加藤大臣会見概要

(令和2年2月14日(金)10:27 ~ 10:54 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。昨日、神奈川県にお住いの80代の方がお亡くなりになりました。改めて亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方にお悔やみを申し上げたいと思います。この事例も含めて昨日判明した事例については、濃厚接触者の把握を含めた積極的な疫学調査を早急に実施いたしまして、専門家とも相談の上、必要な対策の検討に入りたいと考えております。また、今回この神奈川県の事例を含めて昨日もいくつかの事例が発表されました。国民の皆さんにおかれては、この新型コロナウイルスの感染に対する色々な不安を持っておられると思います。
 まず、日常的な感染予防策としては、これまでも重ねて申し上げておりますが、手洗いをしっかりやっていただくということ、そして、咳やくしゃみをする際には、マスクやティッシュ、ハンカチ、場合によっては衣服、袖等を使って口や鼻を押さえるなど、咳エチケットなどにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。また、特にご高齢の方や基礎疾患のある方については、感染するとより重症化しやすいと言われていることもございます。人混みの多いところはできるだけ避けていただくよう感染予防には十分ご留意をいただきたいと思います。また、咳や発熱等の症状がある方で、特に高齢者の方、基礎疾患のある方についてはなおさらでありますが、症状に不安がある場合には、まずそれぞれの地域にあります帰国者・接触者相談センターにご相談いただきたいと思います。
 このセンターについては、ホームページ、あるいは、それぞれの市町村で広報されていると思います。その上でセンターでは、新型コロナウィルスの感染の疑いがある場合には、帰国者・接触者外来にお繋ぎいたします。その外来を受診される時には、自宅を出る時から、マスクを着用して受診していただきたいと思います。この帰国者・接触者外来でありますが、住民の方々には公表しておりません。したがって、先ほど申し上げた懸念のある方は、まずは、帰国者・接触者相談センターにご連絡をいただき、そのセンターから適切な医療機関、まさに帰国者・接触者外来を紹介をしていただく、こういう仕組みになっております。
 なぜこういう仕組みをとっているかと申し上げますと、2009年の新型インフルエンザの際に、その時にはその外来を当時発熱外来と呼んでおりましたが、公表した結果として、一部地域で特定の医療機関に外来の受診者が殺到して、まさに急を要する方に対する対応に時間がかかってしまった等の経験があります。したがって、その点を踏まえて、先ほどご説明したような仕組みになっておりますので、是非国民の皆さまにはその点を十分ご理解いただきながら、先ほど申し上げた必要な医療を適時適切に受けていただけるように、我々も仕組みをさらに強化していきたいと思っておりますが、そうした対応をとっていただくとともに、こうした対応をとっていることについて、ご理解とまたご協力をいただきたいと思います。
 あと二点ございます。その関係で、今週12日水曜日、日本時間の深夜でありますが、新型コロナウイルス感染症への対応に関して、G7の国々の保健大臣と先週に続いて第2回目の電話会談を開催いたしました。非公式な会談でありますので、詳細については控えさせていただきますが、私からは、クルーズ船の乗客・乗員への対応について、健康面に最大限の配慮を行いながら、感染の拡大防止に努めているということを含めて日本の現状について、説明を行いました。引き続き、G7各国とは情報の共有、また、国際連携を図りながら、国際社会への影響が最小限になるよう、新型コロナウイルス感染症対策の協力を進めていきたいと考えております。
 三点目でありますが、氷河期世代の対応でありますが、労働施策総合推進法施行規則の一部を改正する省令を本日公布し、施行いたします。中身については、労働者の募集・採用に当たっては、年齢制限をすることを原則禁止という扱いになっておりますが、例外として、昨年夏から、就職氷河期世代、これは、35歳以上55歳未満ということになっていますが、不安定な就労をされている方や無業の方を対象として、ハローワークを通じて募集・採用を可能としているところであります。今回の省令改正で、ハローワークに提出いただいた求人については、企業のホームページでの直接の募集や求人広告への掲載などの方法でも、就職氷河期世代の不安定な就労をされている方などを対象とした、いわば対象を限定とした形での募集・採用を可能とするところであります。是非、事業主の皆さま方においては、これまでの職歴にとらわれず、意欲を持っておられる就職氷河期世代の方々の積極的な募集と採用をよろしくお願いしたいと思います。私の方からは、以上になります。
 

質疑

記者:
先ほど和歌山県の方から、和歌山県在住の70代男性が新型コロナウィルスに感染されたことを確認したと発表がありました。この方は、昨日、感染が確認された男性医師が勤務する病院での受診歴があるということなのですが、院内感染の可能性があるのかどうか、それを疑われているところだと思いますが、大臣のご見解と、あと院内での感染拡大防止をどう進めていくのか、これについてもご意見を聞かせてください。
大臣:
今、ご指摘の件は、本日9時30分に和歌山県が新たな陽性者について発表したということは聞いておりますが、詳細について今確認中でありますので、準備が整い次第、また事務局の方からご説明をさせていただきたいと思います。内容は確認中ではありますが、昨日お話しした和歌山県の医師の事例を踏まえて、院内感染には十分対応していく必要があると考えております。そのため、私どもとしては、専門家を派遣する準備を進めておりまして、和歌山県と連携をしながら感染拡大防止に向けて万全を期していきたいと思います。
記者:
先ほど帰国者・接触者相談センターの件でご紹介いただきましたが、例えば、今回の和歌山の70代の男性の方やもしくは昨日の神奈川の亡くなった女性の方の場合、そもそも接触したという自覚がない方も多くおられると思うのですが、そういった方の場合、自分は該当しないから、帰国者・接触者相談センターに行かずに普通のクリニックに行くということも考えられると思いますが、そういった現状について、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
大臣:
ご指摘はセンターの名前が帰国者・接触者となっていることもあるのだろうと思いますので、ネーミングをどうするかということもご指摘を踏まえて考えていく必要があると思います。いずれにしても、先ほど申し上げたように、帰国者とか接触者に限定するわけではなくて、ご自身で発熱や呼吸器障害があってそうした恐れがあるのではないかと思われる方はまず帰国者・接触者相談センターにご連絡をいただきたいと思います、そこで色々とお話ししていただきながら一般の病気であれば通常の医療機関に行っていただく、そして新型コロナウイルスの感染が疑われるのであればそこで紹介された帰国者接触者外来の方へまわっていただく、こういうことであります。その点はしっかり周知をしていきたいと思いますし、またそのネーミングの問題は少し考えていかなければならないと思います。
記者:
その接触に関してなのですけれども、昨日発表のありました神奈川の女性とあと都内のタクシー運転手の関係、昨日の会見では明言を避けましたけれども、その関係性改めてもし今わかっていることがあれば教えていただけますか。
大臣:
昨日と一緒です。その点についてご説明しうる状況には引き続きありません。
記者:
先ほど大臣がお話された和歌山県の男性の件ですが、専門家を派遣する準備を進めているということでしたが、もう少し具体的に、それを踏まえてどのような対応を考えられるか、専門家を派遣としたらどういったことを調べられるのでしょうか。
大臣:
これは調べるということではなくて、昨日医師が感染したという事例がありましたので、しかも一定期間その医療機関で仕事をされていたということも聞いておりますから、これからその医療機関の中において、既に外来はもう受け付けてていないと聞いていますが、病院内には入院されている方もおられます。そういった方に感染拡大をどう防ぐのかという観点から専門家を派遣して、県また病院とよく連携をとりたいということであります。
記者:
もう一点お伺いします。今お話のあったG7の会合を12日の夜に行ったということですが、そのときに今各国から少しクルーズ船の対応について厳しい指摘も出ていると思います。何かそういった各国からどういった意見があったのか、ご紹介できる範囲でお願いします。
大臣:
このクルーズ船については、特段各国から質問等ありませんでした。
記者:
昨日不幸にも神奈川で亡くなられた事案もありましたが、国内では人から人へ継続的な感染は確認できないという認識には変わりはないでしょうか。
大臣:
それも昨日申し上げましたけれども、そうした状況について変更するということについて、今の段階で具体的なエビデンスなどを持っている状況ではありません。ただ、引き続き今回の状況を含めて国内の感染状況はしっかりと注視していきたいと思っております。
記者:
関連ですが、認識を人から人への継続的な感染ということで、改めてこれまでの封じ込めに力をいれた対応から、感染者の重症化などに対応の焦点を移した方が良いという専門家のご指摘もありますが、この件についてご見解をお願いします。
大臣:
人から人へという意味においては、これまでも人から人への事例はありますが、いわゆる流行しているという意味で、あるいは蔓延しているという意味で先ほど申し上げたように、「流行している、蔓延している状態ではない」という見解を変えるだけの様々なデータやエビデンスはまだ持っていないということであります。ただ、かつての感染症もそうでありましたが、これが拡大していくということは可能性としては否定できないわけでありますから、そういう状況に向けて先ほどご説明いたしました、帰国者・接触者外来、あるいは特定の医療機関、またその医療機関における対応、これについては今しっかりと我々準備をしておりますので、仮にそういう状況になれば、そういう状況に応じた体制が敷けるよう、準備をさせていただいているということであります。
記者:
一点お伺いします。まず和歌山の方、具体的な感染経路は見えていないかと思いますが、全体的にその感染経路が特定できない、追えないような事例が発生していると捉えていますでしょうか。
大臣:
まさにそこはこれから積極的疫学調査をします。これまではそれなりに積極的に疫学調査で、濃厚接触者等の特定をし、その方については健康観察期間2週間、これをフォローアップセンターでと、こういう対応をとってきております。今回もまさに実施をしているところでありますので、その調査結果を見なければちょっと今の問いにお答え出来ないと思いますけれども、少なくともこれまでは疫学調査を行い、そこから浮かび上がってきた濃厚接触者の方、それを具体的に特定し、その方については2週間の健康観察期間について、我々のフォローアップセンターから逐次、健康状態をチェックさせていただいている、こういう仕組みは機能しております。
記者:
併せてさきほど持続的なヒト-ヒト感染が起きているというエビデンスはまだ無いというお話でしたけれども、こうした感染経路が現段階ではっきりしない事案も起きている中で、サーベイランスの仕組みについて検査対象はこれ以上広げる予定というのはあるのでしょうか。
大臣:
現時点というのは、発症してから疫学的調査をやりますから、発生した時点では全体をつかめていません。ですから疫学的調査とサーベイランスはちょっと違いまして、サーベイランスはむしろ発症している情報をいかに早く探知していくのかという仕組みであります。そういった意味では今、いろんな陽性の話が逐次出てきているというのはまさにサーベイランスであり、今回は感染症を指定しておりますから、それに基づく届出ということを含めて機能しているという風に認識しておりますが、ただ先ほど申し上げたように、PCRの検査、しっかり回っているのかなど、そういった指摘は国会でもいただいておりますから、それぞれの事情を踏まえながら、その辺については不断の見直しをしていきたいと思います。
記者:
質問の仕方が悪く恐縮だったんですけれども、今となっては湖北省と浙江省という、そのしばりについてはあまり機能しないケースも出てきているかと思いますが、その基準の見直しについてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
ですからそこは先ほど申し上げましたけれども、疑似症サーベイランスあるいはPCRの検査についての対象とか、それについて今、内部で検討して、今回の事例も含めて地域限定ではなくて対応していくということも考えていきたいと思っております。
記者:
クルーズ船の関係なんですが、昨日おっしゃられていた80歳以上の希望者の方が下船されるということで、もう下船は始まっているのでしょうか。始まってなければ見通しを教えてください。
大臣:
今日下船をするというスケジュールでは動いておりますが、今の時点で下船しているかどうかは確認ができておりません。
記者:
今日の予定としてはまだスケジュールは今のところは分からないですか。
大臣:
具体的にはわかりませんが、今日下船をするということで段取りは全部つけております。
記者:
新型コロナウイルスについてお伺いします。先ほどから各社の質問も出ておりますけれども、昨日も東京都内のタクシー運転手と和歌山の医師の感染というのが二人とも湖北省への渡航や感染者との濃厚接触はないとの報道があります。もはや国内で感染が広がり始めているという認識に至っていると思いますが、大臣、どのようにお考えかをお聞かせください。あともう一点、クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の乗客、乗員を船内にとどめたことで感染が拡大し海外メディアの中にはクルーズ船を武漢に次ぐ第二の感染中心地と報じたり、公衆衛生危機の際に行ってはいけない対応などと批判したところもあるようです。WHOが渡航制限を含めた下船の拒否などの行き過ぎた対応をとらないようにと声明を出したことも踏まえ大臣の乗客、乗員への対応は適切だとお考えかをお聞かせください。よろしくお願いします。
大臣:
一点目は重複しますので先ほどの説明に尽きるということにさせていただきたいと思います。それから二点目のクルーズ船の対応ということでありますけれども、これは私どもだけではなくて米国のCDCも、そうした対応への、ご理解をいただいていると思っております。ただいずれにしても、当該クルーズ船の乗員、乗客の健康確保、これを最優先に我々は取り組んでおりますので、中で医療の提供が必要な方についてはすぐにそれぞれの指定医療機関、関係する医療機関に搬送する等の対応も取らせていただいているところでもあります。加えて昨日申し上げたようにこの感染症とは別の問題として年齢やあるいは同じクルーズ船の中でも窓のない部屋におられるなどの環境的な問題、加えて基礎疾患があるような方々がそうした空間に長くいるということのリスクというのはありますから、それについてはPCR検査を実施して逐次日本の国内において我々の指定した場所において滞在していくという選択肢も提供させていただいているところであります。
記者:
今日公明党が新型コロナウイルスについて専門家会議を立ち上げたらどうかと政府に申し入れている、要望しているようなのですけれども、これについて大臣は必要だと考えるかどうかお考えをお聞かせください。
大臣:
公明党の今朝のご議論で、専門家の会合等いくつかお話があったということは承知しております。ただ具体的なところはまだ承知しておりませんから、おっしゃっている趣旨を十分に把握してはおりませんけれども、既に私どもの対策とこの厚労省の対策本部に有識者からなるアドバイザリーボード、これはもう既に設置をさせていただき頻繁に会合していただいたり、時間がない場合にはそうした方々と接触しながらそのアドバイスを受けているところであります。しかし、それが厚労省だけでいいのか、政府全体についてアドバイスをその方からしていただいていいのか、そういった課題もあるんだろうと思います。それからもう一つは正式に厚生科学審議会の感染症部会というのもありますので、そういった場を通じても説明をしていくということも必要だと思っております。ただいずれにしても公明党の方々が具体的な中身とかその趣旨をしっかりお聞かせいただいて必要な対応を図っていきたいと思います。
記者:
これまでに陽性者の中で重症とカウントされた方に変化などありますでしょうか。
大臣:
昨日の夜に重症者は10名ということを申し上げていると思います。10名は全員クルーズ船の乗客の方々でありますが、昨日の状態から大きな変化は聞いてません。
記者:
亡くなった27例目の女性についてお伺いしたいのですけれども、この方は何か基礎疾患があったかどうかはわかりましたでしょうか。
大臣:
基礎疾患があったかなかったかについて、今のところ私たちは情報を持っておりません。
記者:
先ほどの院内感染での専門家の派遣なのですけれども、どういった人を何人規模ぐらいで派遣するかと具体的にどのようなことをするかをもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
大臣:
感染研の専門家を中心に、人選は今考えております。具体的な対応はちょっとそれは専門家からお話をしていただいた方がいいと思いますけれども、こうした事案があった時に、こうした事案というのは1例目をベースに今私は話をしているのですけれども、要するに医師の感染があった。その方がしばらくの期間当該医療機関で仕事をされていた、そうした事案において院内に今おられる入院者の方々に対して感染を防ぐためにどういう対応をしたらいいのかという具体的な話について、その専門家を派遣したりあるいはその方と県あるいは当該医療機関等が協議をして適切な対応を取っていただく、こういう段取りを進めているところであります。
記者:
感染した検疫官についてお尋ねしたいのですけれども、一生懸命作業しているというのは疑わないのですけれども、検疫を受ける方の身としてはやはり検疫官が感染するというのはあってはならないことだったと思うのですが、そのことについてのお考えと今後の具体的な再発防止策何かございましたら教えて下さい。
大臣:
先般、我が省の検疫官が質問票の回収等々の作業に従事した後に、今回の新型コロナウイルスの陽性になっていたと、これは先日ご報告をいたしました。やはりその職員が当該業務についていた時に適切な防護措置が出来ていたのかどうか、これを今検証させていただいておりますし、これ以外にも、我が省以外にも多くのスタッフがクルーズ船の中に入って様々な活動をしていただいておりますから、あらためてこれは仕事の中身によって当然防御するレベルも変わってきます。したがってそこをよく徹底するとともにそれぞれの仕事をするに当たっての防御態勢が的確だったかどうか、あるいは防御態勢が的確でも例えば衣服を脱ぐときに、着脱するときに感染するということを指摘をされております。例えば手袋を外す時でありますとか、そういった時の手順がしっかりされていたのかどうか、それらも含めて検証すると同時に徹底を図っていきたい、そしてこうしたもちろん乗員、乗客の方はもとよりでありますけれども、こうした支援をしている職員等が感染をしないように万全の対策を講じていきたいと思います。

(了)