加藤大臣会見概要

(令和2年3月10日(火) 10:14 ~ 10:39 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず本日の閣議において、「国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令」が、厚生労働省、経済産業省及び消費者庁の共同請議により閣議決定されました。本政令に基づき、マスクの転売行為が一部禁止になります。具体的には、3月15日以降、不特定の相手方を対象に販売を行う小売事業者などから購入したマスクを、購入価格を超える価格で譲渡することが禁止され、違反した場合には、罰則、これは1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれの併科の対象になります。厚生労働省としては、経済産業省、消費者庁とも連携して、今後とも、品薄状態になっておりますマスクについてその解消とそして特に必要とされる方々への優先的な配布を含めて対応していきたいと思っております。
 それから2点目でありますが、先週土曜日に、米国のエイザー保健福祉長官との間で電話会議を行いました。この中で、サンフランシスコ沖に停泊中のグランド・プリンセス号への対応に当たって参考にしてもらうべく、我が国のダイヤモンド・プリンセス号への対応に関する知見・経験を共有いたしました。私からは、検疫に当たって特に留意して対応した事項として、重症者等への対応、船内の感染防止体制の確立と徹底、乗員・乗客の健康維持と不安の解消といったことについてお話をし、今後も必要な情報提供については協力を惜しまないことをお伝えしました。エイザー長官からは、具体的な質問もいくつかございましたけれども、アドバイスに対して、丁寧な感謝の言葉をいただきました。またグランド・プリンセス号に乗船している日本人の方、乗客3名、乗員1名の対応についても、引き続き両国間で連携を図っていくこと、さらには洋上及び陸上における新型コロナウイルス感染拡大防止に向けても協力していきたいと考えております。私の方からは、以上であります。

質疑

記者:
2月下旬に専門家会議が、これから新型コロナウイルスの感染が急速に拡大するか収束するかの瀬戸際というふうに発表してから2週間が過ぎました。厚労省として新型コロナウイルスの感染の状況をどのように捉えていますでしょうか。
大臣:
昨日の専門家会議では、現在の国内状況は諸外国と比較しても爆発的な感染拡大に進んでおらず、なんとか持ちこたえているのではないかという認識が示されるとともに、患者数は一時的な増減こそあれ当面増加傾向が続くと予想されると、こういった認識が示されているということでありますから、引き続きしっかりとした対応が、感染防止対策が必要だということです。特にそれについても全ての感染状況が見えているわけではないので、依然として警戒を緩めることは出来ませんという指摘もなされているということでありますから、それを踏まえた対応をしていきたいと思っています。
記者:
今おっしゃられた昨日発表された専門家会議の見解の中では、これまで2週間の対策であるとか、現状の評価は19日まで待つ必要があるというふうにされました。それを踏まえて、イベントの自粛要請を今後19日まで継続していくかどうかを含めて厚労省として今後どのように取り組んでいかれるか大臣の考えをお聞かせください。
大臣:
まず専門家会合としては、現在北海道で行われている対策の十分な分析が完了し、さらに他の地域の状況を確認したうえで、全国で行われている対策も含め我々の考え方を政府に伝えたいということを言われ、そのうえで北海道での対策については、北海道では緊急事態宣言から少なくとも約2週間後からでなければその効果を確定することが困難であり、その後複数の科学的な指標を用いて、約1週間程度かけてこの対策の効果を判断し、3月19日ごろを目途に公表する予定ということでありますから、こうした専門家会合での分析を踏まえて今後の対応について、政府内において判断していくということになると思います。
記者:
いま19日のお話しがありましたけれども、それは19日の発表を待つ前にいったんこのように19日を目途にということの発言があるということで、たとえば19日までイベントの自粛等をお願いされるということを改めて政府として言われるようなお考えはあるかどうかを教えていただければと思います。
大臣:
大規模イベントの自粛については、総理から今後2週間は中止、延期又は規模縮小等の対応を要請するという話が2月26日にあったわけです。したがってその期間が終わる時期も踏まえながら、当然新たな対応、それ以降についての考え方を示す必要があるのだろうと思いますけれども、それも含めて昨日出された専門家会合の見解も踏まえて、政府の中で、最終的には総理が判断されるということになると思います。
記者:
小学校の子を持つフリーランスの方の支援についてですが、厚労省のほうで、日額4,100円をメドに、そういった形で休業された方に、条件はありますが、支援を検討されているということですが、その事実関係と、金額については報道を受けて早くも正社員に比べて半分程度ということで、安すぎるのではないかという声も挙がっていますが、金額に大きく一般の雇用されている人と差がつくことについての是非、この2つについてお願いいたします。
大臣:
まず今回小学校等の臨時休校を要請いたしました。そこから生まれる課題については政府としてしっかり対応するということを総理がおっしゃられております。仕事を休まざるをえない保護者の所得の減少に対応するため、雇用されている方については正規・非正規を問わず有給休暇取得のための支援を行う、これは3月2日に公表しました。更に今お話しのあったフリーランスや個人事業主の方に対する対応をどうするのかという御指摘を色々いただき、そうした皆さん方の状況というのは、働き方というか仕事の仕方と言うべきかもしれませんが、非常に多様であります。またそうした中で生まれてきている難しい状況もまた様々と思います。しかし収入が減少して暮らしが厳しい状況にある方もおられるわけですので、今般の状況に鑑みると、一つは生活福祉資金貸付制度、これは貸付ではありますが、これの充実を含めて、支援の強化が必要と考えており、今政府内で具体的なまさに検討を行って、今日の対策本部で具体的な姿を発表すると、こういった段階でありますので、現時点ではまだその過程にあるということであります。
記者:
考え方として、いわゆる雇用者とフリーランスで金額に差がつくことはあるべきか、それはある程度働き方が多様だと言うことで仕方ないということで許容されるのか、そこについて大臣のお考えをお願いします。
大臣:
雇用者の場合には、明らかに何時間働いているかが分かります。それ以外の働き方の場合には、そこが必ずしも分からない方の方がたぶん多いと思います。そういった方に対してどういった対応をしていくのか、また実際にそうした制度を作った場合、運用する場合、かなり細かいことを徴求するようでは、これは制度として動かないということも言えると思います。その辺も含めてどうしていくのかを鋭意検討させていただいているということです。
記者:
昨日の専門家会議の件についてお伺いしたいと思います。昨日の記者会見の中で専門家会議のメンバーの一人から、コロナウィルスに関して半年とか1年を越えて続く可能性があるということが指摘されました。これについて、大臣のお考えですとか中長期的な対応についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
それは専門家としてのご意見を言われたということだろうと思います。それからもう一つ、流行といいますか、感染状況というのを日本国内で捉えるのか、世界で捉えるのかそれも違ってくると思います。専門家会議の見解でも、国内での流行を一旦抑制できたとしても、しばらくはいつ再流行してもおかしくない状況は続くと見込まれます。また、世界的な流行が進展していることから、国外から感染を持ち帰るというのも今後繰り返されることも予想されますから、やはり、国内で一時的に押さえ込めたからといっても、世界においてまた流行が続いているといった場合等々も踏まえて、そうしたご発言をされたんだろうと思います。
記者:
中長期的なことについてのお考えありますでしょうか。
大臣:
中長期的なことも視野に入れながら、考えていくのは当然だと思います。ただ、今は目の前の1~2週間が大変大事な時期だと言っておりますから、まずそこに対してまず日本国内の感染状況を押さえ込んでいくということがまず大事です。ただ、その先においてもまだ様々な課題があるということを専門家の方がおっしゃられたのだと思いますから、それは我々がしっかり受けとめながらそういったことも想定しながら対応を考えていく必要があるだと思います。
記者:
新型コロナウィルスの感染拡大に備えて特措法の改正案が閣議決定されたと思うのですけど、改めて大臣の受け止めをお願いできますか。
大臣:
政府として必要があるということで、この法案を出させていただいています。基本的には緊急事態の宣言が必要な事態、あるいは、その宣言を踏まえた対応が必要な事態ということも、可能性も想定する中で、そうした対応が必要だということで提案をされたと承知しております。
記者:
今のご質問に絡むところで特措法についてお伺いさせてください。緊急事態の宣言をするか否かの条件というのを改めて示されていますが、厚労省として、どういったところを状況を見極めていくために情報収集していくのか。それから、その宣言をしたときのために、どういった準備をしていくのかというのを厚労省としての動き方をお伺いしたいのですけれども。
大臣:
緊急事態宣言の関係でありますけれども、これは確か法律上は対策本部長が出すとなっていたと思いますが、新型インフルエンザ行動計画では、基本的対処方針等諮問委員会の意見を聴いて、その宣言を行い国会に報告するとなっているわけです。いずれにしても、国内の状況また海外の状況も当然あると思いますが、そうした状況、あるいはWHOがどういう全体に対して判断しているのか、そういったことも踏まえて、先ほど申し上げたいわゆる専門家会議、専門家会合、諮問委員会でご判断いただくということですから、それに向けて必要な材料、情報、これはしっかり収集していきたいと思います。これまでも、そうした情報収集しながら専門家会合でご議論いただく、あるいは、今私ども厚労省の中にクラスター対策班を設置しておりますが、そこでもいろいろな情報を集約する中で、専門家の方々に分析をしていただきながら、それぞれの地域における対応あるいは助言等を行っていくということであります。
記者:
この専門家会議の中で、これから社会的、経済的な影響を見極めながら、バランスをとりながらというご発言もありました。特に特措法の緊急事態宣言からそこらへんの影響がものすごく大きくなると思うのですが、バランスをとるために影響の評価とかを誰がどうやっていくのか、どう判断していくのか、厚労省としてやるべきなのかそこら辺をお伺いできればと思います。
大臣:
基本的には、政府全体としてやっていくことだと思いますし、それから先ほど申し上げた、現在の新型インフルエンザの専門家会合のメンバーには様々な経済界の方も入っておられると認識しております。まさに、そうした場において、緊急事態宣言や、あるいは、新型インフルエンザに関してはそれぞれのステージごとに基本的対処方針を作るわけですが、それに当たって、基本的対処方針等諮問委員会に諮る仕組みになっております。まさにそういったところで多面的な議論をしていただくことになると思います。
記者:
昨日の専門家会議の中で、臨床の先生の方から、軽症でご飯が食べれて歩ける元気な人は自宅で様子を見てくださいという、普及、啓発には時間がかかるというお話がありましたけれども、その医療機関の受け入れ体制等も考えれば、こういうことも国民にお願いしていかないといけないというのが国の立場だと思うんですが、その点、なかなか国民に理解されてないと言うか、政府の説明不足かもしれませんけれども、そういった点が依然としてあると思うんですけれども、行動指針について、国としてまた新たにこういうことをお願いしますというのを、お考えでしょうか。政府の専門家会議の見解も含めてお考えを。
大臣:
これまでもフェーズの移行の考え方というのを示させていただいております。特に医療提供体制においては地域の感染拡大に伴う入院を要する患者の増大により重症者、重症化リスクが高い患者等に対する入院医療の提供に支障を来すと判断される場合には、一般病床も含めた必要な病床を確保する。また集中治療を要する重症者のための病床を確保する、またPCR検査陽性であっても軽症者は自宅で療養することは既に明らかにさせていただいているところであります。したがって、そうした状況になり、フェーズが移行することになれば、そういった対応が必要になってくることも踏まえた専門家のご発言ではなかったかと思います。いずれにしてもその辺も含めて、今の状況では陽性である方は入院していただいていますが、どこかでフェーズも変わっていくこともあります。そういったことも含め国民の皆さまに理解を事前に求めておくべきだということも含めて、しっかり対応していきたいと思います。
記者:
国内の状況なんですが、海外と比べても爆発的な感染拡大には進んでいないということなんですが、よく言われることに、やはり母数となる検査件数、PCRの検査件数が違うのを単純比較するのはどうかというような指摘が海外からもあるんですが、今の状況、今の検査件数で厚労省、検査の件数拡大にも取り組まれているところだと思うんですが、十分に実態を把握できている状況なのかどうか、また検査件数拡大によっていろいろ判断をしていかなければならない段階だと思います。そのあたりのご見解はいかがでしょうか。
大臣:
まず一つはPCR検査が必要な方にしっかりと行われているのかということに関しても、我々いろいろご指摘もいただいておりましたので、そこにあるボトルネック、障害を一つ一つ外していく、その一つとして、保険適用の実施をし、トータルとしての検査能力の拡大も、当初4,000と言ったものも今6,000、今月末には少なくとも7,000、たぶんそれを上回っていただける状況を作っていくという体制とさせていただいております。それから、我が国の感染者数云々ということでありますけれども、これはどこの国も、特に今回の新型コロナウイルスについては、無症の方もおられます。あるいは非常に軽症で終わって通常の風邪となかなか識別出来ないという場合もあります。どこの国もすべてを把握しているのかといえば、それはそうではありません。これを前提に対策を組んでいかないといけません。ただ、ここに指摘されておりますように、日本の死者数は直近の数字は9名だったと認識しておりますけれども、この専門家会議の指摘にもあるように、これは他国と比べて死亡者数は大きく増えていません。これも一つの数字だと思います。
記者:
先ほどの今後への理解の部分でPCR陽性の方でも軽症であれば自宅で静養していただくというご発言があったと思うのですけれども、PCRで陽性でも軽症だと自宅での療養になるという理解で良かったでしょうか。
大臣:
いや、「移行した段階で」ということを申し上げたのです。要するに今の状況を申し上げているのではなくて、これから患者数が増加をして重症者患者が増えて、そうした皆様方をしっかりと病院等で受け入れることが難しくなってきた段階においてということを申し上げたので、今日時点の話をしているわけではありません。
記者:
そうではなくて、その場合というのは軽症の方はPCRは受けるという理解でしょうか。
大臣:
それはPCRの検査能力等の問題があると思います。したがって、PCR陽性で軽症者の方においてもということだと思います。したがって、その場合のPCRにおいても、まず重症者等を優先にしながら判断の前提にしていかなければいけませんから、それについても移行についての考え方の中に明示をさせていただいているところです。移行については、いわゆるサーベイランスをどうするのか、外来をどうするのか、あるいは医療機関をどうするのかについて、それぞれ移行時期の判断を示し、移行する場合の状況についても整理をさせていただいたものを先般公表させていただいており、その説明をさせていただいたということです。サーベイランスは感染拡大についても地域の疑い患者が増加し全件検査をすると重症者に対する検査に支障をきたすと判断される場合には、重症者に対して優先的に実施するということがその中にも盛り込まれているということであります。
記者:
確認ですが、基本方針では風邪症状が軽い方は自宅でという表現はあったのですけれども。
大臣:
いや、それは誤解です。自宅で、というのは、受診の目安として4日程度風邪症状が続く場合には受診をしてくださいということを申し上げているということ、それからそうした症状がある方は外出を控えてくださいということを申し上げているものです。
記者:
PCRが陽性かどうかというのはそこには関係しないということで良かったでしょうか。
大臣:
どういう意味でしょうか。
記者:
自宅で療養するのはPCRが陽性の方は今全て入院ですけれども、今後状況が変わった場合にはPCR陽性でも自宅療養をお願いする場合があるという理解でよかったですか。
大臣:
ですからそれは、先ほど申し上げたフェーズの移行、患者さんが増えてきて重症化した方が十分入院ができないような状況になる、あるいはそれを見通すような状況では当然対応を変えていかなければいけません。そういう時には重症者を優先し、PCR陽性で軽症の方については自宅で療養していただくということを既にお示しをさせていただいているということであります。その辺の流れについても、先ほどご質問があったように、国民の皆様にきちんとお伝えできていないということもあろうかと思いますので、その辺も含めてしっかりと説明をし、理解を求めておくべきだというのが先ほどの有識者の方のお話だと思います。改めて我々も、今は全員入院していただいている、ただしそういった状況の時にはどういう考えで、どう対応していくかということを、予め説明していくことも大事だと思いますので、そこも改めて整理していきたいと思います。
記者:
2月14日に中国から検査キットの方を無償で提供されたと思うのですけれども、そちらの方今現在どうなっているのでしょうか。
大臣:
それについては日本で使っているものと同等だという判断はなされていたと承知はしております。それをどう使っているかについては、ちょっと私は承知をしておりませんから、必要でしたら後で事務的にご説明させていただきます。
記者:
今現在は使っているのですか。
大臣:
いや、ですから、日本で使っている試薬と同等なものという評価がなされたと承知をしてますが、それ自体をどう供給しているかについては承知をしておりません。
 
 

(了)