加藤大臣会見概要

(令和2年9月4日(金) 11:02~11:20)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭4件申し上げます。本日の閣議で、次官級の人事について内閣の承認が得られました。9月14日付けで、事務次官として2年余にわたりその任を勤めていただきました、鈴木俊彦氏が退官し、その後任として樽見英樹 現内閣官房内閣審議官兼新型コロナウイルス感染症対策推進室長を登用することといたしました。

 2点目ですが、令和2年4月時点の待機児童の解消に向けた取組の状況を公表いたします。今回、待機児童数が1万2,439人と、前年より4,333人の減少となり、調査開始以来最少の調査結果となりました。これは、近年で特に待機児童数が多かった平成29年の26,081人と比べて半数以下の水準となっており、着実に解消が図られていますが、残念ながら、まだ待機児童の解消には至っておりません。
 現在取組を進めている子育て安心プランでは、待機児童の解消を図り、女性の就業率8割に対応できるよう、今年度末時点で約32万人分の受け皿確保を目標としております。今回、各地方公共団体の対応を調査した結果、受け皿拡大見込量は約31.2万人分であり、ほぼ目標値に近い水準となっております。
 今回の調査結果を見てみますと、待機児童数が今なお多く、更なる受け皿整備が必要な自治体が一定程度ある一方で、待機児童数は少なくなっており今後はマッチングや小規模な受け皿整備が必要な自治体があります。また、待機児童はそもそもいない、むしろ人口減少が進んでいる中での違う意味での対応が迫られている自治体もあると認識しています。
 厚生労働省においては、特に待機児童解消に向けて重点的な支援が必要な自治体に対してヒアリング、あるいは助言など個別支援を行っているところですが、平成30年度からの子育て安心プランの最終年度である今年度においては、地域の特性に応じた支援を更に強化し、保育士確保の支援も含め、待機児童の解消に向けて全力で取り組みたいと考えております。
 加えて、現在の子育て安心プランは女性の就業率について8割を前提にしておりますが、女性の就業率は引き続き上昇傾向が続いており、令和7年に82%という政府の目標がございます。これに対応していくためにも、更なる保育の受け皿確保が必要と考えております。
 こうした観点も踏まえ、令和3年度以降の受け皿確保の進め方について、地域の特性に応じた予算や保育士確保の支援も含め、令和3年度予算編成過程で検討させていただきたいと思います。

 3点目ですが、次のインフルエンザ流行に備えた体制整備について、お手元に資料をお配りしていますが、これまで、専門家の方、あるいは医療関係の方々、団体の方々と意見交換をしてまいりました。また、先日28日には、新型コロナウイルス感染症対策本部において、今後の取組が決定されました。
 その中で、季節性インフルエンザ流行期には、発熱等の症状を訴える方が大幅に増え、検査や医療の需要が急増することが見込まれることから、更なる検査体制、医療提供体制の確保、拡充に取り組んでいくこととされました。これらを踏まえ、次のインフルエンザ流行期には、発熱等の症状がある方が確実に医療機関を受診していただけるよう、まず、これまでの仕組みは、帰国者・接触者相談センターに相談し、そこの判断を踏まえて帰国者・接触者外来につながっていくという流れでしたが、これを改めることとしました。
 これからは、お手元にありますように、身近な医療機関に直接電話相談し、地域の「診療・検査医療機関」を受診する仕組みに変えることにします。なお、この名称についてはそれぞれ適切なものを地域において選んでいただきたいと思っております。そのためにも、まず都道府県には、地域の実情に応じて、市区町村や二次医療圏単位で関係者と協議を行った上で、既存の帰国者・接触者外来も含めてできるだけ多くの医療機関を、発熱患者等に対する診療・検査を行う診療・検査医療機関として指定をしていただきたい。
 従前の帰国者・接触者相談センターを、診療や検査の対応が可能な最寄りの医療機関を案内することを主な機能とする、受診・相談センターとして整備していただきたいと考えております。また、地域の医療機関間で診療・検査医療機関の情報を共有していただきます。
 そして、発熱患者等から相談があった場合に適切な医療機関を速やかに案内できる体制を10月中に整備していただくことを内容とした事務連絡を本日発出いたします。これによって、お手元の資料にもありますが、発熱等の症状がある方は、まずは、かかりつけ医があればかかりつけ医、なければお近くの内科や子どもさんであれば小児科にまず電話で問い合わせをしていただきたい、逆に電話をせずに直接医療機関に行くことはぜひ避けていただきたい。
 そして電話をされたうえで、うちの診療所で受けられるということであれば、そのまま電話で予約をして受診・検査をしていただく、うちではちょっと難しいという場合については、周辺で対応可能な医療機関の情報を集めることにしておりますから、自分のところでは対応できないけれども、近くのあの医院、あのクリニックであれば受けられるよ、番号はこうなっているよ、できればそのくらいまでご案内いただきたいと思っております。そういう対応をしていただく。
 近くでどこへ行ったらいいか分からないと迷う方については、先ほども申し上げた受診・相談センターにお電話いただいて、そこがお近くだったらこういうところがありますよと案内していただく。こういう流れにしていきたいと考えております。
 こうした中で、インフルエンザ流行期には多くの方が発熱等の症状を呈するわけでありますが、確実に診療、そして検査に結びついていけるように、体制を強化していきたいと思っております。なお、インフルエンザワクチンの接種の仕方についても現在議論させていただいております。これについては、決定次第また改めてご報告し、また各医療機関等に通知をさせていただきたいと思います。これらの措置を通じて、インフルエンザの流行に備えて、万全の体制を整えさせていただきたいと思います。

 最後でありますが、現在特別警報級の規模である台風10号が日本列島に近づいています。週末にかけて、広範囲かつ甚大な被害が発生する恐れがあります。国民の皆様におかれては最大限の警戒態勢を取っていただきたいと思いますが、私ども厚労省としても、昨日省内に情報連絡室を設置し、省内連絡体制を整備したところです。
 また、都道府県や市町村を通じて医療機関や社会福祉施設などの所管の施設や関係団体に対し、避難に関する注意喚起を行うとともに、被害が発生した場合の連絡体制を確保するよう依頼をしています。先般も熊本の高齢者施設で残念ながら避難が遅れてお亡くなりになるということもございました。そうした事例も踏まえて、早め早めに避難等の対応を取っていただきたいと思います。
 また、更に長期停電に備えて非常用電源が正常に動作するか事前に点検をしていただくとともに、必要な物資、特に非常用電源の燃料の確保などの事前の備えにも万全を期すようお願いしたところです。私の方からは以上です。

質疑

記者:
受診の流れについて伺います。診療・検査医療機関については、国の方で自治体とはどのくらいの数を確保するように指示するのか、それともある程度自治体に検査や医療機関の数を任せるのでしょうか。
大臣:
国の方で具体的な数自体の目標を設けてはいませんが、先ほど申し上げたようにできるだけ多くの診療所に参加していただきたいと思っております。そういった意味での働きかけはしていきたいと思いますし、そのために、例えば診療所において発熱者の方と例えばそうではない方と時間帯を分けて対応するとか導線を分けるとか、いろいろな対応が必要になると思います。
 また、分けたことによって、今年は年初がそうでしたが、たまたま発熱の方が例年と比べてそれほど来ないということもあり得ると思います。ですから、そういったことも含めて、今どういう支援ができるかということは我々の方で今検討しておりますので、そうした財政支援もさせていただきながら、できるだけ多くの診療機関がこうした対応に当たっていただけるように、働きかけていきたいと思います。
記者:
待機児童について伺います。政府は2020年度末までに待機児童ゼロを目指す方針を示していますが、残り半年ほどになりますが、達成の見通しはいかがでしょうか。
大臣:
現状の足下を見ると、今年の4月が1万2,400人ですから、ゼロということは来年の4月時点までに1万2,000人を超える待機児童の解消ということになりますが、これまでの取組、本当にそれぞれ地方公共団体が積極的にやってきていただいておりますが、今の状況の中で、また特に新型コロナの感染症の現在の状況下で、それに責任を転ずるわけではありませんが、なかなか取組自体が難しくなっているというのが実態だと思います。
 そういったことを考えるとなかなか厳しい状況にはあると思っております。それ故、先ほど申し上げたように、令和3年度以降に更に加速度的に解消を図っていく、そのためにどうすべきかということを年末に向けてしっかり議論して、また方向性を出していきたいと思っております。
記者:
冒頭発言で発表された次官人事について伺います。内閣官房の樽見室長を起用された理由と、1ヶ月前にも厚労省では幹部級の人事があったと思います。そのタイミングではなく、1ヶ月ずらしてこのタイミングになった理由についてお聞かせ下さい。
大臣:
まず、鈴木次官におかれても2年余にわたって厚労省全体を束ねる、そしてそれぞれ大変な課題に適切に対応していただいてきました。ご承知のように次官の任期は何年と決まってはいませんが、一定程度のタイミングで変わっていくということであります。
 他方で樽見内閣官房内閣審議官は、省内でもいくつか局長を務めておられ、官房長も務められています。また、今、新型コロナウイルス感染症の対策室長として、役所全体の最先端で勤めていただいています。かなりの部分は厚労省の所管事項でもありますから、引き続きそうした方が次官を担っていただくのが適切だということです。
 既にこうした人事は、全体の体制を新たにする中であらかた予定をしていたところですが、感染の状況を踏まえて、少し次官は後送りにするということで、当初から想定しておりました。そして、もちろん注意は必要ですが、このタイミングで感染の状況も落ち着きを見せていること、それから幹部の皆さま方は8月7日に異動があり、ここまで約1ヶ月経つ中でそれぞれが着実にその任務に動いていただいて、役所全体は動き出してきている、そういう判断からこのタイミングで次官の異動ということにさせていただいたということです。
記者:
待機児童が過去最少となったということは政府の受け皿が進んだ結果だと思いますが、同時に企業主導型保育事業など規制緩和も進んで、保育の質の低下への懸念が指摘されています。保育士を確実な処遇改善などを求める声が挙がっておりますが、保育の質に対する大臣の考え、今後の取組について教えてください。
大臣:
これはこれまで申し上げたように、大事な子どもさんを預かり、また、幼少期というこれから就学し、そして義務教育あるいは高等教育を経て社会人となっていくその基盤を作る非常に大事な時期でもあります。そこを担っていく保育園においてはもちろん量的な確保も必要でありますが、質的な確保も当然求められているわけであります。
 国としてもそういう観点から一定の基準を定めさせていただいています。そんな中で例えば三歳児に対する保育士の配置を20:1から15:1にするという、いわゆる質の改善に向けた対応を、財源を確保しながら対応させていただいているところです。保育士の処遇改善については、これまでも随時対応し、2017年度からは特に技能・経験に月最大4万円の処遇改善を図った結果、賃金構造基本統計調査によれば、平成25年と令和元年との比較で、保育士の方の給料は310万円から364万円へと、約50万円強増えるという状況にはなっております。
 しかし、引き続き保育士の不足等で保育所建設が予定通り進んでいないというところもございます。保育士の方がなかなか保育所に勤めたくないという理由には、賃金だけでなく働く上での様々な環境整備と支援措置もございますので、そうした広範な支援を行うことによって保育士の方々が保育士として働きやすい環境を作っていくことと併せて、質の向上を図っていきたいと思います。
記者:
待機児童の関係で伺います。先ほどお話のありました、コロナとの関係のところですが、コロナの影響でだいぶ達成に影響がでているとのことですが、今後、冬に向けてまたコロナの流行も懸念される中で、待機児童ゼロという目標は、あくまでまだ達成の余地があるというか、目標は変えずにいるという形でよろしいでしょうか。
大臣:
待機児童ゼロを目指していくということは、それが達成するまでしっかり掲げて進んでいかないといけないと思います。それから先ほど申し上げた目途ですが、受け皿拡大見込み量31.2万人分、これは4月時点において我々が調査した結果であります。新型コロナ感染症は、4月には既にかなり発生していましたから、そういった中でまとめられたこの数字については、しっかり確保していただけるのだろうと思います。
 しかし、それを超えて更にどんどん増やしていくことがなかなか難しいことの理由の一つには、このコロナ感染症が拡大する中で、なかなかそうした活動がしにくいこともあるのではないかということを申し上げたということです。

(了)