加藤大臣会見概要

(令和2年9月11日(金) 11:00~11:15)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭2件ございます。9月10日から16日までは自殺予防週間です。警察庁における自殺統計によると、本年8月の自殺者数は速報値で1,849人となっており、前年同月に比べると246人増加しています。7月以降、増加傾向の兆しが見られており、多くの方が自ら尊い命を絶っている現実を、しっかり受け止めなければなりません。
 本日の閣議で、各閣僚に自殺総合対策大綱に基づく取組を、こうした状況を踏まえ、より一層推進していただくよう改めて依頼いたしました。新型コロナウイルス感染症の影響もあって、今後の生活に不安を感じている方も多いことと思います。
 厚生労働省では、生きづらさを抱える方を対象に「こころの健康相談統一ダイヤル」やLINE等の「SNS相談」での相談窓口を設けています。その他、お一人お一人の悩みに応じて、生活でお困りの場合にはお住まいの地域の自立相談支援機関、心の問題でお困りの場合には精神保健福祉センターや医療機関など、ひとりで悩まず、相談していただきたいと思います。
 また、ご家族、友人、同僚の様子がいつもと違うと感じた場合には、声をかけ、本人の気持ちに耳を傾けるとともに、相談窓口などの支援先を案内していただくようお願いいたします。今、申し上げたことを昨日、メッセージとして、厚生労働省ホームページやSNSで発信させていただきました。
 悩んでいる方が孤立をしてしまうことのないよう、地域共生社会の一環として、是非、温かく寄り添いながら見守っていただけるような社会を一緒に構築させていただきたいと思います。

 2点目ですが、インフルエンザワクチン接種についてです。この冬は、4価ワクチンに変更された平成27年以降で最大の供給量となる約3,178万本、1本で2人接種が可能ですので最大約6,300万人分を確保できる見込みですが、新型コロナウイルス感染症の流行が懸念される中、この冬に向けてインフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があると考えています。
 このため、インフルエンザワクチンの優先的な接種に関する考え方について専門家の方々に広くご議論していただいてまいりました。アドバイザリーボードや新型コロナウイルス感染症分科会、更には厚生科学審議会の合同部会でもご議論いただきました。
 また、インフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからないというものではありません。その主要な効果は重症化を予防するというものです。こうした点を踏まえて、接種時期について以下のようにしていきたいと思いますので、ぜひ国民の皆さまのご協力をお願いしたいと思います。
 まず10月1日以降、予防接種法に基づき65歳以上の方等で接種を希望される方に対して接種をさせていただきますので、65歳以上の方で接種を希望される方は早めに接種を行っていただきたいと思います。
 それ以外の方は10月26日まで接種をお待ちいただきたいと思います。10月26日以降は、医療従事者、基礎疾患を有する方、妊婦、生後6ヶ月から小学校2年生までの方で、希望される方に対して接種を呼びかけていきたいと考えております。
 仮に、これらの方々に全て接種いただくと、約3,000万本を超える量が必要となる見込みです。インフルエンザワクチンの効率的な使用や安定供給を図れるよう、1回または2回接種となっている、13歳以上の対象者には原則として1回接種とし、一方で、13歳未満の方に対しては引き続き2回接種の対応を取らせていただきます。
 また、必要量をその都度発注することとし、大口の発注には原則として分割して納入すること等について関係者へ要請いたしました。この冬は特に、例年よりもインフルエンザワクチンの市場への供給を早めていただくようお願いしています。また、都道府県単位でのワクチンの供給量の大まかな目安を設定する。
 今申し上げた接種の考え方に沿って、いわば必要量というものを前提にしながら、供給量の大まかな目安を設定するとともに、国としても供給状況を把握しながら、ワクチン配分の調整を図ってまいります。
 冒頭申し上げましたように、インフルエンザワクチンは当初より各企業に対して増産をお願いしてまいりました。例年よりも多くのワクチンを確保したところでありますが、今申し上げたような状況にあります。
 是非、国民の皆さまにはそうした状況をご理解いただきながら、必要で希望される方がしっかりと接種を受けていただけるよう、ご協力を是非ともお願いしたいと思いますし、また、医療機関の皆さまにも新型コロナウイルス感染症の拡大という中ではありますが、併せてご協力をお願いしたいと思います。私の方からは以上です。

質疑

記者:
アストラゼネカのワクチンについて、有害事象があり、一時的に治験が中断されました。日本政府としてもワクチンの確保に向けた基本合意をしています。その受け止めをお願いします。また、有害事象の詳細や治験の再開に向けた動きなどその後新たな情報があれば教えてください。
大臣:
アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、英国での治験において重篤な有害事象が発生したということ、そしてそれを踏まえて、英国のみならず米国での治験における新たな組入れ・投与を一時中断し、また日本においても治験が行われていますが、事実の詳細な調査のため、新たな組入れ・投与を一時中断しているという報告を、アストラゼネカ社から受けています。
 治験というのは、まさに有効性と安全性を確保するプロセスであります。従って未知の重篤な有害事象が生じた場合には、当然一時中断し、生じた有害事象が治験薬によるものなのかを確認します。
 治験は、通常ブラインドテストといって、患者さんもお医者さんも、治験されている薬なのか、あるいは偽薬、プラセボを使っているのか分からないため、第三者がそこをチェックすることが必要になります。そうした確認や、あるいは治験再開に向けどのような安全策が必要なのか等について検討し、そしてそれを踏まえてまた治験を継続するかを決めていく。
 その際には、通常治験には日本でもそうですが、独立委員会というものが作られていますので、そうした独立委員会に相談し、独立委員会の判断に委ねるということだろうと思います。そういったプロセスを経て、再開していくと承知しています。
 いずれにしても、有害事象の原因分析も含めて、安全性、有効性に係るデータ、また最新の科学的知見に基づき、我が国で承認申請があった場合には、安全性、有効性の確保の観点から承認の可否について適切に判断していきたいと思います。
 本件については、基本合意をしているところであり、また最終契約に向けて協議をしておりますから、アストラゼネカ社から必要な情報をしっかり入手していきたいと思います。
記者:
来年の前半までにワクチンを確保することを目指すと示されていますが、その見通しへの影響があるか、いかがでしょうか。
大臣:
先ほど申し上げた状況でありますから、今の段階で見通しなどを申し上げる状況にはないと考えております。引き続き、企業側で検討が行われておりますから、その状況をしっかり我々も入手し、それを踏まえた対応をしていきたいと思います。
記者:
不妊治療について伺います。自民党総裁選で菅官房長官が不妊治療の保険適用を掲げ、反響を呼んでいます。保険適用は早くて2年などの発言もありましたが、大臣の保険適用に関するお考えをお願いします。
大臣:
不妊治療については、本年5月に少子化社会対策大綱が策定され、その中で今年度実施する実態把握の結果を踏まえ、高額な医療費がかかる治療への助成など、支援の拡充を検討するとともに、効果的な治療に対する医療保険の適用の在り方を含め、患者の負担軽減を図る方策等についての検討のための調査研究を進めていくとされています。現在、私どもはそれに沿った対応をしているということです。
記者:
インフルエンザワクチンについて、資料に赤字で書かれている以外、上記以外の方も接種できますと10月26日のところに書かれていますが、例えば社員にワクチンを打ちたいという会社は、いつごろから打った方が良いという考え方を教えてください。
大臣:
10月26日までは65歳以上の方に接種していただくということを医療機関にもお願いしています。従って26日以降となりますが、その際にも、ここに記載された方々を優先し、広く声をかけてお願いしたいということです。あとは地域の状況の中で、対応していただくということなのだろうと思います。
記者:
アストラゼネカのワクチンの関係で確認です。アストラゼネカ社からどの程度報告を受けていらっしゃるでしょうか。アメリカでは横断性脊髄炎という指摘を受けていると報道されているのですが、日本政府にこの情報が入っているかということと、後、一部海外の報道で治験再開という話が入っておりますが、治験再開の目処についても何かアストラゼネカ社から入っていることはございますでしょうか。
大臣:
それぞれについて、そうした報道があることは承知しておりますが、アストラゼネカ社から直接、その話は聞いておりません。ただ、我々は引き続き、先ほど申し上げたように、情報の入手について、アストラゼネカ社に対して、あるいは、日本のアストラゼネカ社に対して要請をしているということでございます。
記者:
この場で恐縮ですが、新内閣の官房長官に加藤大臣の名前が取りざたされております。官房長官の打診があった場合には引き受けられますでしょうか。
大臣:
仮定の質問には答えるべきではないだろうと思いますし、前も申し上げましたように、いずれにしてもこの内閣においてぎりぎりまで、厚生労働大臣として、その職責をしっかりと果たしていきたいと思います。
記者:
先ほどの質問ででた、菅長官が不妊治療の公的医療保険適用を打ち出しているんですけど、このことについての大臣の受け止めとしてはいかがでしょうか。
大臣:
それぞれ候補の方がこうした少子化対策についての考え方を述べておられると思います。それに対して個別のコメントはしませんが、先ほどのご質問に申し上げたように、私ども厚労省としては、少子化対策大綱に沿って、対応させていただいているということであります。
 その背景には、やはり不妊治療をされておられる方々は、非常に多額の金額、経済的な負担がある。また心理的にも大変である。更には、なかなか職場あるいは周辺の方にも理解いただけないなど、様々なご苦労のある中で、対応されている。それは我々、常にしっかり受け止めながら、政策を進めていかなければならないと思っております。

(了)