田村大臣会見概要

(令和2年12月11日(金) 14:53 ~ 15:13 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私から冒頭2件ご報告いたします。生活にお困りの方々について、年末年始にいろいろと心配がございますので、それに対する厚生労働省からのご報告です。一つは、経済対策に基づきまして、緊急小口の特例貸付について、ご承知だと思いますが12月末が申請期限だったものを来年3月末まで延ばさせていただきます。
 それから、住居確保給付金についても、これは最長9か月ということでしたが、12ヶ月に延長させていただくということ。また、ひとり親世帯への臨時特別給付金の再支給の決定をさせていただきました。改めてご報告させていただきます。
 年末年始にお困りになられたときに、いろいろとどこに行ったら良いかということがございます。そういうことも含め、自治体に対し、年末年始の臨時窓口の開設ですとか、一時的な宿泊場所の確保といったものの事前準備などの体制整備を依頼しているところです。新型コロナのこともございますので、改めてこういうことをお願いさせていただきました。
 併せて、ハローワークにお越しの際にも、ハローワークは、本来は求職への対応ということですが、事情をお聞かせいただいた上で、離職後の居住する場所でありますとか、いろいろなお困りごとがあると思いますので、そういう場合にはハローワークにアドバイザーがおりますので、そこでいろいろな自治体の窓口に繋げるというような体制を整えさせていただきます。
 いずれにしても、年末年始お困りになられた方々がそのまま途方に暮れないような体制づくりということで、我が省はハローワークはじめ、各自治体の窓口等にお願いをさせていただいたということです。

 2点目は、アストラゼネカ社のワクチンですが、アストラゼネカ株式会社と正式な契約を結びました。1億2,000万回のワクチンの供給を受けるということにしました。そのうち3,000万回分は、以前から申し上げておりますが第1四半期に供給いただくということです。基本合意した内容でそのまま最終契約を結んだということであります。
 ワクチンに関しては、供給された場合には円滑な接種の実現に向けて、12月10日の厚生科学審議会において各自治体における接種体制や流通体制の検討を行い、しっかりとした準備に取り組んでまいりたいと思います。
 私からは以上ですので、ご質問があればお願いします。

質疑

記者:
新型コロナの感染拡大が続いています。医療提供体制も逼迫していますが、その受け止めと、先ほど分科会後に総理と西村大臣と田村大臣とで面会されましたが、分科会の提言を踏まえた今後の対応についてお願いします。
大臣:
分科会で提言をいただきましたのでそのご報告に上がりました。もちろん、感染状況を含めてのご報告でありますが、そこで総理にご報告いたしました。分科会の内容は皆さんご承知だとは思いますが、年末年始を迎えていろいろなイベントがあります。
 もちろん忘年会、新年会、成人式などいろいろなものがありますが、静かな年末年始を今年はお願いしたいということですとか、あとは、営業時間短縮を行っていただいているところもありますが、12月中旬頃だいたい期限が来るわけでありまして、そういう意味ではその効果、感染状況を分析した上で3つのシナリオに応じた対応というものを提言いただきました。
 具体的には、感染の減少地域でありますとか、また高止まりの地域、更には拡大している地域という形で3つのシナリオに対してそれぞれの対応策をご提言いただいたわけです。それをご報告させていただいたということです。
 医療提供体制は非常に逼迫している地域があるということでして、これに対してはご承知のとおり、専門のスタッフですとか看護師も含めていろいろと派遣を、いろいろな形で支援をしているということですし、当然クラスター等も起こっておりますから、これに関しては専門家、保健師の方々も含めて1,200名ほどのバンクを作っておりますので、その中からそれぞれ派遣の手配をさせていただくという形の中で、それぞれ支援をするということです。
 看護師に関しては、都道府県、それから看護協会等にも支援いただきながら、対応させていただいておりますし、場所によっては我が省からDMATという形で派遣をしているという状況もございます。更に申し上げれば、自衛隊を随時災害派遣という形で依頼が都道府県知事から来れば、ご承知のとおり北海道それから大阪となっていますが、派遣をさせていただいております。
 更にこれから感染拡大、何とか防いでいこうということで最大限の努力をしていますが、厚生労働省としてはいつも申し上げるように、更に拡大したことも一応シナリオに入れておかないと、このまま収まっていくという楽観的な予測だけでは、実際拡大したときに対応が滞ってしまいますので、更なる拡大をしたときの医療提供体制、これに向けてのお願いもさせていただいております。
 フェーズを上げていただきたい、本当に以前から各自治体にはお願いしておりますが、今仮にそれほど感染をしていない地域も、1週間経ったら感染拡大する、もしくは大きなクラスターが起こればいっぺんに重症者も増えてくるわけですので、フェーズを上げていただきたいというお願いをしております。
 そして、分科会からも提言をいただきましたが、医療従事者の方々に対して、やはりいろいろな形で支援をすべきではないかというお話がありました。こういうことも含めて、医療従事者の方々に対して、しっかりと国として対応できるような支援の方法、これは医療機関を通じてになると思いますが、そういうこともご提言いただいておりますので、これに対してもしっかりと検討し対応させていただきたいと思っております。
 特にコロナで本当に頑張っていただいている方々に関しては、大変な状況だと、大変なご尽力をいただいているということを我々は承知しておりますので、そのような観点からしっかりとした対応をさせていただきたいと今検討を始めたところです。以上です。
記者:
後期高齢者の窓口負担で、対象年収200万円以上とするということでまとまりましたが、当初の政府案に比べて現役世代の負担軽減が少なくなった形ですが、今後医療費が増大する中で更なる改革に向けてどう取り組んでいくのかお願いします。
大臣:
医療費は、これから非常に人口構成が変わる中で、世代間での負担感をどうしていくかという検討において、全世代型社会保障制度改革の中で、今般高齢者の方々に対しても負担能力のある方々に対して一定の負担をお願いしようという趣旨で2割負担ということであります。
 これによって、現役世代の方々の負担の増大を一定程度抑えられるという効果があるわけですが、一方で高齢者の方々の負担感が増すわけでして、そういう意味では一定の期間、これに対する経過措置を組ませていただくことで、対応させていただいたということが今回の案です。
 更なる医療保険制度に対する持続性ということを考えると、これはまたいろいろな観点から考えていかなければならないと思いますから、更にまたいろいろな対応を検討会等で検討されるものだろうと。
 まずはこれの実施に向けて準備を始めるということが第一でありまして、それから先のことについては更なる検討を然るべき検討会の中で対応していくものと考えております。
記者:
新型コロナ分科会の関連で伺います。今回専門家からは更に踏み込んだ、強い対策を求める意見もあったかと思いますが、政府としてどのように進めていくかお願いします。
大臣:
強い、踏み込んだと言いますと。
記者:
聞いている範囲だと、経済を少し止めるというか、今更に手を打つ必要・・・。
大臣:
いただいた提言は既に先ほど申し上げたフェーズ3で感染が更にそこから広がろうとしている、先ほど申し上げた最後のフェーズの場合には、緊急事態宣言を発することを防ぐためにも更なる強い対応を、というご提言でありました。
 ですから、そういうような地域が出てくれば、それは更に例えば、時間をもうちょっと短くするなり、いろいろそれぞれやっていただいています。
 10時だとか、大阪は9時ですとか、そういうものに対して、更に増加傾向が見られてフェーズが、フェーズといっても第3ステージの中でフェーズ、それが上がるということであれば、そのときにはそれへの対応をするという提言でございますので、そのような状況が生まれてくればそれは検討するということになると思います。
記者:
その上で、専門家の方たちは強い危機感がある一方で、政府との間の温度差を指摘する声も聞かれますが、その辺り大臣はどのように受け止めていますか。
大臣:
温度差はないです。我々も非常に危機感を持っています。だからこそ、今、各自治体に対して医療提供体制へのしっかりした対応をさせていただいておりますし、いろいろな形で人材派遣という支援もしております。
 併せて申し上げれば、これから先の医療提供体制に向けていろいろお願いしなければならないと。決して、今感染者が少ないからといって大丈夫だと思っていただいては困るので、その地域でもしっかりと先のフェーズを見越した上で、医療提供体制の対応をお願いしたいという思いです。
 それぞれの地域の住民の方々に対しての行動に対するいろいろな対策に関しては、各都道府県、自治体と話し合いをする中において進めさせていただいております。それは分科会からのご提言に則ってということですから、しっかりと意識を持ってこれからも対応してもらいたいと思います。
記者:
自殺者について伺います。警察庁の統計で昨日先月まで5ヶ月連続で自殺者が前年を上回ったということが公表されました。改めて厚労省の受け止めを教えてください。
大臣:
前年同月比を見ると、10月と比べると前年同月比はある程度収まってきていますが、それでもやはり大きく前年同月比を上回っているということで、危機感を持っております。どういう理由なのかということはこれまで分析ができておりません。
 しっかりと分析をしなければならないと思いますが、言えることは、昨年との大きな違いとして新型コロナウイルス感染症拡大があります。これによってもちろん仕事、所得、収入というものも影響を受けておられる方々が多いと思います。
 更に申し上げれば、生活のリズムと言いますか、生活が一変された方々もいらっしゃるので、去年までの生活が一変する中でいろいろな生活のリズムを崩されてしまう、その中でいろいろなメンタルの部分で大変なご苦労をいただいている方々もおられると思います。
 そのようにいろいろな生活の様式まで変わる中において、今回のこのような結果というものを我々は本当に厳粛に受け止めながら分析をする中で、対策を講じていかなければならないと思っています。
 とは言いながら時間がないわけで、やはりSNSや電話等を通じていろいろな悩みのある方々に対する相談の窓口、これは今もありますが、これをまた来年度予算に向かっても拡充する中で、しっかりとそういう方々の本当に悲痛な声というものに対して、いろいろな対応をできるような、そのような体制を組んでまいりたいと思います。
記者:
民間のPCR検査で、民間の検査機関が最近また話題になってきています。以前にそういった民間検査機関について、金額だったりを含めて年内に公表すると仰ったかと思うのですが、その見通しといいますか教えていただければと思います。
大臣:
何とか年内にこれを進めたいなということで、今、準備を進めているのですが、自治体と協力しながらやろうと思っていたものですから、新型コロナウイルス感染症が拡大する中でなかなか今そこまでお願いできる状況でないということで、若干時間がかかっていることを申し訳なく思っております。
 なるべく早くオープンデータ化という形で、以前申し上げたように、検査の内容、それから価格でありますとか更には精度管理の有り様ですとか、そういう要するにユーザーの方々が、安心して使っていただけるような内容を、誓約書をもって公開をいただけるような仕組みを早く作りたいと思っております。
 今までもお願いしておりますのは、まずは基本的に医療機関が本当はこういうことをやっていただきたいというのがひとつなんです。
 民間機関がやられる場合には医療機関と提携していただいて、陽性がでた場合にはしっかりと保健所に届けられるような体制を組んでいただかないと、陽性になったにも関わらず、そのまま届出もせずに結果的には街中を歩かれるということになりますと感染拡大をしてしまうおそれも生じるわけでありますので、そういう呼びかけをさせていただいておりますし、ちゃんと情報もホームページ等で公開してくださいというお願いをさせていただいておりますが、再度この場をお借りして、それぞれやっておられる民間の検査会社の皆様方には、我々からのお願いをぜひとも守っていただいてしっかりとした対応をしていただきたいと思います。
記者:
医療人材の不足の話ですけれども、例えば旭川だったりとか要請している人数に対して、自衛隊を派遣しているにもかかわらずやはり要請している数には届かないということであると思いますが、こういったことに対してどういう対応をお考えでしょうか。
大臣:
いろいろなパターンがあると思います。パターンというのはどういうことかというと、よく看護師の皆様方が足りないということで要請がある場合、看護の皆様方が例えばその感染者の皆様方の身の回りのいろいろなお世話、それから衣服の洗濯だとかベッドメイキングだとかいろいろなことをやって、そういうことに人手が取られて、本来の業務である看護師の仕事がどうしても足りなくなってくる、マンパワーが足りなくなってくる、そういう場合には、例えば専門業者にそういうところ、身の回りのことをやっていただいて、看護師の皆様方の一番必要な業務に特化していただくというような形で何とかマンパワーを回すというようなやり方もあると思います。
 今は、そういうものをしっかりと厚生労働省の中でパッケージにして、提案をさせていただきたいと思っております。
 そういうことも含めて各自治体といいますか医療機関また民間の関係者の方々にご理解・ご協力をいただいて、とにかくこういう感染拡大局面でございますので、何とかそれぞれの皆様方のお力をお借りして、総力を挙げてこの感染拡大期の医療の対応というものを、これを進めてまいりたいと思っております。
 そういう意味で、厚生労働省といたしまして、いろいろな提案はさせていただきたいと思っております。

(了)