田村大臣会見概要

(令和2年10月16日(金)  11:07 ~11:38)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。私から3点ご報告させていただきます。1点目ですが、医療従事者・介護従事者の中で発熱などの症状が出ている方についてです。医療従事者・介護従事者の中で、発熱、頭痛、他にもいろいろな症状があるわけですが、味覚だとか嗅覚だとか、そういうところに異常が出ている方々です。
 こういう方々について、本日、検査を積極的にやっていただくよう都道府県等に周知しましたので、ご報告いたします。いよいよインフルエンザ等も含めて発熱の患者が増えてくる秋冬に入ってきましたので、都道府県等に周知いただくための通知を出しました。それぞれの機関で徹底をいただきたいと思います。
 やはりクラスターという意味からすると、高齢者や基礎疾患を持っている方々は、以前から言われておりますとおり重症化のリスクが高いということですので、そういうところでクラスターが起こりますと大変でございます。
 そういう意味を含めて、医療関係者や介護従事者の方々には、補正予算等で慰労金という形で日頃の生活から自らの感染を防いでいただいているというところで、謝意を込めての対応をさせていただいたわけです。
 ますますこれから発熱等が疑われる症状が非常に増えてくる時期に入ってまいりますので、改めて通知を出してお願いをさせていただいたということです。

 続いて、アドバイザリーボードで議論をいただきましたが、高齢者施設等における面会であります。昨日付で、外出に関して具体的な取扱いを示した事務連絡を、自治体、関係団体宛に発出をさせていただきました。面会についてはこれまで全国一律でやむを得ない場合に限るよう制限をしてきたわけです。
 今回の事務連絡では、地域の感染状況を踏まえて、管理者が制限の程度を判断した上で、実施する場合は適切な感染防止対策を取っていただくということでお願いをいたしております。長くご家族も面会できていないということもあります。
 今でもオンライン等ではしていただいておりますが、実際、介護施設等に来ていただいて面会していただく場合に、それぞれ地域の感染状況にもよりますが、あまり入所している部屋に行っていただくようなことですと広がる可能性もありますので、例えば特別な部屋を作っていただいてしっかりと感染防護のための換気でありますとか、マスクでありますとか、手洗いをしっかりやっていただいた上で、一応今までの事例と言いますか、留意事項等を示しているものもありますから、そういうものを参考にしていただきながら、これから検討いただきたいと思います。
 それから、施設入所だけではなくて、一般の高齢者の方々もなかなか外に出る機会が減ってきているという話をお聞きします。やはり、なかなか出ていただかないと筋力の低下ですとか、人と会わないということによっていろいろな機能の低下ということも予想されるわけです。
 そういう意味では感染予防と活動、生きがいとのバランス確保、こういう観点から「集まろう!通いの場」Webサイトを9月に厚生労働省として開設いたしました。
 今後は、情報発信に発信力のある俳優の石坂浩二さんや、アナウンサーの木佐彩子さん等を起用させていただいて、高齢者に直接届くようにということで、新聞やテレビを活用した情報の発信でありますとか、全国自治体へのポスターやチラシの配布、更には町内放送や広報誌など、いろいろな媒体を通じてこういうことを広報していって周知させていただきたいと思います。

 もう1点ですが、感染症関連の予備費ということで、本日閣議で、雇用調整助成金の特例措置に必要な経費として、約4,000億円の予備費の使用を決定しました。
 この雇用調整助成金の特例措置は12月まで延長したところであり、それに向かっての4,000億円ということです。引き続き、しっかりと雇用を守ってまいりたいと思います。私の方からは以上ですので、ご質問をお願いします。

質疑

記者:
昨日菅政権で始めて全世代型社会保障検討会議が開催されました。75歳以上の高齢者の方の自己負担についての議論が今後本格化すると思いますが、2割に引き上げる所得ラインについて、財務省との意見の隔たりも指摘されています。今後どのように議論を調整されていかれるのかお考えをお願いします。
大臣:
昨日の全世代型社会保障会議は、2割負担の議論ではなくて、少子化等を含めた子育ての対応ということであります。それこそ、不妊治療の保険適用、それから保険適用に向かっての助成金の拡大というような話、それから待機児童の解消に向かってのいろいろな対応でありますとか、男性の育児休業取得ということで、私からは産後間もない頃に育児休業を取っていただくということの環境を整えていくということをお話させていただきました。主にそういうような子育て、少子化対策というところを議論いたしました。
 一方で今言われた部分は、全世代型の社会保障の中においては、一つの大きなポイントであることは間違いありません。2割負担となりますと、高齢者の方々からしてみると今までの負担より増えるわけですので、それでは支払能力がしっかりある方が前提になってくると思います。
 どの範囲が2割負担ということになるかに関しては、議論をずっとしているわけですが、これは12月中に最終報告ということで、医療保険部会で議論をいただいているということです。我々としてはご報告をお待ちしているところです。その後、与党等との議論をしていかなければならないと思います。
記者:
新型コロナの関係で、ワクチン接種について伺います。厚労省は臨時国会に予防接種法改正案を提出する方針ですが、改めてその意義をお願いします。
 また、実際の接種に向けて、現場で人手と労力が必要になると思いますが、自治体、医療機関との連携をどう図っていくかお願いします。
大臣:
ワクチン接種については、いろいろとご議論いただいたわけでして、改正法を検討中ということです。基本的には臨時接種の枠組みの中での特例ということを検討いただいているわけでして、国が優先順位等を決定し実施主体の市町村にお願いさせていただくということを検討しております。
 市町村はその上で国の指示を踏まえ、ご協力いただくということになります。都道府県も広域的な立場から市町村にご協力をいただくようお願いもさせていただきますし、併せて医療機関は市町村から委託を受けて接種を行っていただくということになります。
 こうした自治体や医療の関係者も含めた審議会において議論を進めているところでして、引き続きいろいろなご意見を踏まえながら具体的な内容を詰めた上で、法改正が必要ということであると思いますので、そのような準備に入っていくということです。
記者:
先ほど、アビガンについて富山化学が今日承認申請を行ったと発表しています。この受け止めと、今後の対応についてお聞かせください。
大臣:
承認申請があったということでございまして、そのような手続きにこれから入っていくということになると思います。もちろん、いろいろと、申請者には治験をやっていただいて審査書類を出していただくわけでして、そのデータをしっかりと精査をしなければなりません。
 安全性、有効性というものをしっかりと精査した上で、最終的に承認するかどうかを判断するということでありまして、どれくらいかかるかということはデータの内容をしっかり見ないことには分かりません。
 なるべく早くというような話は、こういう緊急事態ですから認識しておりますが、やはり有効性、安全性が確認できないと承認は出来ないわけでありまして、しっかりと精査をさせていただくということです。
記者:
オンライン診療について伺います。先に三大臣の会談で合意された件ですが、日本医師会の中川会長が記者会見で、安全性や信頼性を確保するために、かかりつけの医者が関わるなど、医者と患者に面識があることということを前提に行うべきだという考えを示しておられますが、これについての受け止めと今後どのように検討を進めていくのかお聞かせください。
大臣:
安全性、信頼性という考え方の下で、オンライン診療を解禁する、恒久化していくということで、三大臣では意見の擦り合わせをしたわけです。安全性、信頼性というものがどういうものかということについて、具体的な検討はしっかりしていかなければならないと思います。
 一方で、日本医師会でそういう発言があったということを私は直接聞いていないし、相談も受けていませんのでコメントのしようがありません。
 かかりつけ医という概念は、どういう概念かということの認識がどういうことなのかということは私も日本医師会の考え方を聞かないことには何とも言えませんので、そういうお話があったということは報道等ではあるのだろうと思いますが、これから、どういうことなのかも含めてしっかりとご意見をお伺いしたいと思います。
記者:
コロナとインフルの同時流行に備えた医療提供体制ですが、10月も半ばを過ぎましたが、中間的な状況の取りまとめを公表されるお考えがあるのかということと、10月中に医療提供体制の移行ができるのか、今どのように思っていらっしゃるかお考えをお願いします。
大臣:
前回申し上げましたが、知事会の皆さんとの検討の場でもこれはお願いいたしましたし、昨日の分科会の中においても、平井知事もお越しいただいておりましたので、その認識はお持ちいただいていると思います。
 問題はやはり、各都道府県のみならず、各都道府県の中の各自治体、自治体も最近いろいろな合併等しておりますので、その中でもかなり大きな市がありますので、地域においてかなり事情が違ってくると思います。
 その中において、各都道府県がそこはしっかりと対応をいただいて、この地域はどういう体制にするのか、検査ののち陽性患者が分かった場合に、その陽性患者に対してどのような対応をしていただくのかということも含めて、細かいオペレーションが必要になってくるわけです。
 全都道府県でコロナの協議会をお作りいただいております。そこでもご議論をいただきながら、要はその地域がちゃんとコロナなのかインフルエンザなのか分からない発熱者、他の発熱の場合もあると思いますが、そういう患者の方がおられて、その方をちゃんと検査できて、検査したのちにコロナであった場合にはちゃんと感染を防ぎながら、例えば療養される場所にそういう方の移動をお願いするということまで含めた対応を事細かく考えていただくということをお願いしています。
 そういう意味では、今それぞれどういう状況かは順次返ってきています。返ってきた内容をこちらで精査させていて、今言ったような部分がちゃんとできているのかどうかということを確認しなければなりませんから、その上でもしできていなければ、もう一度こういうところが抜けているのではないですかということで対応をお願いする。
 時間はなくなってきていますが、できないことには。なかなか10月1日から急にインフルエンザのピーク時に来るというわけではありませんでして、例年はだいたい12月の途中から1月くらいがピークになって、ただ例年どおりになるかは分かりませんから、なるべく早くという話になると思います。そういうような発熱者の増加に間に合うような形で、そういう対応ができるように再度お願いをしています。
 ですから、順次来ていますので、来たからそれでいいという話で、来たところがちゃんとそれで対応できるかどうかという確認をした上で、更にそれをより良いものにしていただくということをお願いしなければいけない場合もあります。そういうきめの細かい対応を今行っている最中であるということです。
記者:
確認した上で、その結果については10月中の、どの時点で公表されるのでしょうか。
大臣:
公表はできるものなのかということは、一斉に公表してここができていません、ここはできていますということを出すことによって、できていてもどこまでできているのかという問題もありますから、そうすると安心されてそれで終わったら困るので、より良い体制を、多分やりながらいろいろなところを改善しなければいけない部分も出てくると思いますので、出すのがいいのかどうなのかということは検討させていただきたいと思いますが、少なくともそこの住民の方々はちゃんとうちの地域はできているよということが分からないと安心できないのは事実だと思いますので、そういうことができるような検討はしてまいりたいと思います。
記者:
菅政権発足から1ヶ月ということで、この1ヶ月間の、大臣は再入閣ということでこれまでの政権と、仕事の質やスピードとかやり方とか、そういったことの違いについてどのように感じられているのかと、1ヶ月やった上での今後の課題がありましたらお願いします。
大臣:
今までの政権との違いですか。私も政権の中に入ったのは1回、6年前しかないので、前政権の、特に政権交代、取り戻した直後です。このときだったので、そのときとはやはり違うのは事実だと思います。それはそのとき取り戻したばかりなので、政権運営もそういうようなモードであったわけです。
 その後、やはり安倍政権が7年数ヶ月続いた後に、今回の菅政権ですから、良きものを引き継ぎながら、ある意味変えなければいけないものを迅速に変えるというようなところなのだろうと思います。
 菅総理が官房長官をやられておられた時から、いろいろな思いもあられた政策もあると思います。それに関しては、自分ご自身の思いの中で、総理になられて打ち出されたと言いますか、早くやろうということで、打ち出した意味からすると全く違ったものを急にやったというよりは、ずっと安倍政権を支える中において、いろいろと問題点等もご自身で分析しながらという中で、それを官房長官としてやろうとしておられた。
 その部分をこれからは総理という形に急遽なられたわけですので、その中でより自分がリーダーシップを取ってそれをやっていこうということが、例えば今の不妊治療の問題であったりします。それから、オンライン診療の問題ですとか、他にもいろいろな行政改革に関わる部分であったりであります。
 そういう意味からすると、安倍内閣でずっとブースターを吹かしていろいろな改革をやってきたところが、新たなブースター、ブースターの馬力がどうという意味ではなくて、また違ったキャラクターを持ったブースターで加速をし続けているというような認識を私は持っています。
記者:
2点伺います。靖国神社参拝について伺います。今年は靖国神社の秋季例大祭が開催される週末の17日、18日の両日に、靖国神社を参拝したり真榊などを納めたりする考えはありますでしょうか。理由も併せてお願いします。
大臣:
前回の大臣のときも申し上げましたが、個別に判断をしていきたいということです。
記者:
非正規社員と正社員の待遇格差を巡る訴訟判決について伺います。ボーナスや退職金を支払わないことの是非が争われた2件の訴訟では、非正規職員に支払わないことは、不合理な格差とは言えないとの判決が13日に出ました。
 一方、昨日の日本郵便の契約社員が正社員同様の手当、休暇を求めた判決では、格差が認められました。厚労省としては同一労働同一賃金を進めてきたかと思いますが、大臣の受け止めをお願いします。
大臣:
判決の概要は、この最高裁において実際出ているものが、退職金ですとか賞与というものと、あとは各種手当、それから休暇ということで、若干その種類が違う中において、判決が出ていることだろうと思います。
 これは民間同士で争った裁判において最高裁で判決が出たわけですから、判決自体に厚労省としていろいろなご意見を申し上げるのは差し控えたいと思いますが、ただ一方で最高裁の判決が出たということでございますので、これをしっかり精査をさせていただいた上で、これから我々としても同一労働同一賃金という中において、この運用等、いろいろな企業がしていただく中で、いろいろな助言等を、指導も含めてしていかなければならないので、その意味からしますと、よく精査分析をさせていただいた上で活かしていきたいと思います。
記者:
ワクチンの関連で、実際にワクチンを接種するに当たっては、相当なマンパワーが必要ということで、地方自治体からはマンパワーが足りるかどうか不安の声も出ています。大臣として、その辺りのお考え、どういった課題があるか、それにどう対応していくかお考えをお願いします。
大臣:
臨時接種の中の特例という形をさせていただいた。実施主体が市町村という形にならないことには接種ができないだろうということでありますので、非常に広範な接種をされるわけです。
 市町村に実施主体になっていただいて、よく医療機関と対応いただいた上で、最終的に接種をいただくのは医療機関になるわけでありますから、医療機関にお力をお貸しいただかなければならない。そういう意味では、十分なご理解をいただく努力を国としてもしていかなければならないと思っております。
記者:
産後のうつに関することで伺います。先日、専門家の調査で、コロナ禍で産後のうつの可能性がある人が増えていることが分かりました。こうした人とふれあう機会が極端に少なくなっていることですとか、経済的不安が影響しているのではないかということが分かりましたが、こうしたコロナ禍で産後のうつが深刻化しているのではないかという指摘について、大臣はどのようにお受け止めになるか、また対策の必要性についてどのようにお考えかお願いします。
大臣:
報道の中でそういう調査をされて、産後うつの可能性の方が一定程度おられるという報道があることは存じ上げていますが、内容自体がよく分かりません。どういうような聞き方をされているのか分かりませんし、国としては28年の調査事業がありますので、その数字と比べると報道の数字は高いですが、聞いている項目の仕方が分からないので、どう比較していいのかは我々としても研究の中身を見ていないので、評価のコメントは差し控えたいと思います。
 ちなみに、コロナを受けて、厚生労働省としても産後うつに限った話ではありませんが、産後うつも含めてこのような部分での調査、研究というものを2024年までかけてやろうということで、長期間の調査になりますが、実施し始めている最中です。
 場合によって、なるべく早く結果がある程度中間報告みたいなものが出せるのか出せないのか、これは今つぶさに研究内容を理解しておりませんので、そういうことができるかどうかこれから検討しなければいけないと思います。
 いずれにしても、コロナ禍ということで非常に家に閉じこもられる回数、時間が長くなっているのはステイホームの期間も含めて確かな話です。生活環境が変わることによって、精神的なバランスというものにいろいろな影響があることは良く言われている話ですので、産後うつに限らず、しかしながら産後というものは、その中でも非常に精神的に不安定な状況にあられる方もおられるということですので、そういうことを考えたらしっかり対応していかなければならないと思います。
 ちなみに、一般的には産後ケア事業ということで、妊産婦の心身のケアですとか、育児のサポートということをやってきているわけです。それに加えて、オンラインによる保健指導等の実施、これはコロナ禍ということでありますので、こういうような対応でありますとか、里帰り出産が困難な妊産婦に対する育児等の支援サービスの提供、こういうものも取り組んでおりまして、今言われたコロナ禍においての産後うつの問題も大変重要な課題だと認識しておりますので、しっかりと対応していきたいと思います。
 失礼しました。2024年までと言いましたが、今年度の研究でやっているということですので、一定の時間分析した上で、どういうような状況であるかということの研究結果は出てくると思います。また、研究結果が出てまいりましたらご報告をさせていただくことになると思います。
記者:
検疫について伺います。アメリカのハワイ州が日本からの渡航者に関して、日本の厚労省の承認した検査を渡航前の72時間以内に受けて陰性であることを条件に、自主隔離を免除すると発表しましたが、それについての受け止めもそうですが、逆にハワイから日本に戻ってきた人に対して、どのような扱いをする方針、方法を考えているのでしょうか。
大臣:
一般的に、日本にお戻りをいただいた場合に、その国の感染の状況にもよりますが、検疫で検査をいただいて、出国のときに検査をいただいた上で、日本に帰ってきたときに、日本の検疫で検査いただいて、その後2週間の待機をお願いしているということです。
 多分アメリカに対しても今、一部ビジネス関係の方等、それから日本人等で帰国をされる方にはそのような対応でやらせていただいておりますので、今のところはそういう対応の下で、日本に入国していただくことになると思います。

(了)