加藤大臣会見概要

(令和元年10月18日(金)9:30 ~ 9:45 省内会見室)

【広報室】

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず、台風19号の関係、被害への対応でありますが、昨夜に国より被災地の各保険者に対して、医療・介護の一部負担の免除等の実施の要請を行いました。今後、免除を実施する保険者を確認した上で、住宅全半壊・床上浸水等の要件に合致している被保険者については、事前の申請を行っていなくても、医療機関等の窓口で申し立てていただければ、自己負担の免除が可能となるよう、更なる事務連絡を発出したいと考えております。なお、国保・後期高齢者医療・介護については、一部負担免除を行う保険者を、特別調整交付金等により財政支援することとし、その具体案については、更に政府全体で調整を進めていきたいと考えております。
 二件目でありますが、明日19日、そして、20日とG20保健大臣会合を岡山県岡山市で開催いたします。今回の会合では、「UHCの達成」、「高齢化への対応」、「健康危機への対応」の三つをテーマとして、各国の保健大臣と議論を行いたいと考えています。こうした国際保健上の重要な課題について、今回の会合を契機に力強いメッセージを発信できるよう、私が議長役を務めることになっておりますので、議長国として全力を尽くしていきたいと考えております。以上です。

質疑

記者:
G20の会合では、高齢化への対応が課題の一つになっておりますが、世界でも高齢化が進む日本が果たすべき役割というのは、どのようなものだとお考えでしょうか。
大臣:
G20保健大臣会合はこれまでも開かれておりますが、今回、高齢化を取り上げたのは初めてということであります。具体的には「活動的かつ健康な高齢期の推進」、「認知症施策の推進」、これらについて議論を行いたいと考えております。今、日本は高齢化の先頭として走っているわけでありますが、東南アジア、アジア国を含めてそれぞれの国においても、これまで以上のスピードで高齢化が進んでいることが見込まれるわけであります。そういう中で、私どものこれまでの経験、これはプラスもマイナスもあると思いますが、それについての共有化を図りながら、この問題に対する各国の取組等をお聞きしながら、さらに、高齢化への対応がわが国としても、また、それぞれの国においても前進していけるような対応にしていきたいと考えております。
記者:
台風の被害の関係で、水道インフラへの被害についてお聞きしたいのですが、今回の被害の甚大さへの大臣のご評価と、水道インフラの強靱化対策について、どういった課題があるとお考えか、また、どういった対策を行っていかれるのか、お考えを教えてください。
大臣:
今回の水道への被害については、最大15万戸の被害が出たところであります。多くの事業体に係る形で15万戸、今、三分の一が解消して10万戸ということでありますが、一つの事業体でそれだけの数が出たのではなくて、色々なところで出ているというのが今回の状況であります。中には、停電したがために止まっている、したがって、それは当然通電がなされれば解消するというものと、同時に、道路損壊等に伴って水道管が損壊をしている、あるいは、浄水場、排水場が水没をして機能が停止をしている等、様々なケースがあります。そうした中で、今、それに対する対応として、まず応急の対応としては、給水車等での対応を図るとともに、特にいわき市、当初4万5000戸、相馬市、2万を超えるところが断水をしておりますから、そういったところには厚労省の職員も行って、早めに現地を見て、そして、何をどう対応すればいいかを現地の事業体の方、もちろん日本水道協会を含めて連携をしながら、早め早めの対応をすることによって、一日も早い断水の解消を図っていくということで、今、取り組んでいるところであります。加えて、やはりこれまでもそうでありますが、水道の耐震や災害に対する対応力を高めていく必要があるということで、特に、施設が老朽化をしているところもあります。大阪の時には、非常に大きい導水管が破裂したこともありました。そうしたことを踏まえて、去年12月に「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」を策定いたしましたが、そこでも、浄水場等の耐震強化等や基幹管路、水道管の耐震化の実施などに取り組んでおります。令和元年度の当初予算では、その緊急対策として259億円の予算を計上しているところでありますので、こうした対策をしっかりと取り組んでいくことによって、こうした災害があっても、被災をしない、あるいは、一時的に被災をしても早く立ち上げられるような、そういう水道施設をしっかりと整備していきたいと思います。
記者:
昨日開かれた地域医療構想の説明会の件についてお伺いしたいと思います。昨日、初回の地方での意見交換会が福岡で開かれたと思いますが、橋本副大臣が行かれていましたが、その中でかなり厳しい意見が相次いだと聞いています。医師不足で苦労している中でということで、撤回を求める声もあったようなのですが、改めて一回目を終えられての受け止めと、それから、今後どのように進めていかれるかと、対応されていかれるかをお願いします。
大臣:
先般は国と地方の全体の協議を東京で行いましたが、今回そこでの意見も踏まえてそれぞれの地域に出向いて行って今回のあるいは一連の対応についての説明と意見交換を図るということで先日九州で行われ、この後各ブロックごとで月内にそれぞれ実施をすることにしております。昨日も具体的な名前が唐突に出てきた、そしてそれによって住民の皆様がその病院が廃止をされるのではないかという不安が高まっている、そういう声を聞いているわけでありますから、出し方については我々も考えなければいけないところはあると思いますけれども、いずれにしても今回の措置は、別に名指しをしてここを閉鎖しろとかここをどうしろということではなくて、それぞれの地域において議論をしていただく、2年前に地域医療構想、それぞれの地域がそれぞれの地域の構想を既に作っていただいているわけですから、それに向けて限られた医療資源をその地域で必要な医療サービスが提供される、そういう体制にしていく、これはみんな共通の思いでありますから、それに向かって国も都道府県も市町村も連携しながら進めていくという姿勢でやっていきたいと思っておりますので、今後ともさらに丁寧な説明をするとともに、さらにこうした資料を出してほしいという声もあります。それからそれをやるならこうした支援もして欲しいという声もあります。そういった声にもしっかりと対応しながら進めていく必要があると思いますが、まずは先ほど申し上げた各ブロックごとの説明会、意見交換会、これをしっかり開きながら、まず趣旨の理解とお互いのコミュニケーションをしっかりと図って、目指すべきゴールに向けて一緒になって取り組んでいける環境を作っていきたいと思います。
記者:
年金の繰り下げ制度にお伺いしたいのですけれども、本日の年金部会で繰り下げの議論がなされる予定ですけれども、現行の水準だと1か月繰り下げると0.7%増えるという水準が払い過ぎになるのではないかという懸念があります。今日公表された試案ですと、この数字は据え置く方向ですけれども、この水準の妥当性をどのようにお考えなのかと、この繰り下げ制度を使う人が1%程度にとどまっているようなのですけれども、この数字に対するご評価をお願いします。
大臣:
まず今日の年金部会で、そのような資料を出すことにしております。いずれにしても、繰り下げの場合には増額率、繰り上げの場合には減額率ということになりますけれども、これは年金財政上中立的に設定するというのが基本的な考え方でありまして、今日の部会でもそれをベースに資料をお示しするということであります。今、初めて増額率が高すぎるという議論があるとお聞きをしましたけれども、それも含めてこういう考え方に則ってこうなっていますと、したがって基本は財政中立ですからその立場に立って議論をしていただければと思います。それから繰り下げ率の利用率が非常に低い水準に留まっていると、私どもとして繰り下げ率をここまで上げなきゃいけないとかということを具体的に思っているわけではありませんけれども、それぞれのライフスタイルに合わせて適切な判断をしていただければと思っております。ただ、かなり低い水準にあるという理由としては、一つは、一般には65歳からの支給でありますけれども、現在、男性と女性で違いますけれども、その前に厚生年金がスタートするという仕組みになっているので、65歳の時にそのまま移行されているという方も結構いるのではないのか、あるいは、よく新聞に書いてあります加給年金、振替加算が繰り下げ支給をすると支給されなくなるということでありますけれども、これも基礎年金と厚生年金、要するに報酬比例部分を持っている場合にはどちらかを繰り下げる、あるいは、どちらかを65歳での支給ということにすれば、加給年金、さらには振替加算も受けることができる、そういう仕組みになっているのだということ、さらには、在職老齢年金の支給停止部分については繰り下げが適用されないと、そういう事情が色々あいまってそうした状況にあるのではないかと。あるいはそういう存在を知らないという方もいらっしゃるのかもしれません。そういった意味で、我々としては周知をしっかり図っていくということと、今申し上げた背景も踏まえて、今日の年金部会で有識者の皆様からしっかりご議論をいただきたいと思っております。
記者:
冒頭にご発言のあった高齢者の台風の被害の関連で、高齢者医療等に関する対応についてですけれども、今回の台風19号以前の大きな台風や災害でもこういう対応をされたのかという点と、改めてこの時期は1週間を前にしてというタイミングだと思うのですが、なぜ、どういった目的で決定されたのか教えてください。
大臣:
これまでの事例では、昨年の西日本の豪雨災害、それから熊本、東日本、そしてさらにその前に阪神淡路の4つが過去の事例ですから、今回5つ目の事例ということになります。過去3件についてもやはり被害の大きさ、元々この仕組みは免除しうるという仕組みにはなっていて、そしてそれがそれぞれの地域における本来の医療費の該当する部分が3%という基準を超えた場合には、8割を特別調整交付金で負担をしますという仕組みが、そもそもあるのですけれども、それを超えてかなり被害が大きいという場合には今回のような措置を、要するに10 割免除すると、自己負担を免除し10割国費で負担しますという仕組みになっています。かつての3件とも今日閣議決定された特定非常災害とあわせて行われています。特定非常災害であればこれが自動的に適用されるものではありませんが、それだけ大きい災害の時に対応していく必要がある、そして、それだけ災害が大きければ多くの皆さんがやはり保険証等も喪失されている、それから様々な経済的な基盤も喪失をされている、そういった観点に立って今回の措置も講じたということであります。
 

(了)