加藤大臣会見概要

(令和元年12月17日(火)16:49 ~ 17:10 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

令和2年度予算編成大臣折衝について

大臣:
先ほど、財務大臣と令和2年度予算編成に関して折衝を行いました。まず、折衝事項についてご説明いたします。令和2年度の社会保障関係費の実質的な伸びについては、プラス4,100億円程度とすることになりました。令和2年度の診療報酬・薬価等改定は、診療報酬はプラス0.55%、勤務医の働き方改革への特例的な対応分を除くとプラス0.47%、薬価はマイナス0.98%、材料価格はマイナス0.02%となっております。また、社会保障の充実等については、消費税率引上げによる増収分の概ね半分を活用し、地域医療構想・医療従事者働き方改革の推進、保険者の予防・健康づくり等の取組強化、医療情報化支援等のため、公費2兆5,400億円程度を措置しました。また、勤務医の働き方改革の推進のため、地域医療介護総合確保基金に公費143億円程度を措置します。また、救急病院の勤務医の働き方改革の推進のため、令和2年度診療報酬改定により公費126億円程度措置します。今後、引き続き、診療報酬及び地域医療介護総合確保基金の対応を図ることによって、医師の働き方改革の特例的な基準1,860時間、あるいは本来基準960時間に向けて残業時間の縮減が進むように対応していきたいと考えております。医療情報化支援については、マイナンバーカードの健康保険証利用を進める観点から、医療情報支援基金に対し、公費768億円程度を措置することにしております。雇用保険制度については、育児休業給付と失業等給付、これまで失業等給付の中で育児休業給付も行ってまいりましたけれども、これらを別の経理にします。なお、令和2年度から2年間に限り、雇用保険料0.2%引下げ、雇用保険の国庫負担引下げを継続します。介護納付金の総報酬割の導入に伴う国庫補助の廃止に関しては、令和2年度に限り、被用者保険者への国庫補助について、国費31億円程度を措置します。令和2年度以降のB型肝炎給付金のための基金の不足に対応するため、毎年度措置をしてまいりました572億円程度に加え、令和2年度には国費615億円程度を措置することにしております。児童虐待防止対策・社会的養育の推進については、一時保護所の体制強化等、その迅速かつ強力な推進のための施策として、国費1,314億円程度等を措置することにしております。また、国立病院機構が負担してきた公経済負担について、令和3年度以降は国の負担とすることとし、これに合わせ、同機構に対する運営費交付金を皆減する等の見直しを行うことにしております。病床ダウンサイジング支援として、令和2年度に限り、国費84億円程度を措置します。令和3年度以降においては、消費税財源による「医療・介護の充実」とするための法改正を行い、その財源を活用して、病床ダウンサイジング支援を実施することとします。また、「新経済・財政再生計画 改革工程表」等に基づく改革を着実に実行することも確認いたしました。次に、少子化担当大臣も参加しての、少子化に対する折衝事項でありますけれども、公定価格について、適正化を図るとともに、チーム保育推進加算や栄養管理加算などの改善を行うほか、事業主拠出金率について、0.36%とすることなどを確認しました。大臣折衝事項の概要は以上です。令和2年度予算においては、人生100年時代に対応した全世代型社会保障の構築に取り組むために必要な予算を確保できたと考えています。これから与党手続、国会審議等がありますが、予算が効果的に活用されるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。私の方からは、以上です。

質疑

記者:
診療報酬の改定率も決まりまして、今回は医師の働き方改革での対応も焦点となり、同時に医療制度改革の議論が並行して行われましたが、今回の改定率の決定を受けて大臣の評価と振り返りをお願いいたします。
大臣:
診療報酬改定は厳しい財政事情の中、医療機関の経営状況あるいは賃金、物価等の同行も踏まえながら議論してまいりました。その結果先ほど申し上げたような結果になったわけであります。このプラス全体の診療報酬0.55%という水準は平成30年度の水準と同水準ということで、いずれにしても医師等の働き方改革への対応も含めて質の高い効率的、効果的な医療の提供体制を整備し、大事なことは国民一人一人に必要な医療サービスがしっかりと届けられていくよう、この改定を活用していきたいと考えております。
記者:
今回は薬価調査で公定価格と市場価格の乖離もあまりでなくて、本体プラスにまわす財源も限られていたと思うのですが、その辺プラス改定のこの数字をどのように評価されていますでしょうか。なかなか財源が出にくかったと。
大臣:
先ほど申し上げた厳しい財政事情の中で経営実態とか賃金、物価の動向に加えて、それからこれからやるべき医師の働き方改革を実行していく、そうした中身も盛り込んだ改定が出来たと考えています。
記者:
改定率についてなのですが今回0.55のうち0.08は救急病院の働き方改革ということです。2010年の改定の時に入院と外来で枠をはめたときがあったと思うのですけれども、今回のように特定の目的とか機能別で改定率の財源を決めるというのは非常に珍しいと思うのですが、このように目的を指定して改定率の段階で財源配分をするという点について評価をお願いします。
大臣:
今回は特に医師の働き方改革、それから医療の偏在是正、そして地域医療構想の推進、これは3本柱を進めていくということは大事な課題の一つであります。医師の働き方改革については2024年度までに1860時間以内にしていく、2035年度までには960時間にしていくという方向がもう打ち出され、それにとって必要なマネージメントとかそんな議論はこれから進めていかなければいけませんが、やはりベースとしてそれを支えていくためにはそうした時間を超えている病院等においてはマンパワーを拡大していかなければいけないわけでありますから、それに必要な予算を、いっぺんにということではありませんけれども、そうした流れを見ながら対応していくという考えで今回その分として0.08%を計上したということでありますので、そこは明らかにそうした趣旨目的からいうと、今ご指摘のようにこれまでの診療報酬改定の中では特例的な取扱いだと思います。
記者:
一番最初に書いてあります社会保障関係費の4100億円程度とするといことですけれども、これは概算の時は5300億円の自然増ということでそれから変わったかどうかわかりませんけれども元々どれぐらい膨らむとみていたのを千何百億を圧縮して4100億円になったのかというそこら辺の数字を知りたいです。
大臣:
基本的に概算要求の段階で自然増5300億円ということでありますから、そこからどう削減していくのかというのが中心になります。具体的には診療報酬改定と、介護納付金の総報酬割がこれが拡大して4分の3が4分の4になりますから、その効果が主としてこの削減額の中心でありますけれども、それらを合計して約1300億円程度の抑制を図って結果的に年金スライド分が100億円ありこちらで計上する分がありますので最終的には4100億円程度になったということであります。
記者:
今の話と少し絡むのですけれども、今回の診療報酬改定全体と社会保障費の伸びを踏まえて今2022年団塊の世代の社会保障費がどんどん急増するということがみられている中での予算案の決定だったと思います。そうしたことを踏まえて大臣として今回の予算はどういうふうに見ていらっしゃるのかお聞かせください。
大臣:
いずれにしても今後高齢化が進む中で、あるいは特に団塊の世代の方々が75歳ということになると例えば国の予算でいえば国庫負担の割合が変わってきて、それが国費の国負担の増加につながるということはそのとおりだと思います。いずれにしてもそうした流れであり、そのことはそのままにしておけば結果的に保険料の増大ということにも繋がって、もちろん高齢者の方の負担もありますけど、若い方の負担の増大にもつながっていく、そういうことも認識しながら、しかし同時に必要な医療が将来を見据えながら提供していける体制を作っていくということも必要だと、そうした中でのバランスをとった改定であり、予算編成であると認識をしております。
記者:
先ほどありました診療報酬の特例的な対応の0.08の部分なのですけれども、それが多いか少ないかと言うか、十分かどうかちょっとわからなくて、お伺いしたいのですが、その0.08以外の0.47のところは働き方改革以外に使うという枠がはめられているということなのでしょうか。
大臣:
結果的にそれがどうなっていくかということ自体、そしてそれぞれで診療報酬が増加する中で病院がそれをどういうふうに使っていくのかというところまでいえば、そういったことにもつながっていくことを期待したいと思いますけれども、特に0.08のところについて少し申し上げれば、これは要するに救急等の現場が非常に過酷な状況になっていたり、したがってそういったところをどうまずマンパワーを増やすことによって、超過勤務の過剰な状況を解消をしたいということですから、そういう効果を期待したいと思います。それ以外の診療報酬の改定部分、これは個々には具体的にこれから内容が詰まっていくわけでありますけれども、それらを通じて結果的において、また、より幅広い形でそれぞれの皆様方の働き方の改革がされることは強く期待したいと思います。
記者:
そうしますと0.08の部分については最低限働き方改革に充てるということだという認識でよいでしょうか。
大臣:
最低限というのはそれはまさに申し上げた救急等の特に過剰な時間外労働をされているところを解消するということをターゲッティングしてやると、それ以外はこれまでと同様でありますけれども、前々回の診療報酬改定でも、それは働き方改革、広い意味ではそれに資するという意味ではそれは排除はしていないということですね。
記者:
この働き方改革部分ですが、診療報酬は基本的に病院の売り上げになると思うので、それが本当に人件費に使われるかどうかというのをどのように担保していくのか、そのあたりのお考えがあれば教えてください。
大臣:
これは、これからどういうふうな設定を仕方にしていくかということでありますが、基本的には救急医療の実態を踏まえて特に過酷な勤務状況となっている救急医療の実績を一定水準以上の医療機関について、そういうことを対象に診療報酬の引き上げのこの部分は使っていくということを想定はしています。ただ、今回の働き方改革は診療報酬だけではなくて地域医療介護総合確保基金でも対応することとしておりますので、今申し上げた特に環境が厳しいところは診療報酬で、それ以下のところについても地域医療に特別な役割がある、かつ、実態が過酷というか残業時間が非常に長いと都道府県知事が認める医療機関を対象に、勤務医の労働時間短縮のための体制整備を行うということについて公費143億円を地域医療介護総合確保基金に増額してそれをもって対応するということですので、トータルとしていえば診療報酬と地域医療介護総合確保基金を両方使って、一定の救急現場における過剰な長時間労働の是正を図る一つの第一歩にしていきたいと考えております。
記者:
話題変わりまして、病床ダウンサイジング支援についてお伺いしたいのですが、今回84億円程度を措置するということですけれども、これによってどれくらいの病床ダウンサイジングを見込んでいるのかということと、今後3年以降については基金を作ってということになると思いますが、どれくらいの規模感を想定しているのか現段階の考えを教えてください。
大臣:
今回、地域医療構想が必ずしも十分に実現に向けて前に進んでいなかったという中には、病床削減を図ったら職員の処遇はどうなるだろうかとか、あるいは医療機関が統合したときのそれぞれが持っている残債務をどうするのかということが挙げられています。医療機関の統合を行う際の病床の削減規模に応じた支援、あるいは、統合によって引き継がれる残債務がより長期の債務に変えられるということになれば、その間金利負担が増えることになりますから、そうした利払い費に対する補助ということを念頭に、ポイントは全額を補助するということであります。これまでは地域医療構想を推進するにあたっては、地域医療総合確保基金を使っていますが、これは国費と都道府県がそれぞれ出してやるということですが、そのワークスキームではなくてここは国が全額を負担することによって前に進めていきたい、こういう思いであります。あと個々については今申し上げたように、それぞれの支援ごとにどういう規模になるかというのは、実態を踏まえながら対応していくということでありますが、まずその一歩としてこうした全額補助の仕組みを84億円積ませていただいたということです。ただ、将来的に考えるとさらに拡大していく必要がありますし、そのためには消費税財源の活用を考えていく必要があると、ただ、そうすると消費税財源を活用して新たなスキームを作ろうとすると、例の消費税法の中に「制度的な」というのがあるわけですが、そうすると制度的な形にするためにはこうした制度を作るということを法律上規定をしていく改正が必要になりますが、その上で、令和3年度以降については消費税財源を活用した、こうしたより拡大したスキームを是非考えていきたいと思っております。
 

(了)