加藤大臣会見概要

(令和2年9月1日(火) 11:06~11:26)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭発言3件申し上げます。まず令和2年7月の有効求人倍率は1.08倍と、前月より0.03ポイントの低下となりました。また、正社員の有効求人倍率は0.81倍と、前月から0.03ポイントの低下となりました。詳細に見てまいりますと、有効求人倍率の分子である有効求人数の季節調整値では、前月比で2.5%増と、令和元年の5月以来1年2か月ぶりに減少から増加に転じました。
 一方で、分母である有効求職者数、これも季節調整値ですが、前月比で6.0%増加と、3か月連続の増加となり、有効求人倍率の低下につながっております。有効求人数、全体は減少から増加に転じておりますが、そのうちの新規求人数について見ますと、前月比で4.9%減少し、3か月ぶりに減少となりました。
 また、7月上旬からの新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の増加に伴い、事業の先行きに不透明感が高まったこともあり、足下では労働需要の減退につながったものと考えられます。また、新規求職者数は、前月比で4.5%の減少と、3か月ぶりに減少となりました。
 求職理由別に原数値の前年同月比をみますと、求職活動をされている在職者は15.2%減少、無業者は14.6%減少と、前月と比較し減少幅が拡大しております。
 7月上旬からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、求職活動を控える動きがみられます。一方、事業主都合離職者は47.7%増と、前月の81.7%増と比較し、その増加幅は縮小したものの、引き続き大きな増加となっており、注意が必要です。
 また、本日公表された総務省の労働力調査によれば、令和2年7月の完全失業率は2.9%、就業者数は前月より11万人増加しましたが、完全失業者数が前月より2万人増加したことから、前月より0.1ポイント上昇、5月以降は横ばい圏内の推移となっております。雇用者数は、前月から15万人増加となり、4か月ぶりに増加となりました。
 雇用形態別に前年同月差をみますと、正規の職員・従業員は52万人増加と、前月の30万人増加と比較し増加幅が拡大しましたが、一方で非正規の職員・従業員は131万人減少と、前月の104万人減少と比較し減少幅が拡大し、統計開始以来、過去最大の減少幅となりました。
 その内訳をみますと、特に労働者派遣事業所の派遣社員は、前月は前年同月差で増減なしでありましたが、7月は16万人減少となっており、単月の動きではありますが、引き続き注意が必要だと考えています。
 他方、7月の休業者数は、220万人と前年同月差で34万人の増加となり、前月と比較しても、その増加幅は大きく縮小しました。2ヶ月目の調査世帯のみを対象とした集計結果によりますと、6月に休業者であった方の7月の就業状態は、約55%の方が休業の継続、約33%の方が従業者として戻っておられる、完全失業者は約3%ということで、多くの方が仕事に戻るか、あるいは休業を継続しているものと考えられます。
 このように、現在の雇用情勢は、求人が減少から増加に転じる中、求人が求職を上回って推移しているものの、求職者が引き続き増加しており、厳しさがみられます。また、東京都や大阪府などでは、有効求人倍率が1倍を下回る等、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に、より一層注意する必要があると考えています。

 2点目ですが、新型コロナウイルス感染症の影響により、アルバイト収入を失った学生等を支援する観点から、都道府県労働局と日本年金機構において、それぞれ 100名以上採用することとしておりました。今般、内定・採用を合わせて、都道府県労働局が107名、日本年金機構が104名、留学生も含め採用を行いました。
 本件は、「生活を守るプロジェクトチーム」のヒアリングの中で、アルバイトで生計を立てている学生の方々には、アルバイト先がなくなり、学業の継続すら危ぶまれるというお話がございました。厚労省としてもできることを考えなければならない、との思いで、本プロジェクトチームのリーダーである稲津副大臣に対して対策の検討を指示し、同副大臣のリーダーシップでこうした対応を取っていただいているところです。
 引き続き、関係省庁とも連携しつつ、新型コロナウイルス感染症により生活上の困難を抱える方々の支援に取り組んでいきたいと考えております。

 3点目ですが、昨日、Gaviワクチンアライアンスに対し、COVAXファシリティへの参加の意思の表明を行いました。これは、Gaviワクチンアライアンス、感染症流行対策イノベーション連合、いわゆるCEPI及びWHOが中心となり、新型コロナウイルス感染症のワクチンを共同購入する国際的な仕組みです。
 高・中所得国は自ら資金を拠出しワクチンを自国用に購入し、低所得国へはドナー国からの拠出金によりワクチンを供給するという仕組みです。我が国は、既に複数の企業とワクチンの供給について基本合意に至っていますが、このCOVAXファシリティの仕組みは、我が国におけるワクチン確保のための一つの手段となり得るものであり、また、国際的に公平なワクチンの普及に向けた我が国の貢献でもある、こうした意義を有するものであり、我が国も積極的に議論に参加してきました。
 今回意思表明を行いましたが、これは特段の拘束力はないということです。9月18日が正式参加表明の期限とされておりますので、それに向けて更なる検討を進めてまいります。私の方からは以上です。

質疑

記者:
新型コロナウイルスの8月の感染者数は3万人を超えて、7月1ヶ月間のおよそ2倍にのぼります。専門家は7月の下旬がピークとの見解を示していましたが、ピークアウトしたとは言えない現状が続いています。7月下旬にはGO TOトラベルキャンペーンも始まりましたが、この感染者数の推移と政府の対応についてご見解をお願いします。
大臣:
感染状況を何で見るかということかと思います。今のお話は感染者数の報告数ですが、一般には発症をもって、いわゆるエピカーブと言われるものですが、それを見て分析しているということでありまして、もちろん発症が分かっている人に限られますが、報告された方のうち一部は発症日が分かりませんが、分かっている人に限って分析をして、それを基に、8月24日のアドバイザリーボードでは、全国の発症日ベースの流行曲線からは、7月27日から29日以降、緩やかな下降が見られるという評価・分析がなされたということであります。
 今お話があった感染者数は、8月は3万2,000件と大変大きい数字になっているのは事実ですが、今申し上げた発症日と報告日が違うということ、また先ほどアドバイザリーボードの7月以降緩やかな下降が見られるという認識が示されています。
 また日々の数字を見ても、ここのところ1,000名を割り込んでおりまして、昨日は425名、曜日で若干変動はありますが、一週間単位で見ても、ここ2週間くらいは1日1,000名を割り込んできていると思います。また、重症者数も8月23日がピークで、その後やや減少し、最近では230前後を推移しているというのが今の状況です。
 しかし、引き続き警戒を行っていくことは必要であります。また、先般申し上げましたように、この感染症を過剰に恐れ、社会経済活動をいたずらに停止させるのではなく、メリハリの効いた対策を効果的に講じていくことが必要です。そういった中で、私どもとしては重症者、死亡者数をできる限り抑制しつつ、社会経済活動を継続していく、あるいは回復を図っていくことが大事と考えています。
 先般、8月28日に政府対策本部で今後の取組を発表させていただきました。ただ足下だけでなく、これからの季節性インフルエンザの流行期、これも見据えながら重症化するリスクが高い高齢者の方や、基礎疾患のある方への感染防止を徹底していく、そして医療資源をそうした方向で重点化していく、そういった形でしっかり対応していきたいと思います。更にPCR検査能力、あるいは保健所の体制、医療提供体制、そうしたことにしっかり都道府県等々と連携しながら対応を図っていきたいと思います。
 国民の皆さま方には、これまでもご対応いただいておりますが、引き続き、3つの密を回避していただく、あるいは手指消毒、換気をしていただくなど、これまで申し上げている対応、そして「新しい生活様式」に向けて更なるお力を貸していただくことを併せてお願いしたいと思います。
記者:
雇用情勢に関連して伺います。非正規雇用の労働者が今回131万人減と過去最大の下げ幅ということになりました。なかでも、派遣労働者に関しても言及がありましたけれども、比較可能な範囲でみても、派遣労働者についても過去最大の減少幅ということになりました。
 派遣労働者の方を巡っては大臣、契約更新の時期もにらみながら、派遣事業者、経済界に雇用維持の要請もされてきたわけなんですけども、こういった16万人の減というところをご覧になって、要請の効果が十分にあったのかという点について、どういうふうにお考えでしょうか。
大臣:
これまでも、今ご質問いただいた団体含めて6月の更新時期をにらみながら引き続きの雇用維持、あるいは雇調金の活用等をお願いさせていただきました。団体等からはいろいろ報告をいただいていましたが、今日の統計を見ると、この6月において、派遣の方は16万人減少するという状況になってきています。
 先般も申し上げましたように、9月がまたひとつの契約更改期という時期でもあります。それに向けて、各派遣元、あるいは派遣先、いわゆる経済団体に対しても、派遣で働く方々の雇用維持についてお願いしたところです。
 また、各個別にそうした事業者に対して各都道府県の労働局から個別に、これまでもアプローチしていましたが、そうした対応を継続すること、また今回雇用調整助成金を9月末から12月末まで延長しておりますから、こういったものの活用を含めて派遣労働者の方の雇用維持をしっかり図っていただきたいと思いますし、併せて、派遣労働者の方については、先日、派遣、特に製造業派遣の事業者の方から話を聞かせていただきました。
 確かに、製造業を中心に、一部派遣の停止、雇い止めがあったという話がありました。それについて、他の事業者に紹介しているとか、いろいろな対応をとっておられるというお話でしたが、更にそうした対応をしっかり取っていただくことと、それからそのときにお聞かせいただいたのは、やはり派遣の仕方、地域で派遣に来られている方は自宅から通っている方もおられるようですが、場所を変えて派遣で働いている方は住宅の問題もあるということであります。
 その辺も含めて、しっかり我々情報収集をして、まず派遣の方々が雇い止めにならないように雇用継続を求めていくとともに、更に、今回のように派遣の職を失った方が新たな仕事に就けるということだけではなくて、今申し上げた住居含めた生活上の問題がないか、しっかりと状況の把握に努め、必要な対策を取っていきたいと思います。
記者:
2点伺います。1点目はCOVAXファシリティの件ですが、改めて、日本が参加するメリットは何か教えていただけたらと思います。また、いくらぐらい拠出金を捻出するのか、現時点で検討されていることがあれば教えてください。
大臣:
まず先ほど私どもにとってのメリットを2つ申し上げました。私どもとしても、既に複数の企業とワクチンの基本合意に至り、あるいは別途企業とし、これから最終契約に向かう作業を進めていますが、ワクチン開発というのは元々大変難しいと言われています。このため、更にワクチンを確保していくという意味においても、こうしたスキームに参加していくということは意義があると考えております。
 2点目として、やはりこうした国際的なスキームというのは、それぞれの国がワクチンを確保するだけでなく、特に低所得国など自国ではなかなかワクチンを確保することができない、そうした国民の皆さまもおられるわけですから、それに対して国際的に連携して確保を進めていこうというのも今回の趣旨だと認識しております。
 その意味においても、日本が積極的に参加していく意義があると思っています。加えて、ご質問のあった金額等は調整中であり、現時点で具体的なことは申し上げられませんが、最終的には9月18日が期限ですから、正式な参加が決まった段階ではご報告ができると思います。     
記者:
総裁選についてお伺いします。選挙の方法について今総務会で議論がされているところですけども、国内でも、小泉大臣が「党員投票を省略するのは、納得が得られない」などと発言されていますが、大臣はどのような在り方が望ましいとお考えでしょうか。また昨日都内で若手議員らが署名活動を行っていますが、大臣ご自身は署名されたのか、よろしければ教えてください。
大臣:
これは大臣の記者会見なので、総裁選についてこの場で申し上げていいのかと思いますが、ご質問でありますから、お答えします。一つは自民党の規則があり、それぞれの組織がその規則に則って運用していくことは一番大事だと思います。先日も申し上げましたが、規則では党員投票と両院協議会の2つの仕組みがあって、緊急な場合には後者の措置も採り得るということになっています。
 したがって、それを前提に今総務会で議論されているのだろうと思います。いずれにしても、私ども広く開かれた政党でありますから、どちらの方法を採るにしても、我々一人一人、所属している国会議員が地元の声を広くしっかり吸収してそれを反映していくことはもとより、それぞれの県連が、県連に所属している党員の皆さんの声を広く吸収しながらそれを反映していくことは非常に大事だと思っております。
 今申し上げたように2つのルールがあり、それを決めるのは総務会ですから、そこは総務会のご判断に委ねたいということで、私自身は署名しておりません。   
記者:
先ほどのワクチンの質問に関連して、今回の取組は先般発表された「来年前半までに国民全員分の確保を目指す」という取組に資することになる取組なのでしょうか。
大臣:
もちろん、先般申し上げましたような考え方に沿って、ワクチンの確保を目指していく、そういった意味において、先ほど申し上げた今回のCOVAXという枠組みもそれに資する、ワクチン確保の一つの手段という位置付けはしていくわけであります。もう一つは国際貢献に資するということです。
記者:
時期としては、今回の枠組みで得られるものは、21年前半に間に合ったりするということが決まっているのでしょうか。
大臣:
現時点で具体的にどういう形で供給されていくのかというのは示しておりませんが、このCOVAXファシリティというのは「2021年末までに世界に20億ドーズのワクチンを供給することを目指す」と承知しています。

(了)