加藤大臣会見概要

(令和2年8月4日(火) 11:18~11:40)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず冒頭、ここにポスターを貼っておりますが、自殺対策基本法では、9月10日から9月16日を「自殺予防週間」と位置付けており、啓発事業を広く展開することとしています。本年4月から6月までの自殺者数は前年と比べて大幅に減少しておりますが、20歳未満の6月の自殺者数は増加をしています。
 10代の自殺は長期休暇明けに急増する傾向があり、特に今年度においては新型コロナウイルス感染症の影響により夏期休暇が短縮され、例年よりも早く学校が始まる地域が多いため、取組を前倒しし、夏期休暇中である8月頭から、相談や支援につながるよう、集中的な啓発活動を行っています。本日の閣議では、各閣僚に対して、自殺対策に対するご協力のお願いをいたしました。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、生活に不安を感じている方も多くいらっしゃると思います。厚労省では、緊急対策として経済的支援の問い合わせも含めて、お一人お一人のお悩みに寄り添える各種窓口の設置など、皆様の生活の支えとなる支援を行っています。また、これまでも生きづらさを抱える方を対象に、LINEなどのSNSや電話での相談窓口を設けています。様々な窓口がありますが、どこの窓口でも構いませんので、ひとりで悩むことなく、是非そうした窓口にお電話をいただいて相談をしていただきたいと思います。
 また、ご本人以外でも、周辺の方、ご家族、友人あるいは同僚の皆さんが、どうも様子が違うなと感じた場合には、そうしたご本人の話にじっくりと耳を傾け、場合によってはこういう相談窓口があると支援先を案内していただくなど、温かく見守るという一人一人の意識を持っていただき、またそうした対応をいただくことも重要です。
 悩んでいる方が孤立しないよう、是非、温かく寄り添いながら見守っていただける、こうした社会の構築、まさに地域共生社会の一環でもありますが、そうした社会を一緒になって構築させていただきたいと思います。私の方からは以上です。

質疑

記者:
新型コロナウイルス感染症についてですが、沖縄県が緊急事態宣言を出したほか、三重県も緊急警戒宣言を発出するなど、自治体による独自の宣言の発出が相次いでいます。一方で政府は緊急事態宣言の発出には慎重です。地方と政府に温度差があるように見受けられますが、ご見解をお願いします。
大臣:
沖縄県、三重県において県独自の緊急事態宣言が発表されて、特措法24条9項に基づく不要不急の外出自粛や、飲食店の営業時間短縮等の要請が求められていると承知しています。それ以外の県においても、緊急事態宣言そのものは出していませんが、特措法24条9項に基づいた同様の要請がなされていると承知しております。
 これまでもそれぞれの地域に応じた対応をしていただくということを申し上げてきましたが、まさにそうした対応が今行われている、私どもとしてはそういう認識です。
 一般論として申し上げれば、そのようなそれぞれの地域での取組が行われていく中においてもなお、感染者の増加のスピードが高まっている、そうした場合には、再び緊急事態宣言を発出するという可能性ももちろんあるわけですが、そうした場合においても、様々な指標を見ながら、専門家の意見を聞いた上で、最終的には政府全体の、中核的には内閣官房で、総合的に判断していくことになろうと思います。
 厚労省としては、そうした感染動向をしっかり注視していきたいと思います。併せて、これまでも申し上げておりますが、検査体制の充実、PCR検査だけでなく抗原検査などの様々な検査について、それぞれの地域において必要な対応がしっかり取れるように、更に我々としても体制の強化を支援していきたいと思います。
 また、クラスター対策等を実施する主体である自治体や保健所においても、感染者数が増えていけば様々な負荷が一層高まってくるわけですから、そうした状況をしっかり踏まえながら、必要な人的な支援、我々としては予算の支援が中心になりますが、そうした対応をさせていただきたいと思います。
 更に病床数あるいは宿泊療養等の確保ということも当然、求められてまいります。それに対する都道府県の取組を、予算面を含めてしっかり支援していきたいと思っております。
記者:
PCR検査についてですが、東京都世田谷区は「誰でも、いつでも、何度でも」検査できる態勢を整えているということで各事業を進めているようですが、「誰でも、いつでも、何度でも」PCR検査という考え方についてどうお考えですか。ご所見をお願いします。
大臣:
世田谷区では、7月27日に有識者会議を開催して、世田谷区医師会と連携した検査体制拡大など、世田谷区独自の取組について検討が進められていると承知しています。
 厚労省も、これまでも申し上げてまいりましたように、医師が必要と判断した場合、あるいは濃厚接触者の方、更には特定の地域の接待を伴う飲食点などで感染者が大きく発生している場合や、あるいは介護施設等でクラスターが生じやすい状況にある場合には、積極的に検査を行っていただきたいということを明確にしております。
 今お尋ねの「誰でも、いつでも、何度でも」という世田谷区のお話について、私ども世田谷区に具体的な検討内容を確認させていただいたところ、現在詳細は検討しているということであり、具体的な内容は必ずしも明らかではありませんので、それに対して申し上げることは差し控えたいと思います。
 大事なことは、PCR検査がしっかり行われているということに加えて、検査を受けた後に陽性者の方を入院や宿泊療養など、適切な療養につなげていくという全体の体制の確保にしっかり取り組んでいかなければならないわけであります。各地区で、世田谷区を始め、いろいろなご努力、取組をされております。東京都練馬区や医師会では唾液検査を使って、各医院がそれぞれ実施されるような体制も作っていただいております。
 まさにそうした全体として体制を整備する取組に対しては、私たち国として、できる支援はしっかり行っていきたいと思います。そうした取組をより一層前に進めていただけるように、我々としても対応していきます。
 加えて、検査体制の強化を図るために自治体に相談から検体採取、検査分析まで一連の検査プロセスを点検し、必要な対策を講じていただくよう、今要請をしております。それについては今報告をいただいておりますので、まとまり次第内容についても公表させていただきたいと思います。
記者:
黒い雨訴訟について伺います。控訴断念を求める声が原告側から自治体へも出ていますが、明日から広島を訪問されるかと思います。現地で要望もあるかと思いますが、対応方針が決まっていればお願いします。また決まっていなければいつ頃お考えかお願いします。
大臣:
7月29日の地裁判決で現行法等の解釈について国側の主張が認められない、国側から見れば大変厳しい内容だったと認識しております。この判決に関して、様々な関係者からお話があればしっかりその話は受け止めたいと思いますが、最終的には判決への対応については、広島県と広島市と協議して、また関係省庁とも良く連携を図りながら対応していきたいと考えております。
 前回も申し上げましたが、控訴期限が8月12日でありますから、それを目途に検討させていただきたいと思います。
記者:
感染者数の増加に伴って病床の逼迫が進んでいるという声が増えています。現状をどう捉えていて、現在の入院や軽症者の宿泊療養や自宅療養の在り方について見直すことは検討されているのでしょうか。また、都道府県の病床計画公表というお話もありましたが、当初上旬としていましたけど、病床数のまとめとともにいつごろ公表をお考えでしょうか。
大臣:
病床の確保計画については、今、各都道府県から報告をいただいているところです。集中豪雨の被害があった熊本県、鹿児島県からは少し遅れるという話をいただいています。そうした動向も見ながら、できるだけ早い時期に公表したいと考えております。それ以外の都道府県についてはもう一度数字の確認作業をしております。
 それから、病床数については、都道府県毎に状況は様々でありますが、国全体としては、病床数だけみれば逼迫している状況ではありません。ただ現場からは感染者数が増えてくれば当然入院調整等様々な負担が増してくる。それから、これまで確保可能といった病床についても、いざ受け入れようとすれば、人的な配置をしなければならないということで、そうした負担も増えていくということもあります。
 それから、やはり患者さんの数が増えている、特に重症者の方が増えてくれば当然、多くの方が連携しなければならないという意味での負担も増えてきます。そしてやはり、現場の方々は1月、2月からずっとコロナ対策に、大変な緊張感の中で対応いただいています。
 そうしたことも踏まえながら、対応に当たっていきたいと思いますし、併せて現状は4月、5月については他の疾患に対する手術や治療をかなり抑制しながら対応していたということですが、ピークが下がる中で、それ以外の疾病に対する対応もされており、長期的、持続的なことを考えれば、やはり新型コロナウイルス感染症とそれ以外の疾患に対する治療、これは並行してやっていかなければなりません。そういったこともよく踏まえながら対応させていただきたいと思います。
記者:
15日の終戦の日に日本武道館で開かれる全国戦没者追悼式についてお伺いします。今年は新型コロナウイルスの影響で、少なくとも10府県は遺族の参列を取りやめる意向を示しています。この件について大臣のお受け止めと、更には参列できないご遺族のために、厚労省として式典を中継するとか、そういった何か対応を検討されていることはありますでしょうか。
大臣:
こうした大規模イベントに対しては国の方針というのがございます。それについては5,000人以下か収容定員の半分程度以内でどちらか少ない方の規模とするというものです。他方で、この式典は、8月15日に戦没者を追悼し平和を祈念する日として、全国戦没者追悼式を開催し、同日に各地域でも行われているわけであります。
 戦没者のご遺族の心情に鑑みると、大変重要な式典であると認識しています。今回の式典においては、感染予防の専門家からアドバイスをいただいて対応をしております。まず規模については1,400人以下ということです。もちろん5,000人以下でもありますし、この武道館の収容が1.5万人であり、これまで大体6,000人規模で実施をしてきたことと比べてもかなり縮小した形で実施をしているわけであります。
 加えて、参列者の座席間隔を1メートル確保するということ、マスクの着用、入場前の検温、手指消毒、また参列者の座席は全部指定とさせていただき参列者名簿を作成するということ、会場である武道館内の消毒と換気を徹底していくということ、国歌斉唱は行わず奏楽のみとすることなどの対応を行っているところであります。
 もちろん最終的には、参列されるかどうかについては、様々なご事情の中でご遺族の方がご判断をいただくものではあります。参加されない方、あるいは元々縮小してご案内できない方も多くいらっしゃるわけであります。
 毎年、報道機関で中継をいただいておりますが、最初から最後まで全編を中継していたわけではありません。今回は、最初から最後までリアルタイムで、YouTubeの厚労省のチャンネルを活用して動画配信を行うことで、残念ながら出席されない方もそうした形で参加をしていただけるように配慮いたします。
 さらに、万が一に備え、通常の救護体制に加えて、新型コロナウイルスに感染の疑いのある参列者専用の救護所も別途配置させていただいて、そうした体制をしっかり講じながら実施をしていきたいと考えております。
記者:
足下の新規感染者対策について、地方とかでは宣言とか出されていますけれども、国の対策として現状で新規感染者が今再拡大で増えている状況にあると思いますが、減らすことができるとお考えなのかどうか。もう一点、減らすことができないのであれば新しい対策が必要なんじゃないかと思いますが、どのようなことが考えられるのかお考えをお聞かせください。
大臣:
これまでも国民の皆様には3密の回避、手指消毒、手洗い、マスクの着用、身体的距離の確保あるいは換気などお願いしたところであります。引き続きそうした対応をお願いしていく、加えて先ほどご質問がありましたけれども、各都道府県においては、それぞれの地域の実情において対応しておられる。
 それから私どもとしては、一つは陽性者が出れば積極的疫学調査をしっかり実施していく、そのためのPCR検査体制、保健所機能の体制の強化を図っていく、あるいはやはり重症者あるいは死亡者をいかに抑制するかという観点からは医療機関、特に高齢者施設における感染予防ということで、これも今それを施設に対してシミュレーションの実施とか、万が一陽性者が出た場合にはすぐにPCR検査ができる体制の構築等も図らせていただいているところであります。
 加えて陽性者を発見した場合には適切な療養にしっかりと結び付けていく。加えて水際対策、こういったことも今実施をさせていただいているところであります。こうした一つ一つの施策をしっかり行っていくことで感染者数の増加の抑制を図っていきたいと思います。
 いずれにしてもそうした動向を見ながら先ほど申し上げました様々な対応をしてもなお、急激に感染者数が増えていくということであれば、その段階で感染者数の動向だけでなくて様々な指標を分析し、専門家の意見を聞いた上で、判断することも当然求められてくる可能性もあるということであります。
記者:
PCR検査が日に2万件を超える日もでてきている中で、その中で大学などのPCR検査が2千件程にとどまっていると公表されておりますが、大学全体の検査機器を活用して、これほど少ない数字にとどまっているというのはなぜなのでしょうか。そういった大学の検査能力をフル活用するためにも、国が主導して検査人員を準備するなどして積極的な対策を講じる必要があるような気がするんですけれども、そういった考えはあるんでしょうか。これは法律の壁や複雑な手続きが必要なのかということもあわせてお聞きしたいです。
大臣:
PCR検査の体制には当初感染研と地衛研からスタートして、それから保険適用等する中でかなりの部分を民間にお願いをし、更に医療機関、大学病院に限らず、大学の研究所のご協力もいただいて、今は日に2万件を超える検査が行われているわけであります。特に大学病院に加えて大学の研究施設が保有する検査機器の活用に関しては、文科省の予算も活用していただきながら実施しているところであります。
 7月22日時点で一日当たりの検査可能件数は、検体検査に協力ができる体制が構築済みである大学が19あって、件数が2,273件。今後、検体検査に協力することが可能と見込まれる大学が45あり、件数が5,719件ということであります。文科省からは検査に協力をする場合、あるいは自分のところではできないけれども検査機器を活用して貸与するというような場合への予算措置も行われているということであります。
 加えて、我々から自治体に必要な情報を提供することで、その自治体と近くの大学とが連携をとり、具体的に検査の流れを作っていただくことが大事だと思っております。
 具体的に言えば、例えば柏市は地元の東京大学データサイエンスセンターと連携して、そうしたPCR検査体制を強化するということを公表されたとも承知しており、そういった動きをしっかり我々も支援していきたいと思います。それから検査機器の活用そのもので法令上、強い規制があるわけではありませんけれども、検査をするためには衛生検査所としての登録、感染防止対策の対応、検査を行う人員・試薬等の確保が当然必要となってまいります。
 衛生検査所の登録手続きというのは相当な簡素化をさせていただきまして、すでに病原体の検査実績のあるところは事後登録でも良い、登録に関しても紙一枚の申請で良いということもさせていただいております。
 また試薬等の確保についても厚労省からも必要な支援をさせていただいているということで、持ち得る力を引き上げ、また、各都道府県で実際の検体採取をされる方と分析する場所とを上手く結びつけていくことでそれぞれの力を活かすことが必要となってまいりますから、そうしたマッチングもしっかりやって、よりいっそう検査が円滑に行われるようにしていきたいと思います。
 またそれによって、近いところで検査していただければ、検査結果までの時間の短縮化が図れるわけであり、これも非常に重要なポイントだと思っています。
記者:
PCR検査についてお尋ねします。感染者数が全国的に増加している中、症状があってもPCR検査を受けられない人が出てきているということについて、国が必要な人は全員が受けられるとしていましたが、感染者が増えている現在においても、PCRが必要な方は全て受けられているとお考えでしょうか。
大臣:
いくつかそういう報道があることは承知しております。そういった自治体とはまたよくそれぞれ現状を聞かせていただきながら、我々としてできるサポートをしっかりさせていただきたいと思います。ただ、先ほど申し上げたように、基本は、必要な方にはしっかりPCR検査が行われる、あるいは必要な場合にはしっかり行われるようにしていくということが大事だと考えております。
 これまでも抗原検査簡易キット、それから抗原定量検査の導入、更には唾液による検査等を導入させていただきました。それから地域によってはPCRセンターの設置を行っていく、あるいは先ほど大学の話がありましたが、民間の施設の活用を進める。それから、医療機関が行政検査を行う場合には都道府県と契約をしなければなりません。
 その契約がなかなか上手くいっていないという話もありましたので、医療機関側から感染防止をしているということであれば、その申し出をもって行政検査の実施を認めることとし、更には、唾液など新しい検査手法が増える毎には、新しい契約は不要という整理をさせていただき、それぞれの現場、現場でより検査がしやすい環境を作っていきたいと思っています。

(了)