加藤大臣会見概要

(令和2年3月31日(火) 8:53 ~ 9:09 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭4件申し上げます。まず明日4月1日から、働き方改革関連法による同一労働同一賃金が順次施行され、正社員と非正規雇用労働者との不合理な待遇差の解消が求められることになります。具体的には、大企業と派遣会社については本年4月1日から、中小企業については来年4月1日からの施行となります。企業の皆様におかれては、現下の厳しい状況ではありますが、厚生労働省としても、全都道府県に設置しております「働き方改革推進支援センター」におけるきめ細かい相談支援や助成金の活用等を通じ、同一労働同一賃金の実現に向けた企業の取組をしっかりと支援させていただきます。また、平成30年度より全ての労働基準監督署に設置した労働時間相談・支援班が、改正労働基準法や労働時間制度に関する説明会の開催、事業主の希望に応じた個別訪問による支援の実施など、中小企業の立場に立った丁寧な対応を行ってきているところであります。明日から中小企業にも時間外労働の上限規制が適用される中、労働基準監督署においては、引き続き中小企業の立場に立ちつつ丁寧な相談・支援を行うこととしております。その際に、今般の新型コロナウイルス感染症が中小企業に与える影響にも十分配慮した相談・支援に取り組むよう、都道府県労働局に、私から事務次官に対して依命をし、その通達が3月17日、もう既に行われておりますが、徹底を図るよう、指示しているところであります。
   2点目でありますけれども、明日4月1日から、受動喫煙対策の強化を図るための「健康増進法の一部を改正する法律」が全面施行されます。改正法では、「望まない受動喫煙」のない社会に向け、施設の類型・場所ごとに禁煙措置等の対策を行うことになっています。既に施行されている行政機関等での措置に加え、明日からは、飲食店等を含む多数の方が利用する施設について「原則屋内禁煙」となります。厚労省としては、これまで、国民や関係団体への周知啓発、通知やガイドライン等の発出による自治体への技術的支援、さらに、事業者等が施設整備を行う際の財政支援など、円滑な施行に向けて、様々な取組を行ってきました。引き続き、国民の皆様や事業者の方々に対して丁寧に説明を行い、受動喫煙対策、望まない受動喫煙が行われない、こうした社会の実現に着実に取り組んでいきたいと思います。
   3点目は、就職氷河期世代採用選考についてであります。就職氷河期世代を対象とした厚生労働省の採用選考につきまして、いわゆる就職氷河期世代の方々の意欲・能力を活かして御活躍いただくとともに、厚生労働省の組織の活性化を図るという観点から今回実施をいたしました。10人の採用を予定しておりましたが、当該選考の結果、内定者が18名となっております。その中には、非正規職と無職を繰り返し、一時的に正社員となっても処遇に恵まれず転職を繰り返された方や、一貫して非正規での就職が続いた方などがおられるとの報告を受けております。今回の内定者の方々については、5月1日以降の採用となりますが、これまでの様々な経験を通じて培ってこられた能力を是非、厚生労働省の中で遺憾なく発揮していただきたいと心から期待をしているところであります。
   最後になりますが、令和2年2月の有効求人倍率は1.45倍と、前月より0.04ポイント低下しました。また、正社員の有効求人倍率は1.05倍と、前月より0.02ポイント低下しました。令和2年1月から求人票の記載項目の拡充を行っており、このことが有効求人倍率の低下に影響している部分もあると考えております。現在の雇用情勢は、求人が求職を大幅に上回って推移していますが、新型コロナウイルス感染症が雇用に与える影響に十分注意する必要があると考えています。私の方からは以上であります。

質疑

記者:
新型コロナウイルスで、昨日、日本医師会の記者会見がありまして、政府の専門家会議や諮問委員会のメンバーも務められます釜萢常務理事から、爆発的な拡大を防ぐためには、緊急事態宣言に続いて爆発的な感染拡大が起こってからは手遅れで、宣言を出した方がよいのではという意見が多数を占めているとの発言がありました。大阪府の吉村知事も、緊急事態宣言は、増えてからでは遅い、発出すべきだと昨日述べられていましたが、改めて大臣として、いま緊急事態宣言の発出について、どういうご認識でいらっしゃるのかということをお伺いできますでしょうか。
大臣:
日医の方は、個人的な見解としておっしゃられたという認識をしております。昨日の長官会見で現在の状況は緊急事態宣言との関係でギリギリ持ちこたえているという認識を表明されたところでありました。私どももその認識は共有をしております。緊急事態宣言については積極的に展開すべきだという声と、慎重に対応すべきだという声と、それぞれあると思います。いずれにしてもそうした声も踏まえながら、よく今の感染状況、そしてこれからどう動いていくのかという先行きも見据えながら、専門家の方々の判断を仰いで決めていななければいけない問題だと思います。
記者:
今、専門家の方々の判断も仰いでという話もありましたが、3月19日に専門家会議を開かれて、その際に、2週間を目途にまた専門家会議を開くというお話がありました。2週間となりますと、今週の水曜日・木曜日、明日・明後日ぐらいになりますが、開催の目途でしたりとか、あと特措法ができまして、それに基づくその対策、専門家会議としての開催になるのか、そういったところも含めてお伺いできますでしょうか。
大臣:
3月19日の専門家会議においては、私の方から、会議のメンバーの方に対して国内の感染状況の認識やそれを踏まえた今後の対応策について2週間程度先を目途に、改めてご議論、検討をお願いしたいということを申し上げておりますので、今週の半ば頃には、そうした動きもいただければいいのではないかと期待をしております。
記者:
それは今までと同じ枠組みで開かれるということでしょうか。
大臣:
専門家会議としてであります。
記者:
先ほど発表のあった有効求人倍率の件なのですが、今回、下がっているということですが、コロナに関する影響というのはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
大臣:
有効求人倍率、先ほど申し上げたように、前月に比べて有効求人倍率の新規の正社員の有効求人倍率が下がっているということであります。ひとつは、冒頭で申し上げましたが、求人票の記載項目が拡充されたということが、求人の少し抑制につながっているのではないかという見方がありますが、それがどこまでかを考慮せずに数字を見れば、有効求人倍率は下がっているということは言えると思っております。ただ、未だ水準そのものは、先ほど申し上げたように1.45倍と、求人が求職を大幅に上回る、こういう状況は続いていると思いますが、ただ、足下を見ておりますと、解雇の見込みの方、あるいは雇用調整を相談されている企業、あるいは採用においても、内定取消し、入職時期繰下げあるいはそれにかかる相談、こういったものが増加をしておりますから、しっかり今後の動向を注視していかなければならないと思っています。
記者:
新型コロナウイルスの水際対策について伺います。ヨーロッパやイランからの入国制限が行われてから多くの日本人の方が帰国されて、大臣も待機場所の確保や人員の拡充についておっしゃっていましたけれども、現在の検討状況や今後の対策についてのご見解をお願いいたします。
大臣:
今のレベル3に対しては、基本的に入国制限がかかっていますから、それを踏まえて私どもも帰国された方に対しては全てPCR検査を実施し、2週間自宅等において待機をしていただく。もちろん公共交通機関は使わないでいただく。それからレベル2の国に対しては、PCR検査は実施をしませんが、それぞれ2週間、検疫所長が指定する場所、主として自宅等において公共交通機関を使わずに待機をしていただくと。このスキームは引き続き維持をしながら、当然対象国がこれから国々の動向を見ながら、レベル3あるいはレベル2が増えていくということになるだろうと思いますので、それに向けた体制の整備をしっかりやっていきたいと思っております。また、これは厚労省だけでできる問題ではありませんので、国交省とか等々、様々な省庁の協力もいただきながら、こうした水際での対策に万全を期していたいと思います。
記者:
昨日、新型コロナウイルスの関連なのですけれども、各種ネットなどで4月1日に緊急事態宣言が発令されるのではないかというのが飛び交っていたのですけれども、それについては大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
まず、こういうときにはいろんな噂が流れるということはあるのだと思いますけれども、それは、昨日官房長官もそうした事実は全くありませんと明確に否定をされておられたと思います。今の私どもの立場は先ほど申し上げたように、今緊急事態宣言を行う状況なのかという意味においては、ぎりぎり持ちこたえているという昨日の長官会見、こういう認識であるということです。
記者:
こうした事態になるといろんな人の不安というか、そういうものが増幅してしまうような懸念もあると思うのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
大臣:
もちろん、次どういう展開になっていくのか、あるいは新型コロナウイルスが自分に感染するのではないか、家族に感染するのではないか、いろんな心配を持っておられる方がいると思います。そういった方々に対しては、これまでもそうですけれども、新型コロナウイルス感染症というものはどういうものなのか、あるいはどうやって感染を防ぐことが出来るのかといったこと含めてしっかりと情報提供していくということが一番大事なのだろうと思います。また我々が何をどう考えているのかということに対しては、感染の状況とかあるいは我々がデータとして示せるもの、これはしっかりお示しをしていく。さらにそこに専門家会議の知見や分析を加えていく。これは全て公表していますので、そういったものも含めてできるだけ正確な情報を、また先行きの見通しを得ることにつながる情報はしっかりと提供していくことでそういった不安を少しでも解消していきたいと思います。
記者:
先ほどの都市封鎖に関係することなのですが、公共交通機関が法に基づいて公共交通機関に運行停止を求めたりするということが今可能だとお考えでしょうか。またその根拠として先週政令改正のあった感染法33条がその根拠となるのではないかということがいわれていますがそこについてはいかがでしょうか。
大臣:
あれは全く違います。そこは感染されているところに対してそこを原則は消毒して使うことができるわけですけれども、それでは十分に行き届かない場合にはそこを閉鎖する。またそこに向かっていく通路・交通手段を一時的に遮断するということであって、今言われているように感染自体を防止するということの手段、狭い意味ではそうですけれども、広い意味での手段とは全く異なっているということでありますので、緊急事態宣言の場合にはあくまでも要請あるいは指示ということがベースになるということであります。
記者:
感染法33条を根拠にした交通封鎖というのは行わないという認識でよろしいですか。
大臣:
行わないというのは局所的に今申し上げた感染する箇所があって、そこが十分消毒ができていないような場所においては、そこに人が集まることを避けなければなりませんから、そういう部分的な話としてはもちろんあり得る、そのための政令を改正したわけでありますが、ただ今言われているような広域において人の動きを止めたいという趣旨で使える条文では全くありません。
記者:
先ほどの求人倍率の関係なのですが、足下で解雇、雇用調整、内定取消しが増加しているということでしたけれども、これに対する国としての支援の必要性であるとか、今後の対応というのをどのように考えていますでしょうか。
大臣:
まず一つは、相談をいただいたときには雇用調整助成金等もありますから、そういったものを活用して雇用の維持を図っていただく、あるいは内定に関しても、内定してもすぐに、例えばその方も含めて休業に入っても雇用調整助成金の対象になっていますから、そういったことをいろいろお話しながら、例えば内定については内定の取消しを回避していく、あるいは入社時期の繰下げというのが出てきていますが、繰り下げずに、繰り下げてしまうとその間は無給になりますので、冒頭から採用して、もし仮に休業するのであれば、今申し上げた措置がある等、いろいろと労働局としても事業主の方とお話をさせていただいて、基本的な雇用が守れると、あるいは採用の内定がきちんと実行される、そういうふうに一つひとつ努力をしていくということです。ただ、万が一解雇につながったり、あるいは採用内定取消しにつながっているというケースについては、それぞれ個別に、採用内定取消しであれば、我々ハローワークとそれから大学とよく連携をしながらしっかりとつなげていきたいと思いますし、この間の新聞を見ておりましたら、そうした方を是非採用したいという企業もいくつか出ておりますので、そういった方とつないでいく。もちろんご本人の希望はあると思いますけれども、できるだけ細やかに、特に人生の、社会に出る第一歩でありますから、大きなつまずきをするということは、その後にもいろんな意味で影響があると思いますので、できる限りそうならないように丁寧に対応させていただきたいと思います。
 

(了)