加藤大臣会見概要

(令和2年8月7日(金) 10:35~10:56)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭4件申し上げたいと思います。まず1点目でありますが、PCRなどの検査体制の戦略的強化等についてであります。検査体制については、これまでの間、検査能力の拡充に努めてまいりました。今般確認したところ、PCR検査については1日当たり5万2,000件、抗原簡易キットについては2万6,000件、抗原定量検査について8,000件の検査能力を有していることが確認できました。
 これを踏まえ、検査が必要な方がより迅速・スムーズに検査を受けていただけるようにするとともに、濃厚接触者に加え、感染の疑いがある場合は広く検査が受けられるようにするとの考え方に立って、検査体制の強化を図っていきます。お手元に資料があると思いますが、具体的には5つの戦略の柱を立てています。
 まず1つ目は、検査能力の増強です。PCR検査機器や抗原定量検査の機器整備を更に支援する、これは予算面からの支援となりますが、それとともに、既に医療機関等に配備されている検査機器の能力が最大限活用できるよう、検査受託が可能な大学や、あるいはその附属病院、医療機関などをリスト化して、検査を委託する医療機関との間でマッチングができるようにしていきたいと思います。これによって、検査能力増強につなげていきたいと思います。
 2つ目は、検査へのアクセスの向上です。東京都練馬区をはじめ、東京都医師会などでは、唾液検査に特化した診療所を増やす取組が行われていますが、こうした取組を横展開し、全国に広めていきたいと思います。
 また、そのためにも、医療機関の申出があれば速やかに契約を締結していくということ、また、唾液による検査など新たな検査方法を導入する場合は、既に他の方法による契約をしていれば契約の変更は不要とする、そうしたことによって、地域の医師の判断のもとで迅速に検査が受けられる、そしてそういう医療機関の数の拡大を図っていきたいと思います。
 そのための通知は、医療機関の申出があれば速やかに契約を締結するという件は7月17日、それから唾液検査など新たな検査を導入する場合に契約変更を不要とする件については8月3日に、既に通知を出しています。
 3点目ですが、幅広い検査の実施です。クラスターの発生など地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、感染が発生した店舗等に限ることなく、地域の関係者を幅広く検査を行うことについて、行政の判断で行っていただくこととします。このため、例えば、PCR車両や臨時の検査所等の設置など、出張して検査する取組自体も支援していくということでありまして、具体的には本件については本日通知を発出したいと考えております。
 4つ目は、感染による重症化等のリスクが大きい医療機関や高齢者施設等の感染対策の強化です。院内・施設内感染対策のため、新規入院・入所者を含め、感染の可能性の高い場合は、施設の嘱託医など医師の判断の下、迅速に検査できる体制づくりを進めていきたいと思います。こうしたことで感染防止をする、あるいはそうした疑いがあった場合でも速やかな検査をすることによって、院内や施設内での感染拡大を防ぐことにつなげていきたいと考えています。
 5つ目は、新技術の積極的な導入です。これまでの鼻咽頭や唾液に加え、鼻腔、すなわち奥までいかない手前、鼻の入口ですが、鼻腔による検体採取や、一度に複数の検体を検査するプール検査など新たな技術を今後も導入すべく、その検証を更に進めていきたいと思います。
 また、検査能力の強化については、PCR検査だけでなく、抗原検査も組み合わせていくことが有効です。抗原検査キットを既にピーク時であれば1ヶ月間、1日3万件を使える程度の備蓄を図っていくということでありますが、更に、国内外において新たな抗原の簡易検査キットの開発が進んでいるということであります。そうした開発が上手くいけば、そうしたものもしっかり取り入れながら、全体としての検査能力を高めていきたいと思っております。
 特に、今年の冬はまたインフルエンザの流行時期を迎えるわけでありますから、それに向けて、インフルエンザの検査と共に新型コロナウイルス検査の体制を強化していきたい、能力の拡大を図っていきたいと考えております。また、6月より自治体に対し、相談から検体採取、検査分析という一連の検査プロセスを点検し、今後に向けて必要な対策をお願いしたところでありますが、今般、各都道府県の取組内容の取りまとめができましたので、これは後で事務方から詳細を説明させていただきたいと思います。
 こうした自治体毎の検査体制の底上げも併せて図っていくということ、また先ほど申し上げたような戦略も含めて、更に検査体制の強化に取り組んでいきたいと思っております。  

 2点目でありますが、宿泊療養が困難な場合における自宅療養の適切な実施についてです。新型コロナウイルス感染症はここ1週間で1000人を大きく超える新規感染者数の増加が報告されております。そうした中で、毎週都道府県から様々な数値の報告をいただいておりますが、それによると、7月29日時点で自宅療養が1,686人、それから「確認中」ということですが、基本的に自宅におられる方が684人、併せて2,300人程度の方自宅におられます。
 全体の陽性者、既に退院し、又は施設を出られた方を除き、入院や療養等が必要だった方に対する割合は3割ということです。一方、今週取りまとめている最新の数値は夕方また公表させていただきたいと思いますが、既に5,000人近い水準、割合では4割近い水準になってきているところです。
 新型コロナウイルス感染症の無症状や軽症の方、入院の必要がないと医師が判断された方に対しては、宿泊療養を基本としており、その考え方を変更するつもりはありませんが、現下の状況を踏まえ、適切に自宅療養を実施していくということが求められております。そこで、自宅療養に関して昨日のアドバイザリーボードでもご議論いただきました。それから保健所長会から具体的な要望をいただいております。保健所の現場において、この宿泊療養の説得に大変時間と労力がかかっているということです。
 それから実際、自宅でという方が非常に多いという実態という話があり、そのことも踏まえながら自宅療養の対象となる方の明確化をしていく必要があるという要望をいただきました。具体的には、独居で自立生活が可能な方、同居家族の重症化リスクの状況、あるいは感染管理対策の状況を総合的に勘案して、保健所長がこの方だったらということであれば、自宅療養として行っていくということです。
 ただし、自宅療養を適切に行っていただくためには、食事の配達等を確実に行っていただく必要があります。また、専門職による健康フォローアップも当然求められるものであります。このため、配食サービスの実施や食材の一括配送による食事の配達の確保、また医師会等への外部委託やHER-SYSを活用した健康フォローアップの確実な実施などについて具体的に周知し、適切な自宅療養の実施を促していきたいと思います。
 特に、食事の配達の確保については、例えば東京都の足立区、大阪府堺市、寝屋川市などで具体的な取組も進んでおります。このような好事例について、こうした取り組みをしているということも含めて周知し、横展開を図っていきたいと思います。
 同時に、宿泊施設をしっかり確保することは当然必要でありますので、それに向けての支援も引き続き行っていきたい。どういったホテル等があるのか、また予算的にもいろいろな支援もさせていただいているところです。

 3点目でありますが、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が全国的に増加する中で、先週開かれた分科会でも、クラスターの発生源として、接待を伴う飲食店、会食、学校教育施設等と併せて、職場におけるクラスター発生ということが指摘されたところです。そして、事業者に対して集団感染の早期封じ込め、基本的な感染予防の徹底が提案されておりました。
 こうしたことを踏まえて、私どもとしても、事業場における要因を分析した上で、職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト、これは既に公表させていただいておりますが、例えば、職場で物品や機器等を共有する際の消毒の実施の項目を追加する等の改訂を行いました。
 また、最新の状況を踏まえ、基礎疾患を持つ方の申出等を踏まえたテレワーク等の就業上の配慮、新型コロナウイルス接触確認アプリCOCOAへの登録勧奨などの留意事項を取りまとめ、約2,200の労使団体に対し、本日、それぞれ傘下の企業に対する周知のお願いをしたいと思います。
 また、併せて雇用の維持を図るために、雇用調整助成金、あるいは休業支援金、小学校休業等対応助成金、また、母性健康管理措置による休暇取得支援助成金などの支援策の利用促進についても呼びかけていきたいと思います。さらに、集団感染が発生した事業場に対しては、先ほど申し上げたチェックリストやわかりやすい事例集を活用した感染拡大防止の要請を行っていく、加えて労働者死傷病報告の提出及び労災請求の勧奨等を実施していきたいと思います。
 こうした取組を通じて、職場における新型コロナウイルス感染症の予防と同時に、そこで働く皆さんの健康管理のより一層の徹底を図らせていただきたいと思います。

 最後でありますが、7月10日から受付を開始している、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金につきまして、厚生労働省から委託している事業者において、申請書類を、誤って別の方に送付してしまったという事案がありました。
 具体的に申し上げると、委託事業者において、添付書類を含む申請書類を受け付けた際に形式的なチェックをしております。その際、明らかな不備がある場合には申請者にその書類をお返しして補正、修正をして再提出することをお願いしているところですが、それをご本人に送付する際に、郵送先とは異なる方に申請書類を封入して送付したということが明らかになりました。
 現在のところ、このような事例が9件確認されたと報告を受けていますが、原因や同様の事案が他にないかどうか早急に調査して確認していきたいと考えております。まずは、誤って送付した方、送付された方それぞれに、既にご連絡させていただいておりますが、速やかに謝罪を申し上げるとともに、他に同様の事案がないかどうかも含め、早急に原因を確認していきたいと思います。
 改めて作業全体に対して、そうした誤りがないように二重、三重のチェックを図っていきたいと思います。私の方からは以上です。

質疑

記者:
アストラゼネカが開発中のワクチンの日本への供給について、現在の交渉状況がどのようになっているのかお願いします。
大臣:
先週、ファイザーとの話をさせていただきました。アストラゼネカ社がオックスフォード大学と開発を進めるワクチンの日本国内への供給に向けて6月に協議を開始する旨の合意を行いました。現在、具体的な協議を進めているところであります。
 現在交渉中でございますから内容についてコメントは行える状況にはありませんけれども、引き続き、国民の皆様に一日も早くワクチンを供給できることに向けて努力していきたいと思います。アストラゼネカ社との間においては更に精力的に協議を進め一定の合意ができれば、また皆様に御報告させていただきたいと思います。
記者:
昨日、広島に行かれましたけれども黒い雨訴訟について知事と市長と意見交換されたと思います。それを踏まえ対応方針、方向性決まりましたでしょうか。
大臣:
昨日、広島県知事、市長ともお会いをさせていただいて、本件訴訟に関する地元の皆様方の思いについてお話を頂戴しました。被爆者の方は、未指定地域も含めて大変な苦しみをお持ちになられているということであります。そうした皆様に対する対応が、そうした皆様から、また地元から強い求めがございました。
 私どももそうした知事、また市長、あるいは県や市の立場、ここはしっかり共有をさせていただきたいと思います。一方で、判決の内容はこれまで申し上げておりますがこれまでの最高裁判決あるいはこれまで積み上げてきた様々な科学的知見に基づく我々の対応とはかなり異なっており、厳しいものと認識しています。
 控訴期限は12日でありますので、引き続き広島県、市ともよく協議をして、対応を固めていきたいと思います。
記者:
雇用調整助成金の件です。来月末に期限が迫りますが、特例措置の延長を求める声が与野党双方からでております。雇用情勢も厳しいですが、どのような対応をいつ頃までにお考えでしょうか。また延長については年末までという案もあるようですがいかがでしょうか。
大臣:
雇用調整助成金については日額15,000円に引き上げるなど拡充を行い、事業主の皆様が雇用維持に向けて努めていただけるよう、取り組ませていただいています。現時点で、申請件数で約71万1334件、支給決定件数は59万9,385件ということであります。また、支給決定金額は約5850億円です。
 マクロ的に見ると、申請して大体9日間くらいで決定ができているということで今鋭意作業を進めさせていただいておりますが、そういった意味では、今でも引き続き申請が出てきているのが現下の状況であります。今お話がありましたように、特例措置は9月末までとなっています。
 この特例措置の取扱いについては足下の感染の状況、それから雇用の状況などを踏まえて判断していかなければと考えておりますが、いずれにしても企業がそれぞれの雇用を含めた経営戦略をそれぞれ持ちながら対応されているわけでありますから、当然そうしたタイミング、時期、企業側がそういったことを判断するのに必要な期間、そういったこともしっかり考慮しながら、先ほど申し上げた点を踏まえ判断していきたいと思います。
記者:
PCR検査の体制の戦略的強化の関連ですけれども、日本医師会の方から行政検査の委託契約を無しにして、それに対して公費の補填で自己負担が発生しないようにということを要望していたと思うのですが、それについて今回の戦略的強化の中では、その要望を受け入れるということになるのでしょうか。
大臣:
これまで医師会からは保険だけで良いじゃないか。自己負担分はお願いするのだからというお話がありました。それは制度的には可能な制度になっております。その上でというと、行政経費で負担する話と今おっしゃる話と何がどう違うのか、その辺は今日会長がお越しになるということで、良くお話を聞かせていただきたいと思います。
 ただ、いずれにしても、おっしゃっている趣旨が先ほど申し上げた様々な手続き、地方自治体との間の契約が大変難航しているということにあるのか、あるいは違うところにあるのか。難航しているということであれば、先ほど申し上げた措置で相当改善されるのではないかと思っておりますが、よく現場で対応にあたっておられる医師会、特にこれからインフルエンザ等々の時期になれば、今まで以上にそれぞれ対応されている皆様方のお力を貸していただく必要がありますので、よく声は聞かせていただきます。
記者:
ホームレスの方に特別定額給付金の申請をしていただくことについて、8月4日に全国から集められた5,212人の署名が総務省の給付金室宛に出されておりまして、その宛名が安倍総理大臣、高市早苗総務大臣、それから加藤厚労大臣宛に出されております。住民票を作ることを申請の条件とすることと、それから申請期限が8月末と迫っておりますが、これを伸ばすということを要請されている要望が出されております。これについてお考えをお願いします。
大臣:
今の2点に対しては、私の所管ではないと思います。総務大臣ではないかと思いますので、そこでご議論されているのだと思います。ただもし私どもが管轄するものがあれば、それはそれでしっかり検討させていただきたいと思います。

(了)