加藤大臣会見概要

(令和2年1月14日(火)10:22 ~ 10:35 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。冒頭二件お話をさせていただきます。一件目は、中国湖北省武漢市における肺炎の発生であります。中国湖北省武漢市で昨年12月から原因不明の肺炎が発生しており、中国当局は、この肺炎を新型のコロナウイルスによるものと暫定的に判断をしていると私どもは聞いているところであります。1月12日までに、この肺炎の患者は中国で41人が確認され、6人が重症、1人が死亡とのことであります。また、1月13日にタイ政府から、当該ウイルスの感染者、これは中国からの旅行者とのことでありますが、1名の発生が発表されており、現在詳細な情報の収集を図っています。現在まで、1月13日現在でありますが、我が国において、この肺炎に関連する患者の報告はございません。この肺炎については、現時点ではヒトからヒトへの感染が確認されていないこと等から、我が国でも、現在行っている検疫体制等に遺漏がないようにするとともに、1月11日から12日にかけて中国から公開された当該ウイルスの遺伝子配列情報に基づき、国立感染症研究所において、検査方法の確立に向けた作業をいま進めているところであります。国民の皆さんにおかれては、過剰に心配することなく、咳エチケットや手洗い等、インフルエンザなどと同様の感染対策に努めていただくことが重要であります。また、医療機関におかれては、武漢市に滞在歴があり、呼吸器症状等を発症して医療機関を受診した患者については、国立感染症研究所がホームページで示している対応方針なども参考にしつつ、院内感染対策と重症患者の報告等について、適切な対応をお願いいたします。厚生労働省としても、引き続き情報収集に努めるとともに、中国当局を含めた関係機関と協力の上、万全の対応を図ってまいります。
 それから、二点目でありますが、1月9日から11日まで、米国国防総省捕虜・行方不明者調査局、DPAAの視察を目的として、米国に出張してまいりました。本視察においては、米国DPAAを視察し、法医人類学者等との意見交換を行い、また、この機会に国立太平洋記念墓地等を訪問いたしました。米国DPAAとは、昨年4月に戦没者の遺骨収集に関する日米の協力覚書を締結をしており、これまでも情報共有等を行ってまいりましたが、現在、直接現地に赴き、視察及び意見交換を行ったことは大変有意義であったと考えています。また、今後、この協力覚書に基づいて、さらに日米の専門家同士の交流を拡大していくとともに、新技術、これは安定同位体比分析という技術なのですが、これの実用研究についても協力を進めていくということについて意見の一致を見たところであります。今回の視察及び意見交換で、本当に様々な知見を得ることができたと思っております。今後の遺骨収集のあり方の検討にしっかりと反映していきたいと考えております。私の方からは、以上です。
 

質疑

記者:
DPAAの関連でお伺いしたいのですが、改めて遺骨収集事業に視察の成果を活かしていくというところで、具体的にどのような点が活かせそうかなど、大臣のお考えがあればお聞かせください。
大臣:
今回DPAAにおいて現地の最高責任者であるバナージ副長官をはじめ、法医学とか、歯学、歯の専門家の方からも色々と聞かせていただきました。その中で、DPAAとしてもどういう手順で収集したものを分析していくのか、そんなフローチャートも私どもにも提供いただきましたので、それを私どもの中でどう落とし込んでいくのか、それから、さらに先ほど申し上げた新たな技術を様々取り入れる努力を積極的にされておられますので、そういった中で、私ども日本でも色々とやっていますが、そこでお互い共有化していく、特にデータベースというのは非常に大事になってくるので、それを共有化することによって、そうした分析手法の実用化を図っていくといったこと、それからもう一つはやはりこれから私どもがこうした体制を強化していく中において必要な人材ということになりますので、人材をこれからさらに強化をしていくためには様々な研修機会ということも必要になってまいります。そういった意味においても、先方においても、DPAAアカデミーというものを作っておられるそうです。それがそのまま私どものニーズに合うかどうかというのは調整をしていかなければなりませんが、そういった機会を通じて、先ほど申し上げた技術的な協力だけではなくて、そうした研修等々においても連携を取っていく、そういった様々なところでさらに進める部分があるということを強く感じて帰ってきました。
記者:
遺骨収集について伺います。先ほどおっしゃっていただいたように安定同位体等のことをおっしゃっていましたが、それはいわゆるその共同研究のような形で日米で行っていくのか、先ほど大臣がおっしゃったようにデータベースみたいなところで日米で共有していくのか、具体的におっしゃれる範囲があれば教えていただきたいのと、あと、昨年も法医学や人類学、歴史学等の手法を用いた研究所、ラボを作るべきだという指摘が国会から上がっていましたが、視察を終えて改めて大臣のご所見をお願いします。
大臣:
まず1点目の安定同位体比分析の話でありますけれども、これはDPAAでもまさに今実用化に向けてかなり目途が立っているということでありますので、スケジュールを持ちながら今後の分析の段階の中に一つ入れていきたいということで取り込んで、むしろ最初の前段階でそういう分析をして、その後DNAとか色々なことにつなげていくことで、効率化と、ある意味ではコストもそれによって引き下げることができるというお話がありました。私どもとしても今国内にも専門家の方がおられるのですけれども、やはり先ほど申し上げたこれは様々なパターンがあるわけですけれども、そのパターンがどういう民族にどうなっているのか、あるいは民族というよりもどこで生活をしているとそういうパターンになるのかという、むしろそっちが大きいのですけれども、そのデータを日本も持っています。向こうも持っておられます。そういったものも交換しながらそうした手法がより実際の鑑定作業の中において一層取り込んでいけるようなそういう状況を作っていきたいということで、共同研究というよりもお互いのしているところを意見交換をしながら、あるいは研究の中身を共有しながら実用化に向けて進めていきたい、そんなレベルのことであります。それから新たな組織でありますけれども、いずれにしてもそれも含めて今技術的なことも含めて専門家の皆様方にご議論いただいているところでありますけれども、これは一つの技術の問題なのですけれどもそれを含めてどうすればいいのかということも、そうした手法を決めていただくことの議論と並行して、また専門家の皆様方にもご議論いただきたいと思っておりますけれども、その時には前から申し上げたようにゼロベースで私どもは考えていきたい、ただ課題はやはりそうしたものをしようとすれば予算の問題ももちろんありますけれども、先ほど申し上げた人材をしっかり確保できるかどうか、これはラボに確保するだけではなくて、トータルとしてこうした作業に従事していただける方をどう確保していくのかという課題もありますから、その辺も含めて議論をするとともに、先ほど申し上げたようにDPAAとか色々協力していただく方に協力していただきながらそうした人材の育成、養成を並行して図っていくということもこれも一定のスケジュールを視野に入れながら進めていくことが必要なのだろうと思います。その辺もこれから議論をしたいと思いますけれども、それをするにあたっての協力関係、あるいはそのお願いできる先として非常に有力なDPAAと突っ込んだ意見交換できたことは大変有意義だと思っております。
記者:
先週税制調査会が新体制で初めての議論を始めました。厚労省が関連する分野では私的年金の税制改革もテーマに上がっていると思うのですが、厚労省として今回の議論に期待することを教えてください。
大臣:
やはり働き方、人生100年時代という中で働き方とか、それぞれどういう人生を送っていくのかというライフコースが多様化しているそれぞれの方々の考え方が本当に様々になってきているということで、そしてそれに応じてお一人お一人の方がそうした老後を、あるいは老後であったとしても、その中で人生設計に向けて様々な努力をされているわけでありますけれども、そうした努力に対して公平な仕組みということ、あるいはそうした努力が報われていくような仕組みということを作っていかなければいけないということでありまして、もちろん基本は公的年金ではありますけれども、それに加えて、私的年金も大変重要なファクターでありますので、それに対する制度をどうするか、税制をどうするか、これは裏表の関係でありますから、これについて議論していくことが求められていると思います。既に企業年金、個人年金等に関する制度や税制について、これまでも段階的に整備拡充はしておりますけれども、先ほど申し上げた働き方や勤め先の企業によって受けられる税制上の非課税枠が異なっているなどの課題が私どもだけではなくて政府の税調等の税調においても指摘をされているわけでありまして、そうした観点に則って、今お話のあった政府税調での議論、あるいは党税調での議論がこれからも行われていくと思いますが、私どもとしては税ということよりもまず制度をどうしていくのかということで社会保障審議会の企業年金・個人年金部会においてご議論いただいているところであります。さらにこうした議論を続けて、あるべき姿を目指していきたいと思います。
記者:
先ほどお話のあった新型のコロナウイルスの件でお伺いします。中国の春節の時期が今月の末に迫っていると思うのですが、またその時期に向けて多くの中国人が海外に出られる可能性があると思います。その意味では今後さらに拡がる恐れがあると思うのですが、そこに向けての改めてご認識と、それから注意喚起、それからそこに向けて改めて注意喚起や対策等をお願いします。
大臣:
もちろん春節において中国から渡航客が来られることはこれまでもそうしたことがありました。ただそれのみならず、やっぱり今年は海外からさらに多くの方々がおいでになられるわけでありますから、そうした状況の中で、こうした感染症対策をしっかりと対応していく、これは当然のことだと思います。ただ、コロナウイルスに関しては今申し上げた状況でありそれに則った対応策、空港でサーモグラフィーでしっかり検査をして、これ今でもやってます、そういった体制をしっかりやれるように引き続き努力をしていきたいと思います。
 

(了)