加藤大臣会見概要

(令和2年7月14日(火) 11:22~11:40)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭2件申し上げたいと思います。まず令和2年7月豪雨について、本日朝の6時時点で私どもが把握している被害状況ですが、水道については、継続的な降雨により、最大で約32,000戸の断水が確認され、既に約30,000戸の断水が解消しておりますが、現在は残る4県で1,701戸の断水が継続しております。
 これらに対しては、応急給水の対応を取っております。4県は岩手県、熊本県、大分県、鹿児島県の4県です。特に被害の大きい熊本県球磨村については、現在、水道関係者が現場に入って被害状況を確認しております。一部の地域において水道の通水が確認されたものの、橋梁とともに管路、水道管が流された地域もございます。現在455戸が断水状況であり、中には復旧に時間を要する地区もあると聞いております。
 医療施設ですが、浸水等の被害自体は13日の段階で解消しているということです。社会福祉施設については、現時点では、熊本県などの6県、合計68施設において浸水等の被害が続いております。これはすなわち、土砂等の撤去が行われていない、消毒が行われていない、あるいはその施設において全員が避難をしているといった状況があるということです。
 こうした状況に対し、撤去や消毒等の遅れがある地域に対しては、我々もできる限りの支援をしていきたいと考えております。それから、本日の閣議において、今般の豪雨災害が特定非常災害と指定されました。これを踏まえて、国より被災地の被保険者に対し、医療・介護の一部負担金の免除等の実施の要請を重ねて行ったところです。
 今後、免除を実施する保険者を確認した上で、住宅全半壊・床上浸水等の要件に合致している被保険者について、これまで適用されていたルールでは事前に申請をしていなければなりませんが、今回のルールでは事前の申請が行われていなくても、医療機関等の窓口で申し立てれば免除が可能となるよう、更なる事務連絡を発出したいと思っております。これによって当該免除に対しては、10分の10の国庫負担、補助が行われます。
 また、7月10日の非常災害対策本部において、総理から、今回の災害が激甚災害に指定する見込みとなったとの発言がありました。激甚災害に指定された場合には、水道施設の復旧にかかる国庫補助率が引き上げられます。国庫補助を活用して損傷箇所を原状復旧させ、元通りの形で取水が速やかに行われていくよう、更に支援していきたいと思います。また今週も降雨が継続しており、また一部氾濫している情報等もある地域もございます。引き続き、自治体等と連携を密にして、状況を把握し、また被害に遭われた方々に対する支援に更に万全を期してまいりたいと考えております。    

 2点目でありますが、先般、一般住民を対象とした抗体検査についての結果をお示ししたところです。その際申し上げましたが中和試験を今後実施するということを申し上げました。中和試験は、国立感染症研究所において保有が確認された抗体が実際に新型コロナウイルスの感染を防御する機能を持っているかどうか調べました。
 先般の抗体検査では、米国FDAにおいて緊急使用許可がされた2種類の検査方法を用いて、両方の検査で陽性であったものを陽性と判断し、先日その結果の数値を発表させていただきました。今回の中和試験では、両方の検査で陽性であった8検体と、いずれかの方法で陽性となった検体、更には陰性検体の中でもカットオフ値、ここで陰性と陽性との判断をするという基準ですが、その基準に近いところにある検体についても試験を行ったところ、両方の検査で陽性の8検体から得られた抗体のみが、中和活性を持つことが今回の試験で分かりました。
 今後、産生された抗体の持続時間、あるいは免疫防御機能との関係に関する他の研究の状況を踏まえて、抗体検査の活用方法について引き続き検討を行っていきたいと考えております。具体的な内容については、後ほど事務方からブリーフィングをさせていただきます。私の方からは以上です。

質疑

記者:
豪雨の件でお伺いします。安倍総理大臣が昨日4,000億円を超える財源でパッケージを取りまとめると発言しました。厚労省としてどういったことを盛り込んでいくべきとお考えかお伺いします。
大臣:
昨日熊本県人吉市及び球磨村の被災地現場を総理が視察され、その際に今お話がありました4,000億円を超える財源を活用して、被災者の生活と生業再建に向けた対策パッケージを月内にまとめるよう指示がありました。厚労省としては被災者の方の生活再建や被害を受けた医療施設、あるいは社会福祉施設など災害応急復旧など、必要な対策を早急にとりまとめていきたいと考えております。
 具体的にはこれからですが、先ほど申し上げた医療保険等の一部負担金に対する対応、あるいは消毒や害虫駆除等の感染予防、更には先ほど申し上げた医療機関、社会施設、水道施設に対する復旧に対する支援、そういったものをこれまでも計上してきましたが、これらを中心に、更に現地の情勢をよくお伺いして、必要な対応を取っていきたいと思います。
記者:
香川県と熊本県が昨夜豪雨の被災地に派遣された保健所の職員が新型コロナウイルスに感染していることを発表しました。避難者に濃厚接触者はいないとしていますが、避難所に広がる可能性もあるかと思います。被災地への応援職員のあり方についてどうあるべきとお考えか、また国としてなにか対応があればお願いします。
大臣:
今お話した件ですが、熊本県の要請に基づき、香川県から派遣されて7月8日から12日まで熊本県の避難所等で活動していた高松市の保健師の方について、活動終了後、高松市がPCR検査を実施したわけです。昨日、1人の方が陽性であると判明しました。香川県によると本人は無症状ですが、同行者2名及び引継ぎを行った後任の3名の5名を濃厚接触者と香川県では判断し、このうち同行者2名については陰性を確認済みということです。残る3名については、本日中に検査をすると、あるいは既にされたかもしれませんが、そのように承知しております。
 また、熊本県においては健康に不安のある方の健康相談に応じるとともに、当該避難所にいる方全員をPCR検査の対象にするということで、対応が進んでおります。併せて健康管理に対する対応を整えていると承知しています。我々としても、熊本県における対応をしっかり支援していきたいと考えています。
 その上で、今後の派遣のあり方ですが、昨日熊本県知事から全国知事会長等に対して、訪問前の体調の確認、支援活動に従事する際のマスクの着用等の基本的な感染防止対策、日常的な検温等の健康管理の徹底をお願いする文書が発出されたところです。私どももこうした熊本県の文書の趣旨、あるいは内容を尊重して適切に対応していきたい、またその旨それぞれに対して更に徹底させていただきたいと思います。
記者:
関連して伺います。九州豪雨の被災地に厚生労働省から職員を派遣されていますが、避難所における新型コロナ対策の現状や課題について把握はされましたでしょうか。
大臣:
今お話がありました私どもの職員2名、特に避難者が多い避難箇所、5箇所において、感染防止対策が徹底されているかどうかの点検を行いました。また、保健師チームが避難所を巡回し、避難所の入口における体調不良者の確認、ゾーニング等の適切な実施について、それぞれ避難所の状況に応じた助言を行っているということです。
 個々に、どういうことを指摘されたかまでは具体的に承知しておりませんが、いずれにしても一つは今回こうした感染防止を考えますと、従前以上に可能な限り多くの避難所を開設することで一人当たりのディスタンシングを行えるようにしていただくこと、また発熱、咳等の症状が出た方のための専用スペースの確保等について、これまでも必要な要請を行っております。
 更に、いわゆる3密の回避、手洗い、咳エチケットの実施、定期的な清掃と十分な換気、これについても引き続き万全を期すようお願いし徹底を図ったことによって、避難所における感染の拡大防止、抑止に努めていきたいと思います。
記者:
今の点で、実際の避難所で見えてきた課題は何かありますか。
大臣:
今のところ具体的な話は私どものところに来ておりませんが、また少し集約して何か課題があれば、それに対する対策を講じ、それを徹底していきたいと思います。
記者:
新型コロナウイルスの感染者について、東京都の陽性者のデータのうち、入院療養等調整中という項目があります。政府内ではこの項目について、陽性者なのに連絡が取れなくなっている人が大半であるという見方もあると思います。それを教えて下さい。
大臣:
東京都の陽性者のうち、東京都が発表している中で入院療養等調整中という方の人数が我々も非常に注目しております。7月13日現在では396人ということで、前日の479人からは83人減少しておりますが、いずれにしてもそれだけの人数がおられる。この詳細な中身について、今ご指摘のようなことも含めて、具体的にどういう状況なのか、今東京都に対して、これまでも確認を再三お願いしているところであります。
 この中には、今回クラブなどの接待を伴う飲食店などの感染が確認された店舗において、濃厚接触者や同じ店舗の関係者などに積極的な検査を受けていただいた結果、陽性者になった方も一定数含まれております。昨日は119人でありましたが、ここ数日は200人を超える数の方、かなりの割合は特に新宿中心に発生しているということですので、保健所によるホテルでの宿泊療養の調整等に一定の時間を要しているということも聞いております。
 陽性検査は何のためにかを踏まえれば、陽性になった方に対してきちんと入院をするなり、宿泊療養等を取ることによって、ご自身の感染の治療を図っていただくとともに、感染の拡大を防止する、いわゆる隔離ということをしっかり徹底していくことが当然必要です。
 東京都に対しては、入院、療養等の調整を行う保健所の職員の増強等の体制整備、これまでもお願いをし、我々もできる支援はしておりますが、引き続きこの体制整備をしっかりやっていただくということ、それから宿泊療養先の確保、これ一部ホテルの契約期間の関係もあって今それがちょうど切り替わる時期と聞いておりますが、いずれにしてもそうした療養先をしっかり確保していただいて、そういった場所での療養を図っていただく、これを改めてお願いするとともに、我々厚労省、また政府としても、例えばどういうホテルが対応できるのか、これまでも情報提供させていただきましたが、引き続きできる対応をさせていただきたいと思っておりますし、いずれにしても厚労省だけで対応できないことも含めて、関係省庁ともよく連携を取りながら、都の詳細な実態の把握をした結果、必要な対応を取っていきたいと思っております。
記者:
詳細の把握はこれからということですが、現時点で400人程度いるその調整中というのは、どの程度が連絡が取れないということなのでしょうか。
大臣:
東京都から数字が出されておりませんので、具体的な数字を申し上げることはできません。ただ、そういう人がおられるという話は従前から聞いておりますので、それに対する対策についてはよく東京都とも連携を取りながら、今もどういう対応が取れるのか具体的な調整を図っているところです。
記者:
接触確認アプリについて、処理番号の発行停止が起きておりますが、そういったことが続くとアプリの信頼性、不安につながりかねず、今680万件のダウンロード数があるみたいですが、利用者数の増加にもつながらないと思いますが、大臣として今の状況をどう見ていらっしゃるのか、また利用者数を増やすために新たな対策などお考えはあるか教えて下さい。
大臣:
スタートしてまた今回も7月10日にアプリの不具合によって、新型コロナウイルス感染症の陽性となった旨の登録ができない場合があることが確認され、7月11日から一時的に陽性者として登録するための処理番号の発行について停止すべく、都道府県に連絡を取っているという今の状況です。
 そうした中で、この不具合については原因が特定され、昨日iOS版については不具合を解消した修正版を配布しております。アンドロイド版についても修正すべき点は分かっているため、現在、グーグル社に対して申請をし、今審査を受けている最中ということであり、それが終わり次第、修正版を配布したいと思っております。そしてその段階では、処理番号の発行も開始したいと考えております。
 これまで2回にわたり停止しました。冒頭申し上げましたように、こうしたことがないようにしていくのは当然でありますが、いわばかなり大規模な方を対象とするこうしたアプリについて、しかも短期間で開発していくということで、いわば公開後1ヶ月間は試行的に申し上げてもいましたし、この間、ご指摘もいただき対応も取らせていただいてきました。
 今後ともそうしたことがないように努めていかなければなりませんが、いずれにしてもこうした対応をしっかり取ることによって、皆さんが安心して使っていただけるように更に努力していきたいと思います。それから、更に今680万件の方がダウンロードしていただいているところです。
 更に多くの方がダウンロードしていただくためには、具体的に陽性が確認された時にどういう対応ができるのか、現在は完全な体制を整えていないのでそれぞれ相談支援センターからまず始めて下さいとしておりますが、調整が進んでいけば、そういった方が直接PCRセンタ-、あるいはそうした外来に行っていただいて対応できる、こうしたシステムを早く構築することで、これに入っていれば、もし感染の疑いが自らにある場合には、速やかに対応がされるんだということをしっかり理解していただける環境を作っていきたいと思っております。

(了)