加藤大臣会見概要

(令和2年7月10日(金) 11:12~11:38)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。一定の距離を取った上で、マスクを外してやらせていただきたいと思います。冒頭3件申し上げたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の関係でありますが、郵送での受付について、7月7日の会見でも申し上げたとおり、準備が整い、予定通り本日から受付を開始いたします。お手元にプレスリリースをお配りしております。
 また、厚生労働省のホームページにも掲載しておりますが、郵送受付先は日本郵便株式会社の京都中央郵便局留置の厚生労働省新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当ということで、郵便番号は600-8799です。申請書等はホームページあるいはハローワーク等にもございますから、そこで入手していただいて、また動画も配信しておりますので、記載はそれを見ていただきながら、是非まずは郵送していただきたいと思います。支給に関してですが、かなりの申請が見込まれますが、処理が進んだものについては7月中にも順次支給をしていきたいと思っております。

 2点目ですが、新型コロナウイルス感染症に係る労災認定事例の公表及び更なる請求勧奨ですが、業務により新型コロナウイルスに感染された場合には、積極的に労災請求をしていただきたいと考えております。本日、労災請求の参考にしていただきますよう、厚労省のホームページのQ&Aに、これまで労災認定をした主な事例を公表いたしました。お手元にその資料を置いております。
 9日まで501件の請求に対して、すでに96件の支給が決定されております。支給には医療従事者の事例、それから医療従事者以外の労働者であって感染経路が特定された場合、例えば同僚の方が陽性であって、その方から感染されたといった場合も書かせていただいておりますが、今週、医療従事者以外の方で感染経路が特定されていない場合であって、感染リスクが相対的に高いと考えられる顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下で業務に従事をしていた方、この場合は小売店の販売員ということですが、労災を認定いたしました。
 これは先ほど申し上げた医療従事者以外の方で感染経路が特定されていない場合についての初めての事例でありますが、是非こうした事例を参考にしていただいて、先ほど申し上げましたように労災請求、これは働く方自身が請求をしていただくことになりますが、是非お願いしたいと思います。なお、先日経済4団体にも直接足を運んで雇用の維持等のお願いをいたしましたが、その際にも、労災請求を勧奨していただくとともに、事業主におかれてもそうした手続きに協力いただくよう改めてお願いをさせていただいたところです。

 3点目ですが、新型コロナウイルス感染症については、感染性がなくなった、いわば陰性になって退院された後も呼吸器機能の低下が続いている可能性があるという指摘がございました。新型コロナウイルス感染症による呼吸機能への長期にわたる影響の実態を把握するとともに、呼吸機能の低下と関連のある因子を特定するため、研究に必要な手続きが整い次第、8月から研究を始めていきたいと考えております。お手元に資料がございますが、こうした知見をしっかりと得る中で、国民の皆さま方に対しても情報発信をさせていただきたいと考えております。私の方からは以上であります。

質疑

記者:
2点お伺いします。1点目、都道府県間の移動についてです。第一波では、首都圏から地方に感染者が移動したことで感染が広がりましたが、今首都圏で広がっている感染は、多くは若い人が占めています。活発に移動する若い人が増えると、またそれが都道府県間に移動して地方に再び感染が広がる懸念があると思いますが、大臣としてこの点はどのように考えているかお聞かせください。
大臣:
まず都道府県間の移動制限の緩和自体は内閣官房が全体として判断されるということになりますが、基本的対処方針では、地域の感染状況を踏まえながら、一定の移行期間を設けて外出自粛要請の緩和をしていくということで、これまで逐次緩和され、6月19日からはいわば全面的に都道府県をまたぐ移動は制限がなされない、今そういう状況が続いているわけであります。担当の西村大臣からは、移動に関する都道府県をまたぐ移動に関しては自由にできる、ただしということで、別に移動だけに限りませんが、発熱等があればそれは控えていただきたいという話をされているところであります。
 ポイントは、感染の状況をどう封じ込めていくかということが非常に大事だと考えておりますから、今まさに積極的疫学的調査を展開して、必要な人はPCR検査を受けていただき、そして陽性の方は入院あるいは宿泊療養等々の形をとっていくということを逐次進めております。まさにこういう対応をしっかりやっていくことが私は大事だと思っておりますし、厚労省としても例えば新宿区等々に対する保健所機能の強化に向けて、保健師を別途、看護関係の学会とも協力して派遣をする、あるいは新宿区においても引き続き強化を図っておられる。
 さらに新宿だけに限りませんが、特に感染者数が増加している地域において、そのように対応いただけるように、保健師さんあるいはそうした疫学的調査を行える人たちを積極的に我々も確保し、必要に応じて要請し派遣をしていく等、そうした機能を強化していくことが非常に大事だと思っておりますし、それに併せてPCR検査の能力を拡大していきたい、もちろん並行して医療提供体制等も引き続き拡充を図っていきたい、そういったトータルの対応をしていくことが私は大事だと思います。その中で、これまで言っておりますように、感染拡大防止と経済活動というものの両立、これを図っていくこと、これに努力していきたいと思います。
記者:
先日WHOが新型コロナウイルスについて、空気感染の可能性を否定できないという見解を表明していましたが、厚労省としてこの点、研究や検証をして、事実関係を調べたりする、もしくはどういうことなのかお考えを聞かせてください。
大臣:
まずWHOについては、科学者の皆さん方から空気感染の可能性を認識して感染防止策を見直すよう提言されたことを受けて、7月7日のメディアブリーフィングがあり、そして今日未明にも見解が示されたと承知しております。いま内容について精査しておりますが、基本的には飛沫による感染が主体であり、市中における空気感染に関しては今後も研究が必要だということです。
 要するに飛沫というのは、まさに咳やくしゃみによって生まれてくる飛沫が媒体となって感染する、空気感染とはその飛沫の水分が蒸発した非常に細かい粒子に引き続き病原体が付着をして、長時間に渡って空気中を浮遊し感染していく、一定程度距離があっても感染するというのがいわゆる空気感染と言われているわけであります。
 飛沫感染に関しては、これまでも指摘をされていたわけでありますが、空気感染の可能性について今申し上げたのがWHOの姿勢です。日本も基本的対処方針において、感染経路は飛沫感染と接触感染が一般的であるが、閉鎖空間において近距離で多くの人と会話をすると、一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等の症状がなくても感染が拡大するリスクがある、という考え方は既にお示ししているところです。引き続き、国内外における様々な研究が進んでおりますから、そういう研究結果を収集して、また新たな科学的知見が出てくれば、それに応じた対策を考えていきたいと思っております。
記者:
昨日、東京都で224人ということで感染状況が出ましたが、周辺の首都圏の自治体でも感染が増えています。そうした状況とそういう中で今日から次のステップに移って、また経済活動が緩和するわけですが、そうした中で現状についての見解と緩和に向けて注意を含めて呼びかけと今後の対応をお願いします。
大臣:
東京都においては、昨日224名の新規の陽性者が確認されました。200人を超えたというのは3ヶ月ぶりでありますし、これまでの最多が4月17日の206人でありますから、それを上回る水準であるということです。東京都からはそうした新規陽性者数の動きに加えて、4月17日時点と比べると、前回は高齢者の方が多かったことに対して、今回は8割以上が30代以下の若い方であるということ、それから感染のルートが分かっている比率も前回に比べて高いということ、また、クラブなどの接待を伴う飲食店などの感染が確認された店舗において、積極的に検査を受けていただいた結果によるものが一定数含まれているということ等の指摘がありました。
 我々としても、そうした感染の状況等をしっかりと東京都と一緒に共有していきたいし、引き続きこれを注視していく必要があると思います。他方で医療提供体制については、いま入院患者数は441名、重症患者数は6人という状況であります。若い方の感染者数の割合が高いということも反映しているのではないかと思いますが、今の時点では、医療提供体制は逼迫している状況にはないという認識を共有しているところです。
 ただ、東京都では、専門家によるモニタリング会議において、医療提供体制の警戒レベルを1段階上げるべきとの見解が示されたことを受けて、医療提供体制の強化を図っていると承知しております。我々も、そのような対応に対し、できるところはしっかり支援させていただきたいと思っております。厚労省としては、先ほど申し上げたように、引き続きこの動向をしっかり注視する、ただ大事なことは新規陽性者の数だけ見るのではなくて、もう少ししっかり分析しそれに応じた対策をとっていくことだと思います。
 その意味で、先ほどのご質問に申し上げたように、積極的疫学的調査、これをしっかりやることによって早め早めに拡大を抑止していく、そして該当する人たちにはしっかりとPCR検査等の検査を実施し、陽性の方に対しては入院等の措置をとっていく、こうした一連の措置をしっかりやっていくことで、いわゆる「ウィズ・コロナ」と指摘される中で、感染拡大を防止する、他方で経済活動はしっかり高め雇用の維持等も図っていく、こういったことの両立に向けて努力していきたいと思っております。
 最終的には医療提供体制が問われるわけでありますから、そうした状況状況に応じて、医療提供体制を必要に応じて弾力的に拡充していく、これはハードだけでなく人的なものも含めて対応できるように、よく都道府県と連携をしながら対応させていただきたいと思います。
記者:
東京都の224人の状況で、104人が経路不明ということです。これは経路不明者が3桁に上る現状で、積極的疫学的調査の体制が逼迫しているのか、追い切れるのか、このオーダーだったら東京都の積極的疫学的調査は問題なくできるということなのか、この認識をお願いします。
大臣:
これは要するに、その日に分かった人のうち、104名が調査中ということですから、逆に言えば100名を超える方についてはその日の段階で分かっているということです。104名の方については、引き続き調査しながら、逐次判明をしていく、従って何日間か経てば、当日においては調査中、経路が分からないという方も経路が分かったという状況になってきているわけであります。
 したがって先ほど申し上げた調査する力をどう高めていくのかが問われているわけです。これまでも、新宿においては保健所機能の強化ということで、丁寧に申し上げれば、まず私どもの方から日本地域看護学会や聖路加看護学会のご協力もいただいて、1日あたり4名から6名、これは当初国の非常勤職員として6月23日から7月6日の間、新宿保健所に派遣させていただきました。また新宿保健所においては、7月6日から派遣保健師15名を採用しました。
 今申し上げた当初国から派遣された中からも一部非常勤として採用されている方もいると承知しております。更に、7月13日から新宿区の本庁から保健所へ保健師等10名が派遣されるということで、逐次そうした能力の増強に取り組んでおられますし、我々もそうした増強に資するように、国として対応できる人数を確保し提供するなどの対応をしていく。したがって、現時点では最初の質問に戻りますが、積極的疫学的調査でしっかり封じ込めていく、こういう戦略で取り組んでいきたいと思っております。
記者:
九州での豪雨災害について伺います。大雨で被害が出て一週間経ちますけれども、今後も天候の悪化が予想されて被害の長期化が見込まれます。その中で現地での新型コロナへの感染の不安が高まってきております。厚生労働省としては職員を派遣されて情報収集や対策に当たられています。現状として避難所など現地での新型コロナ対策はどのように評価されているのか。そしてその中で見えてきた課題などあればお願いします。
大臣:
現時点での被害を申し上げると、水道では5県で4,654戸以上の断水が確認されておりますが、ピーク時は21,196戸ですから、いろいろなご努力で16,000を超える戸数は断水が解消しています。引き続き、まずは断水被害の地域に対しては給水車等による応急給水、そして一日も早い断水状況の解消に努めていきたいと思います。
 それから今お話があった医療機関の感染拡大抑止とも関わりますが、医療機関では現在、被害がほぼ回復しており、残った医療機関は大分県の1医療機関です。それから新型コロナ感染症の受入病院とされた病院には、そのような被害はない、通常通り対応し得る状況にあると確認しております。また、DMATは93隊が既に出動し、うち九州地方では71隊が活動していただいております。
 社会福祉施設については合計109施設に浸水等の被害がありました。球磨村の千寿園を除いて人的被害はないということです。避難所の関係でありますが、感染症対策、更にはエコノミークラス症候群などの健康管理、あるいはそうしたことへの心配等もあることから、ストレスに対するケア、支援が必要と考えておりますので、全国から保健師の方が5チーム16名が熊本に派遣されております。また、DHEAT災害時の様々な医療や健康管理等を支援するチームについては現時点で4チーム、それから厚労省、先ほどありました2名の職員を派遣しており、今、県と調整して、避難所を回りながら感染の対応についてのマニュアルに沿って行われているかという、こうした助言等を行う活動をしていきたいと考えております。
 現時点でそういう状況でありますから、具体的な課題ということが今にわかに出てきているわけではありませんけれども、一番よく言われるマスクや消毒液など衛生関連物資については、既に内閣府と連携しながらマスク1万枚、消毒液1,000本を関係業界から調達をし、これらは本日中に熊本県に到着すると聞いているところであります。
 このような措置はプッシュ型で支援する形でしっかり取り組んでいきたいと思います。併せて今後、新型コロナウイルス感染症の懸念もあります。その症状が出てきた場合に、簡易の抗原キット等が使い勝手が一番良いわけでありますから、それも迅速に必要なところに供給できるようなこういう体制も敷いているところであります。
記者:
今日から受付が始まる休業支援金についてなんですけれども、現時点で厚労省が想定している申請人数の規模やその積算根拠を教えてください。また、企業の協力を得る仕組みとなっていることから、在職中の非正規労働者が今後の雇止めをおそれて申請しにくいのではないかという指摘もございますが、その点に対する大臣のお考えを教えてください。
大臣:
まず、一点目でありますけれども、予算上は約60万人という想定をしております。これは当初予算時点において、どの程度の方が休業になっていくのかについて最大6%と仮定させていただき、また、今回対象は中小企業の方ですから、これは労働者全体の7割、これは全体の労働調査で分かります。そのうち、20%程度の方が給付を利用するという仮定に基づいて、予算上60万人としているということであります。
 ただ、現下の雇用調整助成金もかなり申請・支給も進んでおります。実際大事なことは、休業されている方のどれぐらいの方が休業手当を受けているかということでありますから、これは資料を分析していきたいと思っています。いずれにしても、休業されている方がしっかり休業手当を受け取られて、雇用の継続とともに暮らしが守られていく、それに向けて我々も企業等に対してもお願いしたい、先日、経済団体に対してもお願いさせていただきました。
 それから今、申請しにくいというお話がありますけれども、事業主の確認証を添付していただくことになっているものの、その添付が無くても受付をさせていただき、私どもで確認して支給するというスキームになっています。また、仮に、申請をしたことで、解雇されるといった事実があれば、これは当然解雇権の濫用でありますから、我々として情報収集し、指導し、必要であれば法律に則った対応をしていくことによって、それぞれの方々が安心して支給申請できるように対応をしていきたいと思います。
記者:
接触確認アプリのCOCOAですが、陽性判明者1,200人いる中で陽性登録者が3件という発表がありました。実質ほぼ機能していないと見られると思うんですけれども、この受け止めと今後増やしていく上での対策についてお願いします。
大臣:
どう評価されるか、先日ここでも申し上げましたようにこれはまさに皆で作っていく、作り上げていく、そういう仕組みでありますから、まだその途上、スタートしたところであります。そういった意味においては、3名の方がむしろ陽性登録をしていただいた、ご協力をいただいている。
 それから先どうなっているかはシステム上、分からない、つまり、陽性登録をした、接触者は誰で何人いたということはシステム上は分かりません。しかし、そういった中でも当然それを踏まえて検査等に行かれている方もおられると思います。そういった形でご協力をいただいた方にはまず感謝申し上げたいと思います。
 また、そのように一つ一つ進んでいっていることを認識していただくことが、まさに利用の登録の拡大や、システムのダウンロードの拡大、ひいては陽性登録の増加にもつながっていくんだろうと思っております。現在ダウンロード数は632万件まで増えてきておりますので、こうしたことを一つ一つ進める中で、国民皆でこうした感染防止の仕組みを作り上げ、運用し、そしてそれが感染防止にも資する、そうした状況を我々がしっかり情報発信していきながら、また様々なルートを通じてダウンロードをし、また、仮に陽性になった場合には登録いただく、これしっかりとお願いしていきたいと思います。

(了)