収まっていない状況と思いますが、こうした状況を大臣としてはどのように認識されているかということと、野党から緊急事態宣言を求める声も出ていますが、宣言を出すことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
以前から申し上げていますが、GoToキャンペーンというのは政府が地方経済全体を浮揚していくために1つの方策として進めているものですから、これ自身が国民のいろいろな行動を制限するものではありません。そういう意味で、総理もGoToトラベルに関して年末年始を一時停止するということをご決断されたんだと思いますし、それぞれの自治体でGoTo、それこそイートですとかいろいろなGoToキャンペーンに対して、一定の制限をかけられていると思います。
 一方で、緊急事態宣言というものはいろいろなメニューがありますが、まさに国民の私権を制限、日本は罰則を付けて制限するようなものは少ないですが、しかしながら、そういうことを呼びかけること自体が、国民の皆さんの自由な行動に一定の制約を国がかけるという対応だと私は思います。そこは慎重に考えなければならないものだと思います。
 一方で、東京都が800人を超えたというのは、我々も重く受け止めておりますし、併せて医療の現場、東京だけではありませんが、他の地域でも医療の現場が非常に厳しくなってきつつあるというお話を、厚生労働省としても承っています。
 そこに対しては最大限の支援、またいろいろな対応、今までのいろいろな医療体制の中において、厚生労働省としていろいろなご助言ができるならそういうことも踏まえて、お手伝いしていきたいと思っております。
 今、この状況の下で緊急事態宣言というものを発令しようというお話が野党の方から言われているというのは私も存じていますが、私自身非常に重い対応だと思っておりますので、慎重に考えてまいりたいと思っております。
記者:
民間のPCR検査についてですが、最近都心部でも格安のPCR検査ができる施設が増えてきて、そこに地方から検体を郵送して、そこで陽性になった場合に都内の保健所で計上されるというケースが相次いでいます。
 これはかなり今後も進んでいけば、都道府県別の感染状況を正確に把握することができなくなるのではないかという懸念がありますが、その辺厚生労働省としてどのような対策を考えていますか。
大臣:
東京都だけでないと思います。そういうような郵送を用いる検査機関といいますか、東京の場合は医療機関がやっておられるという話になりますが、先ほど申し上げましたように自主検査は、医療機関と提携して、あるいは医療機関がやっていただかないと困りますので、是非とも医療機関を中心にやっていただきたいと思っております。医療機関でありますから、当然来ると診断をされて、その地域の保健所に報告をするというのが今のルールになっています。
 一方で、東京都のモニタリング会議では、そういうものも踏まえて多分発表と言いますか、分析するときにはそういうものを省いてやっておられると私はお聞きしています。
 都の方とも日々の報告、発表も含めてどうあるべきかということは、実は以前から小池都知事からも私の方にこの問題意識を提起いただいておりますので、検討させていただきたいと思っています。
 これは東京だけでなくて他にも影響してくる話なので、早急にどういう対応をしていくかということは話し合いをしてまいりたいと思います。     
記者:
建設アスベスト訴訟の件で伺います。昨日原告側が記者会見を開かれまして、原告の一人がこの最高裁までの12年半の間に198人の原告の方が亡くなられたということをご指摘されました。まず、この原告の方が裁判の間に亡くなられているということについての受け止めと、国の責任が最高裁で確定した以上、早期救済を求めるということで、政治解決、被害者補償基金の創設を求められましたが、そのことについてのご所見をお願いします。
大臣:
本当に国の責任が認められた皆さま方に関しては、本当に申し訳ないという思いでいっぱいです。こういう形で年月をかけて最終的に判決が出たわけで、国としてこの判決自体を重く受け止めなければならないと思っています。
 今基金の話等ございましたが、具体的にまだ直接お話をお聞きしているわけではありませんし、それぞれ与党には与党で議員連盟等もありますので、いろいろなお話をされているのかも分かりません。
 私も真摯にお話をお伺いさせていただく中で、どのような対応があるのかということは検討していきたいと思います。
記者:
重ねて、他にも同種訴訟が全国の裁判所で継続中ですが、今後そういった他の訴訟へのご対応についてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
今回の判決の内容を精査した上でどうしていくべきかということを考えていかなければならないと考えております。

(了)