加藤大臣会見概要

(令和2年1月7日(火)11:53 ~ 12:05 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年は総理からも冒頭お話がありましたが、庚子の年ということで、これまでの承継したものの上に新たな時代を作り上げていく、そういう年だということでもありました。社会保障制度に関しても、全世代型社会保障制度の構築に向けて、厚生労働省の所管事項も多々ございますので、すでに中間とりまとめで出た方向性については、その具体的な方向において決められたものについてはさらに審議会等での議論を経ながら、その実現に努力をしていきたいと思っておりますし、まだ引き続き検討をすべき課題についても、厚労省としても積極的に結論を得るべく努力をしていきたいと思います。また、働き方改革については、いよいよ大企業における同一労働同一賃金、また、中小企業における長時間労働の是正が、それぞれ4月1日から施行されるところであります。この働き方改革の趣旨を踏まえて、様々な働き方ができるような、まさにそのことが一億総活躍にもつながっていくわけでありますが、それに向けて、特に中小企業における対応等については、厚労省としても丁寧にこの趣旨が改革が円滑に進むように、努力をしていきたいと思います。それ以外にも多々様々な課題があります。一つひとつ答えを出すべく、引き続き努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、1月9日から11日までの日程で、米国国防総省捕虜・行方不明者調査局、DPAA等を視察するため、米国のハワイへ出張することにしております。戦没者遺骨の収集については、これまでに「戦没者遺骨のDNA鑑定人会議」において、収容された遺骨が日本人の遺骨でない可能性があるとの指摘がなされた事例があったにも関わらず対応をしてこなかった、こういった事態を踏まえ、有識者会議の下に調査チームを置き、検討を行っていただきました。先月、調査チームの報告書がとりまとめられ、厚生労働省の対応に対する厳しい評価と数多くの課題を指摘をいただいたところであります。また、同じく有識者会議の下に設置した専門技術チームでは、日本人の遺骨である可能性の標準的な確認方法の検討等を行っているところであり、年度内に検討結果をとりまとめていただく、こういう流れの中で、やはり遺骨収集については、これまでも申し上げたようにゼロからもう一回見直しをしていく必要があります。そういった意味においてもDPAAは、様々な知見、経験を有しているところでもあります。加えて、昨年4月に戦没者の遺骨収集に関する日米の協力覚書を締結し、これまでも情報共有等を行ってきたところでありますが、こうした機会を得て、直接現地に伺い、それぞれのメンバーからも色々なお話を聞かせていただいて、意見交換をし、今後の遺骨収集のあり方の検討に役立てていきたいと考えております。私の方からは、以上であります。
 

質疑

記者:
昨日、中国で原因不明の肺炎が発生したと発表されましたが、現時点での国内での発症が確認されたかどうかと厚労省の今後の対応について教えてください。
大臣:
中国の湖北省武漢市の発表によりますと、同市内において原因不明の肺炎患者が発生しており、1月5日時点で、7人の重症者を含む59人の患者が確認されたということであります。当該肺炎については、ヒトからヒトへの感染は確認されておらず、海鮮市場と関連した症例が多いことから動物との関連も疑われておりますが、現時点では具体的な原因の特定には至っていないようであります。原因は、今調査中ということでありますが、例えば、インフルエンザ等々については、そうではないということを聞いているところであります。国内においては、そうした今申し上げた発症があるという報告は、今のところ上がってきてはおりません。ただ、こうした状況でありますから、厚労省としても発生状況について、今中国の保健衛生当局に照会をするなど、そうした情報収集に努めるとともに、検疫所におけるサーモグラフィー等を用いた発熱者の確認等を行っていく、あるいは、入国の際に検疫のブースがありますが、そこにおいてこうした感染症があるということの周知を図るには、掲示をしようということで、今文章を詰めておりますが、早々にそうした掲示も掲げていきたいと思っております。さらに、自治体及び関係機関に対しては、原因が明らかでない肺炎等々の患者に係る国立感染症研究所での検査制度について周知を行っているところでありますので、仮にそうした方が生じた場合には、今申し上げたような仕組みの中で報告をしていただくということをお願いしているところであります。いずれにしても、我々として情報収集に努めながら、関係機関との協力を図り、万全の対応を図っていきたいと思っております。
記者:
明日から公判が始まる津久井やまゆり園の事件についてお尋ねします。事件をめぐっては入所者ら45人の方が殺傷され被告は障害者への差別ともとれる発言を続けていたとされております。改めて事件の受け止めについてお聞かせいただきたいのと障害者の方を含めた人々との共生をどういうふうに進めていきたいのかお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
大臣:
平成28年の7月に発生した事案でありまして、当時私は共生担当大臣ということで障害者施策も担当させていただいておりました。現地にも行かせていただいてお話も聞かせていただきました。亡くなった方の写真がかかげられていたのですけれども、本当に、そうした元気に過ごされていた方が、まさに何の落ち度もないにも関わらず命を奪われるということを、本当になんでこんなことが起きたのか、本人の思い、またご家族の思い、本当に痛いほど感じさせていただいたわけであります。その背景には、この加害者の方の様々な発言等も、それがさらに被害者の方も、あるいは障害者の方に対してもなされていたということもあったわけでありまして、そういったことも踏まえながらこうした事件を起こさせない、二度と起こさせない、差別や偏見のない共生社会をどのように作っていくのかというのは大きな課題だと認識しております。厚労省でも平成28年の12月の検証チームの報告書も踏まえて再発防止に取り組んでおります。特にこの障害福祉施設の中で働いていた方が施設の中でこうした事件が起きたということを踏まえながら、やはり共生社会に関する基本理念の普及啓発事業を実施し、障害福祉施設に働いている従事者等の方々がそうしたことを学び実践につなげていくことを目的とした研修、さらには一般の方に関する普及啓発、さらには社会福祉施設ということはこうした安全確保も図っていかなければならないが、やはり地域との繋がりというのも非常に重要である、この二つの目的をどう両立をしていくのか、そういった観点に立って、やはり働く方にとってはやりがいをもって誇りを持って働いていただける職場づくりをしていくことが必要だということで、障害福祉計画に係る指針の中で利用者の安全確保に向けた取組と共に事業者における研修等の充実について盛り込み、それに基づいた取組を図っているところであります。いずれにしても引き続き障害を持つ方々が地域で安心して暮らしていただける、あるいは働いていただける、こういう環境を作るべく厚労省としても率先して努力をしていきたいと思っております。
記者:
昨年末までに年金や医療含めて社会保障の制度改革の内容が示されておりますけれども団塊の世代が75歳以上になる2025年問題、また65歳以上人口がピークになる2040年問題に対応できる内容かと思うかお考えをお聞かせください。
大臣:
全世代型社会保障検討会議の中間報告についてのご質問でしょうか。
記者:
中間報告とあと年金、介護についてはそれぞれ検討会や審議会で方向性が出ておりますがそれも合わせて。
大臣:
従前から申し上げておりますように、2025年とか2040年を見据えながら、あるべき姿、これからは人生100年時代を考える中で健康寿命の延伸を図りながら、またそうした中で働きたいという方がその希望を実現し、それが結果において支え手を増やしていくという中で、全世代型社会保障制度というものを構築していこう、こういう流れの中でご議論いただいてきたと理解をしております。その中で年金と労働については方向性が中間報告の中で出され、それを踏まえて厚労省の各審議会においても議論して、必要な法律を今作成すべくこれから取り組んでいくわけでありますし、加えて医療に関しても、一つの考え方は示していただいて、それをさらに今年の夏に向けて議論を深めていくということでありますので、そうしたことを一つひとつ積み重ねていきながら、今申し上げたそれぞれの時代に対応できる制度作りに向けてさらに努力をしていく、こういう方向性に沿って取り組んでいると認識をしております。ただこれからの全世代型社会保障制度検討会議における議論について何をするかについては、今医療の話については、さらに踏み込んでいくということがはっきりとしておりますけれども、それ以外どういうスケジュールでやるかについては西村大臣のところでご検討いただいていると思います。
 

(了)