加藤大臣会見概要

(令和2年5月15日(金)  8:30~8:45)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
冒頭2件お話しさせていただきます。まず、抗体検査について、海外で承認されている検査キット等の性能について、厚生労働省の研究班において、献血血液を用いて評価を行ってまいりました。 本年4月に東京都内及び東北6県で採血されたそれぞれ500検体と、昨年1月~3月に関東甲信越で採血された500検体、したがって、今回の新型コロナウイルス感染症がまだスタートしていない時期ということでありますが、測定を行ったところ、本年の東京都の検体から、これはいくつかのキットを使っておりますから、それらを合わせて3件、東北6県の検体からは2件、昨年の検体からは2件で陽性の結果が得られました。
 この結果については、本研究班のほか、統計学はじめ複数の専門家にもご意見を伺いました。昨年・今年に採取された検体の結果には、偽陽性が一定程度含まれていると考えることが自然であり、また、今回用いた検査キットの結果にもばらつきがあることから、今回の少人数の検査をもって、検査キットの性能や抗体保有率について言及することは適切ではないというご指摘をいただきました。 この先行調査を踏まえ、我が国における抗体の保有状況をより正確に把握するためには、より多くの被験者を対象とした抗体の定量検査、今回はあるかないかだけでありましたけれども、抗体の量を測ることもできる検査を行うことが必要であると考えています。早ければ来月から、一般住民を対象とした大規模な、統計の専門家とも相談しておりますが、トータルで1万規模程度のものを想定しておりますが、本格的な調査を開始したいと考えております。現在、感染が流行している地域と必ずしもそうでない地域を含むいくつかの都道府県に対して、検討を既に依頼し調整を行っているところであります。詳細については、後ほど事務方からブリーフィングをさせていただきたいと思います。
 二点目でありますけれども、新型コロナウイルス感染症の労災保険給付に関して、昨日、日本医師会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会、日本病院会、全日本病院協会に、労災補償請求の勧奨等への協力を要請いたしました。現下の感染状況下では、とりわけ、各医療機関において、感染予防対策を講じていただきながら、日々懸命に、患者さんへの治療・看護などの業務に当たっていただいておりますけれども、こうした皆さんが何かあったときに対応できる、そういった安心感を持っていただくという意味においても、労災保険がセーフティネットの役割をしっかり果たすことが重要だと考えております。 このため、医療従事者については、業務外での感染が明らかなもの以外は、原則として労災補償の対象になるというこの取扱いを、先月28日に全国の労働局に通知し、労働局における適切な対応の徹底を指示いたしました。
 また、厚生労働省ホームページのQ&Aにも載せておりますけれども、改めて、今回、医療現場により一層浸透させ、それと皆さんに理解を深めていただくことが必要ということがあり、冒頭申し上げたような要請をいたしました。改めて、医療従事者の方が感染した場合には、速やかに、かつ、これはご本人が請求していただかなければなりませんが、ご本人に労災請求を勧奨するとともに、その請求手続きに当たって各医療機関に御協力をいただくことを、私からも改めて強くお願いしたいと思います。 なお、新型コロナウイルス感染症について、現時点での労災請求は、5月14日現在で39件でありますが、このうち調査が終了したものを、今週初めて2件支給決定しました。1件は医療従事者等、それ以外が1件となっております。 引き続き、労災請求に対して、迅速に決定していけるよう、指示したところであります。

質疑

記者:
緊急事態宣言について伺います。昨日、39県で解除が決まりました。一方で、東京都などは引き続き、特定警戒の状態が続いているところもあります。今回の判断、また、これまでの状況をどのように評価されますか。
大臣:
昨日、総理からも会見で発言がなされました。いくつかの基準を踏まえ総合的に判断して、39県については、今後、徹底したクラスター対策を講じることで感染拡大を防止するレベルまで押さえ込むことができたと判断して、解除されることとなりました。引き続き、蔓延防止については「3密」を徹底的に防止していただきながら、新しい生活様式を定着し、そして新たな日常を国民のみなさまと一緒に作り上げていくことが重要だという考えが示されました。
 更に、総理から3つのお願いがあり、少しずつ段階的に日常を取り戻していただきたい、テレワークなど前向きな変化はこれからも続けていただきたい、日常のあらゆる場面で感染症への警戒を怠らないでいただきたい、ということであります。そうしたことにも十分、注意をしていただきたいと思います。
 厚生労働省としては、引き続き徹底したクラスター対策ができるような対策の強化、また、PCR検査体制の強化・充実、そして、医療提供体制についても、重症・中等症、更には軽症者における宿泊療養等々、役割分担を踏まえた整備等について、各都道府県を始め関係者の皆様方と、今、新規の感染者の数はみなさんのご協力のおかげで減少に転じているという状況ではありますけれども、むしろこの機会に、再び感染者数が増加するということも想定して、そうした事態を踏まえた体制の整備に向けて、更に努力してまいりたいと思います。
記者:
首相が雇用調整助成金の上限引上げのほか、雇用者が直接申請して、支給を受け取ることができる新制度を増設することを表明されました。雇調金から新制度の方に軸足を移していくのか、もしくはそれぞれどういう使い分けを想定されているか考えをお聞かせください。
大臣:
私どもとしてはまず、こうした感染症の対応を皆さんにお願いする中で、経済情勢が厳しくなり、またそれが、雇用の状況にも影響してきている。こういう中で、それぞれ事業主の皆さんに、雇用を守っていただく。我々としても雇用を守ることに対して全力で取り組みたいと思っております。そうした中で、雇用調整助成金についてもこれまで助成率の引上げ、あるいは支給時期・支給期間・申請手続の簡素化、支給に至る期間をできるだけ短縮するなど、色々な措置を図ってまいりましたけれども、更に昨日も、現状の8,330円を、1万5千円まで引き上げることについて総理から言及がございました。併せて、労働者が直接申請することができる新たな制度の創設も公言されたところであります。
 こうした制度について、我々早急に、実現に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。新たな制度は、休業手当が支払われないケースもあるということも含めて、労働者の立場に立って検討している中でありますが、まず、雇用維持の要となる雇用調整助成金、これがまず本来だと私ども思っておりますので、これについてしっかりと活用いただけるよう、引き続き、それぞれの企業の皆さん、あるいは団体等に周知を図るとともに、申請に向けてまだ様々な課題が指摘されております。そうした課題の解消を図りながら、まだ申請に至っていない方についても、早く申請をしていただく。
 そして申請がなされれば、一日も早く支給、二週間を目安にということを申し上げておりますけれども、そうした中で処理をしていく。そのための体制整備を含めて、しっかりとやっていきたいと思っております。なお、新たな制度の有無に関わらず、使用者の責に帰すべき事由により労働者を休業させた場合には、労働基準法上、休業手当の支払義務が生じるわけでありますから、この新たな制度によって支給されたからといって、その義務がなくなるわけではない。このことは明確にしておきたいと思います。
記者:
抗体検査について伺います。昨年の4月から3月の2件は偽陽性という認識でしょうか。また、抗体検査を今後どのように活かしていくのか、感染状況の把握に加えて、治療法の開発やワクチン接種などへ向けた体制整備など具体的な活用方法のお考えをお聞かせください。
大臣:
まず、一つは、先ほど冒頭申し上げましたように昨年の1月から3月ということであれば、これは今年ではありませんから、まだ新型コロナウイルス感染症という感染が生じていない時期の献血から、こうした陽性が出たということであります。したがって、この陽性は一体何に反応したのかということが問われるわけであります。そういった観点から先ほど申し上げましたように、この検査キットの性能や抗体、ウイルスそのものがこうだから、ということで判断するのが適切ではないかということを統計等の専門家からご指摘をいただいているということであります。その上で、これをどう使っていくのかということですが、先ほど申し上げましたように、今は限界がありますけれども、抗体の定量を検査をする装置、そうしたメカニズムのあるもの、これもいくつかありますから、それをいくつか活用して、先ほど申し上げた大規模な検査をすることによって、あるかないかだけではなくて、どのくらいあるのかということも含めて検査していくことが必要だと思っております。
 それから、もう一つは、抗体がどういう過程で出来上がっていくのか、あるいは抗体がどのくらい持続しているのか、これはまた別途、研究をしていかなければならないと思います。そういったことが相まって、この抗体検査キットをどう活用していくのかということが最終的に確定していくと思いますけど、当面、そうした大規模な調査を並行して行いながら進めていきたいと思います。
記者:
医療現場のIT化についてお伺いします。病院との情報を共有するシステムが始まりますが、現場の医療機関の中にはその動きをよく把握していなかったり、対応に不安を覚えるところもあります。現状の進捗状況とそもそも日本の医療の現場で、IT化が進まない理由があるとしたらどこにあるとお考えでしょうか。
大臣:
今、大きく2つ進めて、すでにG-MISというのが走っておりまして、これは各医療機関の入退院の状況から、そこにあるPPE、マスク等の備蓄状況、こういったものを日次又は週次で上げていただく仕組みで約8千の医療機関が対象となる中で、今、半数くらいから定期的に報告をいただいているということであります。これについても多くの医療機関から報告をいただけるように、更に周知をしていきたいと思います。もう一つは、病院の状況を把握する仕組み、今度は、新型コロナ患者の情報を保健所・医療機関等々で把握していく中で、より的確な把握をし、患者さんに対する対応ができていく。それから、例えばPCR検査をどれだけやったかとか、あるいは退院者がいまどこにおられるのか、こういった情報をより効率的に把握していくということで、もう本日から一部の自治体では実施をしていただくことにしております。今月中にも全国での利用が開始できるように、逐次進めていきたいと思っております。
 なぜ進まないのかという話ですけれども、これまでも従前から現場ではレセプトを始め、色々な仕組みができてきています。入力する事務もなかなか大変でありますから、これからそれをいかに統合化して、あるいは自動的にそれが把握できるようにして、入力事務の負担をできるだけ軽減して、より一層こうしたデータの活用をする中で、こういった活用があるな、こういった効率化が図れるな、こういった実感を持っていただく、こういったことが相まって必要となってくるだろうと思います。今回こういった事態が発生した中で、今申し上げた二つのシステムを既にスタートしておりますが、私どもとしても更にこうした医療機関等におけるIT化を進める中で、更にはここから生まれてくるデータの活用含めて、更に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
記者:
先ほどお話のあった、雇用調整助成金と新たな制度の創設について、新たな制度で労働者による直接申請して、直接給付を受けることを認めることになりますと、休業手当を支払わないなど使用者としての責任の薄れにつながるのではないかといった懸念もあります。大臣として、その懸念についてどうお答えになるのでしょうか。
大臣:
従前から、特にみなし失業について議論がありました。そういった背景には個々の休業手当を支給してもらえないという、個々の事情もありました。そういった懸念もある一方で、今申し上げた事情、それぞれみなさまが休業手当をもらえずに非常に生活に困っておられる。そういったことを勘案して、今、個別申請ということについての仕組み作りに入っているということであります。
 ただ、その上で、先ほど申し上げたように、経営者の責にある場合には、休業手当を払わなくてはならないという労基法という法律があるわけですから、それもしっかり認識していただきながら、基本はそれぞれの企業が休業手当をお支払いただき、そして雇調金を活用いただく、これをメインとしながら、しかし、そうした対象に残念ながらなっていない方々に、そういった方々に対する措置として、今回の個別申請という運用をしていきたいと思っております。
記者:
WHOの総会が18日から始まりますが、この中で、今回の総会で日本政府としてどのようなことを訴えて、どのような成果を得ようとしているのか、昨年のように何らかの手続の採択を日本が主導して目指すのかということも含めてお願いします。
大臣:
5月18日から19日にかけてテレビ会議の形式でWHO総会を予定しておりまして、新型コロナウイルスへの対策が主たる議題になると認識しております。日本政府を代表して私が直接テレビ会議に出席することとしておりまして、我が国の感染状況と対策の状況、そして、ワクチンの開発や供給への支援に我が国がどう取り組んでいくのか。また、今回のようなパンデミックを未然に防止するための検証の重要性、こういったことについて答えていきたいと思います。また、決議についても今、議論されていると聞いておりますので、私どもとしても日本の主張を盛り込んで、しっかり調整していきたいと思います。

(了)