加藤大臣会見概要

(令和2年6月30日(火)  11:16~11:37)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭2件申し上げます。新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、子ども食堂や通いの場などのつながり支援等の取組を行う団体の多くがこれまで通りの活動ができない状況にあり、その結果、様々な影響が懸念をされています。厚労省に設置した「生活を守るプロジェクトチーム」において、有識者からいろいろヒアリングしましたが、その中で、感染防止の工夫をして活動を実施している取組事例を全国に展開してはどうかとの提案をいただきました。
 今般、各地域の実情に応じた取組を継続、再開している子どもや高齢者等を対象とした様々な取組、例えば感染防止に配慮し、子ども食堂をフードパントリーに切り替えた事例、通いの場の参加者にウォーキングなどの個人で行える運動を促す事例、あるいは子育て、介護予防、見守りなどの事例、更にはウェブ等を活用した支援の事例、そういった事例について、全国26の実例を収集し公表いたしました。今後ホームページにも掲載し、また逐次新たな事例も追加していきたいと考えております。
 こうした活動に当たっておられる方々や自治体の担当の皆さんにおかれましても、今回公表する事例集を是非ご活用いただいて、地域の実情に応じた子ども食堂、通いの場などのつながり支援を行っていただく中で、子どもさん等への支援を是非続けていただければと思っております。

 2点目であります。先ほど事務レベルではご説明をさせていただいたと承知しており、若干重複しますが、令和2年5月の有効求人倍率は1.20倍と前月より0.12ポイント低下しました。これは昭和49年、1974年の1月に0.20ポイント減少して以来、過去2番目に大きな下げ幅となっております。また、正社員の有効求人倍率は0.90倍と前月から0.08ポイントの低下となっております。内容を見ますと、新規求人数は季節調整値で3ヶ月ぶりに前月比で7.0%の増加となったものの、有効求人倍率の分子である有効求人数については前月より8.6%減少し、過去最大の減少となっております。
 また分母である有効求職者数については、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて離職された方について、これまで求職者数も減っておりましたが、ここにきて求職活動を開始している動きが見られ、3ヶ月ぶりに前月よりも増加となっております。こうしたこともあって、先ほど申し上げたように有効求人倍率が引き続き大きく低下している状況にあります。
 また休業者数、これは原数値ですが、5月は423万人、前年同月差では274万人増で、先月の前月同月差が420万人増でありますから、原数値だけで比較すると約150万人弱減少と、休業者数の増加幅が縮小していることになります。
 この調査では、1ヶ月ごとに半分の調査対象を入れ替えます。従って、5月の4万世帯の調査件数のうち、2万については4月も調査をした世帯であります。4月5月両方とも調査をした方だけ抜き出して見てみますと、4月に休業者だった方の5月の就業状況は、約49%の方が休業を継続していますが、44%の方は従業者となっている、要するに仕事に復帰しており、完全失業者となった方は約2%ということが見てとれるわけです。
 そういった意味では、休業から多くの方が仕事に戻っているという状況がうかがえるところでもあります。また現在の雇用情勢は求人が求職を上回って推移しているものの、求人が引き続き大幅に減少しており、求職者の増加もあって厳しさが見られると考えております。先月は「弱さが見られる」という表現を使っておりましたが、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に、より一層注意する必要があると考えております。
 こうした雇用情勢を踏まえて、今後経済団体などに対して改めて雇用維持等の要請を行いたいと考えております。第二次補正予算では、雇用調整助成金の上限を拡充する、また新たに新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を創設するなどの支援策を講じていますが、事業主の方々、あるいは雇用されている方々に最大限ご活用いただけるよう、我々もそうした申請に対する体制を十分整えていきたいと考えております。私の方からは以上です。

質疑

記者:
有効求人倍率について、過去2番目の大幅な下落ということで、大臣としての所感を改めてお願いいたします。
大臣:
先ほど申し上げたとおり、有効求人数が大きく減少してきている、これは数ヶ月そういった状況が続いています。新型コロナウイルス感染症の雇用に与える影響により一層注意していかなければならないということでありますし、特に雇用関係の数字というのは、感染の状況から見ると少し遅れて出てきますので、そういったことも含めてこの後の推移をよく見ていく必要があると思います。
 一方で、先ほど申し上げた、補正予算で用意した様々な施策等を活用することによって、各企業の皆様に雇用の維持に引き続き取り組んでいただく。同時に、残念ながら職を失った方々に対する相談支援体制の強化をしていく、あるいはそうした方に対する求職者支援訓練等についての枠を拡充しておりますから、それを活用していただく。あるいは雇用保険の基本手当の給付日数の延長等を図るための法案を先の通常国会に提出させていただき、成立しました。
 解雇、雇い止めをされた方には、そういった措置を活用しながら求職活動をしていただき、再び仕事に戻っていただけるよう、我々も万全の支援をしていきたいと思っております。
記者:
雇用について伺います。先ほど大臣が仰ったように、引き続き雇用の情勢について注意して見ていくということで、経済団体には雇調金の活用など、雇用維持の要請を行いたいというお話でした。一方で、雇調金のコロナの特例については、9月末までと期限が近づいております。9月末以降のその対応について、現時点でどのようにするつもりなのかお考えをお聞かせください。
大臣:
まず現在の状況の中で、先ほど申し上げた様々な制度を活用していただく。また、個人に対する休業支援金について、できるだけ早く申請が受けられるような体制を確保すると同時に、その申請を処理できる体制整備を図っていくことによって、まずこの、今の時期において、必要な方に雇用調整助成金あるいは休業支援金の活用を図っていただけるよう最大限努力していきたいと思います。
 また、企業側あるいは休業されている方々にしっかりそれを周知し、活用していただく、これに全力をまず傾けていきたいと思います。その上で、10月以降の対応については、今後、先ほど申し上げた雇用情勢等々をしっかり見極めながら、適切に判断していきたいと思います。
記者:
ワクチンについて2点伺います。今日から大阪大学とアンジェスが開発したワクチンの治験が始まるとのことですが、国産ワクチンの治験が初めてですが、それに対する期待と、DNAワクチンという新たな手法のメリット・デメリットをどう見るかというのが一点目です。
大臣:
まず、ワクチンについて、国内外で様々な開発がなされております。我々も国内ワクチンの開発を含めて支援をしっかりさせていただくべく、予算も獲得しておりますので、それを活用していただきたいと思っております。今お話があったアンジェスと大阪大学の共同開発については、既に臨床試験の届出はなされておりますので、今日にでも臨床試験が開始できるということを目指して作業が進められていると承知しています。
 ワクチンにはいくつか種類があり、組換えタンパクワクチン、m-RNAワクチン、DNAワクチンといった様々な仕組みにおいて、各社が、あるいは共同したグループがそれぞれ開発をされているということです。それ以上詳しくはよく分かりませんが、当然やり方が違う以上、採用基準等々も異なってくるのだろうと思います。
 それも含め、今、開発が進められているということなので、様々なやり方で進めていくということが、結果的にワクチンの早急な開発につながっていくものと期待をしております。DNAワクチンというのはこれまで日本ではなかったと承知しておりますから、こうしたワクチンの開発が進んでいくこと、それを我々もできるかぎり支援をしていきたいと思います。
記者:
先週金曜日、アストラゼネカが日本政府と国内供給に向けて協議入りすると発表しました。世界的に有効性・安全性が確認される前からワクチンの争奪戦が激しくなっていく状況だと思います。日本政府として、国内・国外両にらみで進める狙いと実用化に至るのか見えていない中で、早々に動かなければいけない状況について大臣としてどのように認識されていますか。
大臣:
アストラゼネカ社においても、報道等では様々な開発の中で先陣を切って開発が進んでいると報道もございましたが、それについて先般、アストラゼネカ社の日本法人の社長がこちらにおいでになられて、7月中にかけて日本国内における供給に向けた具体的な協議を進めるということで合意をさせていただきました。
 具体的な交渉はまさにこれからでありますが、アストラゼネカ社のみならず、様々な開発が進んでいく中で、我々としても一日も早く、開発が完成されたものについては国内において供給され接種が行われていく、その状況を作るべく、しっかり目配りしながら、また必要な交渉を重ねて、そうした状況を作っていきたいと思います。
 完成を待ってから交渉ということでは、世の中の流れのなかでは後塵を拝してしまいますので、多少のリスクは取りながら、交渉すべきことはしっかり交渉した上で、国内において一日も早く完成したワクチンが多くの方に接種できる、こういう状況を作っていきたいと思います。
記者:
新型コロナウイルスの新規感染者がここ数日100人前後で推移しておりますが現状どう分析されるか。緊急事態宣言の再宣言の必要性についてどうお考えかお伺いします。
大臣:
緊急事態宣言後、一日概ね50人前後で推移しておりましたけれども、ここ数日は80人以上、28日、29日は100人を超える状況になってきております。昨日時点で、一週間連続で感染が確認されていない県も28県ありましたが、他方で、東京都ではここ数日50人を超える感染、また、北海道・埼玉県でも新たな集団的な感染事例も確認されています。
 こうした感染者数の増加の背景の一つには、積極的に検査を受けていただいている、検査を実施しているということもあるのだろうと思いますが、いずれにしてもこうした動向はしっかり注視していかなければならないと思います。また、医療提供体制について言えば、日本全国で見ると、ピーク時に向けて病院が確保している病床数に対する入院患者数の割合が約3%、重症者数についての割合は約2%となっております。
 また、東京都のホームページ等を見ると、モニタリングの指標において、レベル1においては重症者数が100床に対して10人、それから入院患者については1,000床に対して272人、そうした数字が掲載されています。先日も各都道府県に通知を出させていただきましたが、私どもとしては、引き続き、検査体制・医療提供体制・保健所の体制、これを一体的に整備していくことが必要だと考えておりますので、検査需要の見通しについての考え方をお示しさせていただいて、それを踏まえて、それぞれの自治体で具体的な見通しを持っていただき、その上で検査体制・医療提供体制・保健所体制の整備を図っていただきます。
 それに当たっては、先般の第二次補正予算等々もしっかり活用を図っていきたいと思っています。それから、緊急事態宣言については、今申し上げたような状況でありますから、今ただちに必要という状況にはないものと承知しております。
記者:
成田空港の検査数が昨日1,000件を超えて過去最高となり、空港の運用時間の延長が行われることになりました。また、入国緩和はベトナムのみで始まったばかりですけれども、こういった理由は、何が理由とみていらっしゃるか、また、空港会社が国に検査体制の強化を求めておりますが、どう対応されますか。
大臣:
検疫においては現在、入国拒否対象地域に過去14日滞在歴のある方に対しては全員にPCR検査を実施するとともに、指定場所での14日間の待機、公共交通機関を使用しないことの要請を引き続き行っております。6月28日に成田空港の検疫所で、入国拒否対象地域のうち、特に中国から入って来る方が増え、検査数も過去最高の1,136件になったと承知しています。
 一部の航空機の到着が遅延したことなどもあって、検疫開始時間が遅れ、検疫手続きに時間がかかったということ、その結果として、午前0時が離陸の期限と承知しておりますが、それを過ぎて離陸をした航空機もあったと承知しています。私どもとしても今、ビジネストラックを含め国際的な人の往来を段階的に慎重に拡大していく流れに対応できるように、感染拡大防止とあわせて検査能力や体制の拡充も図っていきたいと思っております。
 また、現在、空港に到着した後、場合によっては一定時間、飛行機の中で待っていただかなければなりません。それから今回話を聞くと、書いていただくものに十分書いていただいていないことで、結果として時間を要しているということもあります。その辺りは航空会社等にもしっかり協力をいただきながら、空港における円滑な検疫の実施に向けて努力をしていきたいと思います。
記者:
新型コロナウイルスの影響で休業手当を受け取れていない人向けの休業支援についてなんですけれども、大臣6月12日の閣議後会見で6月下旬頃に発表とお話されておりましたが、今日までに発表できていないのはなぜでしょうかということと、法案の成立後1か月以内には申請を始めるというスケジュールも遅れる見通しでありますでしょうか。
大臣:
個人に対する休業支援金については、システムの整備もしっかり図っていかないといけませんが、残念ながら雇用調整助成金の場合、二回にわたってシステムが止まったということで皆様に大変なご迷惑をおかけしております。
 システムは単に申請するシステムだけではなくて、処理するシステムもあわせて作っておりますので、その関係でもう少し時間がかかるものと聞いておりますが、7月の初頭とはいきませんが、上旬に向けて今、鋭意作業を進めておりますので、順調に進めばそうしたタイミングで申請を受け付けていきたいと思っております。
記者:
ビジネストラックの点について、入国後の検疫は厚労省がやっていると思いますが、出国前のPCR検査について、どのような主体がどのような施設を使ってどのようにやっていくのかという点について、現在どういう案があるのか、そこで厚労省がどのように関与していくのか、検討されている範囲で教えて下さい。
大臣:
政府全体として今議論がなされていると承知しております。入国の場合は我々の検疫ということでありますが、出国されることに関するPCR検査については、国内で診療所にかかれば、これは当然、診療あるいは積極的疫学調査になりますが、そうではないということで、我々のカテゴリーでいえば自由診療の位置づけになるのだろうと思います。
 しかし、これからビジネストラックを再開していくに当たっては相互の関係でありますから、国内におけるそういう体制を作っていく必要があることは我々認識し、それをどういう形で作っていくのか、誰が主体となるのかなど、今、政府全体で議論・調整していると承知しています。
 我々としてもサポートできるところはサポートさせていただき、そういう体制を構築する中で、全体の中で再開、ビジネストラックを作る努力をしていきたいと思います。
記者:
空港のビルを使うといった案も浮上しているようなのですが、その点についてはいかがでしょうか。
大臣:
場所も含めて、様々な議論があると思います。それは私どもだけでなく、空港ビルということになれば国交省等も関係してくるわけです。政府全体で、今ビジネストラックをどうしていくのかということの検討を随時進めていく中で、先般方針を出させていただいた。そしてそれに則って、今、具体的な作業を進めていると承知しております。

(了)