田村大臣会見概要

(令和2年9月29日(火)  10:32~10:56)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は私の方から一点ございます。「赤い羽根共同募金」運動について閣議で御報告いたしました。今年で74回目を迎えます「赤い羽根共同募金」運動でありますけれども、10月1日から全国でスタートいたします。各大臣に共同募金へのご協力をお願いしました。
 この運動でありますが、時代の福祉活動のニーズに応じて我が国の地域福祉活動の推進に大きく貢献しており、近年は、災害時のボランティア活動の支援にも大きな役割を果たしています。
 特に、今年は、新型コロナウイルス感染症の影響などによって生じた、新たな地域課題に対応するための支援にも取り組むこととしています。今年も、国民の皆様のより一層のご協力、ご支援をお願いいたします。私の方から以上です。

質疑

記者:
新型コロナ患者を診ていない医療機関への財政的な支援について伺います。支援をする場合、予備費を使うのか補正予算でするのか、その方法といつ頃行うのかについて教えてください。
 また、他の産業でもコロナの影響で経営が悪化している中、直接診ていない医療機関を支援する理由についてもお伺いできればと思います。
大臣:
ご承知のとおり、一次補正と二次補正で対応してまいりました。1.8兆円を使いながらということでありました。今般、予備費で1.2兆円を使って更なる支援ということでありまして、中等症のコロナの患者の方を診ていただける医療機関に対して加算ですね、救急の入院加算を5倍にする等々の対応でありますとか、それから、これからインフルエンザの対応ということで、これは直接コロナ患者というわけではありませんけれども、発熱のある方々がインフルとコロナとでなかなか見分けがつかない中での対応ということで、これに対しての一定の補助金というものを用意させていただいて、万全の体制のお願いをするということになっています。
 こういうような対応をしてきているわけですが、今お聞きになられたのは、コロナに対応していない、診ていない医療機関に対してとなりますが、一点は今申し上げたように、発熱をされた方々の対応をいただくところに関しては、コロナの恐れもあるということで今般、直接厚生労働省から補助金という形で準備させていただきました。
 それ以外の医療機関に関してはそれぞれの今、感染の状況でありますとか、それぞれの地域医療の状況、さらには診療科といいますか診療所によって違うと思います。そういうものをいろいろと勘案しながら状況を判断した上で、これから検討していくという話になると思います。
 なぜそういうところについて検討するのかというご質問に関しては、基本的にはコロナで受診行動が変わっているという現状があります。戻ってきている診療科もありますので、4月、5月、6月とは若干状況が変わってきておりますけれども、そんな中において、本来は自らの健康を守るために、受診もそうでありましょうし、予防接種もそうでありましょうし、さらに申し上げれば慢性疾患に対する治療、定期的な治療、こういうものもそうであったと思いますが、コロナの感染を恐れられる中において、なかなか受診をしにくくなった環境がございました。
 これ自体は本来、受けなければいけない医療を受けておられないわけで、ということは健康に対する色々な不安要素が出てくるわけであります。これが受診行動がしっかりと戻っていただくように、今、必要な医療を受けてくださいとお願いをしているわけでありますが、これからコロナがある程度収束に向かっていく中でいろいろな課題が出てくると思いますけれど、我々収束に向かって努力しているわけですが、ある程度医療機関を受診することに対する不安というもの、これがコロナの感染防止が医療機関で進む中において安心感が出てくれば、医療機関に戻られてくるわけです。
 その時に、医療経営が成り立たず地域医療の担い手である医療機関がなくなってしまうということになれば、本来受けられる医療が受けられないことになるわけです。そういうことがあってはならないという観点から、現状の感染状況でありますとか、それぞれの状況、医療機関の状況、地域医療の状況を勘案しながら、どう対応するかを検討するということであります。
記者:
雇用調整助成金の支給額が先週時点で1兆5千億円を超えました。雇用保険の財源が厳しい中で、二次補正の予備費はどれぐらい投入されるのでしょうか。今後の財源見通しについて考え方を教えてください。
大臣:
厳しくなっているという認識を我々持っております。予備費の話がございましたけれども、更にこれからどれぐらい需要があるのかということも含めながら、対応していかなければならないと思います。
 今、現状である状況というのは、今申し上げました次の伸びというのを勘案した上で、いろいろな対応というのを財務当局とも検討していかなければならないと思います。具体的にどれぐらいかということに関しては、現状では数字を出しているというわけではありません。
 同時に申し上げれば、特例というものを含めて、これは12月までの対応と考えておりますが、こういうことも踏まえた上でしっかり検討してまいりたいと思います。
記者:
新型コロナの関連でお伺いします。外国人のクラスターへの対応についてなんですけれども、今月に入って鳥取県で共同生活を送っていた外国人労働者にクラスターが確認されている他、栃木県では直近1ヶ月の感染者の6割が外国人となっています。
 生活習慣の違いであったり、行動歴の把握の難しさなど、独特の課題も見られると思いますが、このあたりどういう認識をされていて、どういう対応をしていかれる考えかお願いします。
大臣:
外国人という意味からしますと、その形態の中で共同生活をされてこられて、同じところに住んでおられるという形態も見受けられるわけであります。
 これは外国人だけでなく、共同生活を送っているのは、学生でありますとか、いろいろな方もおられると思いますけれど、そういう方々に関してやはり生活を送る中にあって、ある程度距離を開けていただきますとか、手洗いでありますとか、それから日常の生活用品を複数の方々で共用して使わないとかいうようなことでありますとか、いろいろなことをお示しをさせていただく中で、感染防止の周知を図っております。県の条例について、そういうようなことを都道府県でされておられるということは承知しております。
 我々としてはこれからもそういう共同生活をされている方々に対しての様々な周知の徹底に努めてまいりたいと思います。特にこれから外国人の方々、技能実習生含めて門戸を広げていこうというような動きもございますので、更なる周知の徹底を図ってまいりたいと思います。
記者:
今、現在日本の感染者数が8万1千人いらっしゃるということで、一方、大国の中国が8万5千人ぐらいいまして、もうすぐ来月くらいに日本は中国を抜くのではないかと、4千人ぐらいですので、その部分について人口が日本と中国は13倍ぐらい違いますので、その大国と感染者数が同じくらいになってしまう部分について受け止めをお願いします。
 それから昨日、大阪地裁で神戸学院大の教授の上脇先生がアベノマスクについて情報開示請求を国に対して行いました。厚労大臣と文科省の二人について訴えているのですが、そちらの情報開示の請求について受け止めをお願いします。
 それから先ほども出ていました予備費の予算について、1兆6千億円なのですが、こちらの方にPCR検査の拡充について中身が無かったので、PCR検査の拡充について厚労省はどのようにお考えなのか、以上3点をお願いします。
大臣:
まず、中国と比べて感染者数という意味で同じ数に近づいていて、やがて超えるのではないかという話であります。中国のことでございますが、中国がどのような基準で、どのような感染者数というのを出されているのかそれぞれの国の考え方があると思いますが、中国とは体制が違いますので、日本はヨーロッパ、アメリカと比べると、ほとんどの国と比べて感染者数が少ないという状況がございます。
 その中において日本とヨーロッパの法体系の違い、憲法上の違い、こういうことを考えると日本の法体系では強制的に私権制限をするというものがかなり絞られています。ヨーロッパの国々などは、そもそも憲法の規定などで、そういうものに対しても対応ができるということで、例えば大統領令だとかで私権制限をされている国もございます。
 日本においては政令などでそういうことができませんので、やるとすれば法律改正をしなければならない。しかしながら法律改正をするとなるとやはり私権制限ということでございますので、国民的な議論をしなければ、よく言われますけどハンセン病の反省でありますとか、HIVの反省などございますので、法律案を提出して国民の理解を得るということをするには、それなりに時間がかかるというような基本的な考え方があります。
 中国はさらに徹底して社会主義国家という体制でありますから、ある意味、私権制限を、これは報道などでも伝えられているようなことがあって、かなり厳しい行動制限などもかける中において、このような状況であるということなんだと思います。
 もちろん日本と中国では検査の態勢も違っておりますので、それを同じレベルで比べるのはいいかどうかという話もありますけれど、その私権制限や行動制限をする中においてのメリット・デメリットもあるわけでありまして、そういう部分を踏まえて、日本が世界と比して今このような感染状況にあるというのは、それは我々としては今の制約の中において精一杯、国民の皆様方、医療関係者の方々にご努力いただいている結果であると認識いたしております。

 それから情報開示の話ですが、これは企業活動の影響というのがあって、もともと契約がそうなっているということです。特に平時ではない中で、かなり無理をして集めていただいたという経緯があると思います。
 そういう意味では、平時の際の感覚ではどうなんだということもあるのかも分かりませんが、同時にそれぞれの企業が様々な努力をされている話で、そもそも契約が開示することになっておりません。
 そういう意味では、全体の価格というのは金額と枚数で割り出せると思いますが、個々の単価に関しては開示することをご遠慮させていただいているということであります。

 PCRの民間への支援ですが、予備費で43億円を措置しています。全く措置していないというわけではありません。これも国が無理やりPCRの設備を作らせるということはできなくて、それぞれの事業者の方々に設備投資などで必要な数をお願いしているということでございます。
 これも順次増えてまいりまして、3月の時点で一日4千回の検査件数だったのが今、6万6千回くらいまできていると思います。もちろん、まだヨーロッパの国々やアメリカでは、20万、30万とありますので、それと比べれば少ないのではないかというお声も我々十分理解しているつもりであります。
 これもまたいつも申し上げるのですが、感染拡大のスピードそれから数というのが、ヨーロッパやアメリカと日本では違っていたわけでありますので、需要と供給といいますか、要するに検査需要があって供給、検査能力を増やしていくというそれぞれの国の事情があろうと思いますから、そういう意味での違いもあろうかと思います。
 一方で、日本においても当初も検査の必要性というのは、これは行政検査という意味でありますが、それよりも今、条件を緩めて以前よりかは検査をしやすくなっていますし、あわせて民間同士の検査というものも一定程度の需要が出てきておりますので、そういう意味ではこれからも必要なPCR検査に関しては、しっかりと国として支援をしていきたいと思います。
記者:
不妊治療の助成制度の拡充についてお伺いします。公明党から所得制限の緩和や事実婚も対象に加える必要があるという声があがっているのですが、それに対する大臣の受け止めと今の検討状況についてお聞かせ願います。
大臣:
まず、所得制限に関してですが、現在730万円未満の所得制限がかかっている中で、私も以前から、助成制度の拡大にあたってはこれも含めて検討をしていく必要があると認識しております。それはなぜかというと、一つは、保険適用ということを目指しておりますので、それとの整合性ということもあろうかと思います。ですから、公明党のご意見もありますが、我々も検討に着手しているということであります。
 それから、事実婚に関しては、どう認定するかという問題もあるわけですが、年金の分割に関しては、実際、婚姻関係を結んでいなくても、同じ家で生活しておられたりする場合には、分割の対象という形で、認定して分割していると思います。そういう意味では、事実婚に対しては、様々なお考えがあると思いますが、事実婚も含めて検討をさせていただき、様々な皆様からのご意見を賜る中で判断してまいりたいと思います。
記者:
インフルエンザワクチンの優先接種が明後日から始まりますが、今のところ、厚生労働省としては、必要な量は供給できるというお考えなのかお聞かせ願います。
大臣:
これは6,000万人強分を確保するということで、去年よりも数百万人分増やしているところかと思います。これはワクチンの性質上、鶏卵を使っているものですから、新型コロナが流行しだして、皆さんのニーズがあるからといって、物理的に、急に倍とかに増やすことはできない事情がありまして、そういう意味では、1億2千万人という国民の数からすれば、全員分を供給できないという部分は、申し訳ありませんがご理解いただきたいところであります。
 その上で、まずは、65歳以上の定期接種を受けておられる方々に関しての分、それから、お子さんの分、これを合わせた分に関しては、何とか供給量を確保できるということで進めております。ただ、先ほど申し上げた1億2千万人分ではない部分、他の方々も打たれる可能性があります。
 それからもう一つは、にわかに確実な情報ではありませんが、各地域でお話をお聞きしていますと、新型コロナウイルス感染症の影響もあるのかと思いますが、お子さんを含めて、結構早いうちから予約が殺到している地域があるとのことです。
 地域によっては、お子さん分のご負担を自治体が無料に近いような状況で接種ができるような地域もあるようであります。そういうところは特にだと思いますが、マクロの数字はある程度、このシーズンで、高齢者やお子さんなどの必要な方々の分を確保していたとしても、地域での割り振りもございますので、なかなか時期的なものや地域的なもので、ミクロの部分で、うまく需要と供給が合っていないというところが地域によって生じているということをお聞きしております。
 まだ予約の時点だとは思いますが。その点に関しては、どうかそういう状況があるということで、申し訳ありませんがご理解いただきたいと思います。
記者:
先日、ある有名女優の方が亡くなられました。芸能人の方でそういったケースが相次いでいる状況があるかと思います。具体的には分からない部分もあるかと思いますが、厚生労働省として何か呼びかけることがありましたらお願いいたします。
大臣:
本当に、ここ数ヶ月で、芸能界の方々も含めて、自殺されるというようなことが重なっているということで、私も個人的に好きな芸能人の方が何人か亡くなられておられるので、心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 全体の自殺者数は、ご承知のとおり、ここ数年で減ってきたんですが、単月でみると、増えているという数字もでてきています。特に社会的影響力の大きい方々が自殺という報道をされると、その影響がないとも限らないわけでありまして、そういう意味では、目立つような報道でありますとか、繰り返しの報道ですとか、それから、具体的な手段といった詳細な報道はなるべく控えていただければありがたいと思います。
 もちろん、報道の自由がありますから、報道自体を規制するとかそういうことではなくて、なるべく抑えていただいた報道といったものをお願いしておるところであります。その上で、これは各報道機関でいろいろとご協力をいただいている部分でありますが、相談窓口を併せて報道していただくようにお願いいたしております。そういう意味で、WHOのガイドラインの遵守をお願いしているところであります。
 電話相談やSNS相談等々も踏まえまして、これは以前から、やっていることでありますが、特にコロナ禍ということで、毎年の生活のリズムやパターンと変わっている方々が非常に増えているということでございますので、いろいろな意味で、不安感というものも含めて、精神的に安定されないということも起こりうると思います。
 そういう方々に対して、なるべくご相談をいただけるような体制を組みながら、本当に心に苦しみを抱えておられる方々に対しては、しっかり対応ができるようにしてまいりたいと思っております。

(了)